Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/05/23
Update

ウルトラマントリガー考察予想|ティガ/ダイナ/ガイアとネタバレ比較!“もう一人のウルトラマン”の可能性を探る【邦画特撮大全90】

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第90章

今回の邦画特撮大全は『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』を紹介します。

2021年7月10日(土)より放送開始される『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』。この作品は誕生から25周年を迎えた人気作『ウルトラマンティガ』(1996~1997)の真髄を継ぐものとして企画されました。

今回は公開されている『ウルトラマントリガー』の情報から『ウルトラマンティガ』や先行作品と共通する要素の紹介、そして『ウルトラマントリガー』の物語の予想をしていきます。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

『ウルトラマントリガー』の作品情報


(C)円谷プロ/(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京

【放送】
2021年

【監督】
坂本浩一

【キャスト】
寺坂頼我、豊田ルナ、金子隼也、水野直、春川芽生、高木勝也

【作品概要】
2021年で誕生から25周年を迎えた『ウルトラマンティガ』のコンセプトを受け継いで企画されたシリーズ最新作『ウルトラマントリガー』。

メイン監督に『ウルトラマンジード』(2017)の坂本浩一監督を迎えた「令和版ウルトラマンティガ」といえる新たな物語が展開されます。

『ティガ』以外に『ダイナ』『ガイア』オマージュも?

ウルトラマン55周年・TDG25周年記念PV第2弾

ウルトラマンティガ』の真髄を継ぐものとして企画されている『ウルトラマントリガー』。3000万年前の光の巨人の力を受け継ぐウルトラマン、マルチタイプ・パワータイプ・スカイタイプという3種類のタイプチェンジ、変身アイテムの“スパークレンス”という名称、そして光と闇の戦いという基本設定は『ティガ』と共通しています。また『ウルトラマントリガー』の主人公はマナカケンゴ(寺坂頼我)で、『ウルトラマンティガ』の主人公マドカ・ダイゴに似た語感の名前です。

しかし公開された作品情報を見ていくと、『ウルトラマンティガ』のみならず『ウルトラマンダイナ』(1997~1998)や『ウルトラマンガイア』(1998~1999)の要素も盛り込まれているのではと考えられます。

『ウルトラマントリガー』の始まりの舞台は、開拓された火星です。火星の街を蹂躙する怪獣を前に、主人公ケンゴが光と出会いウルトラマンとなるのです。この導入部は、宇宙への開拓が進む“ネオ・フロンティア”時代を描いた『ウルトラマンティガ』の続編『ウルトラマンダイナ』第1話と多数の共通点が存在します。

さらに注目したいのがGUTS-SELECTの人物配置です。『トリガー』のヒロインであるシズマユナ(豊田ルナ)は、新入隊員となったケンゴの教育係でもあります。この関係性は新入隊員という設定だった『ダイナ』の主人公アスカ・シンと、その教官であった女性パイロットのユミムラ・リョウの関係性を思わせます。

さらに対怪獣用戦闘艇“ナースデッセイ”のパイロットで体育会系の肉体派で暑苦しい熱血漢のサクマテッシン(水野直)、個性豊かな面々を厳しさと優しさの両面でまとめるタツミセイヤ隊長(高木勝也)も、『ウルトラマンティガ』よりは『ダイナ』の登場人物らを彷彿とさせるキャラクターとなっています。

「もう一人のウルトラマン」が登場する可能性

またGUTS-SELECTの天才エンジニア・ヒジリアキト(金子隼也)は、主人公ケンゴとライバル関係にあるという設定です。ケンゴはもともと植物学者なので、2人は頭脳派同士のライバル関係ということになります。

「お互いに頭脳派同士のライバル関係」で思い起こすのが、TDG三部作の最終作『ウルトラマンガイア』。『ウルトラマンガイア』の主人公・高山我夢/ウルトラマンガイアは若き天才科学者のネットワーク“アルケミー・スターズ”の日本代表であり、ライバルの藤宮博也/ウルトラマンアグルも元アルケミー・スターズで、光量子コンピューター“クリシス”の開発者でした。

2021年1月から放送中の『ウルトラマン クロニクルZ ヒーローオデッセイ』では、ガイアとアグルの激突や『ウルトラマンティガ』におけるもう一人のウルトラマン・イーヴィルティガのエピソードなど、ウルトラマン同士の戦いが重点的に放送されています。これらの点から「アキトもひょっとするとウルトラマンに変身するのでは?」と淡い期待を抱いてしまいます。

そして『ウルトラマンガイア』との共通点で見逃せないのは、ナナセヒマリ(春川芽生)が駆る、GUTS-SELECTの多目的無人可変ドローダー“GUTSファルコン”。黄色いカラーリングは『ウルトラマンティガ』の戦闘機GUTSウィングに倣ったものですが、遠隔操作する無人機という設定は『ウルトラマンガイア』に登場した戦闘機XIGファイターEXを思わせます。

一方でGUTSファルコンは、戦闘機形態の“フライトモード”、地上での戦闘に応じた人型のシルエットの“ハイパーモード”に変形が可能という新機軸の設定も盛り込まれています。

『トリガー』の世界観にはどんな怪獣が出現する?

『ウルトラマントリガー』で気になるポイントは、作品に登場する怪獣たちがどうなるかです。『ウルトラマントリガー』の基となる『ウルトラマンティガ』はこれまでのシリーズと世界観を異にしていたため、過去作品における歴代ウルトラマンや怪獣たちは客演していないのです。

では、『ウルトラマントリガー』の世界観はどうなっているのでしょうか。ウルトラマントリガーに登場する防衛チームは、地球平和同盟TPUによって編成されたエキスパートチームGUTS-SELEGTです。TPUは世界規模の巨大財団“シズマ財団”の創始者シズマミツクニが、闇の勢力が平和を脅かそうとしているのを察知し組織されたものです。

一方『ウルトラマンティガ』に登場した防衛チームは、地球平和連合TPCが編成した特捜チームGUTSでした。防衛チームとその上部組織が共通していない点から、『ウルトラマントリガー』が『ウルトラマンティガ』の純粋な続編ではないことがわかります。

『ウルトラマンギンガ』(2013)から『ウルトラマンタイガ』(2019)までの“ニュージェネレーションシリーズ”では、過去のウルトラマンの客演や人気怪獣の登場が盛り込まれていますが、基本的にそれぞれ独立した世界観でした。この点から考えるに、『ウルトラマントリガー』は『ウルトラマンティガ』をベースにしながらも独立した世界観のパラレルワールドなのでは、と予想されます。

そして次に注目したいのが、GUTS-SELECTの駆る対怪獣用戦闘艇“ナースデッセイ号”です。この戦闘艇は名称から『ウルトラマンティガ』に登場した母艦アートデッセイ号から受け継がれたものだと思われますが、頭には“ナース”という単語があります。これは『ウルトラセブン』に登場した宇宙竜ナースに由来するもので、ナースデッセイ号の艦橋のデザインはナースの頭部を基にしています。

この2点から『ウルトラマントリガー』には、『ウルトラマンティガ』や『ダイナ』以外の作品からも人気怪獣たちが登場するものと予想するのが妥当ではないかと思います。

まとめ

ウルトラマンティガ』をはじめ『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』を思わせる要素も盛り込まれたウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマントリガー』。

ただ過去作へのリスペクトももちろん大切ですが、『ウルトラマントリガー』そのものはあくまでも独立した作品です。これらの要素が足かせと化すことなく、『トリガー』そのものが新たな作品世界へ飛躍する土台となることを多くのファンは望んでいるはずです。

そして何より、『トリガー』が『ティガ』ならびにTDG三部作同様、人々の記憶に残る素晴らしい作品となることを願っているはずです。

『ウルトラマントリガー』は2021年7月10日(土)より全国テレビ東京系にて放送開始。

次回の『邦画特撮大全』もお楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら






関連記事

連載コラム

【ネタバレ】ジャック・リーチャー シーズン2|あらすじ感想と結末の評価解説。キャストのアラン・リッチソンが正義のアウトローを熱演|Amazonプライムおすすめ映画館25

連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第25回 2023年12月15日(金)よりAmazonプライムビデオで配信されたアメリカのサスペンス・アクションドラマ『ジャック・リーチャー~正義のアウ …

連載コラム

映画『悪魔のいけにえ』ネタバレ感想と考察解説。レザーフェイス殺人鬼時代を作り出した名作を深掘り!|SF恐怖映画という名の観覧車130

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile130 ホラー映画とSF映画を題材とした当コラムで今までほとんど触れることの無かった「伝説的名作」と呼べる映画たち。 日々押し寄せる新作映画情報 …

連載コラム

『七人樂隊』あらすじ感想と評価解説。香港映画の巨匠監督たちが1980年代から未来までの様々な物語を紡ぐ|映画という星空を知るひとよ118

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第118回 『七人樂隊』は、香港で活躍する7人の監督が1950年代から未来まで、さまざまな年代の香港をつづった7作で構成されたオムニバス。 プロデュースは監督も …

連載コラム

『帰れない山』あらすじ感想と評価解説。映画化で北イタリア・モンテローザを舞台に描く大人の青春劇|映画という星空を知るひとよ145

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第145回 第75回カンヌ国際映画祭にて審査員賞を受賞した感動作『Le otto montagne』が、邦題『帰れない山』として日本で公開されます。 イタリア文 …

連載コラム

『アングスト』元の事件から映画を推察。ラストに向けシリアルキラーの独白と不安が加速する|サスペンスの神様の鼓動33

サスペンスの神様の鼓動33 こんにちは「Cinemarche」のシネマダイバー、金田まこちゃです。 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学