大人気メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」の映画化作品第2弾
2015年に始動したメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」。
アニメ、漫画、ゲームに登場する架空のバンドが、演じる声優たちによる演奏で現実でも活動し日本武道館や横浜アリーナなど日本最高峰の舞台でライブを行ってきました。
今回は「BanG Dream!」の中でも地上波音楽番組への出演を果たした人気バンド「Roselia」の結成に焦点を当てたスピンオフ映画『BanG Dream! Episode of Roselia I:約束』(2021)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
アニメ映画『BanG Dream! Episode of Roselia I:約束』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【監督】
三村厚史
【脚本】
柿本広大
【キャスト】
相羽あいな、工藤晴香、中島由貴、櫻川めぐ、志崎樺音
【作品概要】
全世界で2000万人のユーザ数を記録するスマホゲームなど、多岐に渡る作品で人気を誇るメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」の登場バンド「Roselia」に焦点を当てた劇場版第1作。
監督を『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』(2015)でCG監督を務めた三村厚史が担当し、脚本を「BanG Dream!」のアニメシリーズ総監督の柿本広大が務めました。
映画『BanG Dream! Episode of Roselia I:約束』のあらすじとネタバレ
幼少期、「湊友希那」と幼馴染の「今井リサ」は近所の公園で2人で遊び、友希那の歌唱力に見惚れたリサは音楽家である友希那の父と共にセッションを行っていました。
時が経つと共にいつしかセッションは行わなくなり、友希那の父は音楽を辞め、一方で友希那は人が変わったように音楽に打ち込むようになりました。
高校2年生、友希那は父が音楽の道を辞める契機となった音楽フェス「FUTURE WORLD FES.」に出演することを目標とし、そのためには全てを捨てる覚悟で音楽の道を追求していました。
「FUTURE WORLD FES.」のエントリー期限が迫ってもなおバンドメンバーが決まらない友希那は、メンバー探しで訪れたライブで高い実力を持つギタリスト「氷川紗夜」を見つけます。
紗夜は高い実力を追い求めるが故にメンバーと衝突し、バンドを辞め楽屋に出たところで友希那に勧誘を受けます。
友希那の実力を測るためにソロライブへと足を運んだ紗夜は、彼女の持つ圧倒的な声量と世界観に引き込まれ、バンドの誘いを了承。
翌日、友希那はバンド結成のことをリサに伝えると、その場に友希那のファンを自称するリサの後輩「宇田川あこ」が自身をドラマーとしてバンドに加えて欲しいと直談判しに現れます。
友希那はあこの実力を測るためにリサをあこのテストのための一時的なベーシストとして加えスタジオでセッションを行います。
そのセッションは友希那の想像を越えるほどにクオリティが高く、「場」と「時間」そして「メンバー」が時に実力以上の効果を生むことに気づき、あこをドラマーとして迎え入れます。
あこの懇願によって一時的にベーシストとして加えていたリサも正式にバンドに加入しますが、リサは中学1年の時に音楽を辞めてしまっておりブランクによる実力不足を実感していました。
4人は初のライブが近づきますが、理想とする音楽のために高い実力を持つキーボードの存在が不可欠であり、あこの紹介で彼女のネットゲームの親友「白金燐子」をセッションを経てメンバーに採用。
バンド「Roselia」として結成した5人はいくつものライブを重ね、その高い実力に注目が集まり始めます。
「Roselia」は「FUTURE WORLD FES.」の出場を賭けたコンテストに出演し入賞しますが、その高い実力がゆえにプロデューサーは入賞ではなく優勝してフェスに参加して欲しいと「Roselia」の参加を見送りました。
参加は果たせなかったものの確かな手応えを感じた5人は、さらなる飛躍のために練習を重ねることを誓います。
ある日、練習を終えた5人に「FUTURE WORLD FES.」に参加する実力者たちも参加する「SWEET MUSIC SHOWER」のプロデューサーが声をかけ、「Roselia」はジュニア枠の前座としてフェスに出場することになります。
しかし、フェスの当日、いつもと同じ演奏を行ったはずにも関わらず、観客とプロデューサー双方の反応は良くなく、明らかに失敗を感じさせました。
次の練習の日、苛立つ友希那はリズムを外したあこに強く当たり、翌日の練習でも同じ部分を失敗するあこにバンドからのクビを匂わせる発言をします。
あこは「SWEET MUSIC SHOWER」での失敗の原因も分からないままではいくら練習しても無駄とスタジオを出ていき、燐子も「メンバーがほかの人の音を聞いていない」とあこに同調し次の日以降も練習に現れなくなってしまいました。
映画『BanG Dream! Episode of Roselia I:約束』の感想と評価
映画館の音響で楽しむ「ライブストーリー」
メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」の目玉と言えば、なんといってもプロジェクトの中心にある「バンド」を題材とした楽曲と演奏にあります。
出演声優たちによるライブはそんな「BanG Dream!」のコンセプトを最大限に引き出した「現実面」でのアプローチでもありました。
一方で映画の面でもプロジェクトは「ライブ」を最大限に引き出す工夫がされており、映画化第1弾となる『BanG Dream! FILM LIVE』(2019)では、物語が存在せず架空のキャラクターたちのライブが実際に行われている感覚を楽しむという映画館で観るからこその作品を作り出していました。
映画化第2弾となる本作では、前作の「映画館で観るからこその作品」と言う要素を大迫力のライブシーンで受け継ぎつつも、「BanG Dream!」のもうひとつの魅力でもあるバンド活動を通して成長していく少女たちの物語を楽しむことのできる「ライブストーリー映画」となっていました。
音楽に必要なものを探す少女たちの物語
本作の主題となるバンド「Roselia」は、「BanG Dream!」に登場するバンドの中でも特に「実力」や「完成度」を重視するバンドです。
「音楽を楽しむ」や「友人たちとの居場所」という他のバンドの目的と異なり、明確な目標を持つ「Roselia」は本気だからこそ失敗を「仕方がない」の言葉で済ませることなく、失敗そのものを許さないストイックさを持っています。
しかし、バンド活動はひとりでの演奏が上手い人間が集まってもバンド全体の完成度が上がるわけではなく、全員でひとつの音楽を奏でることが重要となります。
完璧な演奏を求めるがゆえに崩壊に向かっていく「Roselia」の挫折と復活、そして未来への歩み出しが詰まった本作はバンドだけでなく、あらゆるチーム活動を嗜む人に観て欲しい作品です。
まとめ
「Roselia」に焦点を当てた本映画は2部作であり、物語は後編となる『BanG Dream! Episode of Roselia II:Song I am.』(2021)へと繋がっていきます。
父の無念を晴らすために音楽フェス「FUTURE WORLD FES.」を目指すボーカリストの友希那と彼女を支えること決心したリサ。
天性の才角を持つ妹にコンプレックスを抱えながらも対等な関係になるため高い実力を目指す紗夜。
「かっこよさ」を求め「Roselia」に加入したあこと、自身の表現のために奮闘する燐子。
少女たちの物語が音楽によって繋がっていく映画『BanG Dream! Episode of Roselia I:約束』をぜひ鑑賞してみてください。