Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2021/04/17
Update

チェルフィッチュ映画『想像』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。三月の5日間の創作を映像に収めたドキュメンタリー

  • Writer :
  • 石井夏子

社会は「想像」という行為によって支えられている。

世界的に注目されている演劇カンパニー・チェルフィッチュ。

(C)ハイドロブラスト

本作『想像』は、オーディションを経てチェルフィッシュの舞台『三月の5日間』キャストに選ばれた俳優のうち1人に焦点を当て、その俳優の2年間を追っていきます。

2021年5月28日(金)より、アップリンク吉祥寺、5月29日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティほかロードショーとなる映画『想像』についてお伝えいたします。

映画『想像』について

(C)ハイドロブラスト

チェルフィッチュの舞台『三月の5日間』の出演者として、オーディションを経て選ばれた7人の俳優のうち1人に焦点を当てた本作。

道路で事故が起きないためにはどうすれば良いか?どんな料理を作ればお客が喜ぶか?障害を持った人が健常者と同じように通勤するためには何が必要か?

生活空間は、そのような多層的な想像、その実践の集積の上に成り立っていると言っても過言ではありません。

(C)ハイドロブラスト

チェルフィッチュを率いる演出家・岡田利規もまた、「想像」という営みを重要視しています。

演劇作品における「想像」とは、多様なアウトプットの形を想定すること

俳優の演技、美術や音楽、照明や客席づくり……。岡田の演劇のクリエーションがユニークなのは、「想像」という営みを俳優にも徹底して求めることです。

彼の演劇作品において、俳優は演出家の指示通りに動く着せ替え人形のような存在ではありません。

現場では演劇作品のクリエーションにおいて、演出家が想像を働かせるのと同様に、俳優も徹底して「想像」を行っていきます

そしてその結果、生み出された動きや、それに伴う発話が、観客のイマジネーションを膨らませるんです。

岡田はこのように語っています。「演劇が社会に対してできるだけ大きな効果を持って欲しい

チェルフィッチュとは?

(C)ハイドロブラスト

チェルフィッチュは、岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして1997年に設立

独特な言葉と身体の関係性を用いた手法が評価され、現代を代表する演劇カンパニーとして国内外で高い注目を集めます。

その日常的所作を誇張しているようなしていないような、だらだらとしてノイジーな身体性は時にダンス的とも評価されている、唯一無二のカンパニーです。

舞台『三月の5日間』とは?

(C)ハイドロブラスト
2003年3月、アメリカ軍がイラク空爆を開始した日を含む5日間の若者達の日常を描いた舞台『三月の5日間』。

若者のしゃべり言葉をそのまま書き起こしたような戯曲と、そうした言葉によって引き出される無意識な体の動きを過剰に誇張した身体とのスリリングな関係性が、それまで当たり前とされてきた劇構造を根本から覆し、日本現代演劇の転機として語られるチェルフィッチュの代表作です。

2005年第49回岸田國士戯曲賞を受賞。2007年クンステン・フェスティバル・デザールにて海外初演以降、世界30都市以上で上演。

また同作の小説版を含む小説集は、第二回大江健三郎賞を受賞しました。

映画『想像』の作品情報


(C)ハイドロブラスト

【日本公開】
2021年(日本映画)

【監督】
太田信吾

【キャスト】
板橋優里、チェルフィッチュ、岡田利規

映画『想像』のあらすじ

(C)ハイドロブラスト

世界的に注目されてる演劇カンパニー・チェルフィッチュ。

演出家の岡田利規は俳優の「想像」という作業を重要視して代表作『三月の5日間』のリクリエーションに挑みます。

本作は、オーディションを経て選ばれた7人の俳優のうち、1人に焦点を当てました。

その俳優が本読みからパリ公演まで、2年間に渡りパフォーマンスを「想像」によって豊かにしていく過程を、ミニマルにリフレインさせる手法を用いて描く新感覚ドキュメンタリー映画です。

小道具やセットを極力、配したシンプルな空間で俳優が「想像」だけを武器に充実したパフォーマンスを繰り広げるまでのプロセス、その映画は、「他者への想像」が希薄化した現代に痛烈な批評性をもって作用することでしょう。

まとめ

(C)ハイドロブラスト

鑑賞者は本作を通じて、岡田や若い俳優たちが取り組むクリエーションのプロセスから、「想像」の持つ大きな力を自らの中に再発見することになるはず。

その気付きが、誰かを、何かを、あなた自身が「想像」し、行動することに繋がることを願って、本作は今、放たれます。

映画『想像』は、2021年5月28日(金)より、アップリンク吉祥寺、5月29日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティほかロードショーです。

関連記事

新作映画ニュース

胸キュンなシーン写真解禁!映画『愛がなんだ』成田凌が岸井ゆきのに“あごトン”!?

一途なアラサー女子の全力すぎる片思いを描いた映画『愛がなんだ』は2019年4月19日(金)よりテアトル新宿ほかにて全国公開します。 恋愛映画の旗手で“正解のない恋の形”を模索し続けてきた今泉力哉監督が …

新作映画ニュース

ホアキン・フェニックスが実在の漫画家を演じた映画『ドント・ウォーリー』メイキング映像解禁!

ホアキンの情熱が伝わるメイキング 故ロビン・ウィリアムズが映画化を熱望した風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を描いた、映画『ドント・ウォーリー』。 ガス・ヴァン・サント監督がホアキン・フェニックスを主 …

新作映画ニュース

【フランス映画祭2022情報】開催日時と会場。石田ゆり子をフェスティバル・ミューズにて実施!

日本最大フランス映画の祭典フランス映画祭2022 横浜30周年記念回! 1993年に始まり、今年で記念すべき30回目を迎えるフランス映画祭。 (C)unifrance 2022年は12月1日(木)~4 …

新作映画ニュース

アニメ映画『音楽』あらすじと声優キャスト。竹中直人らが不良を演じた特報映像も解禁!

映像化不可能と言われた漫画を自主制作で長編アニメーション化! 2020年1月より新宿武蔵野館ほか全国順次公開が決定しているアニメーション映画『音楽』(監督:岩井澤健治 原作:大橋裕之)。 ©大橋裕之・ …

新作映画ニュース

映画『楽園』キャストの田中紀子役は石橋静河【演技力の評価とプロフィール】

映画『楽園』が2019年10月18日より全国で公開。 『悪人』『怒り』など映像化が続くベストセラー作家・吉田修一。 その最高傑作と評される『犯罪小説集』が、『64-ロクヨン-』を大ヒットさせた名匠・瀬 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学