映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』は2021年4月30日(金)より公開。
過去に1冊だけ出版した詩集が評価され「天才」と呼ばれた詩人ムーンドッグの、再起をかけた奮闘を描いた映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』。
ダメ人間のはずなのに憎めない、架空の詩人であるムーンドッグを、マシュー・マコノヒーが熱演。
キーウエスト島を舞台に、バカ騒ぎが繰り広げられる『ビーチ・バム まじめに不真面目』の魅力をご紹介します。
映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』は2021年4月30日(金)よりキノシネマみなとみらい・立川・天神ほか全国順次公開です。
CONTENTS
映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』の作品情報
【日本公開】
2021年(アメリカ映画)
【原題】
The Beach Bum
【監督・脚本】
ハーモニー・コリン
【キャスト】
マシュー・マコノヒー、スヌープ・ドッグ、アイラ・フィッシャー、ステファニア・オーウェン、ジミー・バフェット、ザック・エフロン、マーティン・ローレンス、ジョナ・ヒル
【作品概要】
自由気ままな生活を送るカリスマ詩人のムーンドッグが、ある出来事をキッカケに、再起を図る姿を描いたコメディ。
主人公のムーンドッグを演じるマシュー・マコノヒーは、1996年公開の『評決のとき』で主役に抜擢されて以降、数々のヒット作品に出演し、2013年に主演を務めた『ダラス・バイヤーズクラブ』では、アカデミー主演男優賞を受賞する他、高い評価を受けている実力派の俳優です。
ムーンドッグの悪友ランジェリーを、世界で最も知名度の高いラッパー、スヌープ・ドッグが演じる他、マーティン・ローレンスやジョナ・ヒル、ザック・エフロンなど個性派の俳優が、強烈なキャラクターを演じています。
監督は『KIDS/キッズ』(1995年)『ガンモ』(1997年)など、独特の作風で「映画の革命児」と世界から絶賛されたハーモニ・コリン。
映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』のあらすじ
かつて「天才」と称賛された詩人のムーンドッグ。
しかし、富豪のミニーと結婚して以降は、アメリカ最南端の「楽園」と呼ばれる、フロリダ州キーウエスト島で、酒とドラッグと女性に溺れる自堕落な生活を送っていました。
過去に、ムーンドッグが1冊だけ出版した詩集を担当した編集者も、才能を腐らせていくムーンドッグに呆れた様子を見せます。
ムーンドッグは、悪友のランジェリーとドラッグパーティーを繰り返し、娘であるヘザーの結婚式でも花婿を罵って台無しにするなど、めちゃくちゃな毎日を過ごしていました。
いつまでも続くと思われた「楽園」でのバカンスのような毎日でしたが、最愛の妻ミニーが交通事故により他界してしまいます。
ミニーは、莫大な遺産を残していましたが、ムーンドッグの浪費癖を心配し「遺産の半分は娘のヘザーに、残りの半分のムーンドッグへの遺産は凍結させる」という遺言を残していました。
さらにミニーは、自宅や銀行口座もヘザーへ相続させ、ムーンドッグに残されたのは下着とタイプライターだけ。
ミニーが残した資産を、ムーンドッグが相続する条件は、再び詩集を出版すること。
これまでの生活とは一変し、ホームレスとなってしまったムーンドッグは、新作の詩集出版に再起をかけますが……。
映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』の感想と評価
架空の詩人をドキュメンタリータッチで描く
かつて「天才」と呼ばれた詩人ムーンドッグの、再起をかけた奮闘を、コメディタッチで描く映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』。
本作を魅力的にしているのは、間違いなく主人公であるムーンドッグのキャラクターです。
「天才」と呼ばれたのは過去の話で、現在ムーンドッグは富豪の妻、ミニーの資産でパーティー三昧の生活。
仕事もせずに、昼間からお酒とドラッグに溺れ、ミニーの所には帰らず、あちこちで女性を抱いているムーンドッグは、自堕落なダメ人間という印象を受けます。
1つ間違えると、嫌悪感しか抱かないキャラクターですが、ムーンドッグを演じるマシュー・マコノヒーが、完全に役にハマっており、自由奔放で博愛主義のムーンドッグを、これ以上ない程、魅力的に演じています。
物語の前半は、キーウエスト島を舞台に、ムーンドッグが送るバカンスのような毎日が描かれています。
ですが、中盤でミニーが他界して以降、ムーンドッグは全ての資産を凍結させられるという逆境に立たされます。
それまで、バカンスのような毎日が描かれていた為、物語的にも急展開を見せますが、ムーンドッグはこの危機にも、自分の生き方を貫いていきます。
博愛主義のムーンドッグは、周囲の人にも愛されるというカリスマ性を持っており、作中で娘のヘザーが「ダメ人間だけど天才」と、ムーンドッグの魅力を的確に表現しています。
そんなムーンドッグが、ホームレスになって以降も行く先々で、様々な人と出会い、そして騒動を巻き起こしていきます。
ですが『ビーチ・バム まじめに不真面目』の作風として、過剰な演出が無く、起きている事を淡々と描く為、まるでムーンドッグという実在の詩人を追いかけたドキュメンタリーを見ているような感覚に陥ります。
個性的なキャラクターたち
とは言え、本作に登場するキャラクターは、ムーンドッグに負けないぐらい個性的なので、淡々とした展開ながらも、結構大変な事が起きており、そのギャップがまた笑えてしまうという、不思議な魅力を持った作品です。
中でも、マーティン・ローレンス演じるイルカ船の船長とのエピソードが、毒の利いた笑いとなり、本作にアクセントを与えています。
では、ムーンドッグは最愛の妻であるミニーを失っても、結局何も人間的に変わらないのか?と言うとそうではありません。
ラストでの、ムーンドッグのある行動は、一見するとそれまでの展開を全てぶち壊しているように見えますが、ミニーへの、これまでの罪滅ぼしのようにも見えます。
本作は、大人になり切れなかったムーンドッグが、少しづつ成長していく物語ですので、キーウエスト島の美しい映像と共に、肩の力を抜いて、リラックスした状態で、楽しんでみてはいかがでしょうか?
まとめ
『ビーチ・バム まじめに不真面目』は、淡々と物語が進行しますが、物語の流れとは対照的に、ムーンドッグが出会うのは、個性的なキャラクター達。
時折突飛な展開も見せますが、全てを受け止めるムーンドッグの寛容さからか、不思議と落ち着いて鑑賞できる作品です。まるで、ムーンドッグが観客に「何も問題ないさ」と語りかけているよう。
そんなムーンドッグのキャラクターと、撮影監督のブノワ・デビエが映像に収めた神秘的な風景が相まって、この世界への居心地の良さを感じさせてくれます。
自由気ままに生きるムーンドッグのキャラクターだけでなく、クライマックスで語られるムーンドッグの人生哲学を通して、忙しすぎる社会に疑問を投げかける映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』。
ムーンドッグとの旅を楽しみながら、作品の持つメッセージに是非触れてみて下さい。
映画『ビーチ・バム まじめに不真面目』は、2021年4月30日(金)よりキノシネマみなとみらい・立川・天神ほか全国順次公開です。