凄腕の女殺し屋が息子を取り戻すハイスパート・アクション映画『アクセレーション』。
マイケル・メリノとダニエル・ジリーリが監督を務め、2019年にアメリカで製作された、女殺し屋とギャングとマフィアが戦いを繰り広げるハイスパート・アクション映画『アクセレーション』。
凄腕の女殺し屋が息子を人質に取られ、裏社会を牛耳るマフィアのボスが仕掛けた罠に嵌められてしまい、7時間後までにマフィアと敵対する悪党を始末していくというのは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
アメリカ・ロサンゼルスを舞台に、裏社会に生きる者たちの三つ巴の戦いを描いた、アメリカのハイ・スパートアクション映画『アクセレーション』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
映画『アクセレーション』の作品情報
【公開】
2019年(アメリカ映画)
【脚本】
マイケル・メリノ
【監督】
マイケル・メリノ、ダニエル・ジリーリ
【キャスト】
ショーン・パトリック・フラナリー、ドルフ・ラングレン、チャック・リデル、ナタリー・バーン、ドブロミル・マシュコフ、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、サリー・カークランド、ダニー・トレホ
【作品概要】
『12hours DEA特殊部隊』(2016)や『闇の処刑人 ザ・ショットガン』(2019)などを手掛けたダニエル・ジリーリと、マイケル・メリノがタッグを組んで監督を務めた、ハイスパート・アクション作品です。
ヒューマントラストシネマ渋谷の特集『WCC ワンダーナイト・シネマカーニバル2019』内の『MDGP モースト・デンジャラス・シネマグランプリ2019』で11月22日から上映された作品でもあります。
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014)のナタリー・バーンが主演を務め、ドルフ・ラングレンやショーン・パトリック・フラナリー、チャック・リデル、ダニー・トレホらアクション映画で活躍する俳優も出演していました。
そして、大人気カーアクション映画「ワイルド・スピード」シリーズのスタントチームが本作の製作に挑んでいます。
映画『アクセレーション』のあらすじとネタバレ
凄腕の女殺し屋ローナは、裏社会を牛耳るマフィアのボス、ヴラディックと一緒にある組織のアジトに乗り込みます。
時を遡って8時間前の午後11時頃、ローナは愛車のマセラティに乗り、深夜のアメリカ・ロサンゼルスの街を疾走していました。
ある取引に失敗し、組織に裏切りを疑われたローナは、ヴラディックに幼い息子のミカを拉致されてしまったのです。
そのため、ローナはミカを取り戻すべく、ヴラディックが朝7時までにこなせと指示した、5つのタスクを順に片付けようとします。
ヴラディックがローナに与えた5つのタスク、それは全て、自分と敵対する組織や人物を壊滅させるものでした。
午後12時頃、ローナはタスク1、売人のディミトリから未払いの金額を無事回収し、ディミトリを手下もろとも射殺します。
赤ん坊のお面を被った謎の2人組の男は、そんなローナを車で尾行していました。運転中のローナへ、デビッドという男から電話がかかってきます。
デビッドは今から会えるかと、ローナに尋ねますが、彼女から「今は忙しいから会えない」と断られました。
これに対しデビッドは、「いつもの場所で」と強引に約束をとりつけ、電話を切ります。ローナは少し休憩しようと、ベティが営むダイナーに立ち寄りました。
ローナは水とコーヒーだけ注文し、ベティに100ドル札を1枚渡して、自分の事は放っておいて欲しいと頼みます。
ローナの様子をずっとモニター越しに監視しているヴラディックは、ローナに電話をかけ、余計な時間を過ごすなと注意しました。
ローナは謝罪はせず、ヴラディックに息子が生きているという証拠が欲しいと懇願します。
しかしヴラディックは拒否し、「早くタスクをこなせ」と言って電話を切りました。
ローナはコーヒーを飲みながら、こんなことになった原因の出来事を思い出します。
ローナは、ギャングのボスであるケインの下っ端の部下リッチーとジミーを連れ、ある取引現場へ向かっていました。
それは、ロシア人の男から銃を4箱分受け取るという、銃器売買の取引でした。
リッチーは、金が入った鞄を持ってくる係ですが、取引現場に2人より遅く到着します。
リッチーの到着後、ロシア人の男も取引現場に現れ、金を先に渡してからブツ(銃のこと)を渡すと言いました。
ローナはリッチーに金を見せるよう促しますが、彼は拒否します。
ローナとロシア人の男は、体がふらつき目が据わっているリッチーを見て、麻薬をやっているのではと疑いました。
実はここに来る前、麻薬をやっていたリッチー、彼は金を渡すどころか突然怒り出し、ロシア人の男を射殺してしまいます。
取引に失敗したローナは、組織に裏切りを疑われた挙句、ヴラディックに恨まれ、ミカを拉致されてしまったのです。
ベティはローナが心配で、思わず声をかけてしまいます。するとそこへ、ケインがレモンパイを食べに来店しました。
杖をついて歩くケインは、ベティにレモンパイを注文後、ローナの向かいの席に腰を下ろします。
ケインはレモンパイを絶賛しながら食べ進め、ローナに「いつだってビジネスの話ばかりして、俺に甘えてこないお前が好きだ。俺はお前のためなら、何だってしてやる」と言いました。
ローナは何も答えないばかりか、ケインが自分のためにもう1つ注文したレモンパイに、一切口をつけようとしません。
ケインはそんなローナの態度に怒りもせず、ベティに頼んで、残ったレモンパイをお持ち帰り用に箱に入れて貰います。
そしてケインは、レモンパイが入った箱を持ち、ローナの髪を撫でながら「車の運転には慎重にな。スピードの出し過ぎは良くない、いい子にしてろよ」と言って立ち去っていきました。
その後、店から出て愛車に乗り込んだローナの元へ、物乞いの男が近づき、声を掛けます。
ローナはその男に100ドル札を1枚渡し、次のタスクをこなすべく、その場所を走り去っていきました。
その直後、物乞いの男は携帯でどこかにメールを送り、付け髭とボロボロの服を路地裏に捨てて、立ち去っていきました。
ローナがトンネルの中を走行中、ヴラディックから電話がかかってきました。
ケインとの会話も盗聴していたヴラディックは、ローナに「予定にない行動を勝手にとって良いと思っているのか?残っている4つの封筒を、あと5時間21分9秒で片付けろ」と言って電話を切ります。
一方ケインは、ハンニバルら部下に、リッチーが通っているクラブに聞き込みに行かせました。
ハンニバルはクラブの入り口にいた女性2人から、リッチーが麻薬仲間のドミニクと一緒にいるのではないかと情報を貰います。
この報告を受けたケインは、自分のプール付きの豪邸に、ドミニクを連れてこいと、ハンニバルら部下に命じました。
ドミニクはカードゲームやビリヤードが出来る部屋に入り、ケインから尋問されます。ドミニクはケインに脅されようとも、頑なにリッチーの居場所を言おうとしません。
そんなドミニクに痺れを切らしたケインは、葉巻入れに入った2丁のハンドガンをテーブルに並べ、ロシアンルーレットをしようと言い出します。
そのゲームのルール内容は、互いに引き金を3回引き、生き残った方が勝ちというものでした。
これを聞いたドミニクは、ケインに命乞いをします。ケインはそんなドミニクに、ゲームをやるか、やらずにリッチーの居場所を教えるか、どちらか選べと言いました。
そう脅されてもなお、ドミニクはリッチーの居場所を教えようとしません。あろうことか、ドミニクはハンドガンを持ち、ケインを殺そうとしたのです。
しかし、3発とも空砲でした。ケインはゲームをやるのだと判断し、自分の頭にハンドガンを突きつけて、引き金を引きました。
それも空砲でした。ケインは、とうとう泣き出してハンドガンを持とうとしないドミニクに、部下のメーガンに命じて無理矢理持たせ、引き金を引かせます。
その結果、ドミニクは1発しか入っていなかった銃弾を引き当ててしまい、即死しました。
その頃ヴラディックは、拉致したミカを死なせないよう、サンドイッチを与えます。
午前2時、ローナは車内で、タスク2の内容を確認しました。タスク2は、銃ディーラーのティムの殺害でした。
ローナはここで、ヴラディックが見ているであろうカメラに中指を立て、「誰がこんな仕事するか、クソ野郎」と拒否します。
それを見たヴラディックは、手下に命じてベッドに眠るミカに乱暴しようとしました。
携帯に送り付けられたその動画を見て、ローナは涙を流し、ある場所へ向かいます。それは、ヴラディックが取り仕切るマフィアのアジトでした。
ローナはそこで、ミカの居場所を探ろうとします。しかし、どの書類を探しても、ミカの居場所を記したものは出てきません。
そんなローナに、ヴラディックの商売相手のイーライが声を掛けます。
ローナがミカを捜していると知ったイーライは、彼女にミカはここにいないことを教えました。
その頃、赤ん坊のお面をした男たちは、ローナの愛車のトランクを勝手に開け、金が入った鞄を盗みます。
その直後、ローナは愛車へ戻ってきました。ローナは鞄を持って逃げる男を追いかけ、廃屋の中で死闘を繰り広げます。
ナイフを持つ男に対し、ローナは壁に立てかけられた鉄パイプを持って対抗しました。
ローナはナイフを弾き飛ばし、肉弾戦に持ち込んでから、男の首を両足で絞めて殺します。
午前2時28分、鞄を取り戻したローナは愛車に乗り、アジトから立ち去りました。
そんなローナに、ヴラディックは電話をかけ、「アジトへ行っても息子はいない。仕事を全て片付ければ、息子に会わせてやる」と言って電話を切ります。
ティームのアジトへ到着したローナは、プロジェクターで投影した昔の映画を鑑賞するティームと会いました。
ティームは、ヴラディックの武器売買の取引相手でした。ティームはヴラディックたちに金を渡し、その金で4箱分の銃を手に入れるよう要求していました。
しかし、リッチーのせいで取引は失敗し、4箱分の銃の在り処がどこかも分かっていません。
そこでヴラディックは、この失態をもみ消すため、ティームを殺せとローナに命じたのです。
ティームはそんなヴラディックの思惑を悟ったのか、ローナに「4箱分の銃を2日以内に納品するか、俺の金を返すかどちらか選べ」と脅します。
そんなことを選んでいる余裕もないローナは、腰かけたソファーにあったクッションを使い、発砲音を最小限にとどめてティームを射殺しました。
ローナはアジトを出た直後、ティームの手下に襲われましたが、返り討ちにして次の場所へ向かいます。
その頃ヴラディックは、人質のミカの様子を見に行きました。
ミカはヴラディックに怯えることなく、何故見張りの男は喋らないのか、ヴラディックたちは何の仕事をしているのか、いつ母親に会えるのか尋ねます。
ヴラディックはその質問に1つ1つ答えた後、ローナの監視へ戻りました。一方ジミーは、ケインの自宅兼アジトを訪れます。
ジミーを見つけたハンニバルは、彼にヴラディックが手に入れるはずの銃はどこだと尋ねました。
ジミーはどうにもならないと答え、ハンニバルに銃口を向けて、ケインに会わせろと脅します。
ジミーはずっと、下っ端の自分がまるで奴隷のように扱われ、金を稼いできているというのに、その金でケインたちが豪遊していることが気に食わなかったのです。
そう話すジミーの背後から、ハンニバルとは別の手下が現れます。ジミーがそちらに気を取られた隙に、ハンニバルは彼の鳩尾に拳を入れ、気絶させました。
午前3時46分、ローナはタスク3をこなすべく、売人のリアンのアジトへ向かいます。タスク3の内容が、リアンのアジトを全焼させることだったからです。
アジトへ到着後、ローナは助けて欲しいとジアンにお願いしますが、彼女に断られて追い返されます。
その頃、執務室で書類仕事をしていたケインは、メーガンからリッチーの居場所を突き止めたと報告されました。
ケインはハンニバルら部下を使って、リッチーを生きたまま捕まえようとします。
ケインに狙われているリッチーは、サントスという男に、麻薬を届ける準備に取り掛かっていました。
そこへハンニバルたちが押し入り、リッチーを捕まえます。車に乗り込んでその場を離れる際、ハンニバルたちはサントスの手下に襲われますが、全て返り討ちにしました。
ローナは一旦愛車に戻り、ヴラディックに電話をかけ、再度ミカと話をさせて欲しいと懇願します。
これに対しヴラディックは、「さっきから無駄な時間が多すぎる、さっさと時間以内に仕事を片付けてこい」と命じて電話を切りました。
ローナは「リンの店」というところに電話をかけ、何かを注文します。その後、ローナはタスク4の内容を確認しました。
タスク4は、リッチーが麻薬を届けるはずだった相手、犯罪データ販売のサントスから、情報を回収せよというものでした。
映画『アクセレーション』の感想と評価
裏社会に生きる者たちが、それぞれの目的のために動き、戦うアクション作品でした。
物語の冒頭からいきなり始まる銃撃戦と肉弾戦、それが何故起こったのか分からないまま物語が進んでいきますが、その理由は物語の後半に明かされています。
ヴラディックがローナにやるよう命じた5つのタスク、それは敵対する組織や人物の壊滅のためでもありますが、ケインへの借金返済に充てる金の回収も含まれていたのです。
しかし結局、ケインに渡された金は全て偽札でした。一体ローナはいつ金をすり替えたのか、そもそも鞄に入っていた金は偽札だったのか、ローナがデビッドに金を預けたのか、劇中では一切描かれていません。
そもそも、メキシコ銀行の貸金庫に預けられた金は誰の金なのか、デビッドという人物は一体何者なのか、ローナとどういう関係なのかも明かされていません。
肉弾戦やガンアクションだけでなく、ローナが奪った金の流れや持ち主、デビッドがどういった人物かを考察していく、ミステリー要素もあって面白いです。
もう少し状況が分かる場面やエピソード話があればな、と物足りなく感じる部分はありつつも、その感情抜きにしてもローナたちの駆け引き・戦いはドキドキハラハラするスリルを味わえます。
ケインとヴラディックが恋敵であった衝撃的事実も面白いです。愛と欲望渦巻く裏社会ものという感じがして、裏社会ものが好きな人は終始興奮することでしょう。
まとめ
裏社会に生きるローナとヴラディック、ケインの三つ巴の戦いと、幼い息子の救出劇が描かれたハイスパート・アクション作品でした。
ローナ役を演じたナタリー・バーンの、ハンドガンを手に悪党と戦う姿、体格差なんて関係なく屈強な男たちを鮮やかに倒していく姿は本当に格好良いです。
ローナがタスクをこなす裏で、密かに失態を犯したリッチーの居場所を探るケインが、笑って冗談を言いレモンパイを食べる姿と、裏切り者には容赦がない冷酷非道な姿を、ショーン・パトリック・フラナリーは完璧に使い分けて演じています。
さらにヴラディックの、マフィアのボスとしての威厳と貫禄、凄腕の女殺し屋を上手く扱う手腕を、ドルフ・ラングレンも見事に演じきっていました。
まさにこの2人でなければ、バチバチのボス同士の駆け引きと戦いは出来ないのではと思うほど、ショーン・パトリック・フラナリーとドルフ・ラングレンにピッタリな役でした。
銃撃戦の場面は少ないものの、それ以上の興奮とスリルを味わえる肉弾戦が繰り広げられる、裏社会もののハイスパート・アクション映画を観たい人には、とてもオススメな作品です。