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Entry 2021/02/15
Update

映画ポゼッション(2013)|ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。サムライミが手掛けた実話に基づく‟呪いの箱の恐怖”

  • Writer :
  • ジンリナ

エクソシストホラーの真髄を見せる『ポゼッション』

オーレ·ボールネダル監督と「スパイダーマン」(2002)シリーズを演出したサム·ライミの、心理的恐怖を扱ったホラー映画。

LAタイムズに紹介された謎のアンティークボックスを素材にしており、開いてはならない悪霊の箱と、その箱の中の悪霊に取り憑かれた少女の実話を基に制作されました。

主演には、『ウォーキング·デッド』(2016~)のジェフリー·ディーン·モーガンに、『崖っぷちの男』(2012)のキーラ·セジウィック、娘役にナターシャ·カリスとマディソン·ダヴェンポートが出演。

『30デイズ·ナイト』(2007)、『スペル』(2009)などのホラー映画を、専門的に制作したゴーストハウスピクチャーズが製作し、ホラーマスターのサム·ライミが、披露するエキソシストホラー映画の真髄を見せてくれます。

映画『ポゼッション』の作品情報

(C)2012 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

【公開】
2013年(アメリカ映画)

【原題】
The Possession

【監督】
オーレ·ボールネダル

【キャスト】
ジェフリー·ディーン·モーガン、キーラ·セジウィック、ナターシャ·カリス、マディソン·ダヴェンポート、グラント·ショウ、マティスヤフ

【作品概要】
『スパイダーマン』のサム·レイミ製作『ポゼッション』。『エクシスト』40年後、エクソシズムの世代交代が始まります。

本作は、箱の中の悪霊が少女の魂に宿り、悪霊を退治する為のエクソシズムを行うというストーリーを見せてくれます。また、悪霊に取り憑かれた少女の体が異常になるなど、ビジュアルショックを与えます。2012年8月31日に北米公開が始まりました。

映画『ポゼッション』のあらすじとネタバレ

(C)2012 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ある日、老女が何かを睨みつけるように見つめていました。そして、ハンマーを持ったまま、アンティークの箱に向かって、慎重に近付いて行きます。すると突然、痙攣と共に体が後ろに折れて、そのまま倒れてしまいました。

玄関先では、その物音を聞いた老女の息子が慌てて、家の中へ入って行きます。

大学でバスケットのコーチをしているクライドは、大学の一部リーグに所属する母校から誘いが来る程、信頼度が高く非常に高評価を持つコーチです。

そんな彼ですが、私生活では3ヶ月前に妻と離婚し、郊外に家を買って、一人暮らしを始めていました。

クライドは、週末には元妻と暮らす2人の娘と過ごす為、元妻のステファニーの家に、2人の娘を迎えに行きます。家の中は土足厳禁という、神経質な面もあるステファニーの家には、彼女の新しい恋人である歯科医のブレッドが、我が者顔で上がり込んで来ました。

ダンス部に所属している活発な姉のハンナに対し、妹のエミリーは菜食主義で肉アレルギーがある理由で、ステファニーはクライドに、「ピザとかは絶対ダメよ」と言い聞かせます。

クライドは、2人の娘を車に乗せ、引っ越したばかりの家へ連れて行きます。ある住宅街に入り、家に到着したかと思った2人の娘ですが、クライドの家はまだもう少し先にありました。

無事に家に到着したクライドは、ステファニーとの約束を無視し、娘達との夕食にピザの宅配を注文します。そんな父親にも、2人の娘は親しみを抱いていました。

そして翌日、クライドが2人の娘を乗せて町を走っていると、ある邸宅の前でガレッジセールが開催されていました。

父親の家には、食器が足りないと考えていた娘達は、ガレッジセールで買い物することを提案します。そしてエミリーは、セールの片隅に置かれていた、古い木箱に目を奪われます。

それは、エミリーが両手で抱える程の大きさでしたが、高級感漂うアンティークな見栄えの木箱の魅力は、エミリーを虜にします。

すると、ある女性がエミリーを睨みつけるようにして、セールが行われている家の中へ入って行きます。エミリーは箱を抱いたまま、家の窓を覗ぎに行きました。

すると窓の中から、全身を包帯に覆われた年老いた女性が、「ダメ!! ダメ!!」とエミリーに叫びました。しかし先程の女性が、すぐに窓のカーテンを締め切ってしまい、年老いた女性の姿は見えなくなりました。

それ以来、エミリーは木箱に夢中になり、クライドに「開けて」とお願いをします。クライドは開けてみようとしますが、なかなか開けられず、そのタイミングで電話がかかって来たりと、忙しくしていました。

父親にも開け方が難しかった木箱ですが、エミリーは、夜中にふとした弾みで開けることが出来ました。

箱の蓋の裏側一面に鏡が張ってあり、中には宝物のように、死んだばかりの蛾や動物の形をした彫刻、指輪や人の物と思われる物が入っていたのです。また、小さな人形や抜けた歯も出て来ました。

エミリーは、蛾を見てすぐ顔をしかめました。けれども、これはきっと、前の持ち主だったであろう子供が、自分の宝物を収めた箱だったのだろうと、思わず微笑みます。

そして、指輪に惹かれたエミリーは、古びた指輪を、自分の指にはめました。この夜から、クライドの周囲に異変が起き始めます。

車庫らしき所で、ハンナはエミリーに、ダンスを披露しています。ところが、エミリーは何処か何だか変な感じがします。
エミリーは、ハンナに話すものの、両親の離婚のせいでストレスだろうとハンナはスルーします。

そして、翌週の週末になりました。クライドが、娘達を家に連れて来ると、キッチンから誰かが、何かを漁っているような物音が聞こえて来ます。

先に入っていた娘2人は怯え、クライドを呼びました。クライドが勇気を出してキッチンに入って行くと、小動物らしき物が、ドアから逃げて行きました。

娘達に聞かれたクライドは、「タヌキか何かだろう」と言い、ドアの下に開いていた犬用の出口を、塞いでしまいます。

それから、エミリーの様子がどんどんおかしくなっていきました。

そんなある日、再びクライドの家に来たエミリーは、夜中に、自分の声を聞いて起き上がったり、食べ物を噛まずに飲み込みたりと、異常な行動が目立ちます。

更に、食事中にフォークで何度も床を叩くように音を出すエミリーを注意したクライドの手の甲を、フォークで刺してしまいます。

その直後、エミリーは我に返り、クライドに泣いて謝りますが、クライドは怪しく思います。

その夜、寝る前にハンナが歯を磨いていると、洗面台の鏡から異音がした為、鏡を開けて収納棚を覗きます。すると、中からいきなり、何匹かの蛾が飛び出して来ました。

ハンナの悲鳴を聞き、クライドが駆けつけると、ハンナはエミリーのいる部屋のドアを指差します。閉ざされたドアの下の隙間から、数匹の蛾が這い出そうとしていました。

クライドがドアを開けてみると、エミリーのいる部屋全体に、数え切れない程の蛾が飛び回っています。部屋の中で、蛾の大群に囲まれていてもエミリーは、何事もなかったような顔をしていました。

クライドは翌日に、害虫駆除を手配します。ステファニーにも蛾のことを話しますが、クライドが頼んだピザが、原因だと考えます。

一方クライドは、一部リーグへの転身が頭で一杯であり、大学での練習に夢中になってしまった事で、ハンナのダンス発表会に行く約束を破ってしまいます。

クライドは謝ろうと、ハンナに電話をしますが、怒っているハンナは直ぐに、エミリーに電話を渡します。すると、エミリーはクライドに、「部屋にある私の箱に、近付かないで」と言います。

かえって気になったクライドは、エミリーの部屋へ行き、箱を開けて中を見てみます。しかし、何故そこまで大切にするか、理解出来ませんでした。

その頃、エミリーはステファニーの家で、夜中に鏡を見ていると、喉が詰まったようで、喉の奥を覗いてみると、喉から指先が出て来ました。驚いたエミリーは、もう一度喉の奥を確認しますが、何も出て来ませんでした。

それからエミリーは、木箱を大きな鞄に入れて持ち歩くようになり、学校にも持参していました。

それが気になったクラスの男子が、からかうようにそっとカバンを奪うと、エミリーは激怒して飛びかかっては、その男子を殴ります。

このエミリーの行動が問題になり、クライドとステファニーは学校に呼び出されました。校長と担任の教師は、初めてクライド達の離婚を知り、その事がエミリーの行動に影響しているのではと忠告します。

クライドは自分達の離婚ではなく、何か他の原因があるのだとステファニーに告げますが、ステファニーは聞く耳を持ちません。

ステファニーの家には、クライド宛の郵便物が届き、その中身はクライドの母校へ向かう航空チケットでした。

娘達が住んでいるこの地を離れ、クライドがコーチを優先することを娘達が不安に思っていると、ステファニーは考えていたのです。
その夜に、担任教師が、教室で事務仕事をしています。エミリーの暴力によって、取り上げた木箱を教室に置いてあるが、物音がした為、教師は木箱を開けてみようとしました。

すると、何処からか風が吹き始め、次第に強風になり、教師の両目から血が流れ出します。そして教師は、教室の中を何かに襲われているように激しく動き回り、窓を突き破って外へと落下し、絶命してしまいます。

以下、『ポゼッション』ネタバレ・結末の記載がございます。『ポゼッション』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

この事件が原因で、エミリーの学校は休校になります。先生の悲報を話すクライドに、エミリーは教室にある木箱のことだけが、気になっている様子でした。

エミリーがおかしくなったのは、その木箱が原因だと考えたクライドは、学校から木箱を持ち出し、家から離れたゴミ捨て場に捨てます。

これを知ったエミリーはクライドに激怒しますが、突然エミリーが、頬を叩かれたような音が響きます。衝撃を受けたエミリーは「何故叩くの!?」と、クライドが叩いたかのように責め立てます。

騒ぎを聞いて部屋から出てきたハンナも、その光景に、てっきり父親が叩いたものだと思い込んでしまいます。泣きながらエミリーは家を飛び出し、夜の町を走り回って、クライドが捨てた木箱を見つけ出しに行きます。

クライドは、エミリーを追いかけに捜し回ります。

エミリーは見つけ出した木箱に向かって、「捨てたのはパパなの。私じゃないの」と弁解をしますが、直後に、箱の中から多くの蛾が飛び出して来て、「嫌よ!!嫌!!」と訴えるエミリーの口から体内へと入って行きます。

後を追って来たクライドが、倒れているエミリーを見つけて抱っこしながら家に戻ると、ハンナから連絡を受けたステファニーと、警官達が家の前で待機していました。

クライドは、エミリーに暴力を奮ったのだと思われ、ステファニーは裁判所に申請し、娘達との接見禁止令を出して貰います。

悩みに悩むステファニーを、ブレットは慰めます。家に戻ろうとしたブレットの背後に、エミリーが睨みつけるように立っています。「どうしたんだ」と言うブレットに、エミリーは、「あんたなんか大嫌い」と言い放ちます。

何かを後ろに隠し持っているエミリーに、ブレットは見せるようにと、優しく取り出して確認している時に、その背後で、エミリーの顔が変化します。

振り返ったブレットは、向こうを向いているエミリーの肩を振り向かせるが、元のエミリーの顔になっていました。

一方でクライドは、やはり木箱に何かあると考え、大学の考古学教授に箱を見て貰います。教授は木箱を確認し、「これは悪魔を封じ込める為に作られた物だ」と語ります。

古代ヘブライ語で<ディブック=封じられた霊>という文字が刻まれた箱には、同時に、<決して開けてはいけない>という警告も書かれていました。

教授の話からヒントを得たクライドは、箱の悪魔を封じる策を、書物やネットなどで調べ始めます。

そして、ステファニーが留守の間に家に上がり込み、エミリーが寝ているベッドに近付き、持って来た聖書で、言葉を読み上げます。

その時に、寝ていたエミリーが目を開き、クライドを見つめています。すると、突然強風が吹き、クライドが持っていた聖書が吹き飛ばされてしまいます。クライドは、実の娘のエミリーが別人のように感じ、そこに悪魔の存在を感じ取ります。

クライドは、悪魔祓いの儀式を行なっているハシド派の教会へ向かいます。教会のザデックという若い神父が、クライドを出迎え、教会の長老的立場であるザデックの父親の元へ、連れて行って貰います。

ザデックの父親を始め、教会にいた古参の面々は、クライドが持って来た木箱を見ると、一斉に怖れの声を上げ、引き下がって行きます。

クライドは、「この木箱に封じられていた悪魔に、娘が取り憑かれてしまった。娘を助けてくれ」と悪魔祓いの儀式を依頼しますが、ザデックの父親は「神に祈るしか方法はない」と断ります。

悪魔祓いの儀式は、同時に儀式を行なった神父に悪魔が取り憑かれる恐れがあり、行うのは危険だという理由からです。

クライドは、腹を立て教会を出て行きますが、ザデックがクライドを呼び止めます。クライドの切なる願いを感じ取っていたザデックは、「僕がしましょう。人を助ける為に、行動すべきです」と協力してくれます。

エミリーの元へ向かう車の中で、ザデックは、「儀式を行うには、悪魔の名前を呼ぶ必要がある」と言います。

クライドは、「悪魔の名前は分からない」と答えますが、木箱を開けたザデックは、蓋の裏にある鏡を叩き割り、その後ろに文字が刻まれているのを見つけます。それこそ、封印されていた悪魔の名前<子供殺し>の意味を持つ<アビズー>でした。

その頃、ステファニーの家では、真夜中にエミリーが野生動物のように、冷蔵庫の生肉を貪り食っていました。

ステファニーは、そんなエミリーの変わり果てた姿に、思わず言葉を失いますが、エミリーに声をかけます。エミリーは、ステファニーが家の中で裸足になっていることを確認しては、ガラス類などを落とし、破片を床にばら撒きます。

破片を足の裏に突き刺しながらも、ステファニーは必死に、エミリーをなだめようとしますが、エミリーは破片の一つを握り締め、ステファニーの背後から襲いかかって来ます。

その途端、エミリーは我に返り、「私は一体誰なの??」とステファニーにすがりつきます。

ステファニーからエミーのことを聞いたブレットは、知り合いの精神科医に、エミリーを診て貰うことを提案します。

エミリーには敢えて言わず、休日の外出を装って精神科医の元へ行く予定でした。ブレットが迎えに来た時、庭でブランコに座っていたエミリーが、ブレットを睨みつけます。

そこでブレットは、体を吹き飛ばされるような突風に見舞われ、次の瞬間、口から上下の歯が抜け出したと思いきや、大量に出血し始めます。それは、歯科医のブレットが、ハンナに不必要な歯の矯正を勧めていたことへの復讐のようでした。

ブレットは恐怖に陥り、叫びながら車で走り去り、エミリーはその場に倒れ込みます。その場へ、ステファニーとハンナが駆け付けます。

エミリーはそのまま病院に連れて行かれ、MRIの精密検査を受けます。すると検査室の電気が点滅し始め、ステファニーとハンナは、モニターに映し出されたエミリーの体内に、おぞましく人間らしき顔が、浮き上がっているのを見てしまいます。

この異常現象を目の当たりにして、ステファニーもハンナも、クライドの言う通り、エミリーに理解し難い出来事が起きているのだと認識します。

そこへ、クライドがザデックを連れてやって来ます。神父姿のザデックを見て、ステファニーは病院の医学ではなく、彼だけがエミリーを救ってくれるのだと悟ります。

しかし、エミリーを病院から連れ出すことは難しいと考え、人気のない院内のリハビリ室にエミリーを連れて行きます。そこは、クライドが、バスケの教え子達のリハビリ室として、使われている場所でした。

そこで儀式を行なって貰うことにします。ザデックは儀式を開始し、聖書の言葉を読み上げると、エミリーはザデックに飛びかかり、止めに入った家族に対して、威嚇しては、リハビリ室から飛び出して行きます。

クライドが急いで後を追うと、エミリーは死体安置所にいました。エミリーと2人きりになったクライドは、凶暴性を剥き出して襲って来るエミリーに、「俺にしろ」と叫びます。

すると、闇に覆われていた安置室の電気が、点灯します。明るくなった中で、クライドが見たエミリーは、自分の娘であるエミリーに戻っていました。

クライドは思わず、その場でエミリーを抱きしめ、彼らを捜しに、駆け付けたステファニーとハンナとザデックは、抱き合う彼らを見て、ステファニーとハンナも、クライドとエミリーに寄り添います。

しかし、ザデックは「何かおかしい」と気付きます。エミリーの中にいた悪魔が出て行ったのなら、何処にいるのかと疑問を感じたのです。

そして、ザデックが唱えるよう、悪魔の名を叫ぶと、エミリーを抱いていたクライドの体が、激しく動き回り、壁へと飛ばされてしまいます。

クライドが命じた通りに、悪魔はクライドに乗り移っていたのです。ザデックは、クライドに取り憑いた悪魔に向かって、「神の名において命じる、ここから立ち去れ」と叫びます。

ザデックが必死に唱え叫び続けると、反応したかのように木箱が動き出し、クライドの前に移動して来て、その蓋がゆっくりと開きます。

そして、クライドの口の中から、手が出て来たかと思えば、悪魔が這い出て来て、その正体を現します。 悪魔はそのまま木箱の中に吸い込まれて行き、箱の蓋が閉まります。

クライドは、ゆっくりと目覚めます。ザデックは、蓋の閉まった木箱を、持っていた聖衣で覆いました。

こうしてようやく、クライドの一家を襲った悪魔の脅威は、消え去りました。クライドは、一部コーチの誘いを断り、ステファニーや2人の娘と一緒に暮らし始めることに決意。

ザデックは、木箱を聖衣で包んだまま、父親の元に持ち帰ることにします。クライドとの電話を切った後、父親の待つ教会へ向かっていたザデックの車が、交差点でトラックに激突されました。

ザデックは命を落とし、その奥で、車に乗せられていた木箱は、道路の上に投げ出されていました。

映画『ポゼッション』の感想と評価

(C)2012 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『スパイダーマン』(2002)のサム·ライミが、得意のホラー映画に戻って来ました。「スパイダーマン」(2002)シリーズで、全世界25億ドルの収益を上げた、興行の鬼才サム·ライミの真の特技はホラーです。

デビュー作『死霊のはらわた』(1981)で、<奇怪さのホラー物の教科書>という評価を受けて、ピーター·ジャクソン、コーエン兄弟を始めとする、後代の多くの監督に多大な影響を与え、ホラー映画の新たな一ページを開いた事があります。

その後、「スパイダーマン」(2002)シリーズの成功にもかかわらず、サム·ライミは、『30デイズ·ナイト』(2007)、『スペル』(2009)などの作品で演出や脚本、製作など多様な作業に参加し、ホラー映画専門製作会社<ゴーストハウスピクチャーズ>を運営するなど、ホラー映画に対する格別な愛情を持って来ました。

悪霊を追う退魔師が出る映画は、基本的に心理的な恐怖心を呼び起こすようです。

『ポゼッション』は、従来の退魔師映画より斬新性が劣る事はありませんが、『ポゼッション』ならではのメリットを備えています。

単純なストーリーがかえって、映画の中に没入出来る環境を提供すべきだと考えるのが、悪霊の箱に対する評価かも知れません。

複雑で含蓄的な謎を排除し、箱の中の悪魔に関するテーマで、映画のあらすじを詰めて、むしろ無駄のない面白さがあります。
<エクソシスト>というジャンルは、恐怖感が多少落ちる短所があります。

それでも、最も重要な人物のナターシャ·カリス。エミリー役を演じるナターシャ·カリスの演技力は、まだ若いのに、映画が伝えようとする意図を、きちんと表現しているという点が良かったです。鳥肌の立つ演技から始まり純粋そうな顔まで、「エミリー」の役を忠実にこなしていました。

また、少女とはあまりにも相反する悪魔の姿を見せ、恐怖に捕らわれたまま、絶叫する感情演技を見せてくれました。『エクソシスト』(1973)のリンダ·ブレアを超えた演技力を披露し、ハリウッドで注目される子役の一人として位置づけられ、更に期待を集めています。

家族を愛するクライドの献身的な愛も映画に没頭し、まるで主人公の心になって、物語の中にはまりました。

ホラー映画の代表的な作品と言われるエクソシストのジャンルを代表する作品であり、この映画はそんな心理的な恐怖を、まともに生かした映画だと思います。

一瞬一瞬、子供の体がある悪魔によって変わっていく姿を見ると、ひたすら残忍な映像だけが恐怖を与えるという偏見自体を破ります。

本作は、ユダヤ教の悪魔を封印する箱である”D-Bookbox”をモチーフにした映画で、実際に存在する悪霊が憑いた物だそうです。

既に、アメリカでは悪名高い実在する代表的な物ですが、邪悪な魂や悪霊を人から剥がして物に貼った後、これを封印する方法だそうです。箱を所有したり箱を開けたりすると超自然的な現象や良くないことが起きるといいます。

昔からユダヤ人は、悪霊の存在を信じ、悪霊を箱に入れて封印して保管する風習があったそうです。この箱をディバックボックスと呼びました。

ここで‟ディバック”は、古代イスラエルの言語、ヘブライ語で、‟死人の魂”という意味です。伝統的なユダヤ教を信仰していたハーベラの家では、このワインの箱に悪霊を入れて代々保管して来ました。

そして、30年後の2001年。ハーベラは、この世を去って、この箱を「絶対開かずに自分と一緒に埋めてくれ」と、遺言を残しました。

しかし、ユダヤ教の伝統を遠ざけて住んでいたハーベラの孫娘は、ハーベラの遺言を無視して、近所に住んでいた骨董品コレクターに、箱を売ってしまいました。

それ以来、家の中に謎の出来事の事故が起きて、彼女の母まで倒れてしまい、あらゆる悪事が起こったので、結局この箱を売ってしまいます。

その後、某大学生が落札を受け、自分の家に原因不明の火災が発生してと災難が続き、映画ではこのボックスを少女が買うようになるのです。でも実際には、医学博物館で引き取って保管中だそうです。

まとめ

『ポゼッション』は、残忍な場面もあまり無く、心理的な緊張感だけが持続的に露出します。映画の基本的なフレームは、エクソシズム映画からモチーフになっており、全ての悪の根源は不吉な箱にあるという設定になっています。

アンティーク箱の中に入っている怨霊は、家族間の小さな不信でも入り始めます。人は誰かを常に疑い、不信感を持つべきなのか??

家族の間にも不信感が生じ、エミリーと父親の間には妙な不信感が生まれ始め、怨魂は彼らを引き離し始めます。結局、誰かを攻撃する為には、周囲と徹底的に隔離させるのが、戦略の基本です。

本作は、悪霊を納める箱を手にすることになった少女と、その悪霊を退ける家族を描いている映画であって、ホラーではありますが、娘2人との疎通を図る父親にスポットを当てています。

離婚した夫婦と2人の娘からなる家庭ですが、この悪霊の箱は結局、家庭を再び結合させる為に、神様から授かった試練や試験かも知れません


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