映画『あのこは貴族』は2021年2月26日より公開。
同じ都会に暮らしながら全く異なる生き方をする2人の女性が自分の人生を切り開こうとする姿を描いた山内マリコの著書『あのこは貴族』。
本著を原作とした同名映画が、2021年2月26日より公開されます。
箱入り娘の華子を門脇麦が、自力で都会を生き抜く美紀を水原希子が演じました。監督は『グッド・ストライプス』の岨手由貴子。
映画公開前に、原作小説『あのこは貴族』をあらすじネタバレ有りでご紹介します。
小説『あのこは貴族』の主な登場人物
・榛原華子
東京生まれ、東京育ちの根っからの箱入り娘。26歳で恋人と別れ、結婚に焦りを感じて婚活を始めます。
映画版のキャストは門脇麦。
・時岡美紀
東京のIT企業に勤める32歳の女性。大学時代に地方から上京してきました。ある男性と腐れ縁が続いています。
水原希子が映画では美紀役を務めました。
・相良逸子
華子の小中高の同級生でヴァイオリン奏者。大学からドイツに留学し、いまではドイツと日本を行ったり来たりしています。
映画では、石橋静河が演じます。
・青木幸一郎
華子がお見合いで出会った弁護士。32歳。ハンサムで家柄も良い幸一郎と華子の結婚はとんとん拍子に進んでいきます。
映画では高良健吾が幸一郎役を演じました。
小説『あのこは貴族』のあらすじとネタバレ
華子は東京生まれ、東京育ちの根っからのお嬢様。父は、都内で代々続いてきた整形外科病院を開いており、なに不自由なく暮らしてきました。
まもなく27歳になろうとした華子は、恋人から振られてしまいます。華子の「重さ」に愛想を尽かされてしまったようです。
30歳までに結婚、出産をしたいと漠然と考えていた彼女は焦りに駆られ、婚活を始めました。
父や友人や姉の紹介で様々な男性と会ってみるも結婚したいと思える人物には巡り会えず、焦りを募らる華子。
そんな中、姉の夫の会社で顧問弁護士を務めている、青木幸一郎と出逢います。
父と同じ慶応出身で育ちがよく、ハンサム。幸一郎こそ運命の相手だと華子は確信しました。
幸一郎も華子が気に入ったようで、二人はすぐに婚約。ですが、華子には気がかりなことがありました。
ある夜、幸一郎のスマホに「時岡美紀」という女性から連絡が。華子は、幸一郎と美紀の関係について気になったものの、本人には聞けずにいました。
華子は婚約の挨拶のため、幸一郎の実家に行くことに。そこは、華子の家と比べられないほど大きく、華子の実家以上の上流の家系でした。
結婚をするにあたり、自分のことを興信所で調べられていたことを知った華子は違和感を覚えますが、幸一郎と幸一郎の親族にとっては当たり前のことのよう。
挨拶も済み、結婚への準備を進める華子の元に、友人の逸子から連絡があります。
ヴァイオリニストの逸子はパーティーでの演奏後、ある女性から声をかけられました。その女性と連絡を先を交換しようとしていたところに、女性の連れの男性がやってきて、自分の名刺を差し出しました。
ふたりは長年連れ添ってきた恋人のような空気。逸子が手渡された男性の名刺には「青木幸一郎」と書かれており、名刺の裏には「時岡美紀」とメモ書きがありました。
華子の婚約者の名前を知っていた逸子は、華子にそのことを知らせました。
小説『あのこは貴族』の感想と評価
いきなり世間知らずのお嬢様、華子が主人公で始まる本著。あまりに庶民とはかけ離れた彼女の日常に度肝を抜かれました。
華子は、育ちがよく素直で柔らかな人物なんですが、友人や婚活相手を悪気なく格付けしています。
それもそのはず、華子はいままで、自分で何かを選んで来たことがなく、誰かが用意したレールに乗っていただけだから。夢中になれる趣味も大きな夢もなく、親のステイタスに頼って生きて来た華子。
そのせいで、人を中身ではなく、見た目や学歴、家柄などのパッケージでしか見ることができないんです。
そんな華子のパートが終わると、次は美紀に主人公が変わります。東京にコンプレックスを抱き、しかし地元の閉鎖的な空気にも戻れない美紀。
美紀の孤独には共感してしまう読者も多いでしょう。
二人を繋ぐ、逸子の立ち位置も絶妙で、新しい三角関係の解消方法を打ち出してくれました。
また、物語の結末で彼女たち選んだ人生がとても前向き。
空っぽな自分に気づきながらも甘んじていた華子が、天職とも言える仕事を手に入れたのは意外でした。
コンプレックスから解き放たれた美紀が、寂れた地元の活性化のために動くようになったのも、華子と出会ったからこそ。
もう彼女たちの人生は交わることはないかもしれませんが、きっと心の片隅にお互いが生き続けることでしょう。
映画『あのこは貴族』の作品情報
【日本公開】
2021年(日本映画)
【原作】
山内マリコ『あのこは貴族』集英社
【監督】
岨手由貴子
【キャスト】
門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静河、山下リオ
【作品概要】
監督は、初のオリジナル長編作品『グッド・ストライプス』で、新藤兼人賞金賞を受賞した岨手由貴子。
主人公の箱入り娘・華子には、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』でヒロインを好演した門脇麦。
地方から上京し、自力で生きる美紀役に、女優、モデル、デザイナーと多彩に活躍する水原希子。
奇しくも二人を繋ぐことになる、弁護士・幸一郎役に高良健吾ほか、石橋静河、山下リオと、若手実力派俳優が集結しました。
まとめ
生まれも育ちも違う、華子と美紀。二人の出会いは、ひとりの男性と関係を持ってしまったから。
どろどろとした関係を全く感じさせない、シスターフッド小説『あのこは貴族』。
本著を映画化した『あのこは貴族』は、2021年2月26日より公開されます。
映像化するにあたり、美紀の乗り物は自転車、華子はタクシーなど、移動手段ひとつとっても、ふたりの階層の違いが現れるように撮影されているそう。
華子や幸一郎の豪邸や、東京の高級ホテルなど、なかなかお目にかかれないような豪華な撮影場所もみどころになることでしょう。
キャストも、華子役に門脇麦、美紀役に水原希子、幸一郎役に高良健吾、逸子役は石橋静河と、若手実力派俳優が揃いました。
イメージぴったりな女優陣はもちろん、高良健吾がいかに「人当たりの良い悪い男」を演じるか、期待が高まりますね。
映画『あのこは貴族』は2021年2月26日よりロードショーです。