『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は2020年8月7日(金)より全国ロードショー。
「ドラえもん」の漫画の連載開始から50周年、さらに1980年に公開された長編第1作目『映画ドラえもん のび太の恐竜』から40作目を迎えた2020年。
そんな記念すべき作品『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は、2020年3月に公開予定でしたが、新型コロナウイルスの感染状況ならびに新型コロナウイルス感染症対策本部において示された方針等に鑑み公開延期となっていました。
そして、5ヶ月後の2020年8月7日(金)に、ついに劇場公開。
第1作目『映画ドラえもん のび太の恐竜』とは異なりながらも、新たなアンサー作品となった『映画ドラえもん のび太の新恐竜』をご紹介します。
CONTENTS
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【原作】
藤子・F・不二雄
【監督】
今井一暁
【脚本】
川村元気
【声のキャスト】
水田わさび(ドラえもん)、大原めぐみ(のび太)、かかずゆみ(しずか)、木村昴(ジャイアン)、関智一(スネ夫)、木村拓哉(ジル)、渡辺直美(ナタリー)、小野大輔(恐竜博士)、遠藤綾(キュー)、釘宮理恵(ミュー)、間宮康弘(ゴル)、下和田ヒロキ(トップ)
【作品概要】
国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画40作目。シリーズ最高の興行収入53.7億円を打ち立てた『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018)の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組みました。
のび太と、双子の恐竜キューとミューの出会いから始まる物語を、長編映画シリーズ第1作『映画ドラえもん のび太の恐竜』(1980)とは異なるオリジナルストーリーで描きます。
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』のあらすじとネタバレ
恐竜博に遊びに来た、のび太・しずかちゃん・スネ夫・ジャイアンたち。リアルな恐竜の模型や骨格標本がたくさん展示され、4人は大興奮。
化石発掘コーナーでは、恐竜博士が丁寧に恐竜の解説をしてくれます。
そこで「生きた恐竜を発見してみせる」と宣言したのび太は、もし発見できなかったら目からピーナッツを食べると、ジャイアンたちに約束してしまいました。
化石コーナーの外れでつまづいたのび太。見ると、大きな石の塊がありました。
恐竜の卵の化石と確信したのび太は、家に持ち帰り、ドラえもんから「タイムふろしき」を借りて石の塊を包みます。
翌朝、卵が割れ、中から2匹の双子の恐竜が生まれました。
ピンク色の体をした活発なメスはミュー、緑色の体をしたのんびり屋のオスはキューと名付けるのび太。
「宇宙完全大百科」で調べても同じ種類の恐竜は載っておらず、新恐竜のようです。
恐竜がいることは秘密にしながらも、恐竜博士のアドバイスを元に、キューとミューを自室で育て始めるのび太とドラえもん。
2匹の世話で寝不足ののび太は、いつも以上に学校の勉強や体育についていけません。逆上がりができないのび太は、放課後に練習しますが、ジャイアンたちにからかわれてすぐにやめてしまいます。
家に帰ると、ミューは翼を使って飛べるようになっていました。キューも飛ぼうとしますが、うまく羽ばたくことができずにいます。
2匹を自室で遊ばせるのが難しくなったため、「飼育用ジオラマセット」で2匹のための遊び場・ノビサウルスランドを作りました。
飛ぶのが上手になり、自分で川の魚も獲れるようになったミューに対し、まだ飛べず、餌ものび太が用意したものを食べるキュー。
大きくなった2匹を、しずかちゃん・スネ夫・ジャイアンに見せる日がやってきました。
本物の恐竜を見た3人は、のび太に恐竜博でのことを謝ります。キューとミューの鳴き声を不審に思ったママが、部屋の様子を見に近づきます。
ドラえもんが「空間移動クレヨン」で2匹を屋根の上に隠したため、ママには気づかれずに済みましたが、お隣さんが屋根の上の2匹を発見し、大騒ぎになってしまいました。
ひとまずノビザウルスランドに2匹を移動させた一同。現代で恐竜を飼うのには限界が来ていました。
次の日、キューとミューを、彼らが生まれた白亜紀後期に帰すことに決めます。ジャイアンたちも一緒に、いつものメンバーでタイムマシンに乗り込みましたが、トラブルにより誤ってジュラ紀に到着。
肉食恐竜のアロサウルスから逃げていた時に、のび太は「飼育用ジオラマセット」ノビサウルスランドを川に落としてしまいました。
なんとか逃げ切り、再びタイムマシンに乗る一同。今度は無事に白亜紀後期にたどり着きます。
「足あとスタンプ」でキューの足形をとると、同じ形の足あとが無数に地面に浮き上がりました。キューたちと同じ新恐竜の群れが、どこかに向かって大移動していたようです。
「たまご探検隊」に調査をさせ、それを追う一同。彼らを大きな白い猿が見張っていました。
足あと追跡の途中、ティラノサウルスに襲われますが、ひみつ道具「ともチョコ」をジャイアンが食べさせ、ジャイアンとティラノサウルスのゴルは友達になります。
同じく「ともチョコ」を使い、スネ夫はシノケラトプスのトップと友達になりました。
新恐竜の足あとは断崖絶壁で途切れています。崖の向こうは海です。一同は二手に分かれて調査を進めます。
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の感想と評価
エゴイズムが世界を救う
本作は1980年公開の長編映画シリーズ第1作であり、2006年にリメイクされた『映画ドラえもん のび太の恐竜』(本記事では前作と表記します)とは異なるストーリーではありますが、前作を見ている人であればさらに楽しめること間違いなしです。
どちらも経緯は違えど、白亜紀に到着するまでの本筋はほぼ同じ。ですが、のび太の成長が大きなテーマとして組み込まれました。
前作では「育んだ命との別れ」が大きく描かれましたが、本作では、キューというのび太の鏡となるキャラクターを置くことで、のび太自身が己の弱さと向き合っていきます。
そして、大切な存在を守るためなら世界がどうなろうと構わないというエゴイズム全開ののび太の選択は、新海誠監督の『天気の子』(2019)にも通じる描写です。大多数が幸福でも、自分とそのまわりが幸福でなければ意味がない。
自己犠牲のヒーローではない、等身大の少年だからこそ、のび太の行動は心を揺さぶります。
そこで本作の大人のメインキャラクターである、ジルとナンシーのふたりの立ち位置が冴えてきます。初めはのび太の行動を止めようとしていたふたりが、見守る立場に変わるのです。
様々な懸念がありながらも、のび太を辛抱強く見守り、キューが羽ばたき空を飛ぶ瞬間を見届けた時のふたりの感動は、「親」として子どもや生き物を育てたことがある方なら、誰もが共感することでしょう。子どもが自ら成長する力は、大人の想像力を飛び越えていくのです。
『のび太の恐竜』の小ネタとオマージュ
前作を見ていればニヤリとする小ネタも満載。本作に登場するゴルなどのティラノサウルスは、前作と同じ真っ赤なボディですし、一瞬だけでてくる「桃太郎印のきびだんご」にもワクワクさせられます。
のび太の罰ゲームは、現代では笑えない「鼻からスパゲッティ」というリアルないじめから、ぶっ飛んだ「目からピーナッツ」になったことで、しっかり笑いとして成立していました。
「暗記パン」「ほんやくコンニャク」など、食べてみたいと思わされるひみつ道具が数多く存在する「ドラえもん」シリーズ。
本作でも「桃太郎印のきびだんご」に代わる「ともチョコ」が登場。半分こにして食べ合うと、どんな相手でも友達になれるというアイテムです。
相手を家来にしてしまう「桃太郎印のきびだんご」と違い、友達という対等な立場になれる「ともチョコ」。デザインもかわいいので、ぜひグッズ販売して欲しいですね。
そして本作最大のボーナスポイントは、のび太を助けるために数秒だけ登場したフタバスズキリュウの「ピー助」です。『映画ドラえもん のび太の恐竜』でのび太が白亜紀に帰したピー助が、のび太のピンチに駆けつけてくれた時の喜び。
ただ、おそらく本作と前作はパラレルワールドであり、お互いに深く交流することはありません。のび太とピー助の強い絆が、時空を超えて、記憶の断片としてささやかな時間彼らを結びつけたのでしょう。
新恐竜の島が守られた後も、一瞬だけピー助らしき恐竜の後ろ姿が見られますので要チェックです。
まとめ
長らく休業や、新作の封切りが見送られてきた映画館。
本作『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が、久々の大作アニメの劇場公開となりました。
鑑賞した埼玉県内のユナイテッド・シネマでは、家族同士が隣に座れるよう、【家族deだんらんシネマ】という上映会を実施していました。
他のグループとは間隔がきちんと空いていながらも、家族一緒に映画を観られる配慮はとてもありがたかったです。
場内も常に換気されており、上映前、上映後の出入口も混み合わないようにしっかり整備されていました。
それでも、従来ならばたくさんの観客で賑やかな映画館は閑散としており、場内も10組程度が鑑賞しているのみ。
なかなか映画館に出向くのも難しい現状ではありますが、気持ちが塞ぎがちないまだからこそ、映画館での映画鑑賞は、旅行に出かけたような贅沢な2時間となりました。
また、入場者全員プレゼントの『映画ドラえもん のび太の新恐竜 まんがBOOK』も読み応え抜群で、全5種類集めたくなってしまいますね。
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は2020年8月7日(金)より全国ロードショーです。