11月17日に地上波「金曜ロードSHOW!」にて放送される、前作から10年のときを経て製作された、正統な映画『デスノート』続編。
一見無謀のようにも思える、この続編の制作。果たして原作ファンの期待に答えることは出来ているのでしょうか?
1.映画『デスノート Light up the NEW world』の作品情報
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
【公開】
2016年(日本映画)
【監督】
佐藤信介
【キャスト】
東出昌大、池松壮亮、菅田将暉、藤井美菜、川栄李奈、中村獅童、戸田恵梨香、船越英一郎、沢城みゆき、松坂桃李、松山ケンイチ、藤原竜也
【作品概要】
『GANTZ』『図書館戦争』の佐藤信介監督が、大ヒットコミック『デスノート』を映画から10年後を舞台に、新たに6冊のノートが人間界に落とされるというストーリー。
前作の遺志を受け継ぐ登場人物や、過去作の主要キャラも10年後の設定で登場するなど、原作ファンの期待を大きくする設定も話題となりました。
前作は1対1だった頭脳戦も、東出昌大、池松壮亮、菅田将暉の若手俳優による三つ巴として装い新たに描かれます。
2.映画『デスノート Light up the NEW world』のあらすじとネタバレ
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
夜神月とLの闘いから10年後、世界で突如として、再びデスノートによる殺人が繰り広げられるようになります。
それはキラの粛清が亡くなってから、再び凶悪犯が増えることで人口が減少し、ノートに名前を書くことで寿命を得る死神にとってこれは死活問題でした。
そこで死神大王は、新たにノートを6冊人間界に落とし、新たなキラ後継者を見つけようとします。
世界各地で、ノートを拾った人間は、半信半疑で名前を書いていきます。
一方、かつて夜神総一郎が立ち上げたデスノート対策本部はまだ存続しており、本部を率いる三島創のもとに、都心で大勢の人間が不審死をしていると通報が入ります。
デスノートによる殺人と見込んだ本部は現場に急行すると、スクランブル交差点の中心で、フードを被った少女が、ノートに次々と名前を書き込んでいます。
デスノート保有者に対する発砲許可が下りていないため、取り押さえるのに手間取っていると、そこへ真っ黒なお面をした男が現れ、少女に銃を向け発砲します。
三島は自身の制止も無視して発砲したことに激怒しますが、竜崎と名乗るそのお面の男は麻酔銃を売っただけで、死んだのはデスノートによるものだといいます。
彼らから離れたところで白い服に身を包んだ男が、ノートの『青井さくら』と記していたのです。
竜崎は青井が所持していたデスノートをもって、現場を去ります。
本部の1人である七瀬は遺体の身元が青井であること、死因が心臓麻痺であることを確認します。
回収されたノートを巡って会議が開かれます。
竜崎は10年にキラを追い詰めた世界的探偵Lの後継者でした。
ノートに触ると、その元所有者である死神が見えるとあって、皆ノートに触れます。
べボと名乗る元持ち主の死神は、人間界に6冊のノートが落とされたこと、ノートは6冊以上あっても以降は効果を発揮できないこと、死神の持つノートはカウントに含まれないことを説明します。
竜崎は6冊のノート全て回収すれば、キラ後継者は誕生せずに済むと考えます。
彼は帰宅すると、部屋にはまた別の死神がそこにいました。
アーマという死神に、竜崎はノートの所有権を復活させるといいます。
竜崎はすでに別の一冊を前から所有していました。
竜崎は部屋を出ている間は所有権を放棄し、死神の目を保有する人間に、ノートを持っていることを悟られないようにする対策を講じていました。
(相手の顔を見ると名前と寿命が分かる死神の目は、所有者を見ると、寿命だけ見えなくなるためバレてしまう)
アーマは竜崎がノートを使わないことに退屈しているようですが、彼自身には常に興味を抱いているようです。
事件から数日後、突如として、キラを名乗るサイバーテロが勃発し、あらゆるPC・スマホから、あの夜神月の映像が流れます。
月は映像で、後継者は6冊あるデスノートを捜しだし、そして、現在のL後継者が名乗り出ないと、全世界の人間が裁きの対象になると脅し始めます。
以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『デスノート Light up the NEW world』ネタバレ・結末の記載がございます。『デスノート Light up the NEW world』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
10年前からキラ対策本部に所属する松田桃太は、月の映像を本物と信じ込みます。
しかしその映像はあくまでウイルスであり、それをばら撒いた新生キラこと紫苑は、ノートを使って各地の戦争指導者をノートで殺害しており、あちこちで戦争を終わらせることに成功しています。
そこで竜崎は、紫苑に接触を試みます。彼は紫苑しか知りえない自身の死神の名前『リューク』をパスワードにし、チャットへ誘い込みます。
お互い身元が発覚しないようにしてチャットで会話をしますが、その間に捜査本部は逆探知を行い、紫苑のいるマンションへ急行します。
部屋へ乗り込むと、既に中はもぬけの殻になってました。
しかし松田は、別の部屋から月の声が聞こえてきたので、中には行って見ます。
そこには月の音声が流れるレコーダーと、松田の名前が書かれたノートの切れ端がありました。
三島たちがその部屋に乗り込むと、松田はノートのとおり、笑顔で拳銃自殺を図るのでした。
その状況を知った竜崎も行動に移します。
松田の死を受け、同じく本名のまま対策本部長である須加原準郎は、本部解散を言い渡します。
現状を悔しがる本部のメンバーをよそに、はなから日本警察を当てにしていなかった竜崎は、今後は1人でキラを追うことを宣言します。
しかしその竜崎の発言を怪しく感じた三島は、チャットの内容と、キラウイルスの分析を開始します。
すると、すでにデスノートは4冊が所有者まで突き止められていました。
最初の1人は冒頭の青井・さくら、2人目はロシアの医者で患者の安楽死にノートを使い、、3人目のアメリカの投資家は、ライバル会社の重役をノートで事故死させ、利益を得ていました。
4人目は日本の最高裁判事・御厨賢です。彼は凶悪犯以外に、ネットで集めたキラ反対派をノートにより殺害していました。
紫苑は宅配業者に変装し、御厨賢に接触しており、御厨は警視庁で、Lの後継者を要求・宣戦布告をしたのち、自決します。
三島は青井のノート以外、全て紫苑の手元にノートが渡っていると知ります。
紫苑が元から所持している分、青井の分をあわせると、残り1冊のみ。
三島はある結論に達します。
竜崎は紫苑とチャットで取引をしている際、外部には分からないよう、自分のノートを餌に紫苑をおびき出そうとしていたのです。
竜崎が自宅に戻ると、そこには三島が銃を構えて待ち伏せしていました。
竜崎がノートを使うことを危惧する三島ですが、竜崎はLがキラを出し抜くためとはいえ、ノートを使ってしまったことを後悔しており、自分は絶対にノートを使わないと約束したと、三島に言います。
竜崎を見逃し、本部に戻ると三島は拘束されます。理由は月に隠し子が存在し、その子供をあの弥海砂の裁判を担当している魅上という検事が育てているという件を、三島が上に報告していないことが明るみになったためでした。
しかし三島はそのことを全く覚えていませんでした。
竜崎は三島を解放しに訪れますが、取引条件に金庫に保管してあるノートを出すよう指示します。
そのノートを使って紫苑と取引をする竜崎を、三島率いる本部は監視・尾行することになります。
かつて第2のキラ容疑者だった、弥海砂は今回の件で対策本部から監視されていましたが、いつもと変らぬ様子に、彼女の部屋にカメラを設置するほどの捜査に踏み込めませんでした。
しかし海砂の部屋のテーブルに、ポテチの袋が置かれ、中から携帯電話が出てきます。
その携帯の呼び出しに答えると、月の声で、プレゼントを用意したと言います。
それこそ、リュークの持ち主であるノートで、海砂はノートに関する記憶が戻ります。
海砂は車に乗り込むと、紫苑が待ち伏せしていました。
彼はまだ月が生きていると言い、6冊のノートを集め、海砂とキラの思い出の場所へ行く必要があるといいます。
12月18日。紫苑は海砂に今からLの後継者に会ってノートが揃う瞬間に立ち会って欲しいと伝えます。
竜崎と紫苑は手はずどおり、取引を行おうとしますが、紫苑の手によって監視もジャミングも妨害され、三島は行き詰ります。
するとその隙に紫苑は竜崎に接触し、取引を行おうとします
本部のメンバーはその現場を目撃し、独断で取り押さえようとしますが、3度目の死神の目の取引をした海砂に、顔と名前を見られてしまいます。
竜崎も面をはずしていたため、彼の本名「新井正幸」もノートに書き込まれてしまいます。
目の取引をした海砂は、月の写真を見て改めて彼の死を確認すると、紫苑にその思い出の場所を告げ、自分の名前をノートに書き込むのでした。
三島もカメラの復帰が間に合い、場所を知ることに成功します。
紫苑は伝えられた廃ホテルで、リュークに死神の目の取引を要求します。
リュークはノートも揃ったのに、その必要があるのか問いますが、紫苑は自分をキラにした人物を殺すと言い出します。紫苑もまた、新たなキラに動かされていた一人でした。
目の取引が終わると、そこに現れたのは名前を書かれたはずの竜崎でした。
紫苑はもう一度、竜崎の本名をノートに書き込みますが、既に竜崎は何者かにノートに名を書かれているため、後から書かれた文はすべて無効になっていました。
竜崎はノートをこちらに返すよういい、その後、紫苑の言う「彼をキラにした人物」が現れるのを待つといいます。
紫苑の持つノートには、竜崎の本名が数日先の日に死ぬよう記載されていました。
すると、2人の前に現れたのは三島でした。
竜崎は月がアメリカで産ませた隠し子が、魅上の手によって育てられたことを知っていたこと。
その隠し子と魅上が凶悪犯を殺し続けて精神を病み自殺したこと。
そのときに、三島がそのデスノートを手に入れたことを問い詰めます。
わけの分からない三島は、竜崎に言われえるがまま、リュークのノートに触れます。
(山中で紫苑と竜崎が倒れ、1人三島が雨に打たれているシーンがありますが、これは月の隠し子と魅上の自殺現場を発見した三島のフラッシュバックの暗示?)
三島はリュークにサイバーテロリストを探させ、その間に三島は所有権を放棄していました。
三島は竜崎の名前をノートで操れる最大23日後に死亡するよう書き込んでいました。
紫苑が使った月の映像は、本来なら隠し子宛に使われるものを、三島が編集していたのでした。
紫苑はその話を退屈そうに、頭の後ろに手を組んで聞いている・・・フリをして、腕時計に仕込まれたノートを使って、三島の本名「中上亮」を書こうとします。
しかしその瞬間、窓からヘリの銃撃が飛び込んできます。
SWATがノートを奇襲攻撃で回収しに来ました。
すると紫苑はリュークと結託して、乗り込んでくるSWATのヘルメをリュークに外させ、紫苑は予めノートに「即死」と描かれた隣に、次々と隊員の名前を書き込んでいきます。
しかしすぐに攻撃に追いつかれ、被弾した紫苑は、国に取られまいと、ノートの入ったトランクを竜崎に託します。
竜崎は記憶が戻ってショックを受けている三島を引きずり地下の下水施設を使って逃げ出します。
紫苑はSWATにより、射殺され、三島と竜崎を追います。
竜崎はキラである三島を、もう余命の残されていない自分に託すために助けます。
そこで三島たちは七瀬と落ち合います。
七瀬はSWATの射殺命令を取り下げたと伝えると、キラに兄を殺された復讐として、三島向けて発砲します。
それを竜崎がかばうと、七瀬は倒れこみ、その傍には、七瀬の本名を書き込んだアーマがいました。
人の寿命を延ばす行為をした死神は死んでしまうようになっています。
涙する竜崎に前に、アーマは竜崎の親友と言い残して死んでいきます。
その後、SWATに包囲される2人ですが、2人はそのまま連行されます。
三島はリュークにもう6冊のノートが封印されることで、人間界でノートは使えなくなったというと、リュークは三島に人間の欲望を甘く見ていると笑われます。
拘束されている三島の独房に、竜崎が黒いお面をつけてやってきます。
この日は竜崎の最期の日でした。
彼は三島に、今後はLの後継者として生きていくと事を告げます。
断ろうとする三島ですが、護送中のノートがテロリストにとって襲撃されて、うち4冊が消失したと連絡が入ったことを告げます。
既に三島の手続きは終わっており、独房から出て行く三島を誰も止めませんでした。
残った竜崎は、1人デスノートによって息絶えるのでした。
3.映画『デスノート Light up the NEW world』の感想と評価
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
正直原作のような心理戦には届いていない感が否めなかった今作。
原作へのリスペクトはしっかりと見て取れるのですが、その設定ゆえに月君にまさかの隠し子スキャンダルというぶっ飛んだ設定まで生まれてしまいました。
それでもメインキャスト3人の魅力は充分に出ており、デスノートファンでなくても、彼らのファンなら充分楽しめると思います。
しかし原作ファンは、前作からのキャラ松田・海砂が退場してしまう展開に、涙なくしては見れないかも知れません…。
それと、個人的にはリュークが結構積極的に、人の生き死にに関与してしまっているのが残念でした。
原作のリュークなら、例えばSWATが攻めてきたときに、あえて何もしないで、紫苑が同切り抜けるのかを見るのが面白っ!なはずなのに、がっつりSWATの死神の目対策のヘルメをすぽぽぽーんと取って行くと言う…。
しかし、ハリウッド版『デスノート』も、結構超能力で人を始末しようとしていたので、これが今の死神界のトレンドなのかもしれません。
まとめ
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
前作より、心理戦は劣るも、スケールや迫力は勝っているであろう今作。
もはやそれじゃあデスノートじゃないんじゃ・・・という声も多いですが、私もそう思います。
それならいっそ、原作の続編とかではなく、最低限の設定を残して、完全オリジナルストーリーを見てみたい気もしました。
少しでもそう思った方は、ハリウッド版デスノートを見るのもひとつの手かもしれません。
あのLが感情豊かで、リアルガチ泣きとかします。(結構オススメです)