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Entry 2020/08/03
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映画『蒲田前奏曲』穐山茉由監督作「呑川ラプソディ」感想と考察。アラサー女子の特徴・悩み・恋愛の本音が炸裂|映画という星空を知るひとよ13

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第13回

中川龍太郎、穐山茉由、安川有果、渡辺紘文という4人の監督による連作スタイルの長編映画『蒲田前奏曲』。今回は、穐山茉由監督作品の第2番「呑川ラプソディ」をご紹介します。

新しいスタイルのこの作品が、2020年9月25日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森ほか全国順次公開されます。

蒲田で生活する売れない女優蒲田マチ子を中心に巻き起こる、過去と現在と未来の出来事。エンターテインメント界への皮肉が存分に込められたオムニバス映画です。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『蒲田前奏曲』第2番「呑川ラプソディ」の作品情報

(C)2020 Kamata Prelude Film Partners

【公開】
2020年(日本映画)

【英題】
Kamata Prélude

【監督・脚本】
穐山茉由

【プロデューサー】
松林うらら

【キャスト】
伊藤沙莉、福田麻由子、川添野愛、和田光沙、葉月あさひ、山本剛史、松林うらら

【作品情報】
『蒲田前奏曲』は、4人の監督による連作スタイルの長編映画です。中川龍太郎(第1番「蒲田哀歌」)、穐山茉由(第2番「呑川ラプソディ」)、安川有果(第3番「行き止まりの人々」)、渡辺紘文(第4番「シーカランスどこへ行く」)という監督たちが、各自の手法でコミカルに手掛けることで長編作へと仕上げていった意欲作。

売れない女優・マチ子を通し、女性が人格をうまく使い分けることが求められる社会への皮肉を、周囲の人々との交わりを介しながら描いています。

第2番「呑川ラプソディ」を務める監督は穐山茉由。長編デビュー作『月極オトコトモダチ』(2018)がMOOSIC LAB グランプリ受賞し、東京国際映画祭で上映されました。2015年の青春映画『幕が上がる』に出演した伊藤沙莉が出演しています。

映画『蒲田前奏曲』第2番「呑川ラプソディ」のあらすじ

(C)2020 Kamata Prelude Film Partners

アルバイトをしながら女優をしている27歳の蒲田マチ子。

今日は学生時代の友人たちと、久々に会う女子会の日です。今回は、ココのマンションの屋上でルーフトップバー風のランチ会をします。

独身組の女優のマチ子、キャリアウーマンのハンナとココの3人は、早くから来て主に仕事の話をしていました。

そこへ、既婚のシズカから「姑が帰ったからこれから行くので少し遅れます」という連絡が入りました。

「なんで世の中の人たちは、自由を失ってまで結婚したがるの」というハンナに、マチ子も「アラサーになったら結婚しなくてはいけないっていうプレッシャーってなんなんだろうね」と同調ムード……。

涼しげなドレスに身を包み、おしゃれをしたアラサーたちは、屋上から蒲田の街を見下ろしました。

「若い時はビルの上から見下ろして、世界の中心は私だって思ってたなあ」とココが言うと、ハンナが「大丈夫、今だって私たちは無敵だ」と元気づけます。

丁度そのとき、シズカとマリが到着しました。メンバー5人が揃ったので、女子会が始まりました。

話しが進むうちに、マリが「来月結婚します」と言い出します。あまりに突然だったので、驚く他のメンバーたち。

嬉しそうに「結婚するのが夢だった。キャリアはないし、家庭という基盤が欲しいだけ」とか言うマリに対して、独身派のハンナは「基盤って別に家庭だけじゃないけど」と腹立たしそうな様子です。

気まずい雰囲気になった女子会のムードを変えようと、マチ子は蒲田温泉に行くことを提案し、5人はそろって蒲田温泉へ向かいましたが……。

そこでは思わぬ出来事が待っていました。

映画『蒲田前奏曲』第2番「呑川ラプソディ」の感想と評価

(C)2020 Kamata Prelude Film Partners

アラサー女子の本音満載の『蒲田前奏曲』第2番「呑川ラプソディ」です。

マチ子、ハンナ、マリ、ココ、シズカといったメンバーで行われた女子会。会場は、お手製ルーフトップバーと下町の温泉でした。

女子の華やかな外面と鬱屈した本音の内面。会場とマッチしているような演出で、アラサートークが盛り上がりました。

女子たちは近状報告をしますが、仕事の話をしていても、いつのまにか“恋”や“彼氏”そして“結婚”という話になります。

男に頼って一生過ごすなんてごめんだ、という独身派のハンナに対し、すでに結婚しているシズカと来月結婚すると宣言したマリは対立ムードになります。

ところが結婚して幸せなはずのシズカにも悩みがあり、これから結婚するマリにいたっては、大きな課題があったのです。そして面倒見のいいココにも秘密があり、皆を驚かせます。

マチ子は仕事で有名男優と共演したと見栄をはったことを白状しますし、ハンナに至っては”最初から男性には頼らずに生きていく”発言をしています。

まさに、5人5様で自分がどの女性のケースに当てはまるのか考えてみるのもいいかもしれません。ですが、忘れてならないのは、5人の女性の問題点は、”結婚”と”女性の尊厳”に集約されているということです。

この2つは、いつも女性が社会に進出するうえで大きな問題となっていることでしょう。

また、次第に暴露されていく彼女たちの悩みは、他の仲間たちも知らなかったことばかりでした。人は表面ばかりみていては、本心はわからないということを示唆しているようです。

裸の付き合いができる温泉で真実が暴露されていくというストーリーも、よく出来ています。見栄も意地もかなぐり捨てて暴露されるアラサー女子たちの本音は必見。

注目したいのは、作中の「結婚したからって、人生あがりじゃない」というセリフでした。

結婚してようが独身であろうが、自分の人生はこれからで、まだやれることがいっぱいあるという意味の言葉で、仲間たちはみな同じ思いを持っていました。

『蒲田前奏曲』第2番は、既婚や未婚、あるいは男性や女性を問わず、自分の生き方を振り返ってみるきっかけになる作品といえるでしょう。

まとめ

(C)2020 Kamata Prelude Film Partners

『蒲田前奏曲』第2番「呑川ラプソディ」。マチ子目線でストーリーは展開しますが、ここでのキーマンは、伊藤沙莉演じるハンナです。

伊藤沙莉は、ハンナの強気の裏にある不器用さ、寂しさをどう表現しようかとても迷い、悩んだそうです。そして得た結論が、自分なりの『蒲田前奏曲~ハンナ編~』を頭に描きつつ楽しんで演じること。

伊藤沙莉の熱演によって、バリバリのキャリアウーマンのハンナ像が出来ました。結婚願望の強い女子も多い中、ハンナのような強い独身希望の女性はどれほどいるのでしょう。

自力で生活できるだけの強さを身に付けているハンナが羨ましくもあり、女性も“手に職”をつけることが大事だと改めて思い知らされます。

そして恋愛の形にもいろいろあり、誰も傷つかないですむ恋愛がどんなに難しいかということも。

仕事と結婚のはざまで揺れるアラサー女子のため息が聞こえてきそうな作品に、観る人も「わかる、わかる」と同調したり、「そんなこともあるさ!」と励ましたくなることでしょう。

次回は『蒲田前奏曲』安川有果監督の第3番「行き止まりの人々」をご紹介します。

映画『蒲田前奏曲』は、2020年9月25日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森ほか全国順次公開!

次回の連載コラム『映画という星空を知るひとよ』もお楽しみに。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら






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