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Entry 2019/06/05
Update

NETFLIXおすすめ映画『リム・オブ・ザ・ワールド』ネタバレ感想と結末までのあらすじ|SF恐怖映画という名の観覧車52

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile052

梅雨前の6月でありながら気温が30度を越える日が見られるようになり、「夏」が近づいてきたことを感じさせます。

「SF」という映画ジャンルにおいて、夏と言えば少年たちの冒険の季節。

今回は、そんな夏を感じさせる日々にぴったりな、少年たちの冒険と戦いの映画『リム・オブ・ザ・ワールド』(2019)をネタバレあらすじを交えご紹介していこうと思います。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『リム・オブ・ザ・ワールド』の作品情報

【日本公開】
2019年(NETFLIX独占配信)

【原題】
Rim of the World

【監督】
マックG

【キャスト】
ジャック・ゴア、ミヤ・ケック、ベンジャミン・フローレス・Jr.、アレッシオ・スカルゾット、アンドリュー・バチェラー

【作品概要】
アメリカの衝撃的なホラー映画『肉』(2014)で俳優デビューを果たしたジャック・ゴア主演で製作されたNETFLIXオリジナル映画。

監督を務めたのは『チャーリーズ・エンジェル』(2000)や『ターミネーター4』(2009)などの大作映画を製作したマックG。

映画『リム・オブ・ザ・ワールド』のあらすじとネタバレ

ある時、NASAの宇宙ステーションが未知の生物に襲われ、壊滅状態に陥ります。

宇宙に憧れを抱きNASAの情報にも興味があるアレックスは、現実世界の友達が少なく、これから行く予定のキャンプにも乗り気ではありませんでした。

母親に「リム・オブ・ザ・ワールド」という、少年少女のキャンプイベントに連れてこられたアレックスですが、内気な彼は陽気な雰囲気の漂うこのイベントに馴染めそうにもありません。

母と別れ、キャンプのアクティビティの1つであるジップラインに参加するアレックス。

しかし、高所恐怖症でもある彼は飛ぶ寸前で恐怖に負け、指導員のコンラッドからはビビリと言われからかわれてしまいます。

その後、中国からこのイベントに参加した孤児の少女ジェンジェンと知り合ったアレックスは、彼女が団体から離れ1人で森の中に入っていくのを目撃し、後を追いかけました。

すると、アレックスは森の中で富豪の息子ダリウシュと出会います。アレックスがジップラインで怖気づいたのを見ていた彼は、アレックスを無理矢理崖に立たせ恐怖を克服させようとします。

しかし、そこに現れた現地の少年ガブリエルにダリウシュは叩きのめされ、アレックスは助けてくれた彼に好感を抱きます。

その直後、スマホから鳴り響く緊急速報と共に大地が揺れました。都市圏の人間に避難するように告げるその速報の後、米軍の戦闘機と未知の戦闘機の戦闘が上空で始まり、ジェンジェンを加えた4人は何かが始まったことを察し、森からキャンプ地へと戻ります。

しかし、キャンプ場にいた人間は酒を飲み寝ているコンラッドを除いて全員下山しており、更にはアレックスたちのスマホの電源がつかないことも分かります。

キャンプ場の固定電話も通じず、アレックスはこれが電磁パルスによる電子障害であることを話し、未知の敵が地球に攻撃を始めたのだと全員に告げました。

宇宙ステーションの脱出ポッドがキャンプ場付近に墜落し、アレックスたちは様子を見に行きます。

中に乗っていた女性の宇宙飛行士は、落下地点が目的地と違うことに落胆しつつも、アレックスに謎の鍵を渡します。そして、NASAのジェット推進研究所(以降JPL)のフィールディング博士にそれを渡すように頼みます。

やがて脱出ポッドから出てきた異形の生物に襲われ、宇宙飛行士は死亡。アレックスたちもキャンプ場の施設に逃げ込みます。

コンラッドも襲われ死亡し、アレックスたち4人は腕が6本も生えているような異形の生物に捕まります。ダリウシュは舌のようなものを口の中に入れられ絶体絶命の状態に陥りますが、戦闘機の攻撃により謎の生物はダメージを受け、アレックスたちはその隙に脱出。

託された鍵こそがこの状態を打破するものだとして、アレックスたちは115キロも離れたJPLに鍵を届けるため、都市部の保安局へと向かうことにします。

JPLまで109キロの地点にあるロサンゼルスに辿り着くアレックスたちでしたが、ロサンゼルスは攻撃により崩壊しており、頼みの保安局にも世界各地の絶望的な状況の情報があるのみで保安官は残っていませんでした。

保安官が避難したことで取り残された牢屋の中の謎の男ルーの懇願により、疑いつつも牢屋の鍵を渡したアレックスたちは保安局から外に出ます。

そこに軍隊が通りかかり、アレックスたちを見つけると「バスで避難所まで護送する」と告げ、謎の鍵を持ってきたことを讃えてくれますが、少し進んだ場所で戦闘機に攻撃されてしまい、護送していた軍人たちは死亡。車体に足を挟まれ動けなくなった大佐から「何があっても使命を全うして欲しい」と再び謎の鍵を託されるのでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『リム・オブ・ザ・ワールド』のネタバレ・結末の記載がございます。『リム・オブ・ザ・ワールド』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ひたすらにJPLを目指して進むアレックスたち。JPLまで66キロの地点で夜が訪れ、アレックスたちはガブリエルの家に向かうことにします。

しかし、ガブリエルは自身がキャンプ場の周辺に住んでいるわけではなく、少年院から脱走した人間であることを告白すると、誰も自分の帰りを望んでいないと、家族との再会に尻込みしてしまいます。

仕方なく近場のアパートに入ったアレックスたちは、部屋の中が荒らされているのに気がつき、生き残った人間が略奪者になっていることを悟ります。

ガブリエルは、自身は生まれつき数字が上手く理解できず、釣銭を間違えたことでトラブルとなり少年院に入れられたこと、そのせいで母に見捨てられたことをアレックスたちに語ります。

一夜を明かそうとベッドに入ったアレックスたちですが、深夜に物音が聞こえ外に出てみると、武装した男たちに身ぐるみを剥がれそうになりました。

男たちのリーダーは保安局に居たルーであり、謎の鍵を売り飛ばそうとアレックスに鍵を渡せと要求します。

鍵を渡すことを拒否したアレックスはルーに殺されそうになりますが、キャンプ場で襲い掛かってきたエイリアンが再び襲い掛かりルーたちを殺害。ガブリエルの機転のお陰でエイリアンから逃れたアレックスたちは再びJPLを目指します。

JPLまで残り19キロ。自分たちの命を危険に晒してまで鍵を送り届けることに疑問を覚えるダリウシュは、その疑問をアレックスたちにぶつけます。富豪の息子ではあるものの、両親の商売は破綻していることを告白するダリウシュに、失敗しても正しい事をしたいと話すアレックス。

近場のショッピングモールで車を手に入れた一行はJPLへと車で向かいますが、JPLがすぐそこに近づいたところで、先ほどのエイリアンに再び襲われます。車ごと高架下に落とすことに成功しますが、アレックスが車内に鍵を落としてしまい、拾いに行くことを余儀なくされます。

全員で行こうとするアレックスを止め、1人で鍵を拾いに行ったダリウシュは鍵を拾うことに成功したものの、腹部をエイリアンに刺されてしまいました。

ダリウシュが負傷しながらもJPLに辿り着いた4人。しかし、施設は見るも無残な状態になっており、フィールディング博士も既に死亡していました。

絶望に暮れる4人でしたが、ダリウシュの投げたワイン瓶が当たったことで通信設備が復活します。

シャイアン基地と通信が繋がり、自身の持ってきた鍵がエイリアンの母艦への攻撃を可能にする兵器「エクスカリバー」の座標特定に必要な物だと知る4人。そして「エクスカリバー」の起動のため、ジェンジェンが電気設備の復活、アレックスが屋上のアンテナの修正、ガブリエルが兵器の起動を担当し、負傷したダリウシュを除いた3人は行動を始めます。

ジェンジェンが電気設備を起動しますが、発射キーの入った金庫のコードをガブリエルが理解できません。しかし、気を失っていたダリウシュの助けにより、兵器の起動をアレックスのアンテナ修正待ちまで進めることが出来ました。

高所恐怖症の恐怖を克服し、アンテナ塔を登るアレックス。しかし高架下に落ちたはずのエイリアンがアレックスを追いかけ、アンテナ塔を登り始めました。

急いでアンテナを修正し、ジップラインの要領でエイリアンをかわし降りることに成功したアレックスはガブリエルたちのもとに向かいます。

一方、「エクスカリバー」を起動しようとするガブリエルでしたが、エイリアンが邪魔をし起動することが出来ていませんでした。その状況を確認したアレックスはエイリアンを陽動し、その間にガブリエルとジェンジェンは「エクスカリバー」を起動することに成功。

エイリアンをジェット推進の研究施設に招き入れたアレックスは、機械を起動し信号弾で火をつけることでエイリアンを倒します。無事に脱出した4人は空で母艦が爆発するのを目撃し、全てが終わったことを喜びます。

その後、アレックスは母と再会し、4人は地球を救った英雄として称えられるのでした。

映画『リム・オブ・ザ・ワールド』の感想と評価

上映時間が90分程度と短く、あっさりと鑑賞できる本作。しかし、内容は見事なまでに練り込まれており、あっさりとした中に深い味わいを感じさせてくれます。

115キロ先のジェット推進研究所を目指すロードムービーの形式を取った作品ですが、物語がダレてしまう部分は無く、アレックスたちの成長とエイリアンや略奪者との攻防がテンポよく軽快に描かれていました。

短い上映時間でありながら、物語展開にも非常に拘って作られており、丁寧に張られた伏線を劇中でしっかりと全て回収し切ってくれます。

NETFLIX資本の莫大な製作費によるCGや、戦闘により崩壊した街並みの再現性も高く、高クオリティで描かれる少年たちの戦いと成長の物語は必見です。

まとめ

手軽に鑑賞できる、後味の良い冒険劇。

『グーニーズ』(1985)や『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)といった作品が好きな人は間違いなくハマる本作。

本格的に暑い季節が始まる前の準備として、あっさりかつ濃厚な『リム・オブ・ザ・ワールド』をぜひともNETFLIXで楽しんでみてください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile053では、NETFLIXの贈る地球崩壊後の未来を描いたSF映画『ユピテルとイオ 地球上最後の少女』(2019)をネタバレあらすじを交えご紹介させていただきます。

6月12日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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