Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ラブストーリー映画

Entry 2017/11/11
Update

映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』あらすじと感想

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

モーツァルト生誕260年記念の本作『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』

あの名作『アマデウス』に続き、遂に新たなるモーツァルト映画の誕生。1787年のプラハを舞台に天才音楽家を巡る愛と、またしても陰謀が錯綜するのか?

音楽ドラマ『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』は、12月2日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか順次劇場公開!

1.映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』の作品情報


© TRIO IN PRAGUE 2016.

【公開】
2017年(イギリス・チェコ映画合作)

【原題】
Interlude in Prague

【脚本・監督】
ジョン・スティーブンソン

【キャスト】
アナイリン・バーナード、モーフィッド・クラーク、ジェームズ・ピュアフォイ、サマンサ・バークス、デブラ・カーワン

【作品概要】
モーツァルトがプラハにて名作オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を初演したという史実を基にプラハの上流階級の闇で繰り広げられた愛と嫉妬の渦巻く陰謀にまみれた様を描いた作品。

主人公モーツァルト役を『ダンケルク』のアナイリン・バーナードが演じ、スザンナ役を『高慢と偏見とゾンビ』のモーフィッド・クラーク、サロカ男爵役を『ハイ・ライズ』のジェームズ・ピュアフォイが務めます。

2.映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』のあらすじ


© TRIO IN PRAGUE 2016.

1787年、プラハはオペラ「フィガロの結婚」の話題で持ちきりでした。

上流階級の名士たちは晩餐の際に、モーツァルトをプラハに招き入れて新作を作曲させることを決めます。

その頃、モーツァルトは三男を病気で亡くし失意のどん底にいました。

そんな陰鬱な記憶に満ちたウィーンを逃れるために、彼は喜んでプラハに向かいます。

友人ヨゼファ夫人の邸宅に逗留して、「フィガロの結婚」のリハーサルと新作オペラの作曲に勤しむモーツァルト。

やがて彼はオペラ「フィガロの結婚」のケルビーノ役に抜擢された若きオペラ歌手のスザンナと出会います。

モーツァルトはスザンナの美貌と才能に一目で魅了されてしまいました。

一方のスザンナも、モーツァルトが妻帯者と知りつつも、彼の才気溢れた天才ぶりに引き付けられずにはいられなかった。

2人は急速にその距離を縮め惹かれあっていきます。

しかし、オペラのパトロンであり、猟色家との噂のあるサロカ男爵もまた、毎度のように育成したスザンナを狙っていたのです。

3人の思惑が愛と嫉妬と陰謀の大きな渦となって命と才能が引き込まれていく…。

3.映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』の感想と評価


© TRIO IN PRAGUE 2016.

映画ファンなら誰もが知るアカデミー賞8部門受賞作した名作『アマデウス』は、1984年制作の作品。

それから久々に登場して本格的にモーツァルトを主人公に描いた映画の誕生です。

今回はモーツァルトがプラハで「ドン・ジョヴァンニ」を初演したという史実を基に、華麗なる恋と陰謀のストーリーが“百塔の都”プラハの上流階級を舞台に繰り広げられます。

主演のモーツァルトには、2017年に公開された『ダンケルク』にも出演する新進気鋭の俳優アナイリン・バーナード。

世紀の天才に才能を認められつつも悲運の歌姫となったスザンナ役に、『高慢と偏見とゾンビ』のモーフィッド・クラークが愛らしくも美しくオペラ歌手を演じています。

また、悪の男爵サロカを『ハイ・ライズ』の名優ジェームズ・ピュアフォイが演じ、重厚な演技力で観客の感情を逆撫でする名演を見せます。

中世の街並みが色濃く残るプラハ市でオールロケを敢行し、チェスキー・クルムロフ城劇場をはじめ、実際にモーツァルトが訪れた市街や建物を映画の舞台として再現しました。

特に本作を観たあなたはいくつかの場面で、雪が舞う自然の様子に、まるで街並みがスノードームの中にあるような、幻想的かつ静寂な儚さを目撃することでしょう。

そして稀代の天才として知られるモーツァルト。

本作では彼は鼻歌交じりに楽曲を嗜み作曲する姿ではなく、等身大の人間として描くことに重点を置きます。

どのような状況で、そしてどんな表情でモーツァルトは新曲オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を書き上げたのか。

そしてタクトを振ったモーツァルトは何を思い誰のために指揮をしたのでしょう。

モーツァルトファンやクラッシック好きにはたまらない新作公開です!

まとめ

本作では物語の鍵となるオペラ「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」を初めとする音楽を演奏したのは、プラハ市立フィルハーモニー管弦楽団

1934年に指揮者のルドルフ・ペカーレクによって創立され、チェコのプラハを拠点とするオーケストラです。

活動のスタイルを「フィルム、オペラ、コンサート」と定義したことで、略称“FOK”交響楽団として知られています。

チェコスロヴァキア放送での定期的な出演により名を広めつつ、ヴァーツラフ・スメターチェクが大規模な交響楽団へと育み、1942年より首席指揮者として30年ものあいだ率いて、国際的な名声を得たオーケストラへと発展させました。

また、1952年にプラハ市の公認オーケストラとなり、“首都プラハの交響楽団FOK”として国内のみならず、近隣ヨーロッパをはじめ、南米やアジアといった海外各国まで訪れては音楽を披露しています。

本作を観る者の視覚のみならず、聴覚を楽しませてくれる挿入楽曲の演奏を、“FOK”のプラハ市立フィルハーモニー管弦楽団が行ったことで、映画の魅力は倍増

今冬一番の歴史ロマン音楽ドラマとして完成度の高い芸術作品となっています。

さらには、『ジム・ヘンソンの不思議な国の物語』で知られるジョン・スティーブンソン監督の人間味ある細やかな演出も注目です。

映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』は2017年12月2日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!

関連記事

ラブストーリー映画

映画シラノ(2022)|ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ピーター・ディンクレイジのかっこいい姿が光るミュージカルでの“情熱的な恋愛模様”

名作を再構築したジョー・ライト監督によるミュージカル映画! 1897年のパリでの初演以降、世界中で映画化やミュージカル化されているエドモンド・ロスタンによる戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』。 映画『 …

ラブストーリー映画

【ネタバレ】ほつれる|映画あらすじ感想とラスト評価解説。加藤拓也監督作で門脇麦×田村健太郎が紡ぐ“愛のほつれ”の物語

平穏に見えた夫婦関係は静かに揺らぎ、彼女の何かがほつれはじめる。 今回ご紹介する映画『ほつれる』の監督は、劇団「た組」の主宰兼演出家として、読売演劇大賞優秀演出家賞、岸田國士戯曲賞などを受賞した加藤拓 …

ラブストーリー映画

【ネタバレ】ユリ子のアロマ|あらすじ結末感想と評価解説。江口のりこ×染谷将太が匂いを通じて“極上エロス”を醸し出す

匂いフェチの女性と男子高校生との純愛物語! デビュー作『お姉ちゃん、弟といく』(2006)で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008のオフシアター部門で審査員特別賞受賞した吉田浩太監督が手がけた …

ラブストーリー映画

『もっと超越した所へ。』ネタバレ結末あらすじと感想評価。ラスト最後の30分に“どんでん返し的な恋の展開“が待ち受ける!

恋愛において同じ過ちを繰り返してしまう“あなた”に捧ぐ物語 今回ご紹介する映画『もっと超越した所へ。』は、劇作家の根本宗子が脚本・演出を手がけ2015年に舞台上演された同名作品を、『傷だらけの悪魔』( …

ラブストーリー映画

映画『午前0時、キスしに来てよ』ネタバレ感想レビュー。少女漫画の実写化で胸キュンシーン満載!

この冬、キラキラのシンデレラストーリーが誕生。 おもわず「恋したい!」気分になるかも!? 『近キョリ恋愛』『きょうのキラ君』と映画化が続く、人気漫画家みきもと凛の、単行本累計300万部突破となった『午 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学