Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2020/06/03
Update

ギャスパーノエの人生ベスト5映画『アングスト/不安』。ヤバイ最高のカルト作品のひとつと語る応援メッセージ!

  • Writer :
  • 石井夏子

ファン代表!
ギャスパー・ノエ監督から異例のメッセージ動画到着。

2020年7月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開される実録スリラー映画『アングスト/不安』

本作は、『ヘンリー』『セブン』『ハウス・ジャック・ビルト』を抑えて第1位を記録するなど比類なき傑作にも関わらず、あまりにも異常、あまりにも危険過ぎてほとんどの人の目に触れずにいた1983年製作のオーストリア映画です。

画像:ギャスパー・ノエ監督

この度、本作のファンというギャスパー・ノエ監督からメッセージ動画が届きましたのでメイキング時の写真とともにご紹介します。

映画『アングスト/不安』特集記事はこちら

ギャスパー・ノエ監督からのメッセージ動画

本作の大ファンであることを公言しており、『カルネ』(1994)や『CLIMAX クライマックス』(2018)など、自身の作品で本作へのオマージュを捧げているギャスパー・ノエ監督より、これまでの映画製作において強烈な影響を受けたという『アングスト/不安』の魅力と、これから劇場で鑑賞する日本人へ向けたメッセージ動画が到着。

自身の作品でないにもかかわらずここまで語り、日本初公開のためだけにメッセージを寄せるという異例の事態です。

公開当時、あまりにもサイコティックな内容にフランスでも上映が禁止され、後に発売されたVHSも極わずかしか出回っていない中、「今までに60回は観た」と驚きの発言。

当時からこの作品に打ちのめされた1人だったんです。

さらに、世界各国で上映が禁止されたことにより、「この映画は観た人がほとんどいない、全く無名の作品であることもこの映画の魅力だ」と語り、「常に素晴らしい作品が影を潜めていて、再評価されるべきものがある。」と本作が再び日の目を浴びることに、喜びと期待をあらわにしました。

ちなみにノエ監督が過去に人生ベスト5にピックアップした映画は、『アルゴ探検隊の大冒険』(1963)、『2001 年宇宙の旅』(1968)、『イレイザーヘッド』(1976)、『ソドムの市』(1975)、そして『アングスト/不安』です。

斬新なカメラワーク

画像:『アングスト/不安』メイキング

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

また、ノエ監督は注目すべきシーンとして、斬新なカメラワークを挙げ、「見事なテクニックと映像の捉え方は絶対に観てほしいところだ。映画史上最も重要なカメラワークと言えるだろう」と撮影を担当した世界的な映像作家ズビグニェフ・リプチンスキの撮影技術を絶賛。

アカデミー賞最優秀短編アニメ賞を受賞した『タンゴ』(1981)やジョン・レノン、ミック・ジャガーのMVで知られる彼の独特なカメラ表現は、ノエ監督の他『ブラック・スワン』(2010)の監督ダーレン・アロノフスキーにも影響を与えるなど、スリラー映画におけるカメラワークの根幹を築いたともいえます。

ドローン撮影などない時代に、一体どこから撮影したのかと思うほどの高度なショットや俳優の体にカメラを取り付ける撮影手法は、主人公の感じる不安や焦燥を観る者にも感じさせ、そのリアルな表現と芸術性の高さに世界中の映画監督らを虜にしました。

これから劇場で鑑賞する日本人へ

画像:『アングスト/不安』メイキング

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

公開から37年経った現在でも、世界で再上映された例は少なく、この度の日本劇場公開はかなりレア

すでに配給会社にクレームが入るなど、とにかく残虐な殺人鬼映画では?と噂される本作ですが、これから劇場で鑑賞する日本人へ、ノエ監督は「暴力行為を目の当たりにする一方で、加害者(=主人公)からの被害を耳にする。とても複雑で魅力的な映画だ」と単なる殺人鬼映画ではないことを主張します。

また日本独自のチラシのデザインについて「素晴らしい!」と絶賛、「遂にこの映画史上に残るマスターピースが日本で公開されることを知りとても嬉しく思う」と語りました。

映画『アングスト/不安』の作品情報

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

【日本公開】
2020年(オーストリア映画)

【原題】
ANGST(不安)
英題:FEAR(恐怖)/仏題:SCHIZOPHERENIA(統合失調症)

【日本VHS発売時題】
鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜

【監督】
ジェラルド・カーグル

【キャスト】
アーウィン・レダー、シルヴィア・ラベンレイター、エディット・ロゼット、ルドルフ・ゲッツ

映画『アングスト/不安』のあらすじ

刑務所を出所した狂人が、とたんに見境のない行動に出ます。

まとめ

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

これまでに自身の作品でも本作へのオマージュを捧げてきたギャスパー・ノエ監督から、自身の作品でないにもかかわらず、日本初公開のためだけにメッセージを寄せるという異例の事態

公開当時から本作の大ファンであり、「これまでに60回は観た」と生涯最高の映画ベスト5にも挙げる心酔っぷりが動画からも溢れ出ていましたね。

ノエ監督を虜にした実録スリラー映画『アングスト/不安』は2020年7月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開です。

映画『アングスト/不安』特集記事はこちら





関連記事

新作映画ニュース

森瀬繚×七月鏡一『宇宙の彼方より』トークショー開催!公開初日《満席》の中で語るフアン・ヴ監督の“ラヴクラフト作品への愛”と“野心的”な衝撃の結末

映画『宇宙の彼方より』は2023年6月3日(土)より下北沢トリウッドを皮切りに、6月10日(土)より大阪シアターセブン、6月17日(土)より横浜シネマノヴェチェント、7月1日(土)よりシネマ神戸にて全 …

新作映画ニュース

映画公開初日のトークゲストは女優フォンチー!『ベトナムを懐(おも)う』予告編解禁も【新宿K’s cinema】

ベトナム映画公開イベント開催 2019年3月23日(土)より新宿K’s cinemaにて公開されるベトナム映画『ベトナムを懐(おも)う』の予告編が解禁されました。 ©HKFilm ベトナム …

新作映画ニュース

映画『王様になれ』山中さわお×オクイシュージ×岡山天音のタッグが登壇。初日舞台挨拶リポート

山中さわお&オクイシュージの迷コンビぶり、そんな二人に親しみを見せる岡山の姿に、暖かさを見せた会場 (c)Cinemarche 大人気ロックバンド「the pillows」のデビュー30周年プロジェク …

新作映画ニュース

大人のラブストーリー映画『エマの瞳』あらすじ。名女優ヴァレリア・ゴリノが熱演して“見えた”ものとは⁈

イタリア映画祭2018で好評を博した『Emma 彼女の見た風景』は、邦題を『エマの瞳』にあらため、2019年3月23日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。 イタリアが誇る名匠シルヴィオ・ソ …

新作映画ニュース

『ゆりに首ったけ』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。吉川流光×山下徳久×藤公太×大沢真一郎が主演・プロデューサーの予測不能なノンストップ恋愛コメディ

おっさんたちの必死な想いを描いた恋の会話劇! 吉川流光、山下徳久、藤公太、大沢真一郎の俳優4人が主演・プロデューサーを務め、『カメラを止めるな!スピンオフ「ハリウッド大作戦!」』『イソップの思うツボ』 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学