ロミオとジュリエットは薬デス!
説明書をよく読んで正しく死んで下さい。
父親大嫌い絶賛反抗期中の女子大生・七瀬と、「2日間だけ死んじゃう薬」で1度死んじゃった父とが巻き起こすドタバタコメディ。
広瀬すずと堤真一が親子役で共演。その他にも、さり気なく登場する超豪華キャストに注目デス。
監督は、auのCMで人気の「三太郎」シリーズを手掛けてきたCMディレクターの浜崎慎治が、長編映画初監督を務めました。
一度死んでみないと分からないこともある!?映画『一度死んでみた』を紹介します。
映画『一度死んでみた』の作品情報
【日本公開】
2020年(日本)
【監督】
浜崎慎治
【キャスト】
広瀬すず、吉沢亮、堤真一、リリー・フランキー、小澤征悦、嶋田久作、木村多江、松田翔太、加藤諒、でんでん、柄本時生、前野朋哉、清水伸、西野七瀬、城田優、原日出子、真壁刀義、本間朋晃、野口聡一、佐藤健、池田エライザ、志尊淳、古田新太、大友康平、竹中直人、妻夫木聡、鈴木つく詩、陸生、安藤ニコ
【作品概要】
父親が大嫌いな娘と、研究オタクで愛情表現が苦手な父親が、「2日間だけ死ぬ薬」がきっかけで絆を取り戻していく、ハートフルS・F(シンダフリ)コメディ。
広瀬すずと堤真一が親子役で共演。コメディ初挑戦の広瀬すずが、髪をピンクに染め、デスメタル女子に変身。新たな魅力が爆発です。
監督は、auのCM「三太郎」シリーズを手掛けてきた浜崎慎治CMディレクター。長編映画初監督作品となりました。
映画『一度死んでみた』のあらすじとネタバレ
就活中の女子大生・野畑七瀬は、父親の野畑計(はかる)が社長を務める製薬会社「野畑製薬」の入社面接を受けていました。
「1分間で自己PRをどうぞ」。面接官の促しに、「嫌いな物は笑顔0円のスマイルと、父親デス」と、ピンクに染めた頭で人差し指を立てる七瀬。面接官も呆然デス。
七瀬の父・計は、「人生は観察と実験で出来ているという」科学オタクの変人社長。娘に自分と同じ道を歩んで欲しいと、幼い頃から科学の英才教育をしてきました。
計なりの愛情表現は、七瀬にとって苦痛に変わり、母親の死をきっかけに親子の仲は悪化していきます。
「クサイ!」。七瀬は父の匂いに敏感で、計にシュッシュを吹きかけ、死ね死ねとラインスタンプを送りつけます。計の愛情は一方通行デス。
七瀬は、解散の危機にある売れないヘビメタルバンド「魂ズ」のボーカルをしていました。今日もライブハウスで行われるミサにて、父への不満を込めた歌「一度死んでみた」を熱唱中デス。
熱狂的なファンにまじり、存在感の薄い男が人にぶつかっています。この存在感ゼロ男こそ、計が娘の見張りを頼んだ秘書の松岡卓でした。
松岡の見張りはすぐに七瀬に見つかり、いつしか2人の距離は縮んで行きます。「君は父親の嫌がることばかりして、本当は何をしたいの?」松岡の言葉に何も返せない七瀬。ただ意地になっているだけに見えます。
計の会社「野畑製薬」では、開発中の若返りの薬「ロミオ」を巡ってトラブルが発生していました。
ライバル会社の「ワトソン製薬」に秘密が漏れていたのです。スパイを探し出さなくては。
その時、研修室では、おじいさんと呼ばれている藤井さんが「2日間だけ死んじゃう薬」を発明していました。その名も、ジュリエット。
最近雇った渡部の提案で、この薬で社長が一時的に死ぬことでスパイが動き出すかもしれないと、計は薬を飲むことを決めました。
あれよあれよと、何やらサインをさせられ、計は「2日間だけ死んじゃう薬」で仮死状態になりました。
父親が死んだと聞いた七瀬は、慌てて会社にやってきます。悲しむ七瀬を上から見下ろす計。そう幽体離脱中です。横には、あの世への案内人・火野の姿もありました。
計は火野の案内で一度、三途の川を渡りかけましたが、あの世の岸にいた妻の百合子に「今死んだらぶっ殺す」と言われ返されます。
七瀬は父の匂いを嗅いだ気がしました。その途端、計が目の前に姿を現します。「ギャー、くさっ!」。
しかし、七瀬には計の声は聞こえないようです。身振り手振りで仮死状態だと伝えたい計でしたが、シュッシュをかけられ退散します。
計がジュリエットの薬で仮死状態にさせられたことを、偶然見ていた松岡は、七瀬に詰め寄られすべてを白状します。
「2日間で生き返るなんて!」。七瀬は怒りますが、会社のスパイによって父親が本当に火葬されてしまうことを知り、松岡と作戦を立てることにしました。
映画『一度死んでみた』の感想と評価
まずは、「2日間だけ死んじゃう薬」ってどういう設定!?しかも、その薬の名前が「ジュリエット」って。
ツッコミ所満載の最強コメディ映画『一度死んでみた』。ちなみに「若返りの薬」は「ロミオ」デス!
父親を忌み嫌い「頼むから一度死んでくれ」と、メタルバンドで叫ぶ娘・七瀬(広瀬すず)。
彼女は、母の死に際に、研究で間に合わなかった父・計(堤真一)を恨んでいました。しかし心の奥底では、自分は本当は何をしたいのか迷いながら生きています。
そんな七瀬の念願かなって、突然父が死んでしまいます。2日間だけですけど。
嫌いなはずだった父親の死に、七瀬の心は泣いていました。父がいかに会社の人たちに愛されていたか、そして何より研究に懸ける熱意と夢への努力を知り、意固地になっていた自分に気付いていきます。
また、父・計はというと、人生は観察と研究だという科学オタクです。妻と娘を愛する気持ちは人一倍あれど、上手く表現できない不器用な人です。
仮死状態から幽体離脱し、自分のいなくなった世界を見て回る計。言葉が通じないもどかしさを感じます。
自分を生き返らせるために頑張る娘の姿に、大事な思いは言葉にして伝えなければいけない、後悔しても遅いのだと気付きます。
このジュリエット体験は、計と七瀬の親子の絆を深めるものとなりました。
七瀬が計の告別式で歌う「スイヘーリーベは僕の船デス」には、思わずホロリと泣いてしまいます。
登場人物が皆個性的で、ガハハと笑えるギャグが満載。5分に1人は出るであろう豪華キャストの面々に、ビックリ箱を見ているかのようなワクワク感が続きます。
あの世への案内人・火野を演じたリリー・フランキーが、一度死んだ計と三途の川をカヌーで下ったり、屋上で語り合ったりと仲良し具合に笑えます。
似合いすぎる坊主役・竹中直人。贅沢すぎる配役、ほんのワンシーン登場のクラブのボーイ役、佐藤健。その他大勢でも隠し切れない存在感、社員役の柄本時生と志尊淳。別の映画が始まるかのような佇まい、妻夫木聡演じるのホテルの支配人。
物語のスピード感とキャストの豪華さに圧倒され、ちょい待て待てい!と、巻き戻しもう一度みたいシーンばかりデス!
そして何と言っても、広瀬すずが、髪をピンクに染め、ハードなメタルファッションに身を包み、デス(死)と叫びながら、ヘッドバンギングをする姿は、この映画ならでは。広瀬すずの新たな魅力が開花デス!
まとめ
超豪華キャストで贈るハートフルS・F(シンダフリ)コメディ『一度死んでみた』を紹介しました。
一度死んでみたことで、大切なことに気付くことができた、父の計と娘の七瀬。
人は前もって後悔は出来ません。大事な気持ちは、生きているうちに言葉にして相手に伝えよう。死んでから気付いても遅いのです。
熱いメッセージをストレートに伝えてくれる映画『一度死んでみた』。一度死んだ気持ちで鑑賞をどうぞデス!