映画『弥生、三月 -君を愛した30年』は、2020年3月20日(金・祝)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
『同期のサクラ』『家政婦のミタ』数々の大ヒットドラマを生み出してきた稀代の脚本家・遊川和彦が監督第二作目として手掛けるのはオリジナル脚本による、運命で結ばれた<二人の30年>を<3月だけ>で紡ぐラブストーリー。
10代から30年間の弥生を波瑠、太郎を成田凌が演じます。親友のサクラ役に杉咲花。高校生から大人への階段を登る主人公たちを待ち構えている数々の試練。
「別れ」と「再会」のたびに弥生と太郎はお互いの存在を無くてはならないものと思うのでした。
映画『弥生、三月-君を愛した30年-』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【脚本・監督】
遊川和彦
【キャスト】
波瑠、成田凌、杉咲花、岡田健史、小澤征悦、黒木瞳ほか
【作品概要】
ドラマ『同期のサクラ』『家政婦のミタ』など数多くのヒットドラマを手がけた脚本家・遊川和彦のオリジナル脚本による第2回監督作品。波瑠と成田凌演じる2人の男女の出会いからの30年間を3月の出来事だけで紡いでいく恋愛ドラマです。
主人公の女性・結城弥生を演じるのは波瑠。正しいことに真っ直ぐ突き進み、強い信念を持つ女性を演じます。人生をかけて弥生を支えていく男性・太郎を演じるのは、2019年の映画賞を席巻し、2020年も出演作品が多数控える人気俳優成田凌。
そして、若くして命を落とす二人の親友・サクラ役に杉咲花と、豪華な顔ぶれです。更には『中学聖日記』で鮮烈なデビューを果たした岡田健史が映画初出演。小澤征悦、黒木瞳といった実力派俳優陣も脇を固めます。
映画『弥生、三月-君を愛した30年-』のあらすじとネタバレ
1986年3月。走り出すバスを追いかける女子高生がいます。
何とか追いついてバスに乗り込んだ女子高生こそ、弥生でした。
弥生をあきれ顔で迎えるのは親友のサクラ。
サクラは薬害HIV患者で、学校でいじめにあっていました。
サクラをいじめる生徒たちの前で、HIV感染についての正しい知識を滔々と語った弥生。
その後、周りに見せつけるようにサクラに口づけをします。
弥生のまっすぐな正義感を見た山田太郎は、サクラと弥生に好意を持ち親しくなっていきます。
1987年3月。病院にサクラが入院しています。
弥生はサクラに太郎への好意を伝えるように促しますが、今の三人の関係を幸せと思うサクラ。
最後までその思いを告げずにその短い生涯を終えました。
数年後、Jリーグの片隅に身を置いた太郎は「できちゃった婚」で結婚します。
けれども、太郎は父親になる覚悟も家長になる覚悟もできていませんでした。
やがて太郎は、戦力外通告を受けます。
落ち込んでいる時に、一人息子のあゆむが事故にあいかけます。
あゆむを庇った太郎は、自分がトラックにはねられてしまいますした。
以来、引きこもり同然の生活に陥ってしまいます。
一方の弥生は地元を離れ、苦労しながら教員試験に受かました。
夢だった教師となり、歯科医の白井と知り合い結婚。
そんな弥生のもとに、仲たがいしていた父親が倒れたという連絡が入ります。
父親には介護が必要だと言われた弥生は施設を探そうとします。
けれども、優しい白井は介護のために東北に引っ越そうと言いだします。
地元に帰ってきた弥生は、太郎の実家を訪ね、太郎の境遇を知らされました。
引きこもり生活を送っていた太郎を訪ねた弥生。
その足で離れて生活している太郎の息子あゆむのもとへ、太郎を引っ張っていきます。
ぎこちなくも父子の交流を持てた太郎の表情は少しだけ軽やかなものとなりました。
その帰り際、思わず弥生を抱きしめる太郎。
昔からこうしたかったという太郎の言葉に弥生は拒むことができず、強く抱きしめ返します。
お互いの立場もすべて忘れ、激しく求めあう二人。
2011年3月10日から11日へと、日付は静かに変わっていきました。
映画『弥生、三月-君を愛した30年-』の感想と評価
ある人生を一つの時期だけで語る作品に遊川和彦脚本作品のドラマ『同期のサクラ』があります。
この映画は、それと似たような構造です。
その時々を象徴するモノや出来事で時代を表現する方法も同じです。
でも、この映画には、時間軸を過去から順番通りに追った『同期のサクラ』と違う点があります。
その時々の弥生と太郎の心象と重なる出来事を接点にして時間軸を行ったり来たりすること。
高校時代は基本的に一年ずつ進みますが、それ以降は時間を行ったり来たりします。
太郎が弥生を探す場面になると過去の似たような出来事がフラッシュバックのように描かれます。
この展開にちょっと戸惑い、急に何の話が始まったのかという印象を抱くのも事実です。
それでもよく考えればちゃんと伏線が用意されているのです。
物語の序盤で、太郎の結婚式に来た弥生。
「いろいろあっただろうけど、結婚をあきらめるな」と太郎が言います。
弥生が一種の政略結婚を強いられそうになったということが後半に明らかにされます。
ここではじめてそのセリフが活きてきます。
このようにエピソードごとの繋がりが薄いので唐突感を感じるところもあります。
しかし、作品を振り返ると、意外とシンプルな作りになっているのに気が付きます。
離婚や災害、配偶者の死など、人生のどん底を味わう主人公たち。
それを救うのが、サクラからのメッセージでした。
このあたりに、監督のこの作品への思いが込められているようです。
まとめ
人の10代からの30年間を描くというかなり無謀なことをやり遂げた映画です。
これができたのも、弥生と太郎に波瑠と成田凌という二人を抜擢したことが大きいでしょう。
どちらもアラサーの俳優なので、年代的にどうしても無理を感じるところがあるのは事実です。
それでもだんだんとその年代の人に見えてきます。
メイキング情報を見ると、年代順に撮影したわけではないようです。
監督の頭の中に、明確なストーリーの設計図が作られていたと思われます。
携帯電話の変化など小道具の歴史という遊び心もありました。
意外とそういう部分にばかり頼らないストーリー展開になっているのも注意すべき点でしょう。
3月は1年毎に花が咲き散って行くという、まるで人生のようなドラマチックな季節です。
そんな季節に焦点をあて、30年の恋愛を紡いだ映画『弥生、三月 -君を愛した30年』。
各年3月ごとの場面で、揺れ動く男女の人生ドラマをじっくりご覧ください。
映画『弥生、三月 -君を愛した30年』は、2020年3月20日(金・祝)よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー