『アンダーグラウンド』のエミール・クストリッツァ監督の最新ドキュメンタリー
“世界でいちばん貧しい大統領”と呼ばれた元ウルグアイ大統領、ホセ・ムヒカ。
彼の劇的すぎる半生を追ったドキュメンタリー映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』が、2020年3月27日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開されます。
映画公開に先駆け、ティザービジュアルと場面写真が到着しました。
CONTENTS
映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』について
エミール・クストリッツァ監督(左)とホセ・ムヒカ元ウルグアイ大統領
本作『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』は、『アンダーグラウンド』(1995)、『オン・ザ・ミルキー・ロード』(2016)などで知られる、エミール・クストリッツァ監督によるドキュメンタリーです。
民族や宗教対立が郷を引き裂く悲劇に巻き込まれた旧ユーゴスラビアのサラエヴォで生まれたクストリッツァは、祖国の政治体制を批判した1985年の『パパは、出張中!』で、カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞、一躍注目を浴びます。
さらに、50年にも及ぶユーゴスラビアの混乱の歴史を描いた『アンダーグラウンド』で2度目のパルム・ドールに輝くも、評価をめぐって賛否両論を起こしました。
そんな、名匠と誉れ高いクストリッツアが本作で着目した人物は、“世界でいちばん貧しい大統領”と呼ばれた、南米ウルグアイ大統領(撮影開始時)のホセ・ムヒカでした。
ホセ・ムヒカとは?
本作の被写体であるホセ・ムヒカは、1950年代中盤から祖国ウルグアイで政治活動にのめり込み、60年代中盤にトゥパマロス人民解放運動に参加し、ゲリラ活動を開始。
それにより4回も投獄されたり、6発の銃弾を浴びたりするも、1995年に国会議員となり、ついに2010年にウルグアイ大統領に就任します。
大統領になっても給料の大半を貧しい人々に寄付し、愛車の古いフォルクスワーゲンを自ら運転し、大統領専用機も持たず、農場で質素に暮らすムヒカは、いつしか“世界でいちばん貧しい大統領”と呼ばれるように。
2015年の任期満了により大統領を辞任以後も、その清貧ぶりで国民に愛される存在となりました。
またムヒカは、大統領時代に、全世界に先駆けてマリファナの合法化に踏み切ったことも話題を呼びました。
そのマリファナ合法化をコミカルに描いたウルグアイ映画『ハッパGoGo 大統領極秘指令』(2019)では、なんとムヒカ本人もゲスト出演するなど、サービス精神の高さを発揮しています。
映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』の作品情報
【日本公開】
2020年(アルゼンチン・ウルグアイ・セルビア合作映画)
【原題】
El Pepe, Una Vida Suprema
【監督・脚本】
エミール・クストリッツァ
【製作】
ウーゴ・シグマン
【編集】
スベトリク・ミカ・ザイッチ
【キャスト】
ホセ・ムヒカ、ルシア・トポランスキー
映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』のあらすじ
収入の大半を貧しい人々のために寄付し、職務の合間にはトラクターに乗って農業に勤しむ。
まん丸な体と優しい瞳。風変わりだけど自然体で大統領という重責を担った、南米ウルグアイの第40代大統領ホセ・ムヒカ。
そんな彼に興味を示し、憧れる映画監督がいました。
祖国ユーゴスラビアの混沌とした時代と庶民をパワフルに描き、世界三大映画祭で絶賛された名匠エミール・クストリッツァ。
祖国が度重なる悲劇に見舞われたクストリッツアは、自ら中古の自家用車を運転して政務に就くムヒカを、「世界でただ1人腐敗していない政治家だ」と評価。
クストリッツァは、2014年からムヒカの撮影を開始し、大統領としての任期を満了する感動の瞬間までを、カメラに収めました。
まとめ
極貧家庭に育ち、左翼ゲリラとして権力と戦い、13年に及ぶ苛烈な拘留生活を経て、ついには大統領となって国民に愛されたホセ・ムヒカ。
本作『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』は、そんな彼の目に今の世界がどう映っているのかを、反骨心あふれるエミール・クストリッツァ監督がひも解いていきます。
波乱万丈の人生が終盤にさしかかったムヒカの言葉に、今こそ耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
ドキュメンタリー映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』は、2020年3月27日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開。