Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2019/10/29
Update

映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』あらすじ。公開日は2020年2月8日と決定のアレックス・プロヤスのデビュー作

  • Writer :
  • 石井夏子

“日本人の心に残り続けた”幻のファンタジー映画。

アレックス・プロヤス監督の“失われた傑作”が30年の時を越えてデジタル・リマスター版で日本に帰ってきます。

©1988 COMPANY BIZARRE PTY LTD.

1988年に製作された映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』が、2020年2月8日(土)より新宿シネマカリテほかにて全国順次公開となることが決定致しました。

また、公開に合わせましてビジュアルも解禁となりました。

映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』について

参考動画:アレックス・プロヤスの短編『フォボス』(2019)

『クロウ/飛翔伝説』(1994)、『アイ、ロボット』(2004)、『ノウイング』(2009)など近未来SF映画でその名の知られるエジプト出身の監督、アレックス・プロヤスのデビュー作にして最高傑作との呼声が高い『スピリッツ・オブ・ジ・エア』

初公開時オーストラリア・アカデミー賞の最優秀美術賞・最優秀衣装賞にノミネートされるなど本国では高い評価を得るも、プロヤスが無名だったからか、オーストラリア以外ではほとんど公開されませんでした。

ですが海外で本作を評価したのはなんと日本。1990年開催の第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映され、審査員特別賞を受賞

この際の審査員を務めたのは、ジョン・ヴォイト、アンジェリーナ・ジョリー、ジョゼ・ジョバンニ監督、相米慎二監督、根津甚八、竹中直人という錚々たる映画人たちです。

翌年1991年には正式に劇場公開され、当時の日本人映画ファンの多くが若きプロヤスの才能に驚嘆しました。

その後VHSは発売されたものの、DVDやブルーレイ化はされず、長年に渡って観る事が難しい“失われた作品”として存在感を高めてきた本作。

この度の公開は約30年ぶりであり、16mm撮影ながら2Kスキャンによるデジタル・リマスターでの鮮烈な映像で甦ります。

本作の登場人物はたった3人で、「空を飛ぶこと」への憧れを持つ男を軸に、《絶望》と《希望》、《夢》と《現実》の寓話を幻想的に描き出した、驚くほど詩的な一篇です。

映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』のポスタービジュアル

©1988 COMPANY BIZARRE PTY LTD.

今回、同時に解禁となったポスタービジュアルでは、恐ろしいほどに美しいオープニングシーンの一部が切り取られています。

砂漠の真ん中でベティが真っ赤なドレスを纏って弦楽器を奏でるカットは、圧倒的な空虚さえ感じられる。「夢の着地点」とは一体何なのでしょうか。

なおこの日本再公開をプロヤス監督本人とプロデューサーが最も喜んでおり、さらには今回の日本版ポスタービジュアルを大絶賛、「デザイナーに素晴らしい!と伝えてほしい」「ポスターを早く欲しい」という前のめりな連絡が来ているといいます

映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』の作品情報

【製作年】
1988年(オーストラリア映画)

【日本公開】
2020年

【原題】
SPIRITS OF THE AIR, GREMLINS OF THE CLOUDS 

【監督・脚本】
アレックス・プロヤス

【キャスト】
マイケル・レイク、ザ・ノーム、ライズ・デイヴィス

【作品概要】
監督・脚本はこれが処女作となるオーストラリア出身のアレックス・プロヤス。

監督自身がアンドリュー・マクフェイルと共同で自主製作にこぎつけました。

撮影はデイヴィッド・ナウス、音楽をピーター・ミラーが担当。

映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』のあらすじ

果てしなく広がる荒野に、赤い砂漠と紺碧の空の間に林立する巨大な十字架とぽつんと佇む一軒家。

その小さな家に住む足の不自由なフェリックスは手作りの飛行機によって空を飛ぶという妄想に取り憑かれ、いつかこの場所からの脱出を夢見ていました。

一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは、この場所を一生離れてはいけないという父の遺言を忠実に守り、十字架に囲まれて暮らしています。

そんな2人の生活の中に、ある日、スミスと名乗る逃亡者が現れ…。

まとめ

観たくても観れなかった、あの“失われた傑作”が30年越しに蘇ります。

アレックス・プロヤス監督は本作の制作に4年半の月日を費やし、壮大なロマンの物語を完成させました。公開当時、監督は以下のようにコメントを残しています。

『スピリッツ・オブ・ジ・エア』は、目の前に立ちはだかる、時には馬鹿げているとさえ思えるような障害物と戦いながらも、夢を実現させようとする者たちの物語である。この映画に登場する人々は、エキセントリックで弱点も見せる。彼らのシチュエーションはしばしば滑稽であるが、それは実際に我々が経験している日常ほどではない。これは、ある意味での犠牲と失敗についての映画だ。それはただ、笑うしかすべのないものである。

2Kスキャンによるデジタル・リマスター版『スピリッツ・オブ・ジ・エア』は、2020年2月8日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開となります。


関連記事

新作映画ニュース

アンタルヤ映画祭にて『ある船頭の話』が最優秀作品賞受賞!オダギリジョー監督のコメントも紹介

オダギリジョー監督、日本映画初の快挙。 アンタルヤ国際映画祭で最高賞【最優秀作品賞】受賞! 公開から2ヶ月目を迎えた2019年11月現在も新宿武蔵野館ほかで大ヒット中のオダギリジョー長編初監督作品『あ …

新作映画ニュース

IMAX版『パラサイト半地下の家族』が日本公開!ポン・ジュノ監督こだわりのモノクロバージョンも上映決定

感覚を、研ぎ澄ませ。 最高傑作を圧倒の臨場感で堪能できる新たな2バージョン上映決定! 第92回アカデミー賞で外国語映画として初めての作品賞を受賞、さらに監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4冠に輝いた …

新作映画ニュース

映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』内容解説/キャスト/公開日/上映館。ドキュメンタリーで若き環境活動家の素顔に迫る

私はたたかう、ひとりで。 多くの若者を動かした環境活動家の素顔とは―― 2019年のフォーブス誌にて“世界で最も影響力のある女性”に選出、同年のタイム誌でも“今年の人”として紹介された、世界でもっとも …

新作映画ニュース

『海街奇譚』日本版《昼・夜》ポスタービジュアル2種×映画予告編が解禁!“アートサスペンス”に凝縮された無数の謎

映画『海街奇譚』は2024年1月20日(土)よりシアター・イメージフォーラム公開後、3月2日より大阪 シネ・ヌーヴォ公開、3月9日よりCinemaKOBE、川崎市アートセンターにて上映、3月15日より …

新作映画ニュース

映画『リチャード・ジュエル』アカデミー賞2020年の最有力候補。イーストウッド監督最新作の劇中の場面写真解禁

2020年1月、私たちは衝撃の真実を知る。 イーストウッドの第40作、勇敢な警備員の身に起きた実話を描くサスペンスドラマ『リチャード・ジュエル』。 全世界待望、クリント・イーストウッドが放つ衝撃作『リ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学