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映画『エル ELLE』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • 馬渕一平

オランダの奇才・ポール・ヴァーホーベン監督とフランスの名女優イザベル・ユペールによる話題作『エル ELLE』をご紹介します。

以下、あらすじや結末が含まれる記事となりますので、まずは『エル ELLE』の作品情報をどうぞ!

1.映画『エル ELLE』の作品情報


(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINEMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

【公開】
2017年(フランス映画)

【原題】
Elle

【監督】
ポール・ヴァーホーベン

【キャスト】
イザベル・ユペール、ローラン・ラフィット、アンヌ・コンシニ、シャルル・ベルリング、ビルジニー・エフィラ、ジョナ・ブロケ、ジュディット・マーレ、クリスチャン・ベルケル、アリス・イザーズ、ビマーラ・ポンス、アルチュール・マゼ、ラファエル・ラングレ、リュカ・プリゾ

【作品概要】
監督は『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェン。

世界を驚愕させたヒロインを演じるのは、フランスの至宝にして歳を重ねる度に魅力が増すイザベル・ユペール。

原作はラブストーリーの金字塔『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』のフィリップ・ディジャン。

刺激的でアブノーマルな才能が互いを高め合い、世界初の気品あふれる変態ムービーにして異色のサスペンスが誕生した!

様々なドラマを生んだ本年度の賞レースで、ひときわ異彩を放ちながら、次々と膨大な数の賞をさらい、フランス映画にしてアカデミー賞主演女優賞ノミネートも果たした話題作が、遂に日本をも席巻する日がやってきた!

2.映画『エル ELLE』のあらすじと結末


(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINEMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

新鋭ゲーム会社の社長を務めるミシェルは、一人暮らしの瀟洒な自宅で覆面の男に襲われる。

その後も、送り主不明の嫌がらせのメールが届き、誰かが留守中に侵入した形跡が残される。

自分の生活リズムを把握しているかのような犯行に、周囲を怪しむミシェル。

父親にまつわる過去の衝撃的な事件から、警察に関わりたくない彼女は、自ら犯人を探し始める。

だが、次第に明かされていくのは、事件の真相よりも恐ろしいミシェルの本性だった──。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『エル ELLE』結末の記載がございます。『エル ELLE』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ミシェルの周りでは気に入らない事ばかりが続きます。

母は若い男・ラルフと結婚すると言い出し、息子・ヴァンサンは気に入らない女・ジョシーとの結婚生活をスタートしようとしていました。

親友・アンナの夫・ロベールは何回か関係を持ったミシェルとの関係をしつこく保とうとしてきます。

前夫・リシャールは若い女を新しい恋人に。

そして、服役中の父の仮釈放審査が再び始まろうとしていました。

自分を襲った犯人を探すミシェルの元に、犯人から届く嫌がらせの数々。

会社内に犯人がいると睨んだミシェルは、自分を気に入っている社員を使って徹底的に調べさせます。

恒例のクリスマスパーティーがミシェルの家で今年も開催。

ミシェルは気になっている隣人のパトリックも奥さんと一緒に招待しました。

パトリックといい雰囲気になったミシェルは、血塗られた過去を語り始めます。

ミシェルの父は39年前に大量殺人を犯した国民の誰もが知る犯罪者で、
その時に父と一緒に撮られた一枚の写真がミシェルの人生を狂わせていたのでした。

そのパーティーの最中にミシェルの母が倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。

その後も続くミシェルの不幸。

息子・ヴァンサンとジョシーの間に生まれた子どもの肌の色は黒で、明らかにヴァンサンの子どもではありませんでした。

そして、家に一人でいたところを再び同じ犯人に襲われたミシェル。

その犯人の手を近くにあったハサミで突き刺し、顔のマスクを脱がします。

その正体は気になっていたあの隣人・パトリックでした。

彼はそういった状況でないと興奮できない異常性欲者だったのです。

さらに、父の面会に訪れたミシェルでしたが、前日の夜に彼女の面会を知った父はすでに自殺を図り、この世から去っていました。

混乱する帰り道で事故を起こしたミシェルは助けを呼ぼうと電話をかけますが、誰にも繋がりません。

結局、繋がったのはパトリックだけで、ミシェルは彼に助け出されました。

そこからミシェルとパトリックの歪んだ関係性が始まります。

ミシェルの会社が開発に取り掛かっていたゲームがついに完成。

祝賀パーティーが会社内で行われます。

そこで夫の浮気を疑っていたアンナに、その浮気相手は自分だとミシェルは打ち明けました。

揉めるアンナとロベールを残し、ミシェルはパトリックに家まで送ってもらうとヴァンサンに告げて会社を後にします。

すると、家に帰ったところでマスクを被ったパトリックがミシェルに襲いかかってきました。

そこへちょうど帰ってきたヴァンサンが後ろからパトリックの頭を殴打。

驚いたパトリックは崩れ落ち、息絶えます。

母を助けるための正当防衛と判断されたヴァンサンは罪に問われませんでした。

夫が亡くなったレベッカは引っ越すことに。

彼女は一時の間パトリックの相手をしてくれたミシェルに感謝を伝え、去っていきました。

親友のアンナは浮気のことでロベールを家から追い出していました。

男に支配されることもなく、ミシェルとアンナ、女二人並んで一本道を歩いていきます。

3.映画『エル ELLE』の感想と評価


(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINEMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

ポール・ヴァーホーヴェンは決して普通の映画は撮りません。

常にギアが外れた快作ばかりを撮り続けています。

彼のことを語り尽くせるほど作品を観ているわけではありませんが、監督としての力量は間違いありません。

資料映像:『ロボコップ』(1987)

資料映像『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)

日本だとやはり『ロボコップ』人気が高いかもしれませんが、『スターシップ・トゥルーパーズ』の強烈な面白さも忘れがたいものがあります。

そんな彼の最新作は、やはり相当に振り切った変態性溢れる一作でした。

まずもって観た方誰もが賛辞を送るであろう主演イザベル・ユペールの圧巻の演技。

彼女の存在がなければこの映画は絶対に成立しません。

ヴァーホーヴェンが彼女とは演技について一切話し合いをしなかったというエピソードがその信頼感を物語っています。

お話は、周りの男(特に父親)によって縛り付けられていたミシェルが解放され、女性としての尊厳を取り戻す物語です。

そのアプローチの仕方がどこまでも極端で、そして面白い。

ミシェルをとことん強く描きます。

男たちを嘲笑うかのように彼女が突き進む様はある種の痛快さすら持ち合わせます。

親が亡くなり、一人息子も結婚し、前夫には新しい恋人。

ミシェルは真の意味で一人ぼっち。

事故で電話が繋がらないシーンで唯一、彼女の寂しさや心許なさを垣間見れた気がします。

どこまでが計算でどこまでが偶然だったのかはわかりませんが、彼女は登場人物の中の誰よりも家族というものを信じていた人でした。

だからこそ最後は父親に会いに行く決断をし、母親との縁も決して切ってはいませんでした。バカ息子もしかり。

ミシェル以上に女の怖さを覗かせたのは、隣人のレベッカであり、あの一言は秀逸でした。

そして、ラストは性による差を描かないヴァーホーヴェンらしい画で終幕。

始まりからは想像もつかない見事な着地です。

まとめ


(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINEMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

予告から想像した通りのサスペンス要素やホラー演出が冴え、物語にグイグイと引き込まれていきます。

しかし、それら全てはミシェルという女性の強靭さを見せつけるための役割に過ぎなかったのです。

ポール・ヴァーホーヴェンとイザベル・ユペール。

二人の偉大な表現者が作り出した女性讃歌とも言えるこの物語は、男性のちっぽけさを改めて浮き彫りにしています。

現代に生きる男性は身につまされる想いがすることでしょう。

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