2019年8月23日(金)より、キネカ大森ほかで開催される「第6回夏のホラー秘宝まつり2019」。
2015年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて、オフシアター・コンペティション部門のグランプリを受賞した作品『メイクルーム』。また、2016年には続編『メイクルーム2』が製作、公開されました。
そして「夏のホラー秘宝まつり2019」にて、「メイクルーム」シリーズ第3弾となる映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』が8月23日(金)より上映されます。
アダルトビデオ撮影現場の舞台に、そのメイクルームで巻き起こる、AV女優たちとスタッフのドタバタ劇を描いたコメディ映画「メイクルーム」シリーズ。
その世界をアイドル業界と、彼女らが出演するホラー映画の撮影現場に移して描きます。アイドルたちが出演したこのホラー映画、果たして無事に完成するのやら…。
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CONTENTS
映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』の作品情報
【公開】
2019年8月23日(金)(日本映画)
【監督・脚本】
森川圭
【出演】
森田亜紀、階戸瑠李、門前亜里、梅村結衣、円谷優希、白石彩妃、藤井奈々、倖田李梨、アイリ
【作品概要】
アイドルたちが出演するホラー映画の舞台裏で、彼女たちがスタッフと共に巻き起こす騒動を描いたホラー・コメディ。
監督は『メイクルーム』『メイクルーム2』に引き続き森川圭。また撮影現場の裏側で、女優たちにメイクを施し、彼女らに振り回されるメイクアップアーティストとして、1作目からお馴染みの森田亜紀が演じます。
その他にも「メイクルーム」シリーズに登場した、お馴染みの顔ぶれも登場し、現役のアイドル女優たちと共に業界の内幕を描きます。
アダルトビデオもホラー映画も、作品よりもその舞台裏の方が奇妙で残酷。そして同時に、夢と想いを秘めた人々が集まる場所。アイドル女優が集う楽屋を舞台に、どんな物語が展開されるのか。
映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』のあらすじ
アイドルたちが出演するホラー映画の撮影初日、撮影現場に集まるスタッフたち。その中にメイクアップアーティストの都築恭子(森田亜紀)の姿もありました。
悲しいかな低予算で人手も無く、準備不足で段取りも悪く、最初から右往左往するスタッフたち。そして今日の撮影の為に、女子高生役で出演するアイドルたちも続々と集まってくる。
アイドルといっても彼女たちの個性はバラバラ。役に対する準備は万端、気合十分に一番に現場現れた準主役の実力派アイドル。そしてアイドル好きが高じて、自らもアイドルになった天然娘。
マネージャーに連れられて現れた2人組は、1人は台本を怖くて読んでないと語り、もう1人は三十路を過ぎた地下アイドル。都築も呆れる軽いノリで、撮影本番に臨むつもりです。
元人気アイドルグループのセンターを務めた、主役のアイドルは遅刻して登場します。今日が役者の仕事は初めてという娘は、緊張のあまり口を開く事ができません。
撮影現場で次々起こる、不測の事態にスケジュールは乱れます。撮影は思うように進まず、出演者の集まるメイクルームに、険悪なムードが漂い始めます。
そんな雰囲気を解きほぐそうと、メイクしながら彼女たちに話しかける都築。やがてアイドルたち、スタッフたち1人1人が持つ、本音や悩みが浮き彫りになっていきます。
しかし彼女らの本音が衝突し、現場が思わぬアクシデントに見舞われた結果、撮影は中断します。果たして今日の撮影は無事終了するのか。アイドルたちはスタッフと共に、映画のために団結する事ができるのか…。
映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』の感想と評価
ワン・シチュエーションで描くアイドルたち
アダルトビデオ撮影の舞台裏を、AV女優が集まるメイクルームという、ワン・シチュエーションで描いた映画『メイクルーム』。好評を得て続編も作られたこのシリーズが、ホラー映画の撮影現場を舞台に帰ってきました。
ちなみに1作目の『メイクルーム』では、どういう訳かホラー映画バージョンの予告編が製作されました。無論この作品はホラー映画でないので、ご注意を。
参考映像:『メイクルーム』(まさかの)ホラーバージョン予告編
そして『メイクルーム2』には、AV女優に転身した元アイドルが登場して、ストーリーの中心人物となりました。
そして今回の第3弾が『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』。この作品がホラー映画とアイドルを融合した作品になったのは、当然の帰着とも言えます。
森川圭監督の描く愛のある業界哀歌(エレジー)
1000本以上のAV作品を手がけただけでなく、OVA『2ちゃんねるの呪い』シリーズにも参加。製作側の人物が注目されにくい分野の映像作品を、数多く手掛けているベテラン監督、森川圭。
彼は『2ちゃんねるの呪い 新劇場版・本危』『エクステ娘 劇場版』といった、得意とする分野であるホラー映画を監督しています。これらの作品に次いで監督した作品が『メイクルーム』です。
『メイクルーム』はいわゆる業界内幕もの。登場するAV女優たちは、事情はあっても自らの意志で、アダルトビデオへの出演を決断した者ばかり。
そこに低予算の環境で働くスタッフや、女優たちをとりまく人々の赤裸々な姿を、コメディタッチで描いた作品です。
コメディとはいえ登場する人々は、それぞれ訳ありの人生に向き合った人々。彼らの姿をリアルに描いた結果、滑稽であると同時に悲しくもある姿を、温かく見つめた作品になりました。
シリーズを通して温かい目で、登場する人々を見つめているのが森田亜紀。「家政婦は見た!」ならぬ、市原悦子より優しい、彼女による「メイクさんは見た!」シリーズとしてお楽しみ下さい。
アイドルも低予算映画も楽じゃない
『メイクルーム』に登場したAV女優同様、『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』に登場するアイドルたちも、様々な夢と葛藤を抱えて登場します。
“1億総アイドル化”との言葉も死語となって久しく、あらゆる種類のアイドルが、当たり前に存在している現在。彼女らの想いや悩みも、仕事に向き合う姿勢も人それぞれ。
ルールなどで人間的に振る舞う生活を許されず、スキャンダルだけは大きく報道される彼女たち。映画はその渦中で活動するアイドルを、温かい視線を持って描きます。
タイトルに登場する“残念なアイドル”という言葉は、決して否定的なものではありません。
低予算映画の製作に集まったスタッフも、同じ視点で描かれます。映画作りという夢に憧れていた彼らは、いつの間にか過酷な現場に流される日常を過ごします。
“残念なスタッフ”の作った映画は、“残念なホラー映画”になるのかもしれません。しかし“残念”であるのは境遇や心持ちであって、その人物を指す言葉ではありません。
この映画には業界内幕モノの楽しさがありますが、同時にかつて何かに夢を抱いた人、しかし今はそれを忘れ、日々に流されている人々に共感を与えます。自らが抱えている“残念”について、見つめ直す機会になるでしょう。
そんな思いを見る者に抱かせる、ハートフルなコメディ映画が、『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』です。
まとめ
ちょっと待て、この映画はホラー映画なのか?と思った方もいるでしょう。
確かにホラーなストーリー展開のある映画ではありません。登場する特殊メイクも、厳密にはゾンビメイクと呼んでいいものかどうか。しかし血みどろな姿と、ホラーなメイクは確かに登場します。
アイドルたちの人間関係が時にホラーだった、と力説してもいいですが、ホラーとして売られた映画に、変則的ストーリーの作品があるのはよくある事。こんな映画もまた一興とお楽しみ下さい。
しかしこの作品に登場する人物で、一番“残念”なのは監督です。予算も人手も時間も無く、まともに打ち合わせどころか挨拶もされず、自分の意図よりスタッフ都合が優先で動いていく撮影現場。
スタッフからは平然と力仕事を頼まれ、挙句の果てにアイドルからは散々な言われます。
これは森川圭監督の自虐ネタ、はたまた実体験なのでしょうか?ぜひお尋ねしたいところです。
映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』は2019年8月23日(金)より、キネカ大森ほかで開催される「夏のホラー秘宝まつり2019」にて上映!
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