ジャパニーズ・ホラーの名作『リング』のハリウッド版「リング」シリーズ第3弾『ザ・リング/リバース』は、2018年1月26日より全国ロードショー!
“観ると必ず7日後に死ぬ”と噂される呪いのビデオを観てしまった主人公ジュリアが、真相の謎を解き明かそうとする本作は、飛行機という密室から恐怖が忍び寄るのです。
外部に逃げることのできない上空の機内から新たな恐怖がはじまります…。
CONTENTS
1.映画『ザ・リング/リバース』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原作】
鈴木光司
【原題】
Rings
【監督】
F・ハビエル・グティエレス
【キャスト】
マティルダ・ラッツ、アレックス・ロー、ジョニー・ガレッキ、ビンセント・ドノフリオ、エイミー・ティーガーデン
【作品概要】
「見た者は必ず7日後に死ぬ」と噂される呪いのビデオを見てしまった設定で知られた、ジャパニーズ・ホラーの名作『リング』。ハリウッド・リメイクした「ザ・リング」シリーズの第3作目。
主人公ジュリアをイタリア出身の女優マティルダ・ラッツが演じ、演出をスペイン出身の『アルマゲドン・パニック』のF・ハビエル・グティエレス監督が務め、プロデューサーは前2作を手がけたウォルター・F・パークス&ローリー・マクドナルド。
また脚本は映画『ビューティフル・マインド』のアキバ・ゴールズマン。
2.映画『ザ・リング/リバース』のあらすじ
「見た者は7日後に必ず死ぬ」と言われる呪いのビデオが実しやかに存在します。
呪われた人を奈落へと突き落され、恐ろしさのあまり凄まじい形相で亡くなると噂されています。
恋人ホルストの身代わりとなり、呪いのビデオを見てしまったジュリアは、それ以来、彼女の周囲では奇妙な出来事ばかりが起こりはじめます。
助かる方法は唯一、その呪いのビデオのコピーを取り、誰かに観せることしかありません。
しかし、ジュリアのビデオはなぜか複製することが出来ませんでした。
挙句の果てに、それまでには存在しなかった新たな映像が加わっていました。
迫りくる運命から逃れ、死の連鎖を断ち切ろうとするジュリアは、ビデオに映し出されたイメージを手がかりに、呪いのルーツを探ります。
その謎を解き明かそうとするジュリアとホルトは、やがて1人の少女の存在にたどり着きます。
そして“彼女”のに抱えた深い哀しみとは…。
3.映画『ザ・リング/リバース』の感想と評価
誰もが言わずと知れた J・ホラーの名作として名高い、鈴木光司の原作『リング』。
作者自ら本作の完成した映画を視聴して、次のように語っています。
「これぞ原点回帰。ハリウッドで作られたリングシリーズ史上、もっとも原作に忠実で、もっとも怖い。驚いた。」
この感想の真意を確かめるため、さっそく『リング/リバース』を鑑賞してきました。
見どころ① なぜ今の時代にビデオテープの呪いなのか?
本作の演出を務めたのは、1973年にスペインで生まれのF・ハビエル・グテイエレス監督。
マドリード大学で法学を修めながら、映画学校でも学ぶという経歴の持ち主で、2001年に自ら映画制作会社を設立。
1998年に長編映画初監督を行なった『アルマゲドン・パニック』が国内のみならず海外でも高い評価を得て、ベルリン国際映画祭パノラマ部門に選出されるなど映画界期待の新星となります。
そして満を時して長編2作目が『ザ・リング/リバース』で、初のスタジオシステムでの映画参画した作品です。
F・ハビエル・グテイエレス監督は、『リング』について。これまでにはないジャンルを切り開いた作風で、ホラー映画の流れを変えた作品だと位置付けしているようです。
それはバイオレンスや血が決して多くないのに、その雰囲気ですべての人々に恐怖を与えた世界観に共感しているのです。
なかでもビデオテープの映像が恐怖の呪いの発端であることに関して、次のような持論を持っています。
「僕たちの世代は映像に対して執着を持っている。でもこの20年ほどの間で、映像の見方は劇的に変わった。以前は、VHSビデオテープを見るには儀式があったんだ。棚に並んでいるビデオテープから一本を選び、巻き戻したり、トラッキングをしないといけないこともあった。結構、時間がかかったんだよね」
70年代初頭に生まれたF・ハビエル・グテイエレス監督は、個人的な映像体験に触れた際に、フィルム(光学式)とビデオ(電子式)の過渡期に思春期を過ごしていたことが想像できます。
当時、映像が映画館という特定の場所だけではなく、家庭にビデオテープが普及したことによって、映像が個人的で手軽なものへとなり始めた時代だったのです。
それでも監督が述べるように“ビデオテープを見るには儀式”が必要でした。見る行為にそれなりの時間と手間が必要であったのです。
だからこそ、『リング』におけるビデオテープの呪いも、“観ると必ず7日後に死ぬ”という間隔の時間や余裕すらあるのです。
呪いを掛ける側もそれを見る(呪いを掛けられる)側も儀式に時間が掛かったと言えます。
ここに本作『ザ・リング/リバース』をF・ハビエル・グテイエレス監督は制作する面白みを見出したに違いありません。
F・ハビエル・グテイエレス監督はこのようにも映像について述べています。
「今は様々な末端があってボタンを一つ押すだけで瞬間的に映像が流れる。僕は、テクノロジーで呪いがどう変わっていくか、呪いがどう広がって光を探求したかったんだ。見るのが簡単になっただけではなく、複製するのも、呪いを他人にうつすことも簡単になった。2回ほどクリックしただけで、何十人に送信することもできるし、相手はノートパソコンやスマホでその映像を見る。今日の世界にはあちらこちらに画面がある。だから、“彼女”の呪いから安全なところなんてない」
映像というものをかつてよりも個人が所有する現代において、個人的な“呪い”もまた身近であり、逃げ場のない時代に入ってしまったのかもしれません。
テクノロジーの進化によって様々なものに光が当たり便利になることで、便利さの中に不都合などは無いように見えますが、個が溢れかえった世の中には、“孤の闇”もまた映像同様に溢れているのかもしれません。
F・ハビエル・グテイエレス監督はこのように語っています。
「善良な人々でも脅威に直面すると、他の人を傷つけようとする。その姿はとても恐ろしい」。
つまり、“呪い”を掛ける方法も進化しているということです。
これこそが、『ザ・リング/リバース』の核心的な部分だと言えます。
見どころ② 映画冒頭の“呪い”は飛行機内で起きる⁉︎
『ザ・リング/リバース』はホラー映画。内容について詳細に分析や解説してしまうと、面白みも半減してしまいます。
今回は予告映像にも登場する、本作の世界観を集約して道行きを現している冒頭シークエンスについて、お話しをいたしましょう。
映画は飛行機の機内ではじまります。
恐怖に震えた男が“あの”ビデオテープを見てから、もう5分ほどで7日目を迎えるので自分は死ぬのだと、見知らぬ女性に告げます。
すると、それを聞かされた女性は、頭のおかしい人がいると横の座席に座る女友達に話しかけるのですが、女友達も自分もそのビデオを見たと答えます。
上空を飛ぶ飛行機は外部には出られない密室。
この呪いを掛けられた男性や、またもう1人の呪われた女性も、1人で死ぬのが怖くて他人を道連れにする確信犯として飛行機に搭乗しています。
見知らぬ乗客である他人や、知り合いである友人に対して、ビデオテープを見てしまった宿命の代償に、“呪いの自爆テロ”と無意識過剰に行ってしまうのです。
では、なぜ飛行機内のシーンが冒頭なのでしょう?
時代の闇であるテロが起こる社会背景のリアルさもあるかもしれません。また恐怖から逃げ出すことの出来ない密室という状況下を生かした演出の設定もうまく活かされています。
さらには恨みといった人間の持つ感情(呪い)に、国境や国籍などは関係が無いといったことも読み取ることができます。
(これ、きっと実際にフライトした機内の映画上映でも観られると思います、その際は体感度半端ないので必見ですよ!)
さて、先ほどのF・ハビエル・グテイエレス監督の言葉を、あなたは覚えていますか。
「善良な人々でも脅威に直面すると、他の人を傷つけようとする。その姿はとても恐ろしい」と述べていましたね。
“呪い”や映像は特別なものではないのです。
どのような人であっても人間は他人を傷つけてしまう存在なのです。そこに善悪といった愛や正義という価値観ではなく、誰もが無意識に他人を傷つける存在なのです。
だからこそ恐ろしいと、F・ハビエル・グテイエレス監督は本作『ザ・リング/リバース』で述べようとしたのだと感じてなりません。
それが恐ろしくも悲しい人の性(呪い)の連鎖なのかもしれませんよ。
まとめ
今回の恐ろしいサマラ役に抜擢されたのは、アクロバットダンサーで曲芸師でもある女優のポニー・モーガンです。
彼女は中田秀夫監督の『ザ・リング2』でも井戸から這い上がってくるスタントを勤めていました。
ポニーは今回のサマラ役について、『夢が叶ったような感じよ。子供の頃、化け物になって、その場で一番怖い存在になんて思っていたから」と述べています。
言うまでもなく、あなたが本作で注目するのはサマラの存在でしょう。ぜひ、その足が頭の前に出るようなクモのような動き、特とご覧あれ!
新年の幕開け新春に、身も背筋も凍るような新たなホラー映画『ザ・リング/リバース』は、2018年1月26日より全国ロードショー!
ぜひ、劇場でご覧ください。お見逃しなく!