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【ネタバレ】君が獣になる前に|全話あらすじ感想と最終回の結末評価。アニメの実写版で愛する人の魂を救うためにタイムリープを繰り返す⁈

  • Writer :
  • 谷川裕美子

人間の暗部に迫るジェットコースターサスペンス

さの隆によるヤングマガジン連載の人気漫画「君が獣になる前に」を実写ドラマ化。人間の暗部をとことん抉る戦慄のノワール・サスペンスです。

主演は『トラさん~僕が猫になったワケ』(2019)の北山宏光が務め、ドラマ「ただ離婚してないだけ」で北山とタッグを組んだ安里麻里が監督・脚本を務めます。

ヒロインは『Diner ダイナー』(2019)『惡の華』(2019)の玉城ティナ。

666人の犠牲者を出す毒ガステロが地下街で起こり、その犯人は人気女優の希堂琴音でした。彼女の幼なじみの神崎は、その理由に迫る途中で命を落とすものの、なぜか過去にタイムリープして生き返ります。

何度も繰り返される謎のタイムリープ。神崎と琴音は果たしてどこに流れ着くのでしょうか。

ドラマ『君が獣になる前に』の作品情報

【公開】
2024年(日本ドラマ)

【監督】
安里麻里、角田恭弥、松元拓

【脚本】
安里麻里、清水匡、當銘啓太

【キャスト】
北山宏光、玉城ティナ、鳴海唯、吉村界人、豊島心桜、木原勝利、深水元基、高橋光臣、ベッキー、戸田菜穂

【作品概要】
人間の暗部をとことん抉る超話題作、さの隆によるヤングマガジン連載の人気漫画「君が獣になる前に」を実写ドラマ化しました。

多数の犠牲者を出す毒ガステロから物語は始まります。犯人は人気女優・琴音でした。彼女の幼なじみの神崎は、琴音の持っていた心の闇を解き明かすために、タイムリープを繰り返しながら奔走します。

主演は新たなスタートを切った『トラさん~僕が猫になったワケ』(2019)の北山宏光。監督・脚本はドラマ『ただ離婚してないだけ』で北山とタッグを組んだ、先鋭的な作品で知られる安里麻里。

ヒロインを『Diner ダイナー』(2019)『惡の華』(2019)の玉城ティナが務めます。

共演は鳴海唯、吉村界人、深水元基、高橋光臣、ベッキー、戸田菜穂。

ドラマ『君が獣になる前に』のあらすじとネタバレ

「The Beast」と呼ばれる史上最悪の大規模毒ガステロが発生しました。テロの犯人は・神崎一の幼なじみで、若手人気俳優の希堂琴音でした。琴音もまたガスを吸って死んでしまいます。

琴音は神崎を「お兄ぃ」と呼んで懐いており、犯行の直前に彼に会いに来ていました。「私を止められたのはあなただけだったのに」と言い残して去った琴音。神崎はあの時彼女を引き留めなかったことを悔やみます。

琴音と仲が良かった若手俳優・宮ノ森真由らと共に犯行動機を調べ始めた神崎は、自宅で何者かに銃殺されてしまいます。

ところが、気がつくと、神崎は「The Beast」発生当日にタイムリープしていました。走り出した神崎の先には、まだ「獣」になる前の琴音がありました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアにはドラマ『君が獣になる前に』ネタバレ・結末の記載がございます。ドラマ『君が獣になる前に』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

神崎に、琴音は「こうするしかなかった」と涙ながらに告白します。やがて、神崎も琴音もガスに苦しみながら倒れました。

そこから、琴音を救うためのループが始まります。時は毒ガステロの10日前まで巻き戻り、神崎も琴音も生きていました。

事件の背後に黒幕がいると考えた神崎は、琴音の身辺を調べ始めます。浮上したのは新人俳優・千田ミヤコの存在でした。同じくタイムリープした宮ノ森は、琴音が「ミヤコを助けなければ」と言っていたことを話します。

ミヤコの近辺からは黒い噂が流れており、行方もわからなくなっていました。琴音の友人で人気俳優のジュンペイには不穏な噂があり、ミヤコとつながっていたことが判明します。宮ノ森はジュンペイから、ミヤコが地獄の場所「ビスケットルーム」にいることを教えられました。

ミヤコを探すと言って神崎の前から姿を消した琴音でしたが、その後、目の前でミヤコは惨殺されてしまいます。

一方、宮ノ森は、以前自分を銃で撃ったガム女とジュンペイがつながっていたことを知りました。琴音に恋心を抱いていた宮ノ森は、必ず琴音を助けると決意します。

宮ノ森が突き止めたビスケットルームは、権力者たちのための闇性接待部屋でした。そこに玄奘が現れます。玄奘はジュンペイを売り出してやる代わりに、若い女性たちを斡旋させていました。宮ノ森のGPSを追って現地にたどり着いた神崎は、非常ベルを鳴らして彼女を助け出します。

一方、良心の呵責に耐えられなくなったジュンペイは、ミヤコの遺体が遺棄されていることを警察に通報します。

琴音はマネージャーの塩見から、ビスケットルームに行くよう強要されました。

柳刑事を訪ねた神崎は、タイムリープことやこれから起こる毒ガス事件について話し、手を組みます。

宮ノ森は、琴音の母親から、神崎の母が車に轢かれそうになった幼い琴音をかばって亡くなったことを聞きました。

ジュンペイと塩見の情報提供により、失踪した少女達の遺体が発見され、ビスケットルームは崩壊しました。しかし、その後ジュンペイは突然現れたガム女に銃撃されます。ジュンペイは、琴音が組織の生け贄であり、多くの闇を背負わされていることを言い残して息を引き取りました。

玄奘とガム女は警察から逃れていました。ガム女は議員の娘のカンナで、どんな罪ももみ消せることから暗殺者の役割をさせられていました。

神崎は塩見に事務所に呼び出され、琴音からの最後のビデオメッセージを見せられます。琴音は涙ながらに「私はこの世界を終わらせる。でもひとつだけどうしてもやってから終わりにしたい。玄奘を殺そうと思う。」と語っていました。テロを起こしたのは、琴音の意志でした。

琴音は玄奘の別荘で彼と対峙しました。そこに神崎らと警察が踏み込みますが、玄奘はナイフで自殺してしまいます。

3月10日が訪れ、テロが起きたはずの時間が過ぎました。その翌日。大声で泣きながら歩いていた琴音のもとにカンナがやってきて、「私はもう好きに生きられる。あんたも好きにしな。」と言い捨て、毒ガスを渡して走り去ります。

穏やかに地下道を歩いていた神崎と宮ノ森と柳刑事でしたが、構内は突然阿鼻叫喚に包まれます。混乱した神崎が走っていった先に、毒ガスを持った琴音がいました。血を吐いて倒れた神崎を見下ろしながら、琴音は言います。「お兄ぃは結局私を許さないんだ。」

「覚えてる?お母さんが亡くなった時、お兄ぃが私に言ったこと。」そう言って琴音は倒れました。神崎は、琴音を獣にした張本人が自分だったことにやっと気づきます。

そこからまた新たなループが始まりました。神崎は10日前の3月2日に戻り、宮ノ森も柳刑事も共にタイムリープします。地下街でテロ被害に遭った高校生・真人もリープし、犯人の琴音に対して憎しみを募らせていました。

琴音の母を訪ねた神崎は、琴音が父親から性的虐待を受けていたことを初めて聞かされました。神崎は「お前が死ねばよかったのに」と彼女に言ってしまったことを覚えていながら、逃げ続けていました。

ミヤコが殺された日。神崎は毒ガスを持ってビスケットルームに向かい、ミヤコを逃がしました。その後、彼はガスを撒いて悪人らを殺します。玄奘はルームの閉鎖を告げ、死体処理にかり出されたジュンペイは大物ゲスト達の遺体を見て怯え、警察に通報します。

遺体発見のニュースを見た宮ノ森は、ミヤコからビスケットルームで知らない男に助けられたと聞かされ、その男が神崎だと気づきます。

タイムリーパーの真人は、これから琴音がテロを起こすと警官に訴えますが、相手にしてもらえません。彼は琴音を止めねばならないという思いにとりつかれるようになりました。

塩見から玄奘の別荘の場所を聞き出した神崎は、止めようとする柳刑事をナイフで刺し、罪を償わせてくれと言って逃亡します。

その後、神崎は憎しみをこめて玄奘をメッタ刺しにして殺しました。手の震えを止められないまま町に出た神崎は、琴音と偶然会います。これからしばらく会えないと言い、「ごめんな」と言って立ち去った神崎の背中を、琴音はじっと見送りました。

凄惨な玄奘殺害現場に入った柳は、神崎のナイフを見つけます。一方、カンナは、父・井上議員から神崎を殺すように命令されていました。

玄奘が殺されたことをニュースで知った宮ノ森は、塩見に自分が未来から来たことを話し、これから琴音がテロを起こすことを教えます。その原因が性接待にあることを明かし、琴音をあんな目にもう合わせないでほしいと頼みました。そして自分と神崎がビスケットルームを閉鎖し、玄奘を殺したことを伝えました。

神崎の顔を思い出した塩見は、カンナたちに神崎のことを話してしまったことを後悔して苦しみます。

神崎には、自分を終わらせ、最後の贖罪をするという仕事がありました。ビルの屋上から飛び降りようとする神崎。カンナが銃を持って追いかけてきましたが、銃が火を放つ前に神崎は飛び降りました。

「たとえ苦しめあった過去があっても、あなたたちは一緒にいないとだめ」と伝えるために、宮ノ森は神崎に電話を何度もかけますが、つながりません。

そこに琴音が帰宅しました。しかし、その後ろから、タイムリーパーの真人が追ってきて、自作の銃を取り出しました。琴音をかばって撃たれた宮ノ森は息絶えます。恐怖で我にかえった真人は逃げ出しました。

ショックで茫然自失となった琴音に、塩見は神崎の死を告げます。一方、防犯カメラ映像から真人の身元は警察に割れていました。柳刑事はテロの現場で出会った少年であることに気づき確保します。真人もまた、柳に気づきました。

ジュンペイは警察に出頭し、すべてを明かして欲しいと頼みます。逃げようとした井上議員をカンナは銃で撃ち殺し、車で逃走しました。

病院で目を覚ました神崎に、柳刑事は運良く落下した先にマットレスがあったことや、携帯電話が鳴っていたのが幸いして救助されたことを話します。携帯には、宮ノ森からの何件もの着信がありました。

電話した直後に宮ノ森が撃ち殺されたことを聞かされ、神崎は、彼女が琴音も自分も守ってくれていたことを知ります。ジュンペイの自白により組織も壊滅したのだからもう終わりにしようという柳の言葉に、神崎は涙をこぼしました。

神崎は塩見に、琴音をこの先もずっと守ってほしいと頼みます。塩見は神崎の母が、琴音が父親から虐待を受けていることにただひとり気づき、琴音を守ろうとしていたことを話します。

自分はどこかで琴音を許していなかったと気づいた神崎は、琴音がずっと自分に許されたがっていたことがわかりました。

塩見から、琴音がいつもこっそり神崎の家や駅に通っていたことを聞かされ、これまでの再会がどれも偶然ではなかったと知って神崎は驚きます。その後、組織の倉庫に向かった彼は、隠したはずの毒ガスがなくなっているのを見て愕然とします。その毒ガスはカンナが持ち去っていました。

カンナは琴音が獣だと気づいていました。ビスケットルームから出てきてもほかの少女たちのように泣き叫ぶことなく、「こんな世界壊れればいいのに」と呟いていたからです。カンナは琴音に毒ガスのケースを渡し、「あんたも好きにしな」と言ってそのまま車で走り去りました。

塩見から琴音と連絡がつかないと電話を受けた神崎は、琴音が死のうとしているのではなく、また歴史を繰り返させられようとしていることに気づきます。

神崎は柳に電話をかけ、琴音がまたテロを起こすから地下街に来てくれと呼び出します。3月10日の4時11分。落ち合ったふたりは電話をつないだまま、別行動で琴音を探して回りました。監視カメラで琴音を見つけた柳は、神崎に知らせます。

琴音は泣きながら「こんな世界壊れてしまえばいいのに」と思い続けていました。「私はずっと奴隷だった。幼い頃も大人になっても。もう終わりにする。」

階段を下りてくる琴音をみつけた神崎は、その後も静かに琴音の後ろをついて行きました。自分の放った一言が彼女を殺して苦しめてきたと自責の念に襲われる神崎。「俺は獣を殺すんじゃない。許すことでしかこのループは止められない。今度こそ、止める。」強い覚悟を決めました。

神崎は柳に、自分たちで最後を決めたいと話します。柳は神崎の思いを受け止め、地下構内を封鎖して人々に避難指示を出しました。

ガスマスクをして毒ガスをまき始める琴音。人々がいなくなりガランとした地下街に、神崎だけが残っているのを見て琴音は驚きます。

神崎は琴音のマスクを外して強く抱きしめ、「お前が死ねばよかったなんて思っていなかった」と言って涙をこぼして謝ります。琴音も、自分のせいで苦しい思いをさせたと言って謝りました。

「琴音、全部許す。俺は許す。」そう言って神崎は彼女に口づけしました。やがてガスが充満し、ふたりは咳き込んで倒れます。血を吐きながらふたりは見つめ合いました。

神崎は心で呟き続けました。「また繰り返すのか、終わりになるのか。でも俺は必ず、止めてみせる。君が獣になる前に。」

ドラマ『君が獣になる前に』の感想と評価

思わず引き込まれるジェットコースターストーリー

何度も何度も底知れぬ闇の中をぐるぐるとタイムリープを繰り返す、恐怖と深い愛情を描くジェットコースターストーリーです。

美しく才気あふれる新人女優の琴音と、その幼なじみの青年・神崎。ふたりは強い絆で結ばれていましたが、偶然顔を合わせた直後に、琴音は地下街で毒ガスをまき大勢の人々を殺すという前代未聞の大規模テロを起こします。

自身もガスで死んでしまった琴音。理由を突き止めようとした神崎は、突然謎の女に銃で撃ち殺されますが、驚いたことに再び生き返り、過去にタイムリープします。そこから神崎は何度も命を落としては、過去に再び戻るという終わりの見えないタイムリープを繰り返すこととなりました

ビスケットルームという欲にまみれた恐ろしい闇接待部屋の地獄や、口封じのために殺される新人女優、琴音の幼児期に受けた性的虐待など、恐ろしい事実が次々に明らかとなっていきます。

そして銃で迷いなく人々を撃ち殺すガム女ことカンナの存在。神崎はあるときは彼女によって撃ち殺され、あるときは毒ガスで死にながらも、何度もタイムリープを繰り返して毒ガステロの前日に戻っていきます。

そのたびに、「琴音の凶行を止める」という大きな使命に立ち向かう神崎

神崎は果たして琴音を止められるのか。その謎にすっかり心は奪われてしまい、ハイスピードで展開する物語から一瞬も目が離せなくなります。

タイムリープするごとに成長していく神崎の魂

何度もタイムリープを繰り返す神崎は、初めのうちはテロの原因は琴音の受けた過酷な性接待の現実にあると考えていました。しかし、真実は別の場所にあることに気づきます。

やがて、琴音の心を深い闇に突き落としたのは、自分の言った「お前が死ねばよかった」というひと言にあったことに神崎は気づきました。母は幼い琴音をかばって車にひかれて亡くなっていました。神崎もまた幼く、しかも母一人、子一人で暮らしていたことを思えば、思わずそんな言葉を口走ったことを責められません。

しかし、琴音もまた、実の父から性的虐待を受けるという地獄の中にいました。心を開ける唯一の相手だった神崎から投げつけられた恐ろしい言葉が、鋭く彼女の心を引き裂いたことは間違いありません。

タイムリープする内に、さまざまな真実を知っていった神崎は、自分が琴音のすべてを許すことでしか彼女を救えないことにやっと気づきます。まるで聖母のような境地にたどり着いたといえるでしょう。

また、琴音に切ない恋心を抱き、彼女を守る強い決意をしている宮ノ森や、玄奘の言いなりになるしかなかった役者のジュンペイ、どこまでも自分のために力を貸してくれる柳刑事らとの出会いが、神崎の魂を成長させました

人の心を救えるのは、人の心だけ。そんな大切なことを教えられる作品です。

まとめ

何度も繰り返されるタイムリープ。どこまでいっても止められない大規模テロ。まるで悪夢の中にいるように、見るほどに絶望に陥っていく物語です。

しかし、その中で奮闘する神崎の魂はいつの間にか大きく成長し、絶望に負けることなく、「何が何でも彼女が獣になる前に止めてみせる」というさらに大きな決意を固めていきます

ここで終わりなのか、それともまだまだタイムリープは続くのか。ラストシーンを見ても、その答えはみつかりません。しかし、たったひとつわかっているのは、神崎は決してあきらめないという真実です。

この先も変わらず、神崎の命は、琴音を救うために何度でもよみがえることでしょう。



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