最強の父親による娘の救出劇を描くサスペンス・アクション
ピエール・モレルが監督を務めた、2008年製作のフランスのサスペンス・アクション映画、『96時間』。
友人とパリへ旅行に出かけた17歳の娘が何者かに誘拐されてしまい、元秘密工作員の父親が、娘を救出するために単身パリへ向かう姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
96時間以内に見つけ出さないと、永遠に行方不明になってしまうという、時間制限付きの救出劇。
娘を攫った犯人グループの身元を割り出し、娘を救出するためにパリへ向かった、元秘密工作員の父親の奮闘劇を描いたサスペンス・アクション映画、『96時間』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
映画『96時間』の作品情報
【公開】
2008年(フランス映画)
【脚本】
リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
【監督】
ピエール・モレル
【キャスト】
リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、ファムケ・ヤンセン、リーランド・オーサー、ジョン・グライス、デビッド・ウォーショフスキー、ケイティ・キャシディ、ホリー・バランス、オリビエ・ラブルダン、ザンダー・バークレイ
【作品概要】
『アルティメット』(2006)や『ローグ アサシン』(2007)などを手掛けた、ピエール・モレルが監督を務めた、フランスのサスペンス・アクション作品です。
『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(1999)や『バットマン ビギンズ』(2005)、『トレイン・ミッション』(2018)などに出演しているリーアム・ニーソンが主演を務めています。
共演は、「X-MEN」シリーズのファムケ・ヤンセンと、『ジェイン・オースティンの読書会』(2007)のマギー・グレイスです。
映画『96時間』のあらすじとネタバレ
元CIA工作員で、格闘・狙撃・爆弾のスペシャリストでもあったブライアン・ミルズは、現役時代に仕事と家庭の両立ができず、妻のレノーアと離婚してしまいました。
ブライアンは、離れて暮らす一人娘のキムとの関係を取り戻すべく、一線を退き、カリフォルニアで隠退生活を送ることにしました。
そんなブライアンの元へ、かつての仲間である元CIA工作員の友人、サムとケイシー、バーニーが訪ねてきました。
サムたちはブライアンに、自分たちが請け負った要人警護の仕事をしないかと誘います。ブライアンは、これを二つ返事で承諾。
翌日、ブライアンたちは、人気歌手シーラの護衛につき、彼女を暴漢から救い出します。
その際、ブライアンはシーラからお礼として、彼女のマネージャーと、ボイストレーナーの連絡先が書かれた名刺を貰いました。
そのまた翌日。ブライアンは、17歳になったキムにランチに誘われ、彼女にその名刺を渡そうとしました。
ところが、2人きりだと思っていたランチには、いくつもの会社を経営している大富豪、スチュワートと再婚したレノーアが同席。
キムとレノーアは、ブライアンにある同意書へのサインを貰いに来たのです。その同意書とは、未成年を渡航させることへの保護者の同意書でした。
実はキムは、2歳年上の親友アマンダから、彼女の従姉の家へ行かないか誘われており、美術館巡りがてら、フランス・パリへ旅行に行こうとしていました。
しかしブライアンは、キムが心配なあまり、保護者同伴なしのパリ旅行を反対。けれどキムに泣かれてしまったことで、彼は葛藤の末、条件付きでならいいと、同意書にサインすることを決めました。
その条件とは、「滞在先の住所や電話番号、外出先を教えること。到着時と毎晩、寝る前に電話すること」でした。
旅行当日。ブライアンは、キムを空港まで送り、車のトランクから荷物を取り出した際、地図に書かれた彼女の旅行日程を見ました。
するとそこには、パリ以外のヨーロッパ各国に、キムたちが足を運ぶ計画が記されていたのです。
驚いたブライアンは、見送りに来たレノーアを問い詰めた結果、キムたちの旅の目的は美術館巡りではなく、アイルランドのロックバンド「U2」のヨーロッパツアーに参加することだと知りました。
ブライアンとレノーアに見送られ、パリへと旅立ったキムたち。彼女たちはパリ=シャルル・ド・ゴール空港に到着後、タクシー乗り場に並んでいた時、ピーターと名乗る青年に声を掛けられました。
アマンダがピーターに一目惚れしたのもあって、タクシーに3人で一緒に乗り、スチュワートが手配した高級ホテルへ向かったキム。
高級ホテルへ着いた際、彼女はアマンダから、実は従姉は、スペインのマドリードにいることを聞かされます。
そのことに戸惑うキムとは対照的に、ホテル前で別れたピーターから、今夜パーティーに行かないかと誘われて有頂天のアマンダ。
心配して連絡してきたブライアンとトイレにいるキムが電話していたその時、部屋にいたアマンダが何者かに攫われてしまったのです。
恐怖心に駆られ、酷く怯えるキムは、電話越しのブライアンの指示に従い、寝室のベッドの下に隠れました。
それを確認したブライアンは、キムとの電話を続けながら、念のため彼女との通話を録音。そして彼は、キムにこう言いました。
「お前もじき捕まってしまうが、冷静に犯人の男たちをよく観察しろ」
「携帯を置き、パパに言え。何もかも、奴らの髪の色や特徴全てを」その直後、キムは自分を探しに来た男にベッドの下から引き摺り出されてしまいます。
しかしキムは、ブライアンの指示に従って携帯を置き、犯人の特徴、「ヒゲ、180センチ。右手に月と星のタトゥー!」と泣き叫びながらも伝えました。
キムの声が聞こえなくなった後、ブライアンは悔しさと怒りで体を震わせながら、キムから携帯を取り上げた男に、こう警告しました。
「俺には、長年の仕事で身につけた、お前らを震えあがらせるほどの非常に特殊な能力がある」
「娘を解放するなら、俺はお前らを見逃そう。お前を捜すことも追跡もしない」「だが、娘を解放しないならお前を捜し、必ず見つけ出す。そしてお前を殺す」
そう告げるブライアンに、終始無言を貫いていた男は、「幸運を祈る」とだけ告げて電話を切りました。
ブライアンはこの後すぐ、レノーアにキムが攫われたことを伝えるべく、彼女の今の家へ向かいます。
その道中、ブライアンはサムに連絡して、犯人の男の声が録音された音声ファイルの分析を頼みました。
ブライアンは、レノーアとキムが住む豪邸に到着後、スチュワートに外国に敵はいないか尋ねます。何故ならスチュワートは、外国と闇取引していたからです。
ブライアンは以前、大事な愛娘の継父になるスチュワートについて調べた際、彼が5年前、ロシアとの石油交渉に失敗したことを知りました。
しかしスチュワートは、闇取引を行っていることは事実でしたが、外国に敵はいませんでした。
キムを誘拐したのは、スチュワートに恨みを持つ商売敵による仕業ではない。それが分かったブライアンは、協力を申し出たスチュワートに、彼が契約しているプライベート・ジェットをすぐ手配するよう頼みます。
そんなブライアンの元に、分析を終えたサムから電話がかかってきました。「分析の結果、犯人グループは、トロポヤ県の訛りがあるアルバニア語を話すアルバニア人だ」
「お前が電話越しに話した男の名は、マルコ・オチャ。若い女の人身売買を行っている、フランスのアルバニア系犯罪組織”アルバニア・マフィア”のボスだ」
「キムが見た月と星のタトゥーは、組織のシンボルマークだ。半年前にパリへ向かった奴らは、東欧諸国の女たちに、”メイドや子守りの仕事がある”と誘う」
「勧誘した女たちを密入国させ、麻薬漬けにし、最終的には売春婦にさせるのが、奴らの主な手段だ。だが、最近はパリに来た旅行者を狙って、手っ取り早く調達しているようだ」
「キムを誘拐したのが奴らだとすると、誘拐後、96時間以内に見つけないと、キムたちは永久に戻らなくなってしまう」
その電話を横で聞いていたレノーアは、ブライアンの忠告も聞かず、キムをパリへ行かせてしまったことを悔やんで泣き叫んでしまいます。
ブライアンは、すぐさまプライベート・ジェットに乗り込み、キムを救出するべく、単身パリへ向かいました。
映画『96時間』の感想と評価
最強の父親vsアルバニア・マフィア
元CIA工作員であるブライアンが、愛する一人娘のキムを救出するべく、彼女を誘拐し人身売買にかけようとしているフランスのアルバニア系犯罪組織、「アルバニア・マフィア」にたった1人で立ち向かいます。
さすが元CIA工作員というべきでしょうか。ブライアンは現役時代から衰えていない知識と、卓越した格闘術・射撃を巧みに使い、犯人たちの居場所を割り出し、彼らを次々と倒していきます。
ブライアンの、格闘・狙撃・爆弾のスペシャリストならではの特殊スキルを使った、激しい追走劇と銃撃戦、拳を使った格闘戦はどれも迫力満点のアクション場面ばかりです。
そんなブライアンが、敵を次々と倒し、追い詰めていく姿はまさに「最強の父親」。手掛かりを失い、敵に捕まったとしても最後まで諦めないブライアンの戦いは、ハラハラドキドキするスリルを味わえます。
ブライアンとキムの家族愛
CIA工作員だった頃、仕事と家庭の両立ができなかったブライアンは、家庭を顧みなかったことへの妻レノーアの不満が募り、離婚してしまいました。
そのせいで、スチュワートと再婚した今も、レノーアはブライアンに対して当たりが強いです。
そんなレノーアとは対照的に、離れ離れの生活になってしまった今でも、キムはブライアンを慕っています。
そしてもちろん、ブライアンもまた、キムに深い愛情を注いでおり、彼女の17歳の誕生日にカラオケセットを贈りました。
そしてブライアンは、何があってもキムを救出することを諦めませんでしたし、シーラのおかげで、彼女が歌手になるための道を作ってあげることができたのです。
物語の前半でも仲睦まじい2人ですが、無事アメリカに帰国出来てからの方が、より一層親子の絆と家族愛を感じられます。
まとめ
元CIA工作員の父親が、パリで何者かに誘拐された娘を救うべく、特殊スキルを使って奮闘する姿を描いた、フランスのサスペンス・アクション作品でした。
本作の見どころは、ブライアンによるキム救出劇と、元CIA工作員の最強の父親vsフランスの犯罪組織による戦いです。
ブライアンが、キムを誘拐したアルバニア・マフィアと戦うアクション場面。建築現場に置かれたドラム缶が爆発したり、激しい銃撃戦と格闘戦が繰り広げられていたり、建築現場で猛スピードで駆け抜けるカーチェイスが繰り広げられていたりと、大迫力でスリリングな描写ばかりで興奮します。
そして、ブライアンによって暴かれた、ジャン=クロードやスチュワートの悪事、フランス・パリの街に潜む闇は、どれも驚愕するものばかりです。
元CIA工作員の最強の父親が、引退しても衰えない特殊スキルを使って、最愛の娘を救出するサバイバル・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。