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映画『トレインミッション』ネタバレ考察と感想解説。ラスト結末の意味深い言葉のメッセージとは

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

『フライト・ゲーム』『アウノウン』主演リーアム・ニーソン&ジャウム・コレット=セラ監督作品

平凡な日常を送る男が、毎日利用している通勤列車内で、謎の女と遭遇した事から始まる、家族の命を守る為の戦いを描いた、サスペンス・アクション映画『トレイン・ミッション』。

映画内の時間と上映時間の105分がリンクし、リアルタイムで進行する。

手に汗握るワンシチュエーションサスペンス映画『トレイン・ミッション』の魅力をご紹介します。

映画『トレイン・ミッション』の作品情報


(C)STUDIOCANAL S.A.S.

【公開】
2018年公開(アメリカ・イギリス合作映画)

【原題】
The Commuter

【監督】
ジャウム・コレット=セラ

【脚本】
バイロン・ウィリンガー、フィリップ・デ・ブラシ、ライアン・イングル

【キャスト】
リーアム・ニーソン、ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、サム・ニール、ジョナサン・バンクス、エリザベス・マクガバン、フローレンス・ピュー

【作品概要】
元刑事で、現在は保険会社で働き、平凡な日常を送る主人公のマイケルが、謎の女が仕掛けたゲームに巻き込まれるサスペンス・アクション。主人公のマイケルを、映画『96時間』などで、アクション俳優としても高い評価を受けている、リーアム・ニーソンが演じ、本作でも体当たりのアクションを披露しています。監督は、本作がリーアム・ニーソンと4度目のタッグとなる、ジャウム・コレット=セラ。

映画『トレイン・ミッション』のあらすじとネタバレ


(C)STUDIOCANAL S.A.S.
保険のセールスマンとして働くマイケル・マコーリーは、妻のカレンと息子のダニーと共に、幸せな家庭を築いていました。

ですが、ダニーの大学進学などで、多額のお金が必要となり、マイケルは金銭面で悩んでいます。

元警察官であるマイケルは、長年コンビを組んでいたアレックスに、金銭面の相談をしていましたが、アレックスも警察内で出世できず、結婚にも失敗し悩んでいました。

マイケルは、いつものように通勤列車に乗って、保険会社に出社しますが、突然解雇を言い渡されます。

ダニーの為に、今後のお金が必要なマイケルは抵抗しますが「会社の決定である」と突き返されます。

マイケルは放心状態のまま、帰宅する為にいつもの通勤列車に乗り込みますが、乗車する直前に財布とスマホを盗まれます。

列車の席について、読書をするマイケル。

すると、近くの席で大声で電話していた証券マンが、隣に座っていた女性と口論になり、女性が席を代える所を目撃します。

それでも読書を続けるマイケルに、1人の女が話しかけてきます。

ジョアンナと名乗る女は、自らを精神学の医師であると伝え、マイケルに、あるゲームを持ち掛けます。

ゲームの内容は、列車内にいる「ある人物」を探し出す事です。

「ある人物」の特徴は3つ「常連客では無い」「終点のコールドスプリング駅で降りる」「プリンと言う偽名を使っている」でした。

ジョアンナの仕掛けたゲームにマイケルは戸惑いますが、「報酬は10万ドルである」事を聞き、高額な報酬に抗う事が出来ず、ゲームを受け入れます。

また、ジョアンナから「ゲームの内容を口外しない」というルールも課せられます。

ジョアンナが列車から降りた後、お金の置き場所である第2車両を探したマイケルは、10万ドルの着手金である2万5千ドルを手に入れます。

マイケルは、そのままゲームを放棄して、次の駅で降りようとしますが、列車に乗って来た黒人の少女に、ある物を渡されます。

それは、妻のカレンが指にしている結婚指輪でした。

家族の身を案じ、マイケルは列車内の顔見知りであるトニーからスマホを借り、カレンに連絡しますが繋がりません。

マイケルはアレックスに連絡をし、自宅に警察を向かわせるよう要請します。

直後に、マイケルはジョアンナからの連絡を受け「ルールを破る事は許されない」と警告されます。

プリンが降りるコールドスプリング駅は、第7地区にあり、マイケルは乗客の椅子に立てられた切符を全て確認し、第7地区で降りる乗客を6人に絞ります。

マイケルは、6人の中の1人で、首に蛇のタトゥーがある男が、最後尾の車両に移る所を目撃し後を追います。

ですが、マイケルの動きを察知した男は、襲いかかって来ました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『トレイン・ミッション』ネタバレ・結末の記載がございます。『トレイン・ミッション』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)STUDIOCANAL S.A.S.

最後尾の車両で、首に蛇のタトゥーがある男と格闘になったマイケルは、男から「この件に関わるな」と忠告されます。

マイケルとの格闘を、他の乗客に見られた事で、首に蛇のタトゥーがある男は立ち去って行きます。

そこへ、アレックスから連絡が入ります。

数日前、政府関係者が飛び降り自殺をした事件が発生していました。

ですが、それは殺人事件であり、その目撃者がプリンである可能性が高い事を、マイケルは聞かされます。

闇組織の陰謀に巻き込まれたマイケルは悲観しますが、トニーに急かされ、スマホを返却します。

冷房装置が壊れ、誰もいない車両を、マイケルが散策していると、列車の床から着信音が聞こえます。

床を開けると、そこには先程の、首に蛇のタトゥーがある男の死体が放置されていました。

男のポケットから、FBI捜査官のバッジが見つかります。

マイケルは、男の死体が持っていたスマホを手に取ると、ジョアンナからの着信がありました。

ジョアンナは、政府の陰謀に深入りしようとするマイケルを脅し、家族の音声を流して脅しをかけます。

プリンを探し出さないと、家族の身に危険が生じる事から、マイケルは、絞り込んだ6人に接触しますが、プリンを探し出す事が出来ません。

列車は終点に近付いており、乗客の数も少なくなっていました。

マイケルは、乗客を一か所に集める為、列車内の冷房装置を破壊し、唯一冷房が使える最後尾の車両に乗客を集めます。

すると、大きなギターのケースを持った男が、不自然に違う車両へ移動しようとした為、マイケルは追いかけて男を問い詰めます。

男は、マイケルに襲いかかってきた為、マイケルは迎え撃ちます。

男の正体は殺し屋で、プリンが発見された後に、プリンの射殺を依頼されていました。

マイケルは、格闘の末に男を車両の外に投げ飛ばします。

すると、ジョアンナから連絡が入り、殺し屋の代わりに、マイケルが殺し屋の拳銃を使って、プリンを殺す事を指示されます。

プリンを守る為、車内を探し続けるマイケルは、証券マンと口論になった女性が、途中で席を代えた事を思い出します。

女性が座っていた席にある切符は、第7地区まででした。

マイケルは、プリンの偽名を使った女性、ソフィアを探し出します。

ソフィアは、殺された政府関係者の事務所で勉強をしていた学生でした。

ですが、ある時、政府関係者が窓から落とされる場面を目撃、犯人は「崇高な思想が…」と言葉を発していました。

ソフィアは、自殺とされた政府関係者の事件を、FBIのガルシア捜査官に証言する為、コールドスプリング駅に向かっていました。

事情を聞いたマイケルが、ソフィアを消す事をためらった為、ジョアンナが列車内の仕掛けを発動、列車のブレーキが爆破され、停車不可能となります。

マイケルはベテラン車掌のサムと協力し、列車を停車させますが、停まった列車を警官隊が包囲します。

拳銃を所持し、車内でトラブルを起こすマイケルを、車掌が危険人物と判断し、警察に通報していました。

現場を指揮するのは、かつてのマイケルの上司、ホーソーン警部。

そして、元相棒であるアレックスがマイケルの説得に向かいます。

アレックスは車内に入り、マイケルを説得しますが「崇高な思想が…」という言葉を発します。

その言葉で、ソフィアとマイケルは、犯人がアレックスであると気付き、マイケルはソフィアを守る為に、アレックスと格闘を開始します。

車内の様子を感知したホーソーン警部は、射殺を指示します。

マイケルは、アレックスと場所を入れ替わる事で誤射させ、アレックスは命を落とします。

列車の外に出て保護されたマイケルは、ホーソーン警部から、アレックスの身辺を調査していた事を聞かされます。

数日後、列車に乗っていたジョアンナの前に、マイケルが現れます。

一連の件を「覚えがない」と嘘をつくジョアンナに、マイケルは警察のバッジを見せ、自分が警察に復職した事を伝えます。

映画『トレイン・ミッション』感想と評価


(C)STUDIOCANAL S.A.S.
平凡な日常を送っていた男が、突如列車内でのデスゲームに巻き込まれる恐怖を描いた、映画『トレイン・ミッション』。

作品の大半が、列車内で進められる、いわゆるシチュエーションスリラーとなりますが、本作の監督ジャウム・コレット=セラは、これまで、飛行機内での連続殺人と戦う男を描いた『フライト・ゲーム』、ビーチを舞台に人食いサメの恐怖を描いた『ロスト・バケーション』と、数々のシチュエーションスリラーを手掛けた名手です。

本作では主人公のマイケルが、限られた情報をもとに、元刑事の洞察力で「プリン」と名乗る人物を絞り込んでいきます。

その様子を、列車というシチュエーションを活かした展開で、スピード感あふれる演出で描いており、ジャウム・コレット=セラの本領発揮という感じです。

主演のリーアム・ニーソンは、映画『96時間』から、アクション俳優として高い評価を受けていますが、『トレイン・ミッション』では、誰もが身近に感じるキャラクターに設定されています。

毎日、決まった列車に乗って職場に行き、仕事を終えれば、帰宅する為に列車に乗って、毎日同じ駅で降りる。

そんな、誰もが経験している日常を送るマイケルが、突然、不条理とも言えるゲームに巻き込まれてしまうのですが、そのキッカケは、息子の学費と家のローンで、金銭的に余裕が無い事からでした。

身近な悩みを抱えるマイケルに、共感する人も多いでしょう。

これに加え『トレイン・ミッション』は、終始マイケル目線で、リアルタイムで物語が進む事が特徴です。

ある日突然、日常が壊され、マイケルにとって最後の日常である、家族の存在を守る為に戦い続けるその姿には、共感し感動すら覚えます。

ラストでマイケルとダニーがかわす、何気ない会話から「苦しくても、普段の日常こそが素晴らしい」と、そんなメッセージを感じる作品でした。

まとめ


(C)STUDIOCANAL S.A.S.
平凡な日常が破壊される恐怖を、リアルタイムで進行させる映画『トレイン・ミッション』。

舞台となる列車は実在していますが、鉄道の撮影許可が下りなかった事から、1両と半分の車両のセットを実際に作り、駅のレプリカを駆使しながら撮影されています。

列車の窓から入る光は、時間の経過を表現している重要な演出になっており、撮影監督のポール・キャメロンは、照明を駆使した職人技を見せています。

本作は、日常の風景を追求する為、徹底してリアリティにこだわっているので、その点にも注目して下さい。

また、マイケルが絞り込んだ6人の他、列車に乗っている乗客は「いずれかのキャラクターに自分を重ねられるようにしたかった」と、監督のジャウム・コレット=セラの考えが反映されており、登場人物は非常に個性豊かとなっています。

この登場人物達と、マイケルのやりとりも、本作の見どころの1つとなっています。

乗客の1人で、派手な出で立ちの女性グウェン役に、後に『ミッドサマー』の主演に抜擢されたフローレンス・ピューも出演していますよ。

とにかく徹底して、ありふれた日常を意識した本作ですが、リーアム・ニーソンの体を張ったアクションも楽しめますので、盛りだくさんの105分となっています。

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