映画『オフィシャル・シークレット』は2020年8月28日(金)より全国ロードショー!
イラク戦争勃発の引き金にまつわる疑惑の中で、人々を救うべく立ち上がった一人の女性がいました…
イラク戦争開戦のきっかけをめぐり、違法行為を知った一人の女性が立ち上がったさまを描いたサスペンス『オフィシャル・シークレット』。
『ツォツィ』『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』などを手掛けたギャヴィン・フッド監督が作品を手掛けます。
またキャストにはキーラ・ナイトレイを中心にマット・スミス、マシュー・グード、レイフ・ファインズらが名を連ねています。
映画『オフィシャル・シークレット』の作品情報
【日本公開】
2020年(イギリス映画)
【原題】
OFFICIAL SECRETS
【監督・脚本・製作総指揮】
ギャヴィン・フッド
【脚本】
サラ・バーンスタイン、グレゴリー・バーンスタイン
【キャスト】
キーラ・ナイトレイ、マット・スミス、マシュー・グード、リス・エヴァンス、アダム・バクリ、レイフ・ファインズ、コンリース・ヒル、インディラ・ヴァルマ、ジェレミー・ノーサム、ジョン・ヘファーナン、マイアンナ・バーリング、ハティ・モラハン
【作品概要】
イラク戦争をめぐるアメリカの違法工作活動を知ったイギリス諜報(ちょうほう)機関所属の女性が、その告発に乗り出す実話の事件「キャサリン・ガン事件」をもとに映画化したサスペンス。作品を手掛けたのは『ツォツィ』『エンダーのゲーム 』『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』などを手掛けたギャヴィン・フッド監督。
ヒロインのキャサリン・ガン役には『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのキーラ・ナイトレイ、事件を暴露する記者マーティン・ブライト役にドラマシリーズ「ドクター・フー」などのマット・スミスのほか、マシュー・グード、レイフ・ファインズらが出演しています。
映画『オフィシャル・シークレット』のあらすじ
2003年、イラク戦争開戦の気運が高まる中でイギリスの諜報機関であるGCHQ(政府通信本部)で働くキャサリン・ガンは、ある日アメリカの諜報機関NSA(国家安全保障局)からの一斉メールを受け取りました。
それはイラクへの攻撃を推し進めるための証拠取得を目的にした、違法な盗聴の要請。その依頼に危機を感じた彼女は告発を決意し、古い同僚を頼ってその内容をリークします。
そしてその告発はイギリスのオブザーバー紙の記者マーティン・ブライトによって記事になり、世論に大きな物議を醸します。
しかしその内容をエセ記事だと告発を妨害するものがあらわれ、GCHQ内部では、執拗な告発者探しが始まったのだが…。
映画『オフィシャル・シークレット』の感想と評価
実話の衝撃性から見えてくる平和への願い
実話をもとに描いた作品だけに、世界的な緊張が高まる現在の空気感につながる雰囲気も感じられる、非常にショッキングな作品。
この作風からはギャヴィン・フッド監督がこのような世界の動き、特にイギリスという国を舞台とした事件に敏感であることがわかります。
フッド監督は2015年に『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』を発表。そして本作を手掛けるに至りました。前作と本作は、第三世界との関係とその間で起きた事件に対しての経緯を描いた物語で、第三主義的な存在に対する資本主義国の在り方を問う辛辣なテーマが描かれている点で共通した内容が描かれています。
一方、前作品がその第三社会での行動に対しての議論に注視していたのに対し、本作の物語では対照的に行動を起こす本人を中心とした物語の展開となっています。
全く違う視点での作品でありますが、多角的な視点でつながりの感じられるテーマを取り上げたことでギャヴィン監督自身の関心、思想を作品の中で明確に提示しています。
そして本作で強く提示されているのは「正義とは争いの中に存在しない。人を救うことが正義」という根本であります。キャサリン・ガン事件の真相として、この映画のポイントでもあるイラク戦争勃発の正当性については、実際のところ現在も結論付けられていません。
この作品は、そんな点よりむしろ国際関係という世界の出来事に対して、ひとりの一般人が社会的地位を失うというリスクを負いながら正義を貫く姿を描いていることが、本作の重要なポイントとなります。
キャサリンの行動がなければ、果たして世界はどうなっていたのか。結果的にイラク戦争は起きてしまいましたが「キャサリン・ガン事件」が世界で大きな物議を醸したように、彼女の行動は非常に大事な行為でありました。
そしてそのストーリーを、キーラ・ナイトレイが見事に演じきりました。あくまで普通の女性に見せるために、ナイトレイはキャサリンを司法に追われ不安にまみれた女性として演じました。
もし毅然とした勇敢な女性のイメージであると、この作品のメッセージ自体が異なるものになってしまい、そこで、ナイトレイの描いたこのイメージにより、物語のメッセージ性は一段と高まっていまるのです。
また大学では法律と経済の学位をとり、弁護士事務所で働いた経験もあるフッド監督だけに、細かい法規などの裏付けと物語の流れのよさもスムーズであり、法廷サスペンスの難しさを実感することなくストレートに映画の主題を感じ取ることができるが本作の魅力です。
まとめ
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』では、とある爆弾テロ犯人への攻撃に際して第三世界の人間を巻き込む確率をめぐって物語が展開し、結果的に犯人への攻撃は実行され現地の一般人が巻き込まれるという悲惨な結果で物語が幕を閉じます。
そのエンディングでは、犯人攻撃に巻き込まれた一人の少女が病院に連れ込まれ、治療の甲斐なく亡くなります。この作品では少女が死んだかどうかを明確にしないまま映画を終わらせる、という流れでも物語は成立したかのように見えます。
しかしそこを敢えてこの終わり方にしたのは、物語が物事の真偽を問うものでありながら、その裏でフッド監督の信念を明確に示しているようであります。
本作『オフィシャル・シークレット』のエンディングも、フィクション的な要素を感じさせながらもそういった意思を演出に込め、作品の存在価値を高めるものとなっており、歴史上の一つの事件を一般の人にも遠い存在ではないものとしています。
映画『オフィシャル・シークレット』は2020年8月28日(金)より全国公開されます!