映画『ニューノーマル』は2024年8月16日(金)より全国順次公開!
「ジウ姫」ことチェ・ジウが2016年の『ハッピーログイン』以来久々の映画出演を果たしたサスペンス映画『ニューノーマル』。
予想だにしない展開を見せる恐怖の事件が絡み合い、さらに予測不能の事件を引き起こすさまをトリッキーな構成で描きます。
韓国でホラーを中心に手掛けてきたチョン・ボムシク監督がバラエティーに富んだキャスト陣とともに、文字通りサスペンスの「ニューノーマル」を予感させる物語を完成させました。
映画『ニューノーマル』の作品情報
【日本公開】
2024年(韓国映画)
【原題】
뉴 노멀
【英題】
New Normal
【監督・脚本】
チョン・ボムシク
【キャスト】
チェ・ジウ、イ・ユミ、チェ・ミンホ、ピョ・ジフン、ハ・ダイン、チョン・ドンウォン、ほか
【作品概要】
数奇な運命が微妙に絡み合うことで人々の日常を一転させ、思いもよらなかった恐ろしい事態を巻き起こすさまを描いたサスペンス・スリラー。
大ヒットを記録した韓国ホラー『コンジアム』を手掛けたチョン・ボムシクが監督、脚本を担当しました。
キャストには韓流ブームで人気を博したドラマ『冬のソナタ』(2002)『天国の階段』(2003)のチェ・ジウ、『イカゲーム』(2021)『今、私たちの学校は…』(2022)のイ・ユミ、『長沙里9.15』(2019)に出演したK-POPグループ「SHINee」のチェ・ミンホ、同じくK-POPグループ「Block B」のP.O(ピョ・ジフン)ら個性豊かな面子が出そろっています。
映画『ニューノーマル』のあらすじ
女性を狙った殺人事件が連続して発生、そのニュースが大きく報道され、世間を恐怖に陥れていたソウルのある日。
マンションで一人暮らしをしている女性・ヒョンジョンのもとに、一人の男性が訪れてきます。彼女に何の通達もなく訪れた彼は、火災報知器の点検をしにきたといいます。
図々しく家の中に入ってくる怪しげな男に不安を覚えるヒョンジョンですが、彼の仕事が終わりを迎える頃、自体は思わぬ展開に……。
また別の時、マッチングアプリで知り合った相手と待ち合わせをしている女性ヒョンスは、待ち合わせの行き違いより思いもよらない人物と遭遇して今います。
一見する無関係な出来事はやがてほかの出来事とも複雑に交差し、さらに予想だにしない展開を見せていくのでした。
映画『ニューノーマル』の感想と評価
本作はいくつかの章で構成されたスリラー作品ですが、物語序盤から「なぜこの人物はここに現れたのか」「なぜこの人物は危機に直面するのか」と疑問だらけで幕を開け、一筋縄ではない伏線でその疑問を拾っていくというものです。
物語序盤は、チェ・ジウが演じる一人暮らしの女性ヒョンジュンと、火災報知機の検査に来たという一人の怪しげな男性が織りなすサスペンス・ストーリー。
短い時間で緊張感を保ちながらもあっけにとられる意外な結末へとつながり、この後の物語への期待感を掻き立ててきます。次に続くのは、第一章とはまったく関係のない人物による別の物語。
しかし章が続いていくごとに、別の章に登場するキャラクターを徐々にダブらせ、どこか本作全体の物語のつながりを感じさせます。その一方で時間軸を戻したり、逆に進めたりと、同時に見る側に迷いを生じさせます。
一つ一つの章で描かれる物語は、最初の章を除くとどこかサスペンスとは関係ない「ちょっといい話」、あるいは別ジャンルを彷彿する話で幕を開け、そしてそれぞれクライマックスでゾッとするような恐ろしさに持っていくという、変わった作りで構成されたものであります。
残酷なシーンは最小限ながらタイミングの取り方が巧みで、それぞれの章だけでもサスペンス感が満載。
さらに物語が進むにつれ、本筋に対する登場人物の意味、そして怖さ抜群のサスペンスシーンの意味合いは深くなり、最後の章が終わりを迎えた時にどこか物語の筋、テーマのようなものが見る側に、はっきりしないながら強いインパクトを残していきます。
その「一筋縄ではない」人物構成、章構成のつながりが本作の肝であり、サスペンス作品としても新鮮な刺激感を覚えさせており、ジャンルを超えて新しい作品作りの手法を、タイトル通り「ニューノーマル」なものとして提唱しているようでもあります。
チョン・ボムシク監督がかつて手掛けた映画『コンジアム』は、1999年に発表された映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』以降に多く使用されたPOV(Point of View)という手法を持ちながらも、トリッキーな技術などにそれほど頼らずに、徹底的に練られた構図やストーリー構成で独自の世界観を構築し、韓国国内のホラー作品としても大きなヒットを記録して話題となりました。
それだけに本作にもチョン監督ならではといえる独特のストーリー構築術が駆使されており、非常に見応えのある作品に仕上がっています。
まとめ
奇抜さが前面に出る本作のような作品は、得てして物語のテーマを薄く見られがちでありますが、本作には非常に強いテーマ、メッセージ性の主張も感じられます。
本作では何らかのきっかけで殺人が起きたり、あるいは連続殺人鬼が登場したりと、人を殺めるというシーンが多く登場します。
そのシーンが登場する理由は、物語序盤ではまったく分からないわけですが、いつしか直接人に手を掛ける人物ではない別の人物が「こいつを殺したい」「こいつは死ねばいいのに」と憎しみの感情をあらわにしていく様子が現れてきます。
こうした感情は、どこか人が自分の意識を認識していない心の中で何度も「人を殺している」ようであり、この感情の集まりが結果的に殺人という悲劇を迎えている、そんな顛末を描いているように見えます。
一般的にメディアなどによる通り魔殺人の理由を「犯人が『誰でもよかった』などと言っている」と簡単に報道されていることもありますが、そんな社会の不確かな情報伝達に対して、この作品は異議を唱えているようでもあります。
本作はそのように、ある意味さまざまな殺人のきっかけを掘り起こし普遍的なポイントに言及している作品であるとも言えます。そしてゆえにストレートに作られているように見えながら、どこか現実性をたたえた恐怖感を味わえるものであると言えるでしょう。
映画『ニューノーマル』は、2024年8月16日(金)より全国順次公開!