神経をえぐる、怖すぎる70年代傑作サスペンス映画
1960年代末に登場したアメリカン・ニューシネマと呼ばれる映画たち。その影響はハリウッドの大手製作会社の作品にも影響を与えます。
ハッピーエンドを棄て生活感ある人間を、リアリズムを重視した映像で描く…ニューシネマの要素は、大作映画の娯楽性の中にも取り入られました。
リアルなバイオレンスに臨場感を持つカーチェイス、登場人物を襲うパラノイア的な恐怖感…現在のメガヒット映画に登場する要素が、斬新な表現として描かれ始めました。
そんな時代であった1976年、ある映画が誕生します。現在は誰もが名作と扱うダスティン・ホフマン主演作、『マラソンマン』です。
この作品は他の70年代の名作とされる映画と異なり、“あるシーン”だけが極端に有名です。そのシーンだけは70~80年代にブームを迎えたホラー映画と同列に扱われ、今も多くの人々の記憶に刻まれています。
サスペンス映画でありながら『ジョーズ』(1975)のサメ、『シャイニング』(1980)のジャック・ニコルソンに匹敵する、インパクトシーンを持つ作品を紹介します。
CONTENTS
映画『マラソンマン』の作品情報
【製作】
1976年(アメリカ映画)
【原題】
Marathon Man
【監督】
ジョン・シュレシンジャー
【原作・脚本】
ウィリアム・ゴールドマン
【キャスト】
ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエ、ロイ・シャイダー、ウィリアム・ディベイン、マルト・ケラー、フリッツ・ウィーバー、リチャード・ブライト、マーク・ローレンス
【作品概要】
『真夜中のカーボーイ』(1969)で、アメリカン・ニューシネマを代表する監督の1人となったジョン・シュレシンジャーが、『明日に向って撃て!』(1969)の脚本を書いたウィリアム・ゴールドマンの小説を映画化した作品です。
主演は『卒業』(1967)や『真夜中のカーボーイ』で、アメリカン・ニューシネマを代表する俳優となったダスティン・ホフマン。彼の兄役を『ジョーズ』のロイ・シャイダーが演じました。
新世代の俳優と共演したのはシェイクスピア俳優として知られ、アルフレッド・ヒッチコック監督作『レベッカ』(1940)など数々の映画に出演のローレンス・オリヴィエ。
意外にも自分の出演した映画では『マラソンマン』が一番のお気に入り、と語ったオリヴィエ。彼は後に『ブラジルから来た少年』(1978)で、本作と対になる役を演じている事にも注目して下さい。
映画『マラソンマン』のあらすじとネタバレ
映画はローマ、東京のオリンピックマラソン競技で2大会連続金メダルを獲得し、その後自動車事故に遭遇しながらもパラスポーツに挑み、1973年亡くなった”裸足の英雄”アベベ・ビキラの映像から始まります。
アベベに憧れ、マラソンのトレーニングに勤しむ大学院生のベーブ・レヴィ(ダスティン・ホフマン)。同じころ銀行の貸金庫から、1人の老人がある物を取り出していました。
銀行を出た老人は煙草ケースに入れた小さな荷物を、通りすがりの男に渡します。老人は古いベンツの乗用車に乗り運転しますが、路上でエンストを起こします。
立往生した老人の車に、ユダヤ人の男の車が道を塞がれ口論になります。老人の車は動き出しますが、相手がドイツ人と知り執拗に追いかけるユダヤ人の車。
2台の車はユダヤ人街でカーチェイスを繰り広げ、タンクローリーと衝突する事故を起こし爆発炎上します。ベーブは偶然その現場を目撃します。
自分を追い抜いたランナーをベーブは必死に追いますが、抜き去る事は叶いません。黙々と走る彼は近所に住む若者たちから変人と思われ、からかわれていました。
帰宅した彼が浴槽に浸かっていると、ニュースでは先程の爆発炎上事故を、ユダヤ人の祝日ヨム・キプルの日の交通事故で2人が死んだと報じます。
同じ頃パリのホテルでドク・レヴィ(ロイ・シャイダー)は、菓子を購入するとその箱に煙草ケースを隠します。それは死んだ老人が、貸金庫から引き出した物を入れたケースに似ていました。
ホテルを出たドクの後をつける、乳母車を押す男がいました。宝飾品を売る店に入ると、店の主人に例の菓子箱を渡すドク。
店を出たドクが待たせたタクシーの傍に、何者かが乳母車を置きました。ドクがタクシーに乗ると乳母車の中の人形が爆発します。その光景を見守る男がいました。
大学でビーゼンタール教授(フリッツ・ウィーバー)の元で、アメリカ国内の強権的な政治を研究し学位を取ろうとするベーブ。彼は教授に自分は成功したビジネスマンの兄がいると語ります。
ベーブの父は自分の良き指導者だったと語る教授。彼は父と異なる道を進もうとするベーブを残念に思っているようです。少年時代に拳銃自殺した父を思い出すベーブ。
ベーブの父は研究に対し傲慢だったが、同時に繊細であったと語り、彼が死んだ日に私は泣いたと語る教授。
爆発を逃れたドクは、レストランでピーター(ウィリアム・ディベイン)と密会します。ドクは自分の身に危険が迫っていると説明し、それでも宝飾店の主人に指示されたオペラに行くと告げます。
オペラ劇場に現れたドクは、指定された席の男に話しかけます。しかし男は喉をかき斬られ死んでいました。
周囲に気付かれぬよう立ち去るドクを、彼を監視する男が見つめています。劇場を出ると、周囲に怪しい気配を感じたドク。
翌朝ホテルに戻ったドクは、彼を監視していた男に襲われます。凄腕の殺し屋らしい男を倒したドクは、何者かに電話をかけます。
移動し病院で治療を受けたドクはピーターと会います。ゼルの兄がニューヨークのマンハッタンで殺されたと告げるピーター。
同じ頃ニューヨークでは、ベーブが大学の図書館で会った女性に話しかけられていました。
彼女が本を忘れたと気付き、記された名からエルザ・オペル(マルト・ケラー)と知り、アパートまで追ったベーブ。
本を受けるとつれない態度のエルザに、実は関心を持っているとベーブは告白します。ようやく彼女の気を引けたと満足して立ち去ります。
一方、遠く離れた南米の密林の中に、見張りの男が厳重に警備する邸宅がありました。マンハッタンでの兄の死を知った館の主、クリスティアン・ゼル博士(ローレンス・オリヴィエ)は旅立ちました。
フランス語を操るエルザはスイスの留学生でしょうか。ベーブは彼女と動物園でデートします。やがて親密になり、ベーブのマラソンのトレーニングに立ち会い、彼に体を委ねるようになるエルザ。
しかし野外でデート中、ベーブとエルザは2人組の男に襲われます。男たちはベーブを酷く殴り付け去って行きました。
ベーブは物事に真剣に向き合わずに生きてきた自分が、愛する人を守るために暴力的になったと兄ドクに手紙で告白します。彼は兄に会いたいと書いて送りました。
飛行機に乗ったゼル博士は、機内で頭を剃り容姿を変えます。ニューヨークで彼を出迎えた2人の男は、ベーブを襲った者に似ていました。
部屋で就寝中のベーブの前に、忍び込んだ男が立ちます。気配に気付き警戒するベーブを何なく取り押さえたドク。
突然の兄の振る舞いに怒ったベーブに、ドクはお前の反応を見たかったと応じます。中の良い兄弟のように手荒くじゃれ合う内に、ベーブは兄が怪我していると気付きました。
近況を聞かれたドクは、石油業界は景気が良いが取引相手と騙し合う、油断ならぬ汚れた世界だと打ち明けます。
ワインを飲みつつ、ドクは弟に公園で襲ってきた2人組について尋ねます。相手は不良少年の類ではなく、スーツを着込んだビジネスマン風の男と答えるベーブ。
ドクは部屋で父に関する資料を見つけ、弟と言い争いになります。兄弟を残し自殺した父の存在は、2人の間にわだかまりを残していました。
自分のビジネスは人から素晴らしいと思われているが、決してそうではないと語ったドクは、ベーブが護身用に手に入れた銃を見せてもらいます。
リベラルな平和主義者の弟が銃を手にしたと驚く兄は、弟がそこまでして守ろうとする恋人に会いたいと望み、ベーブは共にランチをしようと言いました。
こうして兄とエルザと共に高級レストランで食事をする事になったベーブ。しかしネクタイをせず入店して注意され、世慣れたドクから呆れられます。
和やかに食事が始まりましたが、ドクはエルザが名を出した町に関する誤りを指摘し、彼女はスイス人ではないと見抜き、彼女にドイツ人ではないかと聞いたドク。
動揺した彼女に、永住権目当てにアメリカ人男性との結婚を望み、それを狙いベーブに近づいたと指摘するドク。それを強く否定したエルザは怒って席を立ちました。
兄の無礼な言動をとがめたベーブに、エルザをドイツ人と見抜いたドクは、ではなぜ彼女は身分を偽ったのかと指摘します。
その後ドクはある場所で取引相手と面会します。それはゼル博士でした。ドクは取引に自分の家族を巻き込んだと怒り、博士の頬を激しく打ちました。
倒れたゼル博士は立ち上がります。お前はいずれ危険を冒してまで銀行に行くだろうと指摘するドクに、お前こそ取引相手として信用できる相手なのか、と告げたゼル博士。
我が身の安全の話をしているのだ、と凄む博士に軽蔑の言葉を浴びせたドクは突然刺されます。うめき声をあげ倒れたドクを残し、博士は部下と共に立ち去ります。
マラソンを終え自室に戻ったベーブの元に、エルザから電話がかかります。彼女はスイス人と偽った理由を何か言いたげでしたが、ベーブは彼女を落ち着かせ電話を切りました。
すると部屋に腹部を刺されたドクが現れ、悲鳴を上げたベーブ。兄は弟の名を呼び、そのまま息を引き取りました。
現れた刑事は現場の写真を撮り、ベーブに質問を浴びせます。動揺したまま彼はそれに応じますが、なぜ兄が殺されたのかは謎のままです。
殺害現場にドクがパリで会った男、ピーターが現れます。ドクの友人で、自分を友が呼ぶようにジェニーと呼んで欲しいと告げ、握手を求めたピーター。
あなたの友人では無いと言うベーブに、ドクの死もあなたの父の自殺も、政治的な理由があるかもしれない、とピーターは告げました。
話が理解出来ず思わず声を荒げたベーブの前で、兄の遺体は運ばれていきました。落ち着いた彼に、ピーターは何が起きたか詳細に話すよう求めます。
兄の職業を聞かれ、石油事業だと説明したベーブに違う、と告げるピーター。彼は今まで知らなかった兄の一面と、兄が関わっていた物の正体を知らされるのです…。
映画『マラソンマン』の感想と評価
歯医者さんに行く前には、絶対に見てはいけない映画でした。いかがでしょうか?
ローレンス・オリヴィエが怪演を見せたゼル博士は、AFI(アメリカ映画研究所)が「100年シリーズ」銘打って選ぶ、“映画史の残る悪役”第34位にランクイン、『マラソンマン』も“スリリングな映画”50位に選ばれます。
人々の記憶に残る拷問シーンは、改めて見ると意外に「見せていない」と気付かされます。このシーンの恐怖はオリヴィエの演技と、”ドリルの音”によって生まれました。
当時ガンと闘病中で、余命僅かと信じ家族に金を残そうと本作出演を引き受けたオリヴィエ。鎮痛剤など薬を服用して撮影に臨み、副作用でセリフが覚えられないなど苦難の中で演技しました。
それでも映画史に残る悪役を演じきったオリヴィエ。本作の演技でアカデミー助演男優賞にノミネート、しかも患っていたガンも寛解します。1989年まで生きたオリヴィエにとって、本作は良い事づくめの作品でした。
新旧名優の対決に、撮影に新技術導入
撮影時、シェイクスピア俳優ローレンス・オリヴィエと、アメリカン・ニューシネマを代表する俳優ダスティン・ホフマンの共演は大きく話題となりました。
誰もが認める古典的な演技の達人オリヴィエに、メソッド演技(現実と近い自然な演技を追求する、いわゆる”なりきり演技”)の完璧主義者ホフマンの対決です。撮影現場で何かが起きると世間は大いに注目します。
拷問シーンを自然に演じるために、一晩中起きて撮影に臨んだホフマン。呆れたオリヴィエが、「無茶はせずに、単に演じればイイのでは?」とツっこんだ…という話が長く信じられました。
後にホフマンは当時離婚して落ち込んでおり、憂さ晴らしで夜を明かしパーティーにのめり込んでいただけ、と否定します。こんな噂が囁かれるほど、2人の共演は話題になっていました。
本作もニューシネマらしい作品であり、そして当時ホフマンが好んで出演した社会派映画であると見る向きもあります。
しかし視点を変えるとヒッチコックの映画のような巻き込まれ型サスペンスで、『ミッション:インポッシブル』(1996)のような架空のスパイ組織?が登場する娯楽映画とも受け取れます。
そして一向に正体が見えない敵と、謎が多すぎる周囲の人物。全ては兄の死で猜疑心に憑りつかれたゼル博士の行動から始まり、主人公には事件の背景が見えません。
このパラノイア的展開に加え、マラソンに没頭するあまり変人扱いされる主人公の姿は、都会人の孤独を描く現代的作品とも言えます。
本作はスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』に先駆け、開発されたばかりのステディカムカメラで撮影されました。、70年代映画風の暗い画面を持つ作品ながら、現在の映画に近い印象を受ける理由はこれらの要因からでしょう。
“ナチス残党の拷問映画”に終わらぬヤバい映画
本作は戦犯の追及を逃れたナチの戦犯と、その逃亡を援助する組織が悪役になっています。改めて背景を解説しましょう。
第2次世界大戦終了時、ユダヤ人虐殺に関与した者など、多くのナチス関係者が戦犯として逮捕され裁かれます。しかし行方をくらました者も多数いました。
そういった人物の逮捕にイスラエルの諜報機関モサドなどが動きます。1960年、ユダヤ人虐殺に関与したアドルフ・アイヒマンはモサドにより、南米のアルゼンチンで逮捕されました。
やがて冷戦の激化と共にナチス関係者の復権も進み、それを危惧する声が現れ、それを背景に『将軍たちの夜』(1967)や、『真夜中のカーボーイ』でダスティン・ホフマンの相手役を務めた、ジョン・ヴォイトが主演の『オデッサ・ファイル』(1974)などの映画が生まれます。
そして原作小説と本映画が発表される以前から、アウシュヴィッツ収容所で人体実験を行った戦犯、ヨーゼフ・メンゲレ博士の行方は世界的な話題になっていました。
結局逮捕されることなく1979年、ブラジルで死亡したメンゲレ博士。彼こそが本作のゼル博士のモデルです。
南米を中心にナチ関係者が逃亡している。1973年のチリ軍事クーデターなどで誕生した、南米の軍事政権にナチ残党が関与している。このままでは、やがて南米にナチス第4帝国が誕生する!
といった憶測がまことしやかに語られた時代です。当時の日本の特撮・ロボットアニメ番組の敵役に、ナチ残党が登場するのも当然。円谷プロの特撮ドラマ『マイティジャック』(1968~)には、逃亡中のナチ戦犯「メンゲル」博士が登場…、そんな時代でした。
当時アメリカでは、公民権運動の過激化と挫折、ベトナム戦争の敗北、ケネディ兄弟やキング牧師・マルコムXの暗殺、そして本作と同年公開のダスティン・ホフマン主演作、『大統領の陰謀』(1976)が描いたウォーターゲート事件が、強い政治不信を招いていました。
この世には恐ろしい陰謀が渦巻き、何かが暗躍しているのではないか。何やら陰謀論めいた政治不信を背景に生まれた映画が『マラソンマン』です。
まとめ
何とも恐ろしい陰謀論が背景にあるのでは思わせる、精神と共に健康な歯を神経まですり減らす映画『マラソンマン』。
改めて振り返ると問題の歯医者シーンより、本作と同年公開の『タクシードライバー』(1976)のロバート・デ・ニーロと張り合ったとしか思えない、袖口に仕込んだ飛び出しナイフの方が今も記憶に残り、後のサブカルチャーに影響を与えたようにも思えます。
さて。本作をご覧の方には、誰がどんな悪人なのかいま一つ判らない、という方がいるようです。そこで一つの解釈を説明させて頂きます。
ゼル博士のナチ逃亡犯組織に潜入捜査し殺された主人公の兄ドク、同僚の彼を裏切りゼルに協力したのがピーター、と多くの場で説明されています。ではなぜピーターは別荘で主人公ベーブを逃がし、一方でその恋人エルザを射殺したのでしょうか。
自称アメリカ政府機関の人間、ピーターはゼルに協力していました。しかしそれは彼に利用価値があった時だけ。ゼルが兄の死から猜疑心に囚われ、ダイヤを奪おうとしたと信じドクを殺害し、今まで通り金品を引き出せなくなると、もはや邪魔で危険な存在だと判断します。
そこでピーターはゼル博士とアメリカ政府のつながりを消そうとします。ゼルの部下だけでなくエルザを殺したのも、ベーブにゼルを殺させようとしたのも、全ては隠蔽工作と考えれば辻褄が合うでしょう。
その後博士を恨みから殺したベーブを逮捕するか始末すれば、真相は闇の中。それがピーターの計画だと推測できます。
するとゼルの手下に襲われ、弟の身を案じニューヨークに現れたドクも、ゼル博士が暴走するまでは同僚のピーターと同じ目的で、逃亡ナチ戦犯一味の協力者であったとも解釈できます。
当時南米の軍事政権誕生の背景には、実はナチ残党ではなくCIAが関与していたと今では広く知られています。ピーターとドクの所属するアメリカ政府機関は、CIAのように汚れ仕事や工作資金提供をゼルたちにやらせていたのでしょう。
しかし博士の暴走に手を焼き、事態が表面化する前に隠蔽しようと動くピーター。彼にとってベーブに射殺された事は大きな誤算…と想像することが出来ます。
政府がやCIAが何をしているのか信じられない、目的のためならナチ残党すら利用しているのでは、という当時のアメリカ国民の強い政治不信が本作の背景にあります。
本作は明確な解釈を観客に説明していません。観客はベーブ同様陰謀渦巻く世界に巻き込まれ、与えられた情報から自分で判断するしかありません。
ゼル博士一味の正体どころかピーターの狙いも、兄と父の死の背後にあるものも、本当にエルザに愛されていたのかすら判らない、陰謀と不審に包まれた主人公ベーブ。本作の闇は、歯への拷問以上に深いのです。
彼が少々偏執的にマラソンにこだわるのは、政治不信などが渦巻く世間に背を向けたいからです。陰謀に満ちた煩わしい世界に生きるより、“裸足の英雄”アベベのように、求道者のように黙々と走る人間になりたい、それが大都会で孤独に生きるベーブの望みでした。
なぜ本作の主人公が走るのか、なぜ本作のタイトルが『マラソンマン』なのか、お判り頂けましたか?