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Entry 2019/08/17
Update

映画『シャイニング』ネタバレあらすじと考察。結末に向かい父親はなぜ狂ったか解説

  • Writer :
  • さくらきょうこ

スタンリー・キューブリック監督が唯一撮ったホラー映画『シャイニング』。

原作者は『キャリー』や『IT』『ミスト』などで知られるモダンホラー小説家、スティーヴン・キング。

「シャイニング」と呼ばれる超能力を持つ少年ダニーと、その家族に降りかかる恐怖を描いた作品がこの映画『シャイニング』です。

2019年冬には、ユアン・マクレガー主演で本作の続編が日本でも公開されます。そちらの監督は『オキュラス/怨霊鏡』などで知られるマイク・フラナガン監督で、タイトルは『ドクター・スリープ』です。

『ドクター・スリープ』公開前に、本作をおさらいしませんか。

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映画『シャイニング』の作品情報

©Warner Bros. Inc.

【日本公開】
1980年(イギリス・アメリカ合作映画)

【監督】
スタンリー・キューブリック

【キャスト】
ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザース、バリー・ネルソン、フィリップ・ストーン、ジョー・ターケル、トニー・バートン、アン・ジャクソン、リア・ベルダム

【作品概要】
『2001年宇宙の旅』(1968)はSF映画の金字塔となり、そのあとに撮った『時計じかけのオレンジ』(1971)で巨匠の名を不動のものにしたスタンリー・キューブリック監督。同じジャンルの映画を撮らないことで有名なキューブリック監督が満を持して、唯一撮ったホラー映画がこの『シャイニング』です。

冬季閉鎖される雪山のホテルを舞台に、次第に常軌を逸していく管理人の父親をジャック・ニコルソンが怪演しました。斧で壊したドアの隙間からのぞいたジャックの顔はあまりにも強烈で、この映画を象徴するシーンとなっています。

映画『シャイニング』のあらすじとネタバレ

©Warner Bros. Inc.

コロラド州、ロッキー山脈の山中にあるオーバールックホテルは、雪に閉ざされる11月から5月まで閉鎖し、その間冬季管理人一家によって管理されます。

ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は教師の仕事を辞め、作家業に専念するためにこのホテルの冬季管理人の仕事に応募しました。

ホテルに到着したジャックを出迎えたのは支配人のスチュアート・アルマン(バリー・ネルソン)です。彼はジャックに、かつて冬季管理人をしていたグレーディーという男が、斧で妻と二人の娘を惨殺し、自分も猟銃を口にくわえて自ら命を絶ったと話しました。

その頃自宅では、ジャックの息子ダニー(ダニー・ロイド)が、自分の中にいるもう一人の人格、トニーと会話していました。

トニーには予知能力があり、そろそろパパから電話がくるよ、と言うとすぐに、ジャックから妻ウェンデイ(シェリー・デュヴァル)に、管理人に採用されたと電話がかかってきました。

ダニーはその後、エレベーターからあふれ出る大量の血や、佇む双子の女の子の悪夢をみて体調を崩してしまいます。

往診に来た女医(アン・ジャクソン)にトニーのことを尋ねられたウェンディは、酒に酔った夫の不注意でダニーがケガをし、しばらく学校を休んでいたころから現われ始めた、と説明しました。

ホテル閉鎖の日、トランス一家はオーバールックホテルに到着。慌ただしく下山の準備をする従業員たちに声をかけながら、アルマンはホテル内を案内します。

ウェンディは豪華な内装を気に入り上機嫌、ダニーは一人で遊んでいるとき双子の女の子を見かけて不審に感じるのでした。

家族と合流したダニーはそこで、黒人の料理長ハロラン(スキャットマン・クローザース)と出会います。実はハロランにもダニーと同じような能力があり、テレパシーのようにダニーの頭の中に直接語りかけてきました。

ちょうど二人きりになれたハロランは、ダニーを怖がらせないように気づかいながら、この能力「シャイニング」のことや、ホテルでの注意点を教えるのでした。

1ヵ月後。最初は気味悪がっていたウェンディもすっかり慣れ、ホテルでの生活を満喫しています。

ダニーはおもちゃの車で、ホテル内の廊下を自由に走り回っています。ジャックは、広間に執筆用のタイプライターをセッティングしたものの、壁にボールをぶつけて遊んでおり、ドーンという音だけが不気味に響き渡っていました。

ある日、広間でタイプライターを打つジャックのもとに、ウェンディがこれから大雪になると知らせにやってきます。

執筆を邪魔されたジャックは激昂、打ったばかりの原稿を破り捨ててしまいます。そして、ここで音がしていたら絶対に邪魔するなと怒鳴りつけるのでした。

週末。オーバールックホテルはすっかり雪に覆われていました。

電話が通じなくなり、ウェンディは支配人室にある無線を使って森林警備隊に連絡します。雪で電話線が切れたのでしょう、と言われ、早々に会話は終わってしまいました。

ダニーは相変わらずおもちゃの車でホテル中を走り回っていましたが、角を曲がったところで双子の女の子に遭遇。フラッシュバックのように、惨殺された二人の姿が浮かび、ダニーは恐怖におののくのでした。

月曜日。ダニーは、寝ているジャックを起こさないよう、そっとおもちゃを取りに部屋へ入ります。すると、虚ろな目をしたジャックがベッドに腰かけていました。

ジャックは手招きし、ダニーを膝の上に乗せます。やつれた様子のジャックは仕事が忙しくて眠れないと言い、心配するダニーに、疲れているだけだと答えます。

ママとぼくをいじめないで、とダニーが言うと、ジャックは一瞬顔色を変え、ママがそう言ったのか?とダニーに問いかけます。

それをダニーが否定すると、かわいいおまえをいじめるものか、とジャックは笑顔で答えるのでした。

ますます雪深くなってきた水曜日。ダニーがミニカーで遊んでいると、どこからともなくボールが転がってきました。

顔を上げると、以前ハロランに近づくなと言われた237号室のドアが開いていました。ダニーは恐る恐るその部屋に入っていきます。

ウェンディはボイラーの点検をしていました。すると、広間の方からジャックの叫び声が。

あわてて駆けつけると、悪夢にうなされたジャックが狼狽しており、夢で君とダニーを殺した、きっと俺は気が狂うんだ、と言い、ウェンディはなだめようとジャックを抱きしめました。

そこへ、指をくわえたダニーがやってきます。ウェンディは、部屋に行くように言いますがダニーは止まりません。ウェンディが言いきかせるためにダニーに近づくと、その着衣は乱れ、首には絞められたような痕がついていました。

ダニーを抱きしめたウェンディは、「あなたがやったのね!」とジャックをなじり、ダニーを抱いて広間を出ていってしまいました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『シャイニング』ネタバレ・結末の記載がございます。『シャイニング』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

濡れ衣を着せられたジャックは、怒りながらボールルームにやってきました。バーカウンターに座り、酒が欲しいと願って顔をあげると、そこにはバーテンダーの姿がありました。何故か、以前から知っているようにジャックは彼に話しかけます。

バーテンダーのロイド(ジョー・ターケル)は、従順にジャックに酒を出します。禁酒を破ったジャックは、ロイド相手に妻ウェンデイに対する愚痴を言い始めました。

しばらくすると、ウェンディが血相変えて走ってきました。ダニーは237号室で、見知らぬ女に首を絞められたのだと言うのです。

その頃、遠く離れたマイアミの自宅でハロランは、ダニーの危機を感じ取っていました。ハロランとダニーは、「シャイニング」の能力でつながっていたのです。

ウェンディに頼まれたジャックは、ひとりで237号室にやってきました。

バスルームに入ると、中から美しい全裸の女(リア・ベルダム)が出てきました。誘われるように女を抱きしめキスを交わすと、鏡に映ったその姿は腐りかけた老婆へと変貌、あわててジャックは体を離しました。

高笑いする老婆から逃れ、ウェンディのもとに戻ったジャックは、何もなかったとウソの報告をします。

動揺するウェンディは一刻も早くここを出ましょうと言いますが、ジャックはその提案を聞き、今度こそ仕事の邪魔はさせない、と怒って部屋を出ていってしまいました。

ジャックが再びボールルームにやってくると、そこではパーティが開かれており、1920年代風ファッションに身を包んだ男女がたくさんいました。

給仕係とぶつかり飲み物が服にかかってしまったジャックは、シミを落とすためその男と化粧室に入りました。男の名はグレーディー(フィリップ・ストーン)。

ジャックはグレーディーに、以前ここの管理人をしていたかとたずねましたが、彼は否定しました。しかし、娘二人と妻を厳しくしつけた、と言います。そしてジャックに、息子のダニーがハロランを呼んだと告げ、しっかりしつける必要があると言うのでした。

ウェンディは部屋で、これからのことを考えています。ダニーと二人で雪上車を使って山を下りよう。そう決心したウェンディの耳に、「レッドラム」と連呼するダニーの声が聞こえてきました。

しかしそれはダニーではなくトニーで、ダニーの意識は深く沈んでしまっているようでした。

ジャックは、無線の呼びかけの声を聞きつけ支配人室にやってきました。ハロランの要請によって森林警備隊が連絡してきたのですが、ジャックはその無線機を壊してしまいます。

翌朝8:00am。ジャックは一人、広間でタイプライターを打っています。

ハロランはデンヴァー行きの飛行機に乗っていました。空港に着くと知り合いのラリー(トニー・バートン)に電話し、ホテルに向かうため、雪上車を借りる約束をしました。ホテルに着くのは夜中になってしまいそうです。

ウェンディはダニーを部屋に残し、ジャックと話すためバットを手に広間へやってきました。そこにジャックの姿はなく、ウェンディは何気なく積み上がった原稿の束に視線を落とします。

そこには、「仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う」と、同じ文章が延々と綴られていました。

傑作だろ、と背後から声をかけてきたジャック。ウェンディはうろたえ、バットを手に後ずさります。

はっきりとした悪意を持って近づいてくるジャックに、ウェンディは仕方なくバットを振り下ろし、ジャックは倒れてしまいます。

ウェンディはジャックの体を引きずって倉庫に閉じ込め、外から鍵をかけました。開けてくれと哀願するジャックに、ウェンディは雪上車で山を下りると告げました。

すると勝ち誇ったようにジャックは笑い、雪上車を見てみろと言います。ウェンディが車庫に行くと、既にそれは壊されたあとでした。

4:00pm。倉庫の中で眠ってしまっていたジャックに、外からグレーデーが声をかけてきました。妻子のしつけができないのではないかと「私たち仲間」は心配しています、と彼はあおり、ジャックは今度こそ殺すと約束してそこから出してもらいました。

ウェンディたちの部屋では、ダニーが「レッドラム」といいながらドアにその文字を書いていました。鏡に映ったその文字は「MURDER(殺人)」。

するとジャックがやってきて、鍵のかかったドアを斧で破壊し中に入ってきました。ウェンディとダニーはバスルームに逃げ込んで施錠し、小さな窓からダニーは脱出しました。しかし、ウェンディにはその窓は小さすぎて通れません。

ジャックはバスルームのドアも斧で破壊し、顔をのぞかせます。そして鍵を開けようと手をいれたところ、ウェンディがナイフで切りつけ、ジャックは入ることを断念します。

そんなとき、ハロランの乗った雪上車がホテルに到着しました。

その音に気づいたジャックは、訪問者を待ち伏せるべくロビーに向かいます。そして、声をかけながら入ってきたハロランの胸に、斧で一撃食らわせ、ハロランはその場で絶命してしまいました。

窓から脱出したダニーはホテル内に入り、業務用の棚の中に身を潜めていましたが、ハロランが襲われたあと、飛び出してジャックに見つかってしまいます。

外に逃げたダニーは雪上車の影に隠れますが、ジャックが外の照明をつけたため、仕方なく迷路へと逃げ込みました。

必死に逃げるダニー。足をひきずりながらも斧を持って追うジャック。雪の上についたダニーの足あとをたどって行けばいいので、ジャックは余裕を持っています。

ふとダニーは立ち止まり、自分の足あとをなぞるように数メートル戻り、横道に入って自分の足あとを隠しました。

途中で消えた足あとに混乱したジャックは、必死に走り回りますが、ダニーを見つけることはできません。

ダニーはなんとか迷路を抜け出すと、ウェンディと合流し、ハロランが乗ってきた雪上車で逃げ出すことに成功しました。

翌日、迷路の中で凍死したジャックの姿がありました。

そしてホテルの壁には、中央にジャックが写り込んだ写真が飾られていました。

その写真に印刷された年号は、1921年でした。

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映画『シャイニング』の感想と評価

原作者のスティーヴン・キングは、この映画『シャイニング』が気に入らなかったといいます。

最も大きなちがいは、オーバールックホテルの亡霊たちの扱いです。

原作はもっとオカルト的な雰囲気で、人智を超えた悪霊たちのせいで登場人物たちが苦しめられますが、キューブリックの映画では、主に仕事や家庭生活がうまくいかないストレスから主人公は病んでいきます。

原作のジャックは、キング自身を投影したキャラクターでもあり、悪霊たちによって精神に異常をきたすものの、最終的にはそれを乗り越えるという展開になっています。しかし映画版では、ホテルに行く前からDVなどの問題があり、それがホテルでの生活を機に悪化したという描き方をされ、殺人を犯すに至っています。

そもそも、『カッコーの巣の上で』(1975)での狂気に満ちた演技で主演男優賞を取ったジャック・ニコルソンを主役に据えた時点で、キューブリックの方向性は決まっていました。

それは今で言う、サイコ・スリラー(サイコ・ホラー)というジャンルに入れた方が適当のように思われます。

公開当時、『シャイニング』は恐くない、と言われました。

1980年当時、オカルトブーム真っ只中で、様々なホラーの傑作から駄作まで玉石混交の映画がありましたが、その中で、この映画にはホラーファンを震え上がらせるような霊的な恐怖はありませんでした。

それよりもこの映画は、ジャック・ニコルソンによって体現された人間の怖さ、変わっていく人間関係の難しさを味わう作品だったのです。

まとめ

撮影技術にもこだわったキューブリック監督は、当時開発されたばかりのステディカムカメラを用い、ダニー少年を背後から追っていく映像を撮りました。

振動を吸収するステディカムにより、長いホテルの廊下や雪の迷路での緊迫したシーンをなめらかに撮影することができ、その技術が広く知れ渡ることになりました。

それだけでなく、キューブリックらしい画面、例えば計算された左右対称の画面(ホテル内の廊下や双子の配置など)や、違和感があるほどあざやかな真っ赤なトイレなど、ファンならずともそうそう!と言いたくなるキューブリックらしいシーンがふんだんに登場します。

キューブリックの過去作品を彷彿とさせるシーンもファンにはたまりません。

ハロランのベッドルームには、『時計じかけのオレンジ』に出てくるような女体の絵が対称的に飾られていますし、ベッドに横たわる彼の様子はまるで『2001年宇宙の旅』のボウマン船長のようでした。

単なるホラーではなくモダン・ホラー。キューブリックこだわりの映像を存分に楽しんでください。



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