日本のアニメーションは、時に海外にまで影響を及ぼす作品が現れることがあります。
今回はその中でもキワモノ感溢れるR-18アニメ作品の実写化作品『KITE/カイト』を紹介します。
1.映画『KITE/カイト』の作品情報
【公開】
2015年(アメリカ)
【原題】
Kite
【監督】
ラルフ・ジマン
【キャスト】
インディア・アイズリー、サミュエル・L・ジャクソン、カラン・マッコーリフ、カール・ボークス、テレンス・ブリジット、デオン・ロッツ、ライオネル・ニュートン
【作品概要】
経済が崩壊した近未来で、少女が売買される中、両親を殺された少女サワは、人身売買の組織への復讐を誓います。
そのために娼婦に成りすまし、組織に潜り込むのですが、精神を保つ薬の副作用で両人の顔すらも思い出せなくなりそうになって行きます。
そして組織のボスに近づきにつれ、彼女は衝撃の事実を目の当たりにします・・・。
日本ではアダルトアニメとして発表されたのち、海外でも人気を得た梅津泰臣監督のエロティックバイオレンスムービーです。
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2.映画『KITE/カイト』のあらすじとネタバレ
経済が崩壊し、少女の人身売買が横行する近未来。
廃墟と化した都市で1人の男が、赤髪の少女を担いでエレベーターに乗り込むます。
そこで居合わせた建物の住人である老婆は、男がこれから少女とするであろう事に嫌悪感を示しますが、癪に障った男は老婆に暴力を振るいます。
すると、少女は鞄に隠していた銃で男の頭に銃を打ち込むと、打ち込まれた銃弾は頭部で破裂。
老婆を証拠隠滅のために処理しようとしますが、少女の過去のフラッシュバックと重なり、生かしたまま姿をくらまします。
後に現場にカールとその同僚の刑事が駆けつけ、老婆の証言や、使われた銃が警察関係者特有のものであることが判明します。
少女サワは、幼い頃両親を人身売買を牛耳る「ナンバーズ」という組織に殺されてしまい、以後、園リーダーであるエミールに復讐するために生きていました。
父は元警察官で、カールは彼の同僚でした。
しかしサワは過去の記憶がトラウマとなっているため、カールから渡される「アンプ」という精神安定剤で、何とか精神を保つ状態でした。
暗殺した男からエミールの取引をつかんだサワは、娼婦に変装してアジトに乗り込みます。
アジトにはソーンヒルという男がサワの存在に疑問を抱くも、彼の部下が「商品」である少女の調達をしくじったことで、彼女を雇うことにします。
商品の確認もかねて、ソーンヒルはサワを自分の父親と相手させるように仕向け、自分は取引先へ移動します。
ソーンヒルの父親とベッドをともにしようというそのときに、サワは下着に隠していた凶器で父親を襲います。
そしてソーンヒルに調達をしくじった罰で拘束されている部下に、売買された「商品」の出荷先を拷問にかけながら聞き出すと同時に、手がかりとなる男が住む名前と番号が振られたタグを発見します。
アジトを脱出すると、組織の連中に追われているところを、オブリという青年に救われます。
オブリはサワのことを知っているようですが、サワ自身は覚えていないといいます。
彼はその原因のひとつに、サワが依存している精神安定剤「アンプ」が原因になっているといいます。
その薬は副作用として、自身の記憶を無くしていくものでした。
サワにとって、それはむしろ好都合なことだと言い張りますが、オブリは今の薬を使い続けて入れば、いずれ亡くなった両親の顔すら思い出せなくなると警告します。
サワは部屋に戻ると、隠してある両親と撮った写真を見ますが、両親の顔は破り取られています。
3.映画『KITE/カイト』の感想と評価
原作がR-18なのに対して、実写版はR-15。つまり性的描写を期待してみると、思いっきり期待が外れてしまいます。
しかし、バイオレンス描写に関しては妥協がなく、妖艶な作風に相まって、よりショッキングなシーンが際立つようになっています。(そもそもオリジナルは、企画を通すためにエロ要素を入れた節があるので、監督が本当にやりたかったようなことを、実写化ではやっているのかもしれません)
私自身、アニメの存在は知らないため未見ですが、未見の人ほど、今作を見ると原作を見てみたくなると感じました。
今作を分析してみますと、冒頭のエレベーターのシーンはかなり原作を意識していると思いますし、サワが自分の名をエミールに聞かれたときは、オリジナルアニメの名前・砂羽にちなんだ説明をしています。
さらにサワが赤髪のウィッグをつけて変装する設定は、オリジナルの続編に登場する主人公が、女子高生でありながら裏の顔である暗殺者になる際、カラコンや髪型を変える設定を踏まえているのかもしれません。
ちなみにオリジナルの続編『KITE LIBERATOR』はノワール要素だけでなく、主人公のお父さんが宇宙で実験体にされるという、ぶっ飛びSF要素まで加わっています。これはめちゃくちゃ見たいですねえ。
まとめ
ラルフ・ジマン監督『KITE/カイト』インタビュー
今作は、原作の実写化でありながら、その原作よりも知名度があるように感じます。
それゆえ、今作を見ると、もれなくオリジナルアニメを見てみたくなること必須です。(調べてみると、英語吹き替えのインターナショナル版が存在するようです。アダルトシーンはカット)
実写版では、当初予定していた監督が亡くなるという事態になりながらも完成した作品ということもあり、どこか惜しい部分も見られます。
それゆえラルフ・ジマン監督の次回作に、期待したくもなる作品でした。
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