Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

梟ーフクロウ|あらすじ感想と評価解説。リュ・ジュンヨルが韓国映画“史実に記された怪死の謎”に迫る緊張感MAXサスペンス

  • Writer :
  • 松平光冬

闇夜に起きた怪奇な事件。唯一の“目撃者”は盲目の男――

韓国年間最長No.1記録を樹立した、映画『梟ーフクロウー』が、2024年2月9日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショーとなります。

韓国の史実に残された最大の謎に迫る、<全感覚麻痺>サスペンス・スリラーの見どころをご紹介します。

映画『梟ーフクロウー』の作品情報


© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

【日本公開】
2024年(韓国映画)

【原題】
올빼미(英題:THE NIGHT OWL)

【監督・脚本】
アン・テジン

【製作総指揮】
キム・ウテク

【撮影】
キム・テギョン

【編集】
キム・サンミン

【キャスト】
リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン、チェ・ムソン、チョ・ソンハ、パク・ミョンフン、キム・ソンチョル、チョ・ユンソ

【作品概要】
『金の亡者たち』(2019)、『毒戦 BELIEVER』(2019)のリュ・ジュンヨル主演のサスペンススリラー。朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」(1645)に残された史実をベースに、ジュンヨル演じる盲目の鍼医が遭遇する事件の顛末を描きます。

共演に、ジュンヨルも出演した『タクシー運転手~約束は海を越えて~』(2017)のユ・ヘジン、テレビドラマ『愛の不時着』(2019~20)のパク・ミョンフンなど。

監督は、1,000万人以上もの観客を動員した『王の男』(2005)で助監督を務め、本作で長編監督デビューを果たしたアン・テジン。

本国韓国では年間最長No.1 記録を樹立し、百想芸術大賞映画部門、韓国映画評論家協会賞など、各映画賞において25冠もの栄誉に輝きました。

映画『梟ーフクロウー』のあらすじ


© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

1645年、朝鮮王朝時代。盲目の鍼医ギョンスは、弟の病気の医療費を稼ぐために、卓越した鍼術能力を認められ宮廷で働くことに。

その宮廷に、第16代国王・仁祖(インジョ)の長男で、人質として清(後の中国)に8年間抑留されていた昭顕(ソヒョン)世子が帰郷します。ところがある夜、そのソヒョンが暗殺される様をギョンスは、‟目撃“してしまいます。

制御不能な狂気が迫る中、追われる身となったギョンスは昼夜に隠された真相を暴くために、闇を駆けることに――。

映画『梟ーフクロウー』の感想と評価


© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

李氏朝鮮時代の1645年、36年の清による朝鮮侵略に端を発した丙子(へいし)の乱の後、清の人質となっていた第16代国王インジョの世子ソヒョンが帰郷します。

久しい再会に最初こそ喜ぶ両者でしたが、やがて明王朝との関係を保ちたいインジョと、清と友好関係を築いて朝鮮の変容を受け入れるべきと主張するソヒョンは対峙。そして再会からわずか2か月後、病を抱えていたソヒョンは急死してしまいます。

死因は病気によるものとされるも、その実は父インジョにより暗殺されたとも云われており、『チュノ~推奴~』(2010)や『華政』(2015)など、その怪死に迫った時代劇ドラマもいくつか作られているほど。

本作『梟ーフクロウー』もこの謎をベースにしており、監督・脚本はこれで長編デビューをはたしたアン・テジンです。

「歴史的な可能性に、映画的な創造を加えることによって作られた映画」と本作について語るテジン監督。ソヒョン暗殺説を「歴史的な可能性」とするならば、「映画的な創造」とは、怪死を目撃した唯一の人物が盲目の鍼医だったという点にあります。


© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

生活費と病を抱えた弟の治療費のために宮廷で働くことになった鍼医ギョンス。実は彼にはある秘密があり、その秘密をソヒョンに気づかれるも、逆に信頼を得るように。

そんな矢先、ソヒョンの死を目の当たりにしたギョンスが真実を知らせようと試みるも、インジョを筆頭とする周辺人物たちが蠢く陰謀により、逆に命の危険に晒されることとなります。

「本作は、実際(ファクト)の歴史と架空(フィクション)のキャラクターを結び付けた物語である“ファクション”である一方で、スリラーの要素もある」との監督の言葉どおり、息をもつかせぬ緊張感に満ちた展開が繰り広げられます。

まとめ


© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.

抱えてきた秘密から、自らを「卑しい者」と蔑んで生きてきたギョンス。盲目の主人公といえば剣客の座頭市やアメコミヒーローのデアデビルがいますが、鍼術能力こそ優れているも、ギョンスは普通の人間です。

しかし追われながらも彼は、ある事を機に“目覚め”ていきます

ギョンス役のリュ・ジュンヨルとインジョ国王役のユ・ヘジンは、『タクシー運転手~約束は海を越えて~』を含め、本作で3度目の共演。両者の演技合戦も見どころの一つでしょう。

最初から最後まで予想できない展開を、観る者に約束します。

映画『梟ーフクロウー』は、2024年2月9日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショー



関連記事

サスペンス映画

映画『ジオストーム』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【地球滅亡のデザスターと兄弟関係を描く】

映画『ジオストーム』は1月19日(金)から全国ロードショーされています。 テクノロジーの推を集めた気象コントロール衛星を運営させから3年。突如、衛星が暴走を始めると世界各地で超異常気象を発生させます。 …

サスペンス映画

映画『パニックルーム』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も【デヴィットフィンチャー監督作品】

『ゴーン・ガール』や『ゾディアック』などホラーにも近い作風を想像するかたもいるかもしれない、デヴィット・フィンチャー監督。 そんなフィンチャーが今から15年ほど前に製作した『パニック・ルーム』は、以外 …

サスペンス映画

【ネタバレ】御手洗家、炎上する|あらすじ感想評価と結末の考察解説。最終回ラストは?NetflixドラマはSNSの闇を利用した“新時代”復讐劇

SNSを駆使した、新時代の復讐調査劇! 「彼氏の存在によって学内でのスクールカーストが変化する」というリアルな描写が話題となった漫画『17歳の塔』でデビューした漫画家・藤沢もやし。 現代人の精神性をリ …

サスペンス映画

映画『お嬢さん』特別版東京と大阪以外の公開は?上映期間や劇場詳細

パク・チャヌク監督のロングラン上映中の『お嬢さん』は、上映館が少ないにもかかわらず、ネットでは大きな話題となっている映画。 また、『お嬢さん』はR18+作品といこともあり、監督の妥協を許さない内容的に …

サスペンス映画

映画『暗くなるまで待って』あらすじネタバレ感想と結末ラストの解説《オードリー・ヘプバーン代表作おすすめ名作》

オードリー・ヘプバーン代表作にして、サスペンススリラーの名作 オードリー・ヘプバーンが目の不自由な女性を熱演し、アカデミー主演女優賞にノミネートされた、コミカルの妙味が光るサスペンスの名作。 『ローマ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学