映画『クロール -凶暴領域-』は2019年10月11日(金)よりロードショー!
街を襲ったカテゴリー5のハリケーン、そして街を闊歩するワニの群れ。絶体絶命の窮地に追い込まれたヘイリーと父は、それでも生還に向けて戦い続けたのでした…。
フロリダの街を襲う未曾有の嵐、そして、それがきっかけで街にあふれだした大量のワニに襲われ、二人の親子が絶望しながらも戦い続ける姿を描いた『クロール -凶暴領域-』。
本作はホラー映画の巨匠であるサム・ライミが製作、『ピラニア3D』などを手掛けたアレクサンドル・アジャが監督を務めたモンスター&ディザスター・パニック映画。
キャストには『メイズ・ランナー』シリーズなどのカヤ・スコデラーリオが脱出を図るヒロイン、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』などのバリー・ペッパーがヒロインの父を務めており、緊迫する恐怖の瞬間を見事に演じきっています。
CONTENTS
映画『クロール -凶暴領域-』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【英題】
CRAWL
【監督】
アレクサンドル・アジャ
【キャスト】
カヤ・スコデラーリオ、バリー・ペッパー
【作品概要】
ハリケーンの襲来で浸水した街中の一角にある家で、ワニが入り込んだ地下室からの脱出を試みる二人の親子の姿を描いたサバイバル・スリラー。
製作を『死霊のはらわた』シリーズなど数多くのホラー、カルト作品を手掛けたサム・ライミが担当。監督は『ヒルズ・ハブ・アイズ』『ピラニア3D』『マニアック』を手掛けたアレクサンドル・アジャ。ホラー、パニック映画の巨匠が強力なタッグを見せます。
また「メイズ・ランナー」シリーズでヒロインを務めたカヤ・スコデラーリオが脱出を図る主人公、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』などに出演したバリー・ペッパーがヒロインの父を演じます。
映画『クロール -凶暴領域-』のあらすじ
大学生のヘイリー(カヤ・スコデラーリオ)は、父(バリー・ペッパー)に勧められたことが高じて、現在は競泳選手に。しかしさまざまなプレッシャーもあり、思ったようにタイムも伸びず思い悩んでしました。
そんな中、フロリダに巨大なハリケーンが発生したと警報が。母と離婚し一人で暮らしている父を心配し電話をするヘイリーでしたが、全く連絡が取れません。
父の身を案じたヘイリーは、警察の封鎖も振り切って、危険地域とされた町に父を探しに行くことに。そしてかつてみんなで暮らしていた実家の地下室で、大けがを負い気絶していた父を発見します。
慌てて父を連れ出そうと試みるヘイリーですが、浸水が始まった地下室の中で、突然巨大なワニに襲われ、右足を負傷することに。
大けがを負った父の搬送もままならない中、ワニの恐怖で絶望に暮れるヘイリー。果たして二人は、この未曾有の嵐とワニの群れから脱出することができるのでしょうか?地下室の浸水は留まることを知らず、その水かさを増していくのでした…。
映画『クロール -凶暴領域-』の感想と評価
最大限のショックを与えるタイミングのよさ
本作のようなモンスターパニック映画、ディザスター・パニック映画やホラー映画などは、見ている人にショックを与えることが大きなポイントになりますが、本作は、このタイミングづくりが非常に絶妙。
恐らく、この手のジャンルを見慣れた方においても、作品を通してみれば、何点かは「うわっ!」と一瞬気を抜かれるところがあるに違いありません。
ホラー映画には観衆を驚かせるために描かれたパターンに類似の傾向があり、これをよく「ホラー映画の鉄則」的なパターンとしていわれることがあります。
この映画もその規則性にかなり従っている印象がありますが、この映画ではその規則性をベースに、さまざまな手法で見る側にショックを与えるシーンを演出しています。
例えば“ショックが来る”と予測される雰囲気を見せながら、ここぞというタイミングを敢えて一テンポ外してショックのシーンを描く、いわば二段階方式。あるいは予測した方向から全く逆から同じような恐怖が襲い掛かる物量でのショックなど。
かと思えば、複雑な展開を予測させながら、ストレートなショックを正直に与えてくる肩透かし的な演出など、見る側の予想をはるかに超えたショックが連発して観衆に襲い掛かってきます。
監督のアレクサンドル・アジャは『ヒルズ・ハブ・アイズ』『ピラニア3D』などホラー、モンスター・パニック作品を多く手掛けた監督であり、そのカラーを色濃く感じる作品であります。
一方、本作ではさらに製作として『死霊のはらわた』『スペル』などを手掛けたサム・ライミが加わっており、その強力タッグならではと思わせる演出がたっぷりと楽しめる作品になっています。
これまで見られなかったワニの表現
この映画で最大の恐怖として描かれるのが、いわゆるワニの存在ですが、これまでワニが登場するモンスター・パニック映画では、例えばどちらかというとヘビやサメのような存在と比べると、あまり強い恐怖感をあおる作品が見られず、いわゆるC級ホラー的な存在で見られる傾向がありました。
それはどちらかというと水中でのシーンはサメの動き、恐怖に軍配があり、一方で陸上では極端に動作が遅くなり、恐怖をあおるというのはなかなかに難しい設定があるなど、さまざまな要因がありました。
しかしこの映画では、それをワニ+台風の浸水という特殊な設定でうまくクリアし、恐怖を倍増させることに成功しています。シーンの多くは台風で浸水してしまった家の中で、動きやすくなったワニが自由自在に人々に襲い掛かる姿が描かれています。
そこにはこれまでの『ワニ』映画では描くことの難しかった残虐なシーンも描かれ、まるで映画『ジョーズ』を彷彿するような人喰いシーンで、まさしくワニが怖い動物であるという事実を表現することに成功しています。
特筆すべきは、ワニの「デスロール」という習性。ワニには噛みついたら獲物を食いちぎるまで離さず、さらに体を回転させて食いちぎるという習性があり、これが「デスロール」と呼ばれていますが、作品ではそんなリアリティをかなり深く追究しており、「ワニの恐怖」にかなりこだわりを見せています。
この映画のワニは、ある意味、今まで見逃されたポイントをかなり極めており、なかなかに新鮮な雰囲気を感じる方もおられることでしょう。
表情のリアリティ
ヒロインであり主人公をカヤ・スコデラーリオ、その父役をバリー・ペッパーが演じますが、その表情もかなりギリギリのラインを攻めた素晴らしいものを見せています。
作品としては、何らかの恐怖に駆られながらも、力強く立ち向かっていく姿を描かなければストーリーが進まないわけですが、その表情の変え方によってこの作品は、物語を進めていきます。
予想だにしなかった恐怖に出会い、絶望のどん底に突き落とされた表情。励ます人が近くにおり、そのおかげで覚悟を決める表情。その両方の絶妙なバランスを二人が見事に演じきり、物語をうまく進めています。
作品では二人のキャラクターのバックグラウンドもしっかり描かれており、そのバックグラウンド自体も場面の展開にしっかり描かれていて、全体的によく練られた構成となっています。
そして物語の終焉は、いわゆるクリフ・ハンガー的な終わりとなっていますが、ボロボロになりながらも生に向かい戦いラストを迎えるその表情には、スカッとする爽快感も感じられることでしょう。
まとめ
「クロール」という言葉には、泳法のクロールという意味のほかに「はう」「腹ばっていく」「のろのろ走る」などといった意味、さらには「うじゃうじゃいる」「ぞっとする」といったさまざまな意味があります。
そしてこの作品では主人公・ヘイリーが水泳選手であるからこその「クロール」という意味付け、さらに恐怖の対象であるワニがまさしく「腹ばっていく」印象と、複数の意味付けが読み取れます。
しかし作品としての芯は一本「恐怖、そしてそこからの脱出」劇であり、そのシンプルな命題に対して並々ならぬ注力がされたこともうかがえ、ホラー、パニックジャンルとしては高いエンタテイメント性をもった作品といえるでしょう。
映画『クロール -凶暴領域-』は2019年10月11日(金)より公開されます!