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『バクラウ 地図から消された村』ネタバレあらすじと結末まで感想考察。カンヌ映画祭で話題となったブラジルの田舎で起きた不可解な出来事と寓話的世界

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

ブラジルの新鋭クレベール・メンドンサ・フィリオ監督の『バクラウ 地図から消された村』

第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、シッチェス・カタロニア国際映画祭でも監督賞を含む3冠を達成し数々の映画賞を受賞した怪作『バクラウ 地図から消された村』。

村の長老・カルメリータが亡くなったことをきっかけに故郷の村バクラウに戻ってきたテレサ。

それから村で不可解なことが起き始め、インターネットの地図上から村が突然姿を消し、村の上空には正体不明の飛行物体が現れます。

暴力と血で彩られた現代に警鐘をならす鳴らす寓話。

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映画『バクラウ 地図から消された村』の作品情報


(C)2019 CINEMASCOPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA

【日本公開】
2020年(ブラジル・フランス合作)

【原題】
Bacurau

【監督・脚本】
クレベール・メンドンサ・フィリオ、ジュリアノ・ドネルス

【キャスト】
ソニア・ブラガ、ウド・キア、バルバラ・コーレン、トマス・アキーノ

【作品概要】
演出は『アクエリアス』(2016)で注目を集めたブラジルの新鋭監督クレベール・メンドンサ・フィリオが担当。主人公テレサ役には『アクエリアス』から引き続き同監督作出演となったソニア・ブラガ。

更に『奇跡の海』(1996)、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)などラース・フォン・トリアー監督作品でおなじみのウド・キア、ブラジルの若手女優バルバラ・コーレンらが出演。

映画『バクラウ 地図から消された村』のあらすじ


(C)2019 CINEMASCOPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA

バクラウに向かう給水タンクに乗ったテレサ(バルバラ・コーレン)は、村の長老カルメリータの死の知らせをきき、故郷の村バクラウに戻ってきました。

村に向かう道中では何故か、棺桶と死体が道路に広がり、人々が立ち往生していました。その横を通りすぎテレサは村にたどり着きます。

そして、悲しみにくれるバクラウの村人に迎え入れられカルメリータのもとに向かいます。そんな時外では医師ドミンガス(ソニア・ブラガ)が狂ったかのように発狂しています。

村では外部から支給される物資に依存し、定期的に風俗店がトラックでやってきては村人の相手します。物資を運んでくるのはトニーJrという男。けたたましく選挙活動をするも、村人は嫌って家から出てきません。

更には出て行けと罵倒を浴びせる始末。そんな普段と変わらない村の様子でしたが、どこか不穏な気配を感じるテレサ。

その予感が的中するかのように村の生命線である給水車のタンクに何者かが銃を撃ち込み、農場の様子を見に行った若者が何者かに銃殺されます。

地図上からバクラウの村が消え、上空には正体不明の飛行物、夜間に子供が何者かに撃たれる…

正体不明の侵入者の気配を感じ取った村人は村はずれの砦にこもっていた村の英雄たちを呼び、侵入者に反撃するため武装します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『バクラウ 地図から消された村』ネタバレ・結末の記載がございます。『バクラウ 地図から消された村』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2019 CINEMASCOPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA

そんな村人の様子も知らず、アジトでハイテクな武器を使いこなし、UFOのような形のドローンを操り偵察する集団がいました。彼らは血に飢え雇われてバクラウの村人を襲う計画を立てていました。

夜が明け数人に分かれて村に向かいます。ある2人組が村はずれの老夫婦が住む家に向かうと何も服を着ず裸のまま植物に水をまく老人の姿がありました。

その姿に2人は戸惑いつつも家に侵入し、男が銃を撃ち込もうとした瞬間、その男の頭が大きな音と共に吹き飛びます。

女はパニックになって銃を乱射しますが、撃たれてしまいます。言葉が通じないまま老夫婦に撃たれてしまう女。

仲間がやられたことも知らずに村に他の侵入者たちは村に侵入します。しかし、村には誰一人として歩いている人もいません。想定外のことに侵入者たちは戸惑います。

村で唯一の歴史博物館に1人の男の侵入者が入ります。村の歴史、写真が展示されています。中に進むと武器が飾ってあるはずの場所に銃はなく、飾られていた形跡があるだけでした。

嫌な予感がした男でしたが、その瞬間床下に隠れていた村人に撃たれてしまいます。

他の侵入者もいたずらに銃を乱射したところ、小学校に隠れていた村人たちの返り討ちをうけ、やられてしまいます。

そんな想定外の様子を遠くからスコープ越しに見ていた侵入者たちのチームリーダー・マイケル(ウド・キア)は逃げようとしますが、その背後に村人の姿が…

侵入者たちの頭を切断し、並べ勝利を分かち合う村人たちのもとへ、トニーJrがやってきます。

物資を届けはするが搾取する市長のことをよく思っている村人はいません。そんな市長のもとに、捉えられたマイケルが村人と共にやってきます。

トニーJrを見つけたマイケルは「報酬はどうなった?」トニーJrに向かって叫びます。慌てたトニーJrは知らない、何のことだととぼけますが、村人は襲撃の黒幕が誰かを知るのでした。

そして、トニーJrを追放の刑に処し、マイケルを地下深くに閉じ込め、血を血で制した村人たち。バクラウの村には新たな血が刻まれたのでした。

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映画『バクラウ 地図から消された村』の感想と評価


(C)2019 CINEMASCOPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA

宇宙から地球に焦点をあて、更に南アフリカ、ブラジルへと映し出されていく、まるでSF映画のような冒頭から始まり、テロップにより近未来が舞台であることが分かります。

そしてバクラウの村へと続く一本道を走る車へと映像が切り替わります。

SF映画のような演出に相反して映し出されるバクラウの村には近代的なものは一切なく、むしろ近代化から取り残されたような村です

定期的に運ばれる賞味期限の切れた食材や怪しい薬などの物資に依存しています。そのような矛盾をあえて描くことで、寓話でありながらブラジルにおける格差の問題を描いているとも言えます。

更に本作の面白いところは、思い通りにならない目の上のたんこぶのようなバクラウの村を消し去ってしまおうと画策したトニーJr、そして彼に雇われたドローンなど近代的な武器を手にした侵入者が返り討ちにされることです。

本来なら侵略する強者である側が返り討ちにされるという逆転現象に胸がスカッとする気持ちもありつつもその狂気に観客は衝撃をうけます。

侵略者たちの集団も白人を中心とした支配層側の人間が多く、バクラウの村人に対する“不条理な暴力”の象徴とも言えます。

バクラウの村にある歴史博物館にはこの村が数々の侵略者からこの村を守ってきた、という様子が伺える、彼らは血を血で洗う暴力と惨劇の上に立っているのです。それは今の分断されたブラジルの象徴でもあるのかもしれません。

ブラジルのリオデジャネイロのスラム街・ファヴェーラのストリートチルドレンを描いた映画に『シティ・オブ・ゴッド』(2002)があります。バクラウはそのような都市部が抱える問題とはやや異なります。

バクラウの村はブラジル北東部の田舎町を舞台とし、そのベースはアフリカの逃亡奴隷たちの集落である“キロンボ”と先住民族の集落であると思われます。現在もブラジルの東南部はやっと水道が開通したというほど現代社会から取り残されています。

そのような分断された村をベースに、侵略者を村人が返り討ちにすることでバイオレンスな寓話としてエンタメ作にしているところがこの映画の面白さであり、怖さとも言えるでしょう。まさに衝撃的な怪作です!

まとめ


(C)2019 CINEMASCOPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA

近未来を描いているSFのようであり、バイオレンスでもあり、更には侵略者から村を守る様子は西部劇のようでもあり…様々なジャンルがミックスした怪作『バクラウ 地図から消された村』。

前半の葬儀と村の日常の中に徐々に広がっていく不穏な空気が後半のバイオレンス描写へと移り変わっていく様は鮮やかで狂気に満ち溢れています

現代の分断社会に警鐘を鳴らす力強いメッセージと狂気に衝撃が走る、素晴らしきエンタメ映画です。

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