2018年公開の映画『ザ・プレデター』のプレデターは一味違う⁈
1987年の名作SFホラー『プレデター』の正統続編。今回も宇宙からやってきた誇り高き戦闘種族プレデターが大暴れします。
より強い敵を求め殺戮を繰り返す怪物にワケあり軍人たちがタッグを組んで決死の戦いを挑む!
さらに今回は新種の歴代最強プレデターも登場します。演出を務めたのは、30年前に初めてスクリーンでプレデターに殺された俳優であり、今やハリウッドきってのアクションコメディの名手シェーン・ブラック。
映画『ザ・プレデター』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
The Predator
【監督】
シェーン・ブラック
【脚本】
シェーン・ブラック、フレッド・デッカー
【キャスト】
ボイド・ホルブルック、トレヴァンテ・ローズ、オリヴィア・マン、トーマス・ジェーン、キーガン=マイケル・キー、ジェイコブ・トレンブレイ
【作品概要】
1987年公開の『プレデター』では主演のアーノルド・シュワルツェネッガーを極限まで追い詰め、エイリアンとも互角に戦った宇宙最強の戦闘種族プレデター。
2018年公開の『ザ・プレデター』は、シリーズ1作目『プレデター』(1987)の正統続編。度々地球に密かに狩りに来ていたプレデターに人類側も気づき、米国政府は秘密裏に研究を行っていました。1人の軍人がプレデターを目撃してしまったことから一気に戦いの幕が上がります。
監督は90年代から脚本家として実績を残し、『キスキスバンバン』『ナイスガイズ』などアクションコメディの傑作を撮ってきたシェーン・ブラック。
主演は『ランオールナイト』『LOGAN』で悪役として存在感を出してきたボイド・ホルブルック。共演は『ムーンライト』のトレヴァンテ・ローズ、『ゲットアウト』の監督ジョーダン・ピールのコメディアンとしての相方キーガン=マイケル・キー、トラウマ映画として知られる『ミスト』の主演トーマス・ジェーンなど映画ファンなら「あ、あの人だ!」となるキャストが揃って映画を盛り上げます。
映画『ザ・プレデター』のあらすじとネタバレ
ある夜、地球に中型の宇宙船が飛来してきます。その中には一人の異星人が乗っていました。彼は宇宙を股にかけて狩りを繰り返す狩猟戦闘民族、通称プレデターの一人でした。
宇宙船は制御が効かなくなり、メキシコの山地に向かってどんどん高度が落ちてきます。
そのころ、アメリカの軍人クイン・マッケナは、メキシコの麻薬組織の幹部を狙撃する任務に就いていました。
山中で取引をしている幹部を山肌に隠れながら見事狙撃するクイン。
しかしそのタイミングで宇宙船が取引場所に墜落。クインは宇宙船が地面に激突する前に、山肌から飛び降りて墜落の爆破から逃れます。
クインは墜落現場に行ってみるとその場にいた人間は、跡形もなくなり一面の焼け野原になっていました。
さらに宇宙船に近寄るクイン。ドアを開けるとそこには巨大なヘルメットと腕の装着具がありました。
ちょうどそのタイミングで同じ任務に就いていた同僚がやってきます。
クインは「こんな宇宙船の話、誰も信じてくれないから証拠に持って帰ろう」とヘルメットと装着具を持ち帰ろうとします。
クインが装着具を手に取ると、装着具が自動的に動いて彼の腕に装備されます。驚いていると装着具から銃弾のようなものが飛び出しとある木に命中。
その衝撃で木から宙吊りになった人間が落ちてきます。しかも逆さ吊りになったその人間は惨殺されていました。
驚くのも束の間、クインは死体のさらに奥に半透明の人影のようなものが、木から木に飛び移りながらこっちに向かってくるのを発見。
それに向かって発砲するクインと仲間でしたが、相手も反撃して銃のようなものを撃ち込んできます。それはとてつもない威力で仲間は即死、クインも爆発で数メートル吹き飛ばされます。
クインの装着具が再度動いて謎の光線のような攻撃を放ち、人影に命中し、それは地面に倒れ込みます。
光線銃で吊るしてあった死体が真っ二つになり、血が大量に滴って半透明の人影にかかります。
すると、血によって人影の全貌が浮かんできます。
それは恐ろしい目つきをした人間ではない怪物だったことからクインは急いでその場を離れます。
ちょうどその頃、山地にヘリの一団が降り立ちます。アメリカ政府が極秘にプレデターの存在を研究するために作った組織「スターゲイザー」の責任者トレーガーと傭兵部隊でした。
彼らはプレデターを捕らえるために森に入っていきます。
トレイザーのもとに近くで米兵のクインが任務に就いていたという情報が入り、トレイザーはプレデターを目撃したかも知れないと推測します。
クインはメキシコの繁華街に行き、そこにある何でも屋のような場所に行きます。
特別なモノを手に入れたから郵送して欲しいと頼むクイン。店主はよそ者のクインを最初相手にしませんでしたが、クインはプレデターのテクノロジーを使って目の前で透明になってみせます。
店主は驚き、仕事を引き受けました。
クインはプレデターのヘルメットと装着具を梱包しますが、透明になるための装置は隠すために自分で飲み込んでしまいます。
送り先は国防総省で働いている彼の元妻エミリーのデスクの私書箱でした。
進化生物学者ケイシー・ブラケット博士は、トレイザーから招集がかかります。
彼女もプレデターを長年研究していましたがなかなか資料が手に入らないでいました。
トレイザーは彼女にプレデターの映像を見せると、1987年と97年にプレデターがやってきて人間と戦闘、接触している記録もありました。
さらに彼女はメキシコとの国境付近のダムにある秘密研究所まで案内されます。
そこにはプレデターの装備や装束が展示してありケイシーは驚きます。さらに除菌室を通って奥の研究室に入るとそこには麻酔で眠らされたプレデターが横たわっていました。
それはクインが遭遇したプレデターでした。そこでケイシーは主任研究者からこのプレデターになぜか人類のDNAが入っているという驚愕の事実を聞かされます。
その後、クインは米軍に確保されており、宇宙人と遭遇した供述をした結果、精神に異常をきたしていると判断されてしまいます。
仲間を死なせた罪状もプラスされ、傷病軍人を収容する施設に護送されている最中でした。
同じ護送車両には他に5人の囚人が乗っていました。リーダー格らしきネブラスカと名乗る黒人男がそれぞれの紹介をします。
湾岸戦争で味方の車両を誤射してしまったコイル、同じ湾岸戦争でその車両に乗っていてトラウマを負ってしまったバクスリー、陸軍を追放され一時期外人部隊にもいたリンチ、ヘリコプター事故で脳挫傷してしまった聖書原理主義者のネットルズ。
彼らはみな、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患った元軍人でした。
ネブラスカはイラク戦争で気に入らない上官を撃ってしまったといいます。
お前は何をしたんだと聞かれたクインは「任務中に宇宙人を見た」と答えます。それを聞いて爆笑する一同。クインは「黙れ!」と一喝します。
護送車は収容所に向かっていきます。収容所はプレデターがいる研究所の近くにありました。
クインと元妻の間にはローリーという息子がいました。彼は発達障害を患っており、学校でもいじめられていましたが、非常に高い頭脳を持っていました。
ローリーが学校から帰ると、国防総省の職員がいました。母親の私書箱が満杯になったので荷物を送り届けに来たのです。
その荷物の中には、クインが郵送したプレデターの装備品も入っていました。
ローリーは装備品を見つけるとヘルメットと装着具をいじっていました。するとヘルメットと装着具が起動してホログラム映像のようなものが出てきます。
そこには宇宙船に乗っているプレデターが複数人映ってしました。
プレデター側もローリーが起動したことによるシグナルを受け取り、さらに信号を発信。ローリーは天才的頭脳を発揮し、装置を操り信号に返信します。
プレデターたちはそれを受けて、母船から中型宇宙船を発信させます。
飛んでくる宇宙船を米軍のレーダーが捉え、最初に飛来したプレデター(ここからはプレデター1号と呼びます)がいる研究所にも連絡が入ります。
「別のプレデターが助けに来るのか」と動揺する研究者たち。そのタイミングでプレデター1号が目を覚ましてしまいます。
頑強な拘束具を怪力で引きちぎり、圧倒的な戦闘力で研究者達、警備員を蹂躙していくプレデター1号。
プレデター1号は研究室にあった自分の装備をつけると、何かを確認して研究室を出ます。
ケイシーは隠れて逃げ出そうとしましたが、プレデター1号に見つかってしまいます。
しかしケイシーは丸腰だったこともあり、プレデターは彼女を見逃します。
クインたちを乗せた護送車は非常事態ということで研究所近くで一時停止。クインが外を見ると、研究所内から大勢の人間が逃げ出してきます。
さらにそのあとを追ってプレデター1号が出てきます。
それを見たクインは「あれが俺が見た宇宙人だ」とネブラスカたちに説明します。
「仲間を殺された恨みがある。あいつを追って殺したい」というクイン。
ネブラスカたちは、このまま収容所に行くのも面白くないのでイチかバチかクインに協力して逃げ出すことを決めます。
仲間割れを起こしたふりをして看守たちをおびき寄せ、見事なチームワークで看守たちを倒して鍵を奪うネブラスカたち。そのまま車両を制圧しプレデター1号を追いかけます。
研究所の屋根を猛スピードで走るプレデター1号を麻酔銃を持ったケイシーも追いかけていました。
プレデター1号は、すぐそばまでクインたちの護送車が来ていたので、その屋根に飛び移ります。ケイシーも決死の覚悟で車両に飛び乗ります。
さらに屋根から飛び降りて車両の前に飛び出すプレデター1号。車両から発泡するクインですがプレデター1号には当たらず闇夜に紛れて逃げられてしまいます。
クインたちは車両を捨て近くにあった軍用バイクを盗んで追いかけます。
ケイシーは屋根から麻酔銃を撃とうとしましたが、焦って自分の足に麻酔弾を打ち込んでしまい、屋根から降りた後、昏倒してしまっていました。
追ってきたスターゲイザーの傭兵が彼女を発見し、トレイザーに報告。トレイザーはプレデターが逃げ出したことを知っている存在の彼女は厄介だと考え射殺するよう命令します。
しかし傭兵が撃とうとした瞬間、クインたちがバイクで傭兵を轢き飛ばします。彼らは意識混濁しているケイシーを救ってバイクで研究所を離れます。
近くの街のモーテルの一室に隠れるクインたち。彼らはプレデターに関して事情を知っているであろうケイシーが目を覚ますまで待っていました。
部屋の外で一緒に酒を飲むクインとネブラスカ。クインは「お前が撃った上官は無事だったのか」と聞きます。
「無事だったさ」といい帽子を脱ぐネブラスカ。彼の頭部には鉄板のようなものが入っていました。彼が撃った嫌な上官というのは自分自身のことでした。
「自分自身になんとなく嫌気がさしてな。自分で撃ったあとその足で軍病院に行った」と言い笑うネブラスカ。
クインが「今は大丈夫なのか」と聞くとネブラスカは「イカれてるかも知れないな」と言って自分の舌でタバコの火を消しました。
ケイシーが目を覚ますと。周りに男がたくさんいる状況に警戒した彼女は、近くにあった銃を取って彼らを脅そうとします。
クインがたしなめながらケイシーから銃を奪おうとしますが、彼女はそのまま銃の引き金を引きます。
銃には弾は入っていませんでした。
「まさかほんとに撃つとはな」と大笑いする男たち。彼らはケイシーが銃を取るか、引き金を引くか賭けをしていました。
呆れるケイシー。クインたちはプレデターのことを彼女に質問します。
ケイシーはプレデターたちが度々地球に来ていること、人間サイドもその存在に気づき研究していたこと、何かの信号に気づきプレデターが逃げ出したことを話します。
おそらくプレデター1号は自分のヘルメットを探しに行ったのではと予測するケイシー。それを聞いたクインは青ざめ、ヘルメットを自分の妻に送ったことを話します。
そのころプレデターたちの母船から出発した宇宙船が、プレデター1号が最初に墜落した場所に降り立ちます。
中からは3メートル近い巨大プレデターと、プレデターたちが使う猟犬が2匹出てきます。
巨大プレデターは、そのままにされたプレデター1号の宇宙船に近づき、猟犬たちにプレデター1号の匂いを覚えさせ、2匹を放って追いかけさせます。
クインたちはエミリーとローリーが暮らす街にやってきます。
何年ぶりかに家を訪れるクイン。元妻エミリーと会い気まずい雰囲気になりますが、まずは愛する息子ローリーの無事を確認しようとします。
しかしローリーはおらず、クインが送った荷物を見ると中からプレデターの装備品が取り出されていました。
その日はちょうどハロウィン、ローリーはプレデターのヘルメットと装着具をつけて街に遊びに行っていました。
エミリーは、一緒にやってきた怪しいネブラスカたちを警戒しますが、クインは仲間たちだと説明します。
そして今すぐローリーを探そうと言いますが、ネブラスカ以外の4人はあんな怪物と戦わなければならない義務はないと拒否。
呆れて出ていくクインとネブラスカとケイシー。その際にネブラスカは残った4人を「腰抜け」呼ばわりします。
4人はなんで離婚したのかエミリーに聞きます。「彼は軍人としては優秀だけどいい父親ではなかったの」。
その詳細を聞くと、クインは大尉の階級では米軍史上異例の2回の殊勲賞を獲ったエリート軍人でした。
4人はそんなすごい軍人と同行できること、腰抜け呼ばわりされたことに軍人のプライドが沸き立たせ、クインたちを追いかけ合流します。
クインは手分けして街を周りローリーを探そうと提案します。
1人で歩き回っていたローリーは、お菓子をもらおうとある家を訪れますが、断られた上に意地悪な住人に後ろから物を投げられます。
そこで急にプレデターヘルメットが自動的に起動し、家に向かって砲弾を撃ち込み、その家は爆発して大破。その爆音を聞いたクインたちは急いで爆発があった方向に走ります。
ローリーは騒ぎから逃げるために近くにあった無人の球場に入り込みます。そこにヘルメットの匂いを追ってきたプレデター犬がやってきてしまいます。
しかしそこでクインたちも駆けつけて戦いが始まります。
なかなか銃弾が効かない相手でしたが、軍人たちはチームワークで一匹を殺害、もう一匹の頭に銃弾を打ち込んだ結果その犬は戦意喪失しどこかへ歩いて行ってしまいました。
ローリーを保護して車で逃げようとしますが、それをプレデター1号が追いかけてきます。
応戦するも歯が立たず、クインとローリーとケイシーは近くにあったローリーの小学校に逃げ込みます。
ネブラスカたちは足止めしようとしますが、プレデター1号はそれを無視して学校に入り込みます。
逃げ切れないと判断したクインは思い切ってプレデター1号に装備を返そうと、彼と対面します。
しかしプレデター1号はローリーの首根っこを掴むと壁に押し付け持ち上げます。
絶体絶命と思われたとき突然、壁の近くの窓から謎の手が伸びてきてプレデター1号を掴んで引きずり出します。
プレデター1号は窓から落ちて下にあった車のボンネットに叩きつけられます。
謎の手の正体は先ほどの3メートルほどある巨大プレデターでした。
プレデター1号は巨大プレデターに立ち向かうも歯が立ちません。あれほど強かったプレデター1号は巨大プレデターに撲殺され首をもぎ取られてしまいます。
その間にクインたちは車に乗り込み逃げ出します。巨大プレデターは彼らを追うわけでもなくその様子をずっと見ていました。
映画『ザ・プレデター』の感想と評価
2018年公開の映画『ザ・プレデター』は、ただ単に怖いだけでなく、笑えて、アツくて、泣ける作品に仕上がっていました。
1987年の『プレデター』一作目はか弱い少女やリア充大学生などではなく、アーノルド・シュワルツェネッガー率いる屈強なエリート軍人たちが一人また一人と殺されていく新感覚のSFスラッシャーホラー作品でした。
シュワルツェネッガーですら、敗北寸前にまで追い詰める最強の宇宙ハンターに観客は震え上がったのです。
その1作目と対になるように本作は、トラウマを負った落ちこぼれ軍人たちが力を合わせて最強のプレデターに挑むという非常に燃える展開になっています。
彼らが戦闘を通して軍人としての誇りを取り戻していくさまは感動的です。
また2016年公開の『ナイスガイズ』でもコメディの手腕を見せたシェーン・ブラック監督らしく、軍人たちの会話がいちいち面白くクスクス笑って見ていられますし、その笑いを通して彼らの人間性が浮かび上がってくるという見事な演出がなされています。
さらに軍人チームだけでなく今回登場する2体のプレデターも魅力的です。
デザインもかっこよくなっていますし、短いシークエンスで傭兵を皆殺しにする圧倒的強さと身のこなしは惚れ惚れするほどです。
そして丸腰の相手は見逃したり、相手にハンデを与えたりと、ただの殺人クリーチャーではない戦士プレデターならではのカッコよさも見せてくれます。
本作はR15で残虐描写が多めになっていますが、ただの悪趣味ではなく、プレデターの圧倒的強さと残忍さ、物語の緊迫感を増す効果的な要素になっています。
それに「プレデター」シリーズらしく、罪のない一般人ではなく覚悟を決めた軍人や悪人しか死なないのでそこまで見てて嫌な気分になることはありません(笑)。
シェーン・ブラック監督はシリーズ1作目でエリート軍人の一人リック役として出演して一番最初にプレデターに殺された人物です。
そんな彼が軍人たちが力を合わせてプレデターに立ち向かう映画を作ったというのもグッときますね。
まとめ
本作も最近のリブート作品の傾向と同じく続編を作る気満々で終わりました。次もシェーン・ブラック監督が撮ってくれるならきっと傑作になるでしょう。
最後に登場したプレデターになれる装備もどう扱われるのか気になります。
それに自作ではとうとうシュワちゃんがシリーズ復帰してくれるかもしれません。
サービス精神満点の最高のSFアクションです。プレデターに思い入れがある人もない人も絶対に楽しめる1本です。