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Entry 2017/08/16
Update

スパイダーマン ホームカミング|ネタバレ感想とあらすじ結末の考察解説。映画ラストまでMCUシリーズ新三部作の原点を紹介

  • Writer :
  • 馬渕一平

主演に若手注目株のトム・ホランドを迎え、ついにスパイダーマンがマーベルに帰って来た!

こちらも期待の新鋭、ジョン・ワッツ監督による新シリーズ『スパイダーマン:ホームカミング』をご紹介します。

以下、あらすじや結末が含まれる記事となりますので、まずは『スパイダーマン:ホームカミング』映画作品情報をどうぞ!

1.『スパイダーマン:ホームカミング』作品情報

(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原題】
『Spider-Man:Homecoming』

【監督】
ジョン・ワッツ

【キャスト】
トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファブロー、ゼンデイヤ、マリサ・トメイ、ロバート・ダウニー・Jr.、ドナルド・グローバー、タイン・デイリー、トニー・レボロリ、ローラ・ハリアー、ジェイコブ・バタロン、アンガーリー・ライス

【作品概要】
ついに、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に我らが隣人“スパイディ”が本格参戦!
全世界待望の新シリーズが始動する!

『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公は、スパイダーマンこと15歳の高校生ピーター・パーカー。

ピーターが憧れのアイアンマンに導かれ真のヒーローになるまでの葛藤と成長を描く物語に加え、一人の高校生としての青春、恋愛、友情も瑞々しく描写されている。

圧倒的なスケールのアクションとドラマが展開する、この夏最高のヒーローアクション超大作!

2.MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)とは?

(C)2016 Marvel All rights reserved.(C)2016 MARVEL(C)2016 Marvel

コミックスの世界ではそれぞれのヒーローたちがクロスオーバー(作品を超えた交流)するのは当たり前のことでした。

だったらそれを映画でやっちゃおうというのがこのMCUという一大プロジェクト。

まずはざっとその流れを日本公開の順に記載してみましょう。

【1】2008年『アイアンマン』
【2】2008年『インクレディブル・ハルク』
(↑主演はエドワード・ノートン。降板後のハルク役はマーク・ラファロが引き継ぎました)
【3】2010年『アイアンマン2』
【4】2011年『マイティ・ソー』
【5】2011年『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
【6】2012年『アベンジャーズ』

ここまでがフェーズ1(フェーズは一連の流れみたいなものと認識してます)。

【7】2013年『アイアンマン3』
【8】2013年『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
【9】2014年『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
【10】2014年『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
【11】2015年『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』
【12】2015年『アントマン』

ここまでがフェーズ2。

【13】2016年『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
(↑この作品で初めてMCUにスパイダーマンが登場!)
【14】2017年『ドクター・ストレンジ』
【15】2017年『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』

そして、本作『スパイダーマン:ホームカミング』。

この後も続々公開予定です。
【17】『マイティー・ソー:バトルロイヤル』
【18】『ブラック・パンサー(タイトル未定)』
【19】『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー パート1(タイトル未定)』
【20】『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー パート2(タイトル未定)』
【21】『アントマン・アンド・ザ・ワスプ(タイトル未定)』
【22】『キャプテン・マーベル(タイトル未定)』
【23】『インヒューマンズ(タイトル未定)』

ここまでがフェーズ3。

ちなみに、日本でも昨年ヒットした『デッドプール』は『X-MEN』シリーズなのでマーベルのキャラクターではありますが、映画化の権利を20世紀フォックスが保持しているためMCUではありません。

3.現在のハリウッドはユニバース体制がトレンドに!

ついにトム・クルーズもユニバース参戦!『ザ・マミー

2008年『アイアンマン』が大成功を収め、この企画が一気に軌道に乗ると、2012年『アベンジャーズ』が世界的大ヒットを記録しその人気は不動のものに。

この成功を受けハリウッドでは、このユニバース体制が一つのトレンドとなっています。

マーベルと双璧を成すコミックス出版社DCコミックスの「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」。これはスーパーマンやバットマンにワンダーウーマンなどですね。

レジェンダリー・ピクチャーズが仕掛ける「モンスターバース」は、キングコングやゴジラにキングギドラなどの怪獣祭り。

ユニバーサル・ピクチャーズが手掛ける「ダーク・ユニバース」は、現在公開中の『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』を始まりとし、フランケンシュタインや狼男に透明人間など古典的なモンスターが登場します。

ユニバースものとは違いますが、『スター・ウォーズ』シリーズなどももはやそれと同じような形になっています。

ただこれは始まりがコケると全てが失敗になる恐れがあり、上手くいけばブランド化されるという一つの賭け。一見さんには入り込みにくい作りになっていますが、毎年何かしら公開されるのでハマればこれ以上楽しい企画はありません。

さて、話はMCUに戻りまして。
序盤は時系列が公開順ではないので注意が必要ですし、今から予習や復習をするとなると本数がかなり多いです。

もちろん作品単体から入って気になるものをつまんでくスタイルでも問題ないと思います。

個人的なオススメは、
『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2本とも)あたりです。

本当にどの作品も間違いなく一定のクオリティを保っていますので、この後も含め全力でワクワクしたいなら全てを観ておく方がよいとは思います。

ちなみに人気者であるスパイダーマンがしばらくMCUに参戦出来なかったのは、映画化の権利をマーベルではなくソニーピクチャーズ・エンタテインメントが保持していたためです。

ファンの声に応える形で、提携によってついにスパイダーマンがMCUに参戦することになりました。

タイトルのホームカミングはもちろん劇中にも出てくるホームカミングデーのことですが、スパイダーマンがマーベルにホームカミング(帰郷)したことともかかっています。

4.『スパイダーマン:ホームカミング』あらすじとネタバレ

(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

ベルリンでのアベンジャーズの戦いに参加し、キャプテン・アメリカからシールドを奪って大興奮していたスパイダーマン=ピーター・パーカー。

昼間は15歳の普通の高校生としてスクールライフをエンジョイし、放課後は憧れのトニー・スターク=アイアンマンから貰った特製スーツに身を包み、NYの街を救うべく、ご近所パトロールの日々。

そんなピーターの目標はアベンジャーズの仲間入りをし、一人前の<ヒーロー>として認められること。

ある日、スタークに恨みを抱く宿敵“バルチャー”が、巨大な翼を装着しNYを危機に陥れる。アベンジャーズに任せておけと言うスタークの忠告も聞かずに、ピーターはたった一人、戦いに挑むがー。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『スパイダーマン:ホームカミング』結末の記載がございます。『スパイダーマン:ホームカミング』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
宇宙の物質を使った強力な武器を売買している現場を見つけた、ピーターは止めに入ります。

しかし、武器を持ったまま逃げられてしまい、慌てて追い掛けるピーターを、バルチャーが掴んで空中に持ち上げました。

空中で離されて川の中で溺れそうになっているところをアイアンマンが救い、ピーターに説教します。

ピーターは帰り道に、敵が逃げる途中で落としたストーンを発見。

バルチャーの手下はストーンの反応を辿ってピーターの学校までやって来ましたが、逆にピーターが追跡装置を付け、敵の狙いを把握しました。

ピーターが参加している全米学力大会がちょうどワシントンD.C.にて開催されるため、それを利用してその計画を阻止しようと思い付きます。

バルチャーの計画をなんとか止めることに成功したピーターでしたが、ふとしたことから倉庫内に閉じ込められてしまいました。

スーツに搭載されているAIがストーンは放射能に反応して爆発する恐れがあることを教えてくれました。

なんとか倉庫の扉をこじ開けると、ピーターは全米学力大会の会場に猛スピードで向かいます。

しかし、すでにピーターの学校は優勝を果たし、観光としてワシントン記念塔を訪れていました。

ワシントン記念塔のセキュリティーチェックで、ネッドのバッグに入っていたストーンが反応し始めました。

それは皆がちょうどエレベーターに乗っている時に爆発し、エレベーター崩壊までほとんど時間が残されていません。

皆を救おうと必死で知恵を絞ったピーターは、なんとか誰一人ケガなく救うことに成功しました。

スパイダーマンが一躍人気者になり受かれているピーターは、学業などそっちのけでバルチャーの行方を追います。

以前の取引現場にいた男から情報を教えてもらい、ピーターはフェリーに向かいます。

フェリーでの取引を止めようと張り切ったピーターの頑張りは空回りし、一般客を乗せた船は真っ二つに。

船の崩壊をなんとか食い止めようとするピーターでしたが、成すすべがありませんでした。

そこにアイアンマンがやって来て、見事に船の崩壊を食い止めました。

力のない者が着る資格はないと、ピーターはスタークからスパイダースーツを取り上げられてしまいました。

いつもの学校生活に戻ったピーターは、勇気を出してリズをホームカミングの相手として誘います。

OKの返事をもらったピーターの気持ちは有頂天でした。ホームカミングデイ当日、リズの家を訪れると扉を開けたのはなんとバルチャーことトゥームスでした。

ピーターはリズの父親がバルチャーであることに動揺しながら、二人は車で送ってもらいます。

その車中、ピーターがスパイダーマンだと勘付いたバルチャーは彼を脅しました。

ホームカミングの会場にリズを残したまま、ピーターはバルチャーの計画を阻止するため走り出します。

バルチャーと対峙したピーターでしたが倉庫の柱を切断され、その下敷きになってしまいました。

瓦礫に埋もれたピーターは弱音を吐き、誰かに助けを求めます。しかし、水溜まりに浮かぶスパイダーマスクと自分の顔が重なり、自らの使命を思い出しました。

力を振り絞り瓦礫を持ち上げると、スタークの飛行機を強奪しようとしていたバルチャーにしがみつき、またも止めに入ります。

エンジンが破壊された飛行機は動力を失い、地上に墜落しました。

燃え盛る炎の中、それでもなお諦めずにリアクターを奪おうとするバルチャーを、ピーターはなんとか止めようとします。

バルチャーの翼はスパイダーマンとの幾度の戦いですでに限界を迎えており、飛び立ってすぐに爆発しました。

ピーターはボロボロになったバルチャーを救い出し、ウェブで縛り付けました。

父親が捕まったリズは転校することになりました。最後にリズに声をかけたピーターは、やりたいことをやり通してとリズから逆に励まされました。

スタークを救ったパーカーは、彼からアベンジャーズの新しい本部に呼ばれます。

スタークに新しいスーツとアベンジャーズへの加入を告げられますが、ピーターはその誘いを断ります。

大衆のためにこの力を使うことを決意したピーターにはアベンジャーズという肩書きはもう必要ありませんでした。

家に戻ると、スタークから新スパイダースーツが届けられていました。すぐにスーツを着て得意気のピーター。

ピーターはそのスーツ姿をメイおばさんに見られてしまいました。

5.『スパイダーマン:ホームカミング』感想と評価

(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

スパイダーマンの世界的な人気は高く、珍しいことにそれはアメコミが当たらないと言われている日本でも同じです。

それは、過去のサム・ライミ版とマーク・ウェブ版が日本でもヒットしたことで証明されています。

ただ今回は今までと違って純粋な単体作品ではないので、かなり省略されている部分があります。本当の意味でのスパイダーマン初見の方は注意が必要です。

前提としてピーターは両親がいない。ベンおじさんが亡くなっている。メイおばさんと二人暮らし。学校では学業優秀のいわゆるギークという立場。

ここら辺が頭に入っていれば、なぜメイおばさんがあれほどピーターを心配するのか。なぜ擬似的な父親になったアイアンマンに必死に認めてもらおうとするのか。なぜニューヨークの街を平和にしようと頑張るのか。それが説明されなくても理解できます。

監督のジョン・ワッツはピーターの人間性の構築に大きな影響を与えた出来事をあえて描きませんでした。

それは多分にスパイダーマンがすでに2度も作られている世界的な大人気シリーズで、説明の必要がないこともあるでしょう。

しかし、今回はそれ以上にウェットさを極力排除するための試みだと思いました。

ジョン・ワッツは『COP CAR/コップ・カー』が異色の青春ものとして高く評価され、今回のリメイクに大抜擢された人物です(この作品も素晴らしいので未見の方はぜひ!)。

スパイダーマンの一つの大きな魅力は、高校生のピーターが繰り広げる思春期の葛藤、つまり青春。

前作の『アメイジング・スパイダーマン』では、青春恋愛ものの名作『500日のサマー』を手掛けたマーク・ウェブが監督を務めました。

今作は監督も公言している通り、ジョン・ヒューズ監督が手掛けた『ブレックファスト・クラブ』に代表される学園青春ものの大きな影響を受けています。

そのため本作はあくまで学校でのシーンがメインです。

親友のネッドと組むボンクラコンビの微笑ましさや、恋愛、思春期特有の全能感。

このシリアスになれば必ずギャグで外すというのは、最近でいうと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『デッドプール』に近い感じでしょうか。

これが好みなら文句なしに楽しくて、かわいくて、胸が熱くなる素晴らしい作品でした。

ただアベンジャーズに馴れたせいで、全体的にアクションシーンが物足りない感じはします。特に序盤のショボさ(ただの高校生なのでしょうがない・・・)と最後の飛行機での戦闘シーン(暗くて何が起こってるのかよく分からない)。

また地球の危機を救うといった話ではなく、あくまで自分の周りの世界で完結してしまうのは話的にはスケールが小さく感じてしまうかもしれません。

ただスパイダーマンは今までの作品でもずっと何よりもまず身近な人の人命救助を第一義としてきました。

それが親愛なる隣人スパイディである所以であり、ファンが彼に惹かれてしまう理由でもあります。

トム・ホランドのチャーミングさも含め、スパイダーマンはこの先も愛されるキャラクターとなっていくことでしょう。

まとめ

(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

本作は過去の2シリーズと比べるとより子どもっぽさが強調され、トム・ホランドの魅力全開です。

@chrishemsworth and @bobbydazzler84 beat that!

✌️さん(@tomholland2013)がシェアした投稿 –

上記のインスタグラムの投稿を見ると、本当に運動神経がいいことがわかります。

さらに、監督のジョン・ワッツはその実力が間違いないことを証明してみせました。

最近のハリウッドのもう一つの潮流として、実績が幾ばくもない監督をすぐにブロックバスター超大作に抜擢するというものがあります。

例を挙げればキリがありません。

ジョン・ワッツは
『COP CAR/コップ・カー』

『スパイダーマン:ホームカミング』

ギャレス・エドワーズは
『モンスターズ/地球外生命体』

『GODZILLA ゴジラ』

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

コリン・トレボロウは
『彼女はパートタイムトラベラー』

『ジュラシック・ワールド』

『Star Wars: Episode IX(タイトル未定)』

ライアン・ジョンソンは
『LOOPER/ルーパー』

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

こう見ると『スター・ウォーズ』の重用ぶりはスゴイですね。キャスリーン・ケネディ恐るべし。

成功ばかりではなく、失敗例もあります。

マーク・ウェブは
『500日のサマー』

『アメイジング・スパイダーマン』(3部作の予定が急遽打ち切りに)

ジョシュ・トランクは
『クロニクル』

『ファンタスティック・フォー』(記録的な大コケ)

小規模な作品でも面白ければその本質を見抜いてくれるプロデューサーがいる。

ネームバリューに左右されずしっかりと作品の質を見極め、きちんとヒットさせる観客がいる。

映画大国アメリカとの差を猛烈に感じる現象でもあります。

そして、本作のような超大作にもしっかりと現代社会ならではの要素を落とし込んでいます。

資本主義の陽側であるトニー・スターク(アイアンマン)と陰側であるエイドリアン・トゥームス(バルチャー)。

そしておそらく意図的に多人種のキャストをピーターのクラスメイトに起用しています(MJの登場のさせ方は驚きました)。

暗いニュースが多い本国アメリカでこの幼稚で明るくて楽しい本作がヒットしているのも大納得。

それはおそらく日本でも同じことでしょう。

夏の大本命、スパイディの活躍をぜひ大きなスクリーンで!

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