『マトリックス』は2019年9月6日(金)より2週間限定で全国ロードショー公開中!
1999年9月11日に公開され、「SF」と言うジャンルのみならず映画界そのものに大きな衝撃を与えた伝説的名作『マトリックス』(1999)。
そんな伝説的な作品である『マトリックス』が公開してちょうど20年が経過した2019年9月、スクリーンに2週間限定で本作が戻ってきました。
ただスクリーンにて再上映と言うわけではなく、体感型の4DX上映としてさらなる進化を遂げた本作の魅力をあらすじネタバレを交えご紹介させていただきます。
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映画『マトリックス』の作品情報
【公開】
1999年(アメリカ映画)
【原題】
The Matrix
【監督】
ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー
【キャスト】
キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジョー・パントリアーノ
【作品概要】
1999年にラリー・ウォシャウスキーとアンディ・ウォシャウスキーによって製作されたSF映画。
世界で莫大な売り上げを記録したこの作品は、『スピード』(1994)でのブレイク以降、人気が伸び悩んでいたキアヌ・リーヴスを再びハリウッドスターへと押し上げました。
映画『マトリックス』のあらすじとネタバレ
サラリーマンとしてソフト会社に勤めるトーマス・アンダーソンは、起きても覚めない夢のような感覚に悩まされていました。
自宅のパソコンの前で寝ていると「起きろ、ネオ」と言う言葉がモニターに浮かび上がり、彼は目を覚まします。
アンダーソンは夜な夜な様々なコンピュータ犯罪を犯すネオと言う異名を持ったハッカーで、同じく伝説的な存在である「モーフィアス」と言う男を追っていました。
「白ウサギについていけ」と画面に浮かび、次の瞬間コンピュータ犯罪の取引相手が自宅に現れます。
取引相手の女性の1人に白ウサギの刺青を見つけたネオは、画面の言葉通り彼女たちの誘うパーティーに参加し、その場でハッカー界では名の知れた存在であるトリニティと言う女性に出会います。
彼の悩みの正体を知っていると話すトリニティに惹かれるネオでしたが、気が付くと翌日の朝であり彼は会社に遅刻してしまうのでした。
自身の仕事場に匿名の人物から携帯電話が届き電話が鳴り響きます。
恐る恐るその電話に出ると「モーフィアス」と名乗る男がネオに危機が迫っていると言い、職場までやってきた彼を追うスーツ姿の男たちから逃がそうと導きますが、高層ビルの窓を伝うことを躊躇ったネオはスーツ姿の男に捕まってしまいます。
スーツ姿の男、エージェント・スミスはネオの犯罪歴を抹消する代わりにモーフィアスを捕まえる手助けをして欲しいとネオに協力を要請します。
中指を立て電話をさせろと言うネオにスミスは「口がきけなかったら」と告げると、突如ネオの口はふさがり始め、スミスたちの用意したエビのような機械がネオのへその中に侵入していきました。
自宅で目を覚ましたネオは再びモーフィアスから連絡を受け、まだ自分と会いたいかを問われます。
トンネル内でモーフィアスの仲間であるトリニティたちの車に乗ったネオは、トリニティによりへその中に居たエビのような機械を特殊な機材で取り出し、ネオは昨日の出来事が夢でなかったことに驚愕します。
古びた館の中でモーフィアスと遂に対面したネオは、そこで選択を迫られます。
モーフィアスが差し出した青のカプセルを飲むと翌日何もなかったかのようにベッドで目を覚まし、赤のカプセルを飲むと決して後戻りはできないがこの世の真実を知ることが出来る。
迷わず赤のカプセルを飲んだネオを仲間たちのいる部屋に連れて行くと、ネオの「本当の身体」を起こすために作業を始めます。
赤のカプセルは追跡装置の意味もあり「本当の身体」を探しやすくするためのものでした。
身体の寒さを訴えるネオは、次の瞬間培養液が詰まったカプセルの中で目を覚まします。
身体中にプラグが繋がれており、同じような状態のカプセルがおびただしいほど眼前に広がっていました。
目を覚ましたネオを不良品と感知したのか、やってきた機械の生命体によりネオの身体中のプラグが外され、排水溝に吸い込まれていきます。
下水道に落下したネオのもとに飛空艇が現れ、ネオを回収しました。
飛空艇の中にはモーフィアスがおり、ネオに「本当の目覚めだ」と声をかけるとネオは気を失いました。
衰え切った筋肉や目を再生するため数々の治療を受けた後に目を覚ましたネオは、椅子に横たわるように指示されると後頭部に残る穴にプラグを差されます。
すると目の前には何もない真っ白な空間が広がっていました。
ネオのいた1999年の時代ではなく現実は2199年ほどであると語るモーフィアスは、今までネオがいたはずの世界は「マトリックス」と呼ばれる機械が作り出した仮想現実であったと言います。
現実の世界はAIの発展により人間と機械が戦争を始め、太陽光が機械の動力源であると悟った人類は青空を破壊し、逆に機械は人間を培養することで人間の発する熱エネルギーを使い動力源としていると言うことでした。
培養された人間全員に仮想現実を見せることで反逆を抑えていたと語るモーフィアスの言葉を一度は信じなかったネオでしたが、現実世界の荒廃しきった姿に徐々にそのことを受け入れていきます。
飛空艇「ネブカデネザル号」に乗るオペレーターのタンクに促され、マトリックス内で役に立つ様々な訓練データのインストールを行うネオ。
戦闘訓練を学習し終えたところでモーフィアスと手合わせを行いますが、あまりにも早いモーフィアスの動きにネオはついていくことが出来ません。
モーフィアスはネオにプログラムが作り出した仮想現実において常識に囚われる意味がないとネオに助言すると、徐々にネオはモーフィアスを追い詰めるようにすらなります。
跳躍訓練やエージェント・プログラムを経て、マトリックスにはスミスを筆頭に「エージェント」と呼ばれる存在がいて、培養されプラグをつながれている全員になり替わることが出来る上に、銃弾をかわすほどの恐るべき戦闘力を持つプログラム体が反逆者の始末のために動いていると知ります。
さらに現実世界にも「センチネル」と呼ばれるイカのような機械生命体が、プラグを外した人間の始末のために日夜うろついており、センチネルを倒すためには全ての電子機器を破壊する兵器「EMP」を利用するしかないとのことでした。
マトリックス内でのダメージが現実世界にも影響すると知ったネオは、自分が機械への反逆を成功させるとされる「選ばれし者」としてモーフィアスやトリニティから絶大な期待を寄せられていることを知ります。
モーフィアスによると選ばれし者が真に覚醒したとき、マトリックスの常識などは簡単に書き換えられ、銃弾は止めるまでもなくエージェントを倒すこともすらも容易になるとのことでした。
映画『マトリックス』の感想と評価
DVDの発売に伴い、DVDプレイヤーとしての機能を搭載していたゲーム機「プレイステーション2」が売り上げを伸ばすなど、高い経済効果を生み出した不朽の名作である『マトリックス』。
自分たちの生きる世界が「仮想現実」の世界であるとした物語運びや、1人の男の「救世主」としての目覚め、預言者がネオに示した言葉の矛盾などの考察要素は20年経った今でも色褪せず、再度感動してしまうほどでした。
演出面に関しても斬新な要素が目白押しで、特に多量のカメラを使った「バレットタイム」と呼ばれる演出は本作の目玉とも言え、本作以降様々な映像作品で取り入れられるようになります。
主演のキアヌ・リーヴスの演技も良く、自身の可能性を信じていない青年が仲間のために自身を信じ始める内面の表現が魅力的で、終幕後は恰好にあこがれてしまうほど。
物語、演出、世界観、俳優、全てが完ぺきと言える本作はまさしく、後世まで語り継がれていくべき名作であると再び感じることのできる再上映でした。
4DX版感想!激しい銃撃戦、激しい格闘戦を全身で感じる喜び
当時映画を観ていない人にまで銃弾を交わすシーンが話題となった本作は、何度も鑑賞してしまうほど激しい銃撃戦や格闘戦が魅力でもあります。
今回の再上映イベントの最重要とも言える部分は「4DX」での上映と言う部分であり、過去の名作が新たな技術を取り入れ「進化」を遂げていることがその身で体感できます。
特に本作の「4DX」演出はエア部分が秀逸であり、銃弾が飛び交う戦地を駆ける緊迫感からエビのような機械の触手部分までもがエアで表現されており、思わず「ヒッ」と声をあげてしまいました。
もちろんその他の部分の再現も完璧であり、激しい格闘戦ではいつ攻撃がヒットしているのかが分かりやすく、ネオやトリニティの激しい動きに座席も同調。
仮想現実へ侵入(ダイブ)するという物語の世界観にもマッチしているこの「4DX」体験は、作品の持つイメージをそのままに正統な進化を遂げたと言える新たな『マトリックス』の形になっていました。
まとめ
往年の名作を大スクリーンで鑑賞できるだけでなく、かつては経験が出来なかった「体験」すらも可能となった今回の再上映。
全く違った映画体験の出来るこの再上映イベントでは、何回も本作を鑑賞したことがあると言う方にも、実は今まで鑑賞したことがないと言う方にももちろんオススメであり、感動すること間違い無し。
20年が経過しても全く色褪せることのない名作映画である本作をこの週末にぜひ劇場で体験してみてだくさい。