またもクリスチャン・ベールがやってくれました!
これまでも数々の作品で肉体改造を行ってきたクリスチャン・ベールが、映画『バイス』でも体重を20キロ増やして髪を剃り、アメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われたディック・チェイニーを熱演。
第91回アカデミー賞に作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門ノミネートされている本作。
2019年4月5日(金)の全国ロードショーに先駆けて、映画『バイス』の情報と、俳優クリスチャン・ベールの“なりきり遍歴”をお届けします!
CONTENTS
映画『バイス』の作品情報
【公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
Vice
【監督】
アダム・マッケイ
【キャスト】
クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーブ・カレル、サム・ロックウェル、ジェシー・プレモンス、アリソン・ピル、リリー・レーブ、タイラー・ペリー、ジャスティン・カーク、リサ・ゲイ・ハミルトン、シェー・ウィガム、エディ・マーサン
【作品概要】
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2016)のスタッフ&キャストが再結集し、ジョージ・W・ブッシュ政権でアメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われたディック・チェイニーを描いた社会派エンタテインメントドラマです。
これまでも数々の作品で肉体改造を行ってきたクリスチャン・ベールが、今作でも体重を20キロ増力。髪を剃り、眉毛を脱色するなどしてチェイニーを熱演しました。
本作でクリスチャン・ベールは第76回ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞を受賞。
チェイニーの妻リン役に『アメリカン・ハッスル』(2014)『メッセージ』(2017)のエイミー・アダムス、ラムズフェルド国防長官役に『フォックスキャッチャー』(2015)『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のスティーブ・カレル、ブッシュ大統領役に『スリー・ビルボード』(2018)のサム・ロックウェルと、アカデミー賞常連の豪華キャストが共演しています。
ブラッド・ピットの製作会社プランBも製作に携わっています。
映画『バイス』のあらすじ
ワイオミングの田舎の電気工から“事実上の大統領”に上り詰め、アメリカを自在に支配し、アメリカ史上最も権力を持ったチェイニー副大統領を描きます。
ほとんどの人が気付かぬ間に強大な権力を牛耳り、世界のあり方を一変させてしまったディック・チェイニー。
大学を中退したディック・チェイニーは議員のインターンとして働き始め、権力を得るための術を学んでいきました。
その後彼はジョージ・ブッシュとともに働き始めます。
そして2001年。
同時多発テロが起こり、ディックが下した決断とは…。
『バイス』ことディック・チェイニーって?
ディック・チェイニーは、ジョージ・W・ブッシュ政権(2001-2009)で、アメリカ史上最も権力を持った副大統領(バイス・プレジデント)です。
1941年1月30日にネブラスカ州リンカーンで生まれたディック・チェイニー。
1966年、ワイオミング大学大学院政治学専攻修士課程修了、政治学修士号取得。
更にウィスコンシン大学大学院博士課程に移り、政治学専攻時代に、当時のウィスコンシン州知事、ウォーレン・ノールスのスタッフをつとめます。
これが、チェイニーが政界との接点を持つきっかけとなりました。
1975年から1977年にはフォード大統領の首席補佐官、1978年から1989年は下院議員、1989年から1993年は先代のブッシュ大統領のもとで国防長官をつとめました。
1995年から2000年まで、ダラスの世界屈指の石油業界相手のエンジニアリング・建設会社ハリバートンの経営にもCEOとして参加。
2001年から2009年までのジョージ・W・ブッシュ大統領の政権時には副大統領に就任。
アメリカ同時多発テロ事件後、ディック・チェイニーはイラクを攻撃する必要性を説き、ブッシュ大統領をイラクとの戦争に導いたと言われています。
タイトルの『バイス』には、バイス・プレジデント(副大統領)を指すだけでなく、“悪徳”や“邪悪”という意味もこめられているそうです。
カメレオン俳優クリスチャン・ベール
クリスチャン・ベールのインタビュー映像を見ると、別人のようにスリムになり、ディック・チェイニーの面影はありません。
20代から70代までのディック・チェイニーの半生を演じるため、大量のパイと卵を摂取するなど半年かけて20キロ増量し、圧倒的な説得力を持って演じ切ったクリスチャン・ベール。
インタビューでも語っているように、ただの外見的な物まねではなく、ディック・チェイニーの“本質”を捉えるために、政治姿勢を含めて肯定的にチェイニーを受け入れたそう。
クリスチャン・ベールは『ザ・ファイター』(2011)で第83回アカデミー賞助演男優賞を受賞したほか、『アメリカン・ハッスル』、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』では主演男優賞にノミネートされ、本作『バイス』で3年ぶり4回目の男優賞ノミネートとなります。
役によって外見もしゃべり方や歩き方までも自在に変化させるカメレオン俳優、クリスチャン・ベールのなりきり遍歴をおススメ映画とともにまとめました。
クリスチャン・ベールの役者魂を改めてご覧あれ。
映画『マシニスト』(2005)
【監督】
ブラッド・アンダーソン
【キャスト】
クリスチャン・ベール、ジェニファー・ジェイソン・リー、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ジョン・シャリアン、マイケル・アイアンサイド、ラリー・ギリアード・Jr.、レグ・E・キャシー、アンナ・マッセイ
【作品概要】
1年間眠っていない男が体験する悪夢のような世界を描き、2004年のサンダンス映画祭やベルリン国際映画祭など多方面で絶賛されたサイコ・サスペンス。
暗号めいた数字や記号を随所に散りばめ、衝撃的な物語を作りあげたのは、『セッション9』(2002)の鬼才ブラッド・アンダーソン監督。
脚本は『テキサス・チェーンソー』(2004)のスコット・コーサーです。
映画『マシニスト』のあらすじ
極度の不眠症で1年も眠れず、病的に痩せ衰えた機械工のトレヴァー(クリスチャン・ベール)。
自宅で不気味な貼り紙を見つけ、新しい同僚に出会って以来、彼の周囲で奇妙な出来事が頻発します。
誰かが自分を陥れようとしていると感じたトレヴァーは、疑心暗鬼になっていき…。
映画『マシニスト』での役づくり
脚本を気に入り自ら監督に出演を申し出たクリスチャン・ベールは、1年間寝ていない主人公を演じるために4ヶ月の間、1日ツナ缶1つ・リンゴ1個だけの食事で過ごしたといいます。
本人は更に過激に痩せようとしましたが、周りに止められ断念。
最終的に63ポンド(約30キロ)減量で54キロまで体重を減らしました。
映画『バットマン ビギンズ』(2005)
【監督】
クリストファー・ノーラン
【キャスト】
クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ケイティ・ホームズ、ゲイリー・オールドマン、キリアン・マーフィ、トム・ウィルキンソン、ルトガー・ハウアー、渡辺謙、マーク・ブーン・ジュニア、ライナス・ローチ、モーガン・フリーマン、ラリー・ホールデン、ジェラルド・マーフィ、コリン・マクファーレン、サラ・スチュワート、ガス・ルイス、リチャード・ブレイク、ラデ・シェルベッジア、エマ・ロックハート、クリスティーン・アダムス、キャサリン・ポーター、ジョン・ノーラン
【作品概要】
DCコミックスの人気キャラ「バットマン」。
両親を目の前で殺された大富豪ブルース・ウェインが、いかにしてバットマンとなり、悪と戦うに至るかを描くノーラン版「バットマン」3部作の1作目です。
本作の後、『ダークナイト』(2008)『ダークナイト ライジング』(2012)と続きます。
映画『バットマン ビギンズ』のあらすじ
幼少期に両親を殺されたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は復讐心を持ちながら成長しますが、正義感の無力を知り放浪の旅に出ます。
ヒマラヤの奥地で肉体的・精神的修行に打ち込み、腐敗した大都会ゴッサム・シティに戻った彼は、巨悪と対峙するべくバットマンになる決意をし…。
映画『バットマン ビギンズ』での役づくり
『マシニスト』のさらにそのすぐ後『バットマン ビギンズ』の撮影が控えていたクリスチャン・ベール。
体格を戻す為に大量のアイスクリームなどを摂取し、6ヶ月で体重190ポンド(86キロ)までウエイトアップという過酷なトレーニングをやり遂げました。
数多くのアクションシーンを自分自身行っていて、リーアム・ニーソン演じるラーズ・アル・グールとの氷上でのアクションシーンも、実際に薄い氷の上で撮影されました。
クリスチャン・ベールが普段話すのはイギリス英語ですが、『バットマンビギンズ』で演じたバットマン(ブルース・ウェイン)はアメリカ英語で話すキャラクター。
劇中の役のイメージを壊さないようにするために、映画のプロモーションの際にもアメリカ英語でインタビューなどに受け答えをしています。
映画『ザ・ファイター』(2011)
【監督】
デビッド・O・ラッセル
【キャスト】
マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、メリッサ・レオ
【作品概要】
『スリー・キングス』(2000)のデビッド・O・ラッセル監督が、名ボクサー、ミッキー・ウォードと彼の異父兄ディッキー・エクランドの絆を描いた実録ドラマ。
第83回米アカデミー賞でクリスチャン・ベールとメリッサ・レオが助演男優賞、助演女優賞を受賞しました。
映画『ザ・ファイター』のあらすじ
1980年代のマサチューセッツ州ローウェル。
米ボクシング界のスター、シュガー・レイ・レナードと拳を交わしたことのあるディッキー(クリスチャン・ベール)は街の英雄でしたが、戦いに敗れたことから麻薬に手を染め、投獄されます。
そんな兄の陰でミッキー(マーク・ウォールバーグ)は早くからアマチュアボクサーとして実績を積み、頭角を現しますが…。
映画『ザ・ファイター』での役づくり
コカイン中毒の元ボクサー、ディッキー・エクランドを演じるにあたり13キロの減量だけではなく、実際に髪の毛を抜き、歯並びまでも変えて役作りに挑みました。
また、実在のディッキー・エクランドをどう演じるか学ぶため、本人に会いに行き、何時間も一緒に過ごしたそうです。
麻薬中毒でキレやすいディッキーをリアルに再現。
また映画の後半で、ある事に気づかされ、変化していく心の揺れも鮮やかに演じています。
映画『アメリカン・ハッスル』(2013)
【監督】
デビッド・O・ラッセル
【キャスト】
クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジェレミー・レナー、ルイス・C・K、マイケル・ペーニャ、シェー・ウィガム、アレッサンドロ・ニボラ、エリザベス・ローム、ポール・ハーマン、サイード・タグマウイ、ジャック・ヒューストン
【作品概要】
デビッド・O・ラッセル監督が、1970年代アメリカで起こった収賄スキャンダル「アブスキャム事件」を映画化。
クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、『世界にひとつのプレイブック』(2013)のブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ラッセル監督作初参加のジェレミー・レナーら豪華俳優陣を迎えて描きました。
映画『アメリカン・ハッスル』のあらすじ
1979年、ラスべガスやマイアミに続くカジノタウンとして開発中のニュージャージー州アトランティックシティ。
詐欺師のローゼンフェルドを逮捕したFBI捜査官のディマーソは、司法取引でローゼンフェルドを捜査に協力させ、偽のアラブの大富豪をエサにした巧妙なおとり捜査によって、カジノの利権に絡んだ大物汚職政治家たちを逮捕していきますが…。
映画『アメリカン・ハッスル』での役づくり
肥満体の天才詐欺師アーヴィンを演じたクリスチャン・ベールは、撮影にあたり、ドーナッツやチーズバーガーなど目にした食べ物はすべて摂取し体重を20キロ以上増量。
あまりの変貌ぶりに、共演したロバート・デ・ニーロは彼が誰か分からなかったんだそうです。
アーヴィンとその妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)が喧嘩をするシーンは脚本なしで撮影されたというのも驚きです。
まとめ
完成された映画『バイス』を観たクリスチャン・ベールは、こんなに多くを感じる作品は初めてだと語っています。
また、別のインタビューでも、演技は自分にとって中毒性のあるものと答えたクリスチャン・ベール。
見た目だけではなく、そのキャラクターの中身を観察し、まるで本人の中に憑依して演技をしているんじゃないかと思わせる、当代きってのカメレオン俳優。
急激な体重の増減は身体への負担も大きいため、そろそろ見た目の役づくりが必要で無いキャラクターも演じて欲しいところ。
2019年4月5日(金)の全国ロードショーされる映画『バイス』は、会話の中に詰まったそれぞれの思惑が観客の想像を駆り立てる作品となりました。
なぜディック・チェイニーが悪名高い副大統領になったのか、その道程を一緒に辿りましょう。