Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2020/04/17
Update

映画『タッチ・ミー・ノット ローラと秘密のカウンセリング』あらすじ/キャスト/公開日/予告動画。女性監督がマイノリティの性にカメラを向けた衝撃作

  • Writer :
  • 石井夏子

第68回ベルリン国際映画祭金熊賞(最高賞)受賞作品。

カンヌ、ベネチアと並ぶ世界三大映画祭のひとつ、ベルリン国際映画祭2018 無名の女性監督が脚光を浴びました。

ルーマニア出身のアディナ・ピンティリエ監督の初長編映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』 (原題:TOUCH ME NOT)が、金熊賞(最高賞)と 最優秀新人作品賞の2冠に輝いたんです。

話題作がひしめくコンペティション部門での名もなき新人監督の快挙は、世界で賛否を巻き起こす事件となりました。

映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』は2020年7月4日(土)より渋谷の映画館シアター・イメージフォーラムにて公開予定、‟仮設の映画館(オンライン配信)”でも6月6日(土)に先行公開されます。

あわせて予告編も解禁されました。

映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』について

(C)Touch Me Not – Adina Pintilie

本作は、欧州で実在する障がい者やトランスジェンダーなど、“マイノリティ”と呼ばれる人たちの “性”にもカメラを向けた衝撃作です。

強迫性障害をもつ孤独な主人公・ローラに、フランスの女優ローラ・ベンソンを迎え、ローラが好意をよせる無毛症のトーマスには、『ブレードランナー2049』などハリウッド超大作にも出演するアイスランドのトーマス・レマルキスが選ばれました。

(C)Touch Me Not – Adina Pintilie

そのトーマスとカウンセリングで交流をする車椅子の身体障がい者には、脊髄性筋萎縮症(SMA)を抱えるクリスチャン・バイエルラインがドイツから参加し、赤裸々なセックスシーンにも挑戦。また、ローラがインターネット上で発見するセックスワーカーのハンナ・ホフマンも、50代で性転換をした実在のトランスジェンダーです。

そんな〈現実〉と〈虚構〉が入り交じりながら描かれる、彼らの自由な生き方は、見る者の倫理観を揺さぶり続けるでしょう。

アディナ・ピンティリエ監督のプロフィール

(C)Touch Me Not – Adina Pintilie

本作で監督・脚本・編集を務めたアディナ・ピンティリエは、2008年にルーマニアの国立演劇大学ブカレスト大学を卒業

映画監督やビジュアルアーティストとして、世界の映画祭で多数受賞しています。

本作は初長編映画作品ながら、第68回ベルリン国際映画祭(2018)金熊賞と最優秀新人作品賞の2冠に輝きました。

フィクション、ドキュメンタリー、ビジュアルアートの垣根を超えて、個性的かつ実験的な映像で、人間の「心」についてを妥協なく探求し続けている新時代の映像作家です。

映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』の作品情報

(C)Touch Me Not – Adina Pintilie

【日本公開】
2020年(ルーマニア・ドイツ・チェコ・ブルガリア・フランス合作映画)

【原題】
TOUCH ME NOT

【監督・脚本・編集】
アディナ・ピンティリエ

【キャスト】
ローラ・ベンソン、トーマス・レマルキス、クリスチャン・バイエルライン、グリット・ウーレマン、ハンナ・ホフマン、シーニー・ラブ、イルメナ・チチコワ、アディナ・ピンティリエ

映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』のあらすじ

(C)Touch Me Not – Adina Pintilie

ローラは父親の介護で通院する日々を送っていますが、 彼女自身も人に触れられることに拒否反応をおこす精神的な障がいを抱えていました。

ある日、病院で患者同士がカウンセリングする不思議な療養を目撃するローラ。病により全身の毛がないトーマス、自由に四肢を動かせない車椅子のクリスチャンなど、様々な症状を抱える人たちが、互いの身体に触れ合うことで自分を見つめていたんです。

ローラは彼らを興味深く観察する中で、自分と同じような孤独感を持つトーマスに惹かれていきます。街でトーマスに導かれるように秘密のナイトク ラブへ入ったローラは、そこで欲望のままに癒し合う群衆を目の当たりにし…。

まとめ

(C)Touch Me Not – Adina Pintilie

主人公・ローラのメンタルヘルス、トランスジェンダーや身体障がいの方など多様な生き方や性、カウンセリングがテーマの本作。

ローラの心と体が解放されるとき、観客自身もカウンセリングを体験したかのように、世界との見えない壁が取り除かれていくことでしょう。

ベルリン金熊賞史上、最も議論を呼んだ問題作が、ついに日本上陸です。

映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』は2020年7月4日(土)より渋谷の映画館シアター・イメージフォーラムにて公開予定。

‟仮設の映画館(オンライン配信)”でも6月6日(土)に先行公開


関連記事

新作映画ニュース

イラン映画『少女は夜明けに夢をみる』あらすじ。上映公開日が11月2日に決定した少女更生施設のドキュメンタリー

無垢な魂は、悲しみの羽をもつ。 残酷な世界で、愛を乞う叫びに心震えるドキュメンタリー。 イランの少女更生施設を舞台に、強盗、殺人、薬物、売春といった罪を犯した少女たちの物語に光をあて、第66回ベルリン …

新作映画ニュース

映画『ヒトラーVS.ピカソ』ドキュメンタリー作品のあらすじ。 ナチスに奪われた美術品の行方は?

ナチスに弾圧され奪われた美術品と、それに関わる人々の運命に迫る名画ミステリー『HITLER VERSUS PICASSO AND THE OTHERS』(英題)。 邦題を『ヒトラーVS.ピカソ 奪われ …

新作映画ニュース

インド映画『プレーム兄貴、王になる』あらすじ。キャストのサルマンカーンが踊るマサラムービー!

これぞ王道インド映画。 歌って!踊って!気分スッキリのハートウォーミング・マサラムービー。 2019年、日本でもスマッシュヒットを記録した『バジュランギおじさんと、小さな迷子』のサルマン・カーン主演作 …

新作映画ニュース

今週おすすめ映画!上映される最新の洋画邦画の人気ランキング【2018/8/10より公開】

今週8月10日(金)より、劇場公開されるオススメの新作映画を、恒例の映画ライターさんイチオシまとめ! 「映画鑑賞するのに失敗したくない!」 「おすすめの動画配信サイトで何を見たらいいの?」などのお悩み …

新作映画ニュース

映画『そして、バトンは渡された』キャストの永野芽郁は森宮優子役!演技力の評価とプロフィール

映画『そして、バトンは渡された』は2021年10月29(金)にロードショー 第16回本屋大賞を受賞した瀬尾まいこのベストセラー小説を映画化した『そして、バトンは渡された』が、2021年10月29日(金 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学