第67回ベルリン国際映画祭パノラマ部門テディ賞ドキュメンタリー映画部門受賞作。
好評企画「台湾巨匠傑作選 2021―侯孝賢監督デビュー40周年記念<ホウ・シャオシェン大特集>」で特別上映された台湾ドキュメンタリー映画『日常対話』。
台湾発・娘がカメラを手に母の本音に迫る、入魂のドキュメンタリー『日常対話』が、2021年7月31日(土) より、ポレポレ東中野にてロードショーと決定しました。
公開日決定に合わせ、日本版予告編とポスタービジュアルが解禁となります。
映画『日常対話』について
本作『日常対話』は、巨匠ホウ・シャオシェン監督が製作総指揮し、2017年2月には第67回ベルリン国際映画祭パノラマ部門にてLGBTをテーマにした作品に贈られるテディ賞に輝き、同年秋にはアカデミー賞外国語映画賞の台湾代表作品に選ばれました。
本作の監督ホアン・フイチェン(黄惠偵)が、自らが一児の母になったことをきっかけに、他人同士のように冷え切ってしまった自分の母親との関係を、同性愛者でもある母親、親せきや知り合いなど身近な人々へのインタビューや対話を通して修復しようとする過程を映像に収めた長編ドキュメンタリー映画です。
アジアで初めてとなる台湾の同性婚合法化(2019年に合法化)に向け、世論が大きく揺れていた時期に公開された本作は、2016年の金馬奨ではドキュメンタリー映画部門の観客賞を、2017年の台北映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
日本では第1回東京ドキュメンタリー映画祭(2018)等で上映されたほか、映画に先立ち2015年にはNHKとの国際共同制作でテレビ向けに編集された54分の短編作品『母と私』が、「BS世界のドキュメンタリー」で放映されました。
本作、テレビ版ともにホウ作品をはじめ、中華圏の名だたる映像作家に楽曲を提供しているリン・チャン(林強)が音楽を担当しています。
映画『日常対話』のポスタービジュアル
今回公開された日本版ポスタービジュアルは、食卓につく母と娘を背中合わせに配した素描による本国台湾版のビジュアルを活かした構図。
本作のキーであるドキュメンタリーを撮るという行為が二人の関わり方にもたらした影響を「カメラの前なら、「言える」「聞ける」こともある」というコピーで表現しています。
映画『日常対話』の予告編
母親とその兄弟、娘(監督)、監督の姪の3世代を縦軸に捉えた予告編動画。
女性としての役割を押し付けられながらも本来の自分として生きてきた同性愛者である母親の、ありのままの姿をフィーチャーしました。
映画『日常対話』の作品情報
【日本公開】
2021年(台湾映画)
【原題】
日常對話
【英題】
Small Talk
【監督・撮影】
ホアン・フイチェン(黃惠偵)
【エグゼクティブプロデューサー】
ホウ・シャオシェン(侯孝賢)
【音楽】
リン・チャン(林強)、ポイント・シュー(許志遠)
映画『日常対話』のあらすじ
ひとつ屋根の下、赤の他人のように暮らす母と私。母の作る料理以外に私たちには何の接点もありません。
ある日、私は勇気を出して母と話をすることにしました。
ビデオカメラを回し、同性愛者である母の思いを記録することに。
そして私も過去と向き合い、心に秘めたある秘密を母に伝え……。
まとめ
現在ではジェンダー平等においてアジア第1位、世界第6位*を誇る台湾ですが、かつては「家」を重んじる家父長制、それに伴うジェンダー不平等が当たり前の、保守的な社会でした。
娘(ホアン監督)がカメラを回しながら母親と対話を試みる背後には、男尊女卑、貧困、虐待、毒親、依存症、暴力の連鎖、マイノリティへの偏見等の個人を取り巻くキーワードが複雑に絡み合いながら、民主化とともに急速な経済発展を遂げた台湾社会に潜む問題となって映し出されます。
ドキュメンタリー映画『日常対話』は、2021年7月31日(土)よりポレポレ東中野にてロードショーです。
*台湾は国連未加盟のため、国連開発計画(UNDP)が発表するジェンダー不平等指数(GII)に基づいて、2021年に台湾の最高行政機関である行政院の性別平等処が算出した結果による。