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ルネ・クレール監督映画『巴里祭』『リラの門』が4Kデジタル・リマスター版で蘇る!

  • Writer :
  • 石井夏子

巨匠ルネ・クレール監督 生誕120周年記念

優しい笑いで人々を包み込み、映像と音楽の素晴らしい調和を生み出した巨匠ルネ・クレール監督

チャップリン、小津安二郎など、世界の映画作家にも多大な影響を与えたルネ・クレールの生誕120周年を記念し、映画の原点とも言える名作『巴里祭』『リラの門』が4Kデジタル・リマスター版で美しくよみがえります

4Kデジタル・リマスター版は2019年6月22日(土)、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開されます。

ルネ・クレール監督について

参考映像:『巴里の屋根の下』

ルネ・クレール(René Clair, 本名:ルネ=ルシアン・ショメット(René-Lucien Chomette)) は、フランスの映画監督・脚本家・映画プロデューサー。

「詩的レアリスム」(ジョルジュ・サドゥール)の監督といわれ、トーキー映画の道を開拓した重要な人物でもあります。

1898年11月11日にパリで生まれ、中央卸売市場のあったレ・アル地区で育ちました。

第一次世界大戦では衛生兵として参加し、戦後はジャーナリストや俳優として活動したのち、1923年に『眠るパリ』で監督としてデビュー。

1930年のトーキー映画『巴里の屋根の下』は独創的な音の使用で話題となり、、1932年『巴里祭』で国際的名声を獲得します。

その後製作資金を求めて英国やハリウッドで創作活動をし、第二次大戦後帰国して1952年に『夜ごとの美女』、1957年『リラの門』などの名作を発表。

1981年3月15日、ヌイイ=シュル=セーヌにて82歳で死去しました。

ルネ・クレール監督が詩情豊かに描くフランスの風景は愛に溢れ、いまなお映画ファンの心をつかんで離しません。

映画『巴里祭』の作品情報

【4K版日本公開】
2019年(フランス映画)

【原題】
Quatorze Juillet (英題:July 14th)

【監督・脚本・台詞】
ルネ・クレール

【音楽】
モーリス・ジョベール

【美術】
ラザール・メールソン

【キャスト】
アナベラ、ジョルジュ・リゴー、レーモン・コルディ、ポール・オリヴィエ、ポーラ・イレリ

【作品概要】
『巴里の屋根の下』(1930)『ル・ミリオン』(1931)『自由を我等に』(1931)次ぐルネ・クレールの第4回トーキー作品。

主演は『ル・ミリオン』『掻払いの一夜』(1930)のアナベラと新進のジョルジュ・リゴーのふたり。

『巴里の屋根の下』のポーラ・イレリー、『ル・ミリオン』『自由を我等に』のポール・オリヴィエ、『ヴェルダン 歴史の幻想』(1928)のトミー・ブールデル、レイモン・エーモスらが脇を固めます。

映画『巴里祭』のあらすじ

アパルトマンの向かいに住み、ひそかに惹かれ合っていたタクシー運転手ジャンと花売り娘のアンナ。

フランス革命記念日“巴里祭”の前日7月13日、にわか雨をきっかけに、ふたりは心を通い合わせます。

翌日に踊りに行く約束をしますが、思いがけない出来事がふたりを引き裂き…。

映画『巴里祭』のみどころ

戦前に公開された『巴里祭』は、パリ下町が舞台の、フランス革命記念日”巴里祭”の前日に心を通い合わせた男女のすれ違いの恋物語が、モーリス・ジョベールの名曲に乗せてロマンティックに描かれます。

主演のアナベラは、その可憐な美しさから<翼をなくした天使>と称えられ、日本でも大ヒットを記録した初期の代表作。

この度解禁されたポスタービジュアルでは、窓辺に寄りかかりうっとりとしたアナベラが美しく印象的です。

また“いくつもの運命の中で、ひとつの恋の夢が花開く”という本編でも流れる曲の歌詞より引用されたコピーからは、彼女が直面する様々なドラマを想像せずにはいられません。

映画『リラの門』の作品情報

【4K版日本公開】
2019年(フランス映画)

【原題】
PORTE DES LILAS(英題:GATES OF PARIS)

【監督・脚本・台詞】
ルネ・クレール

【原作】
ルネ・ファレ

【音楽】
ジャック・メテアン、ジョルジュ・ブラッサンス

【キャスト】
ピエール・ブラッスール、ジョルジュ・ブラッサンス、アンリ・ヴィダル、ダニー・カレル

【作品概要】
1950年、ポピュリスト賞を受けたルネ・ファレの『ラ・グランド・サンチュール』(パリ市の外郭の意)を原作に、ルネ・クレールが脚色、潤色、台詞を担当、自ら監督した作品。

音楽はシャンソン界の異彩ジョルジュ・ブラッサンスが自作の歌を自らギターを手にして出演、歌っています。

主演は『天井桟敷の人々』(1945)のピエール・ブラッスールにブラッサンス、『奥様ご用心』(1958)のダニイ・カレル、『気分を出してもう一度』(1959)のアンリ・ヴィダル。ほかに『幸福への招待』(1956)のレイモン・ビュシェール、『居酒屋』(1956)のアメデなど。

映画『リラの門』のあらすじ

仕事もせずに、酒におぼれるジュジュ。

ある日、近所に住む音楽家の友人の家へ、警官殺しのピエールが逃げ込んできます。

ふたりはピエールを追い出そうとしますが、負傷していることに気がつき匿うことに。

しかし、ジュジュが密かに想いを寄せるマリアが、ピエールに夢中になり…。

映画『リラの門』のみどころ

戦後に公開された『リラの門』は、ルネ・クレール監督、円熟期の最高傑作

警官殺しを匿うことになったお人よしの主人公の、可笑しくて切ない人情喜劇です。

ろくでなしだが憎めない主人公を名優ピエール・ブラッスールが熱演

自らも出演し演奏する伝説的シャンソン歌手ジョルジュ・ブラッサンスの音楽が心を揺さぶります。

ポスタービジュアルはピエール・ブラッスールが、片思いするマリア役のダニー・カレルへ隠し事をして、気まずそうな表情を浮かべているのがなんともおかしいですね。

またダニー・カレルのレトロ可愛いフレンチスタイルも魅力的です。

まとめ

美しく詩情あふれるルネ・クレール監督作

ルネ・クレールの生誕120周年を記念し、4Kデジタルリマスター版での公開が決定した『巴里祭』と『リラの門』。

音楽と映像が共生し、映画ならではの魔法をかけてくれます。

映画『巴里祭』『リラの門』4Kデジタルリマスター版は、6月22日(土) YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開です。

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