映画『凪待ち』は2019年6月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷を皮切りに全国ロードショー公開!
監督・白石和彌。俳優・香取慎吾。両雄が初のタッグを組んだ映画にして、震災後の宮城県石巻市を舞台に描かれる重厚なヒューマン・サスペンスドラマ。
それが、2019年6月28日に劇場公開される映画『凪待ち』です。
2019年6月13日、本作の最初のロケ地となった塩釜水産物仲卸市場にて、撮影に協力してくださったロケ地で暮らす方々に向けた完成報告試写会が実施されました。
本作を手がけた白石監督、サプライズゲストとして主演を務めた香取が登壇。市場内は驚きと喜びの声に包まれ、「本作の撮影に協力してくださった、ロケ地で暮らす人々への感謝を伝えたい」という目的から行われた今回の試写会は大盛況のうちに幕を閉じました。
この度、塩釜水産物仲卸市場での『凪待ち』完成報告試写会に訪れ、映画のロケ地であり被災地でもある宮城県で暮らす方々に本作の率直なご感想をお聞きしました。
本記事では、映画『凪待ち』でロケ地に暮らす人々の本作へのご感想をご紹介させていただきます。
CONTENTS
感想①:白石監督と主演・香取の思いが伝わった
香取演じる主人公・郁男に訪れるあまりにも残酷な不条理に、思わず感情移入してしまう程に引き込まれてしまったと答えられたのは、試写会を終えた市場内の特設会場で片付け作業をされていた女性。
本作の物語、あるいは郁男の運命は一体どうなってしまうのだろうという不安を抱きながらもその行く末を観続け、ハッピーエンドとは言えないかもしれないが、最終的には郁男にとって「救い」のある結末を迎えたことに「良かった」と感じられたそうです。
そして、「白石監督や香取がどのような思いでこの映画を作ったのか?」を感覚的に汲み取ることができたこともあり、映画『凪待ち』は自身にとって「好き」と言える作品となったと語られました。
感想②:俳優・香取慎吾のさらなる魅力
同じく試写会の片付け作業をされていた男性は、2002年に放送されたテレビドラマ『人にやさしく』の頃から俳優・香取慎吾を観続けてきたとのこと。
映画『凪待ち』を通じて観た現在の香取の演技には、これまでにない役柄に驚きつつも「流石だ」「やはり上手いなぁ」と感じられたそうです。
また、香取演じる郁男が怒りや哀しみなどの様々な感情を発露、あるいは爆発させる姿は劇中でも特に印象的であり、感情をその全身をもって表現することができる俳優・香取慎吾の魅力が存分に発揮されていたとも。
しかしながら、彼のその魅力は『人にやさしく』に出演していた当時から持っていたものであり、それが映画『凪待ち』においても、より強化された形、より磨かれた形として映し出されていたと語られました。
感想③:地元の方だからこそ分かる風景
今回の試写会における舞台挨拶で目にした香取の爽やかさと、その対極といえる映画『凪待ち』での強烈な演技には大きなギャップを感じたという女性。
彼が暴力的な一面を持つ役柄を演じる姿をこれまで観たことがなかったため、香取の本作での演技はとても新鮮に感じ、魅入ってしまったそうです。
そして物語の終盤に明らかにされる衝撃的な真実には驚きを隠せず、自身が想像し得なかった展開を見せた本作の物語には感服したと明かされました。
6月13日の完成報告試写会・舞台挨拶での香取慎吾
また、地元の人々にとっては見慣れている風景がスクリーンに映し出されると、上映中の観客席からは「ここ、あそこだよね?」という小さな、そして嬉しそうな話し声が聞こえてきたとのこと。
劇中には地元で暮らす方だからこそどこなのかが分かる場所が幾つも映されており、女性自身も、劇中の風景がどこのどのような場所なのかが分かる度に嬉しくなったそうです。
映画『凪待ち』の物語やキャスト陣の名演を楽しみつつも、「この辺の海かな?」「ここから見た風景だよね?」「あそこの道路だよね?」など、“自分たちが知る風景を見つけ出す”という地元で暮らす人間だからこそ持ち得る視点からも、本作は面白い映画だったと語られました。
感想④:“思い入れ”が映し出された映画『凪待ち』
そして、映画『凪待ち』への評価を「最高に良かったねぇ」と微笑みながら仰ったおじいさんも、劇中に映し出されていた宮城県の石巻と塩釜の風景に対し「本当に良い風景だった」としみじみと、そして切なげに語られました。
地元で暮らす方々にとって、映画『凪待ち』はヒューマン・サスペンスドラマであると同時に“風景の記憶”あるいは“風景の記憶”を撮った記録の映画なのでしょう。
今回の試写会で初めて『凪待ち』を鑑賞し、その上で本作をもう一度劇場で観たいと言うおじいさんの言葉には、本作が面白い映画だったからという理由以上のもの、その土地で長らく暮らしてきた方の一人であるが故に見出せた“思い入れ”を感じられました。
映画『凪待ち』の作品情報
【公開】
2019年6月28日(日本映画)
【監督】
白石和彌
【脚本】
加藤正人
【キャスト】
香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー
映画『凪待ち』のあらすじ
ギャンブル依存症を抱えながら、その人生をフラフラと過ごしていた木野本郁男(香取慎吾)。
彼は恋人の亜弓(西田尚美)が故郷である石巻に戻ることをきっかけに、ギャンブルから足を洗い、石巻で働き暮らすことを決心します。
郁男は亜弓やその娘・美波(恒松祐里)と共に石巻にある家へと向かいますが、そこには末期ガンを宣告されてからも漁師の仕事を続ける亜弓の父・勝美(吉澤健)が暮らしていました。
郁男は小野寺(リリー・フランキー)の紹介で印刷工の仕事を。亜弓は美容院を開業。美波は定時制の学校へ。それぞれが、石巻で新たな生活をスタートさせました。
けれども、郁男は仕事先の同僚に誘われたのがきっかけとなり、再びギャンブルに、それも違法なギャンブルに手を染めてしまいました。
やがて些細な揉め事から、美波は亜弓と衝突してしまい、家を出て行ってしまいます。
その後、夜になっても戻らない彼女を郁男と亜弓は探しに行くものの、二人はその車中で口論となってしまい、郁男は車から亜弓を降ろしてそのままどこかへと去ってしまいました。
そして、ある重大な事件が起こります…。
まとめ
塩釜水産物仲卸市場での完成報告試写会が終わった後、映画『凪待ち』の率直な感想を、ロケ地であり被災地でもある宮城県で暮らす方々にお聞きした中で理解できたことがあります。
それは、本作が多くの方々に観られるべき映画であるということ。そして、白石監督や香取慎吾をはじめ、本作のスタッフ陣・キャスト陣は、「多くの方々に観られるべき映画」以上の価値を持つ映画を作ろうとしたこと。
そして「多くの方々に観られるべき映画」以上の価値を持つ映画とは、その土地で暮らす方々の記憶と風景そのものが込められた映画であるということです。
誰ものために作られ、誰かのために作られる。その“始まり”に限りなく近い映画の本質を、塩釜水産物仲卸市場での映画『凪待ち』完成報告試写会と、地元で暮らす方々の言葉が教えてくださったのです。
映画『凪待ち』は2019年6月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷を皮切りに全国ロードショー公開!