Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2018/12/20
Update

映画『山〈モンテ〉』公開日情報。黒澤明の精神を継ぐ傑作【アミール・ナデリ作品】

  • Writer :
  • かりごめあき

現代イラン映画の巨匠アミール・ナデリ監督が、イタリアでオールロケを敢行した映画『山〈モンテ〉』。

ミケランジェロなどのイタリア彫刻にインスピレーションを受けて制作された本作は、肉体を過剰に酷使しながら孤立無援の人間の限界突破を描く孤高の傑作です。


© 2016 Citrullo International, Zivago Media, Cineric, Ciné-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

アップリンク吉祥寺にて公開となる映画『山〈モンテ〉』の公開日が2019年2月9日(土)に決定し、併せて予告編が解禁されました。

映画『山〈モンテ〉』の予告編

予告編には、岩山に光を遮られ、光が差さずに作物が育たない不毛の地で暮らすアゴスティーノと妻のニーナ、息子のジョヴァンニたちの苦しみに満ちた生活が描かれています。

この村を「死の世界」と皆は呼び、次々に村人たちが去っていく中、アゴスティーノたちは祖先や亡き妹の墓があるこの地を離れようとしません。

彼らは神に祈りを捧げ必死に働きますが、その祈りはむなしくも届かず、異端者として町の人々から迫害され、家族は離れ離れになってしまいます。

そして、遂にアゴスティーノは神に祈ることを止め、自らの手で山を崩そうと鍬を手にします。

アゴスティーノが岩山に打ち付ける鍬の音と彷徨が山々に響きます。

果たして、彼は山〈モンテ〉を突き崩すことができるのでしょうか…!?

イタリアを舞台に、黒澤明の精神を受け継ぐ傑作


© 2016 Citrullo International, Zivago Media, Cineric, Ciné-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

予告編の中では、アミール・ナデリ監督の「これは黒澤明の精神から生まれた映画だ」というコメントが引用されています。

この言葉は、ナデリ監督が敬愛する黒澤明映画に登場する人物の“絶望的な環境にいながらも、決してあきらめずに生き抜こうとする姿”から引き継がれているようです。

実際に本作は、企画当初は日本で撮影することを予定していました。

しかし、ナデリ監督がイメージするような硬くゴツゴツとした岩山が日本には存在しないため、舞台はイタリアに変更されました。

一見、荒唐無稽とも思われかねない物語を、重厚なカメラワークと拘りぬいた色彩設定とサウンドデザインで、映画表現を極北まで押し広げた本作。

本編への期待がますます高まります。

映画『山〈モンテ〉』の作品情報


© 2016 Citrullo International, Zivago Media, Cineric, Ciné-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

【公開】
2019年(イタリア・アメリカ・フランス合作映画)

【原題】
MONTE(英題:MOUNTAIN)

【監督・脚本・編集・音響】
アミール・ナデリ

【製作】
カルロ・ヒンターマン、ジェラルド・パニチ、リノ・シアレッタ、エリック・ニアリ

【撮影】
ロベルト・チマッティ

【美術】
ダニエレ・フラベッティ

【衣装】
モニカ・トラッポリーニ

【装飾】
ララ・シキック

【録音】
ジャンフランコ・トルトラ

【VFX】
佐藤文郎

【キャスト】
アンドレア・サルトレッティ、クラウディア・ポテンツァ、ザッカーリア・ザンゲッリーニ、セバスティアン・エイサス、アンナ・ボナイウート 

【作品概要】
天涯孤独の少年を、圧倒的な映像美で描いたイラン映画の金字塔『駆ける少年』(1985)や、西島秀俊主演『CUT』(2011)で知られる、現代イラン映画の巨匠アミール・ナデリ監督作品。

何十年もの間、イタリアで映画を撮ることを夢見ていたナデリ監督が、待望のイタリアオールロケを敢行した意欲作。

2016年度、第17回東京フィルメックスにて招待作品として上映され、第73回ヴェネツィア国際映画祭では「監督・ばんざい!賞」を受賞。

映画『山〈モンテ〉』あらすじ


© 2016 Citrullo International, Zivago Media, Cineric, Ciné-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

中世後期イタリア。

南アルプスの山の麓にある小さな村の外れで暮らすアゴスティーノと妻のニーナ、息子のジョヴァンニ。

この村は、壁のようにそびえる壮大な山に太陽の光を遮られており、思うように作物を育てることができずにいます。

他の家族はよりよい暮らしを求めて去っていきましたが、アゴスティーノとニーナは彼らの説得にも応じず、先祖の墓や亡き娘の墓があるこの地を離れようとはしませんでした。


© 2016 Citrullo International, Zivago Media, Cineric, Ciné-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

飢えた家族となんとか生き延びるため、アゴスティーノはあらゆる手を尽くしますが、周囲の村の者達からは異端者として差別され、遂にはそこに暮らすことさえも禁止されて離れ離れになってしまう家族。

もはや手立てはありません。

神や自然、人間からも見棄てられたアゴスティーノは、たった一人で彼らを苦しめる忌まわしき山と対峙し…。


© 2016 Citrullo International, Zivago Media, Cineric, Ciné-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

まとめ


© 2016 Citrullo International, Zivago Media, Cineric, Ciné-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

アップリンク吉祥寺にて公開となる映画『山〈モンテ〉』の公開日が2019年2月9日(土)に決定し、予告編が解禁されました。

アミール・ナデリ監督が、念願のイタリアでのオールロケを敢行し、ヴェネツィア国際映画祭「監督・ばんざい!賞」を受賞した本作。

西島秀俊主演『CUT』に代表される、ナデリ監督の“肉体を過剰に酷使しながら孤立無援の人間の限界突破を描くスタイル”は本作でも引き継がれています。

壁のようにそびえ立つ岩山の麓で暮らす一人の男が、宗教・自然・人間のすべてと対峙する姿を、ナデリ監督拘りの映像美で描き切りました。

映画『山〈モンテ〉』は2019年2月9日(土)より、アップリンク吉祥寺にて公開!以降全国順次。


©︎ Cinemarche

シネマルシェではアミール・ナデリ監督のインタビュー記事を鋭意編集中です。ご期待ください!

関連記事

新作映画ニュース

『マンティコア 怪物』あらすじ/キャスト/上映館。カルロス・ベルムト監督が描くタブーを越えた衝撃の結末とは?“不穏”が伝わるビジュアル&30秒予告も解禁

スペインの鬼才!カルロス・ベルムト監督(『マジカル・ガール』)最新作 劇場デビュー作『マジカル・ガール』(2014)がサン・セバスチャン国際映画祭グランプリ&監督賞をダブル受賞したスペインの鬼才カルロ …

新作映画ニュース

映画『MOTHER マザー』キャスト夏帆は児童相談員・高橋亜矢役を演じる【演技評価とプロフィール】

2020年7月3日公開の長澤まさみ主演映画『MOTHER マザー』キャスト紹介 母と息子。ひとつの殺害事件。実話をベースに描く感動の衝撃作『MOTHER マザー』が2020年7月3日(金)よりTOHO …

新作映画ニュース

未体験ゾーンの映画たち2019で公開決定!韓国映画『マリオネット 私が殺された日』あらすじとキャストの見どころは⁈

「未体験ゾーンの映画たち2019」情報! ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催中の「未体験ゾーンの映画たち2019」で、韓国映画『マリオネット 私が殺された日』が3月15日 (金)より公開することが決 …

新作映画ニュース

映画『パラサイト』キャストの貧困息子ギウ役はチェ・ウシク【演技評価とプロフィール】

第72回カンヌ国際映画祭“最高賞”パルムドール&第92回アカデミー賞作品賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』は2020年1月10日より全国公開! 第72回カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール受賞に加え、 …

新作映画ニュース

映画『東京リベンジャーズ』キャストのアッくん役は磯村勇斗。演技評価とプロフィール!

映画『東京リベンジャーズ』は2021年7月9日よりロードショー 北村匠海が主演を務め、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、間宮祥太朗、吉沢亮ら豪華若手俳優が共演する青春サスペンス『東京リベンジャーズ』が公開 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学