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Entry 2019/08/16
Update

映画『去年マリエンバートで』4Kデジタル・リマスター版の予告編完成!10月に東京恵比寿ほかで公開

  • Writer :
  • 石井夏子

シャネルのサポートで美しく蘇る!

1961年ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)を受賞したアラン・レネ監督、アラン・ロブ=グリエ脚本の傑作『去年マリエンバートで』

©1960 STUDIOCANAL – Argos Films – Cineriz

劇中でもオリジナルデザインの衣装を提供したフランスのファッションブランド「シャネル」のサポートによって 4K最高精細・最高解像度での完全修復が施され、2019年10月25日よりYEBISU GARDEN CINEMAを皮切りに全国で公開されます。

そしてこのたび、本作のメインビジュアルと予告編が完成しましたのでご紹介します。

映画『去年マリエンバートで』4Kデジタル・リマスター版メインビジュアル

本記事冒頭に添付したメインビジュアルに映るのは、ココ・シャネルが本作のためにデザインしたブラックシフォンドレスとドレープ、そしてパールのジュエリーをまとったヒロイン、デルフィーヌ・セイリグ

シャネルの原点回帰である、シンプルにしてエレガント、クラシカルにしてモダンな「ドレス・ア・ラ・マリエンバート」と呼称された衣装は、「シャネル・スタイルの集大成」「ココ・シャネルの記念碑的傑作」と絶賛され、ブリジッド・バルドーも全く同じ衣装一式をココ・シャネル本人に発注したという逸話があるほど。

本作の公開50周年記念となった2011年の春夏シャネル・コレクションでも、ディレクターを務めたカール・ラガーフェルトが、このドレスにオマージュを捧げた衣装をデザイン。

さらに、セイリグのサイドにカールを施した髪型は、セイリグ本人が製作陣の反対を押し切って自ら選んだスタイル。

セイリグが参照したのは、20代のココ・シャネルのヘアスタイル。「マリエンバート・カット」と称されたこのヘア・スタイルも、ドレスとともに一大ブームを巻き起こしました。

映画『去年マリエンバートで』4Kデジタル・リマスター版予告編

予告編では、去年会ったと言う男と、全く覚えていないと言い張る女の駆け引き、そして女の心が男の言葉によって、揺らぎ、変化してゆく様が、リズミカルに展開。

音楽に合わせて画面に点滅する文字は、「詩的」「神秘的」「官能的」「優雅な」といった本作を形容するフランス語(詳細は後述)。

また、ブラックシフォンドレスだけでなく、ホワイトシフォンドレス、リトルブラックドレス、ジャガードドレスなど、一連のシャネルの衣装をまとったデルフィーヌ・セイリグの美しい姿が、シャネルの全面サポートによって完全修復された流麗な映像で映し出されます。

予告編で登場するフランス語及び日本語訳

1…vertigineux 目眩がする
2…poetique 詩的な
3…inclassable 分類不可能な
4…mysterieux 神秘的
5…elegant 優雅な
6…onirique 夢のような
7…incomparable 比類なき
8…inoubliable 忘れられない
9…sensuel 官能的
10…moderne モダン
11…etrange 未知の
12…deroutant 混沌の
13…intemporel 不滅
14…baroque バロック風
15…sublime 崇高な
16…delirant 誇大妄想
17…insolite 型破りな
18…sensuel 官能的な
19…obsedant 強迫観念

映画『去年マリエンバートで』の作品情報

【製作】
1961年(イタリア・フランス合作映画)

【4K版日本公開】
2019年

【原題】
L’Année dernière à Marienbad(英題:Last Year in Marienbad)

【監督】
アラン・レネ

【脚本】
アラン・ロブ=グリエ

【撮影】
サシャ・ヴィエルニ、フィリップ・ブラン

【編集】
アンリ・コルピ、ジャスミン・ジャズニー

【音楽】
フランシス・セイリグ

【美術】
ジャック・ソニエ

【衣装】
ベルナール・エヴァン

【衣装提供】
シャネル

【製作】
ピエール・クロー、レイモン・フロマン

【字幕翻訳】
細川晋

【キャスト】
デルフィーヌ・セイリグ、ジョルジョ・アルベルタッツィ、サッシャ・ピトエフ

【作品概要】
フランスの名匠アラン・レネが1961年に手がけ、同年の第22回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した一作。

戦後世界文学にムーブメントを巻き起こした文学運動ヌーボーロマンの旗手アラン・ロブ=グリエが執筆した脚本で、ヌーベルバーグ左岸派の代表格とされるレネが監督するという奇跡的なコラボレーションが実現。

ヒロインのデルフィーヌ・セイリグが劇中で着用しているドレス数点を、晩年のココ・シャネルが自らデザインしました。

映画『去年マリエンバートで』のあらすじ

ブルジョワジーたちが、演劇、コンサートに身を沈め、ダンスやゲームに耽るバロック風の豪奢なホテル。

ここにひとりの男がやってきます。

去年出会い、恋に落ち、そして1年後に駆け落ちする約束をした女を、ここから連れ出すために。

しかし、再会した女は、全く覚えていないと言い張ります。あなたの夢物語でしょうと。

ですが男には確信があり、彼女の夫と思しき男の視線をかいくぐり、確かに愛し合った事実を証明しようとします。

庭園で、遊歩道で、バルコニーで、池のほとりで、茂みに隠れて…逢瀬を重ねた甘美な思い出の数々を男は語り続けます。

嘘か真か、男の言葉を聞くうちに、女の心の中に徐々にためらい、動揺が生じてゆき…。

まとめ

時代も国籍も不明な、バロック風の宮殿のようなホテルで繰り広げられる、無限の物語。

劇中でオリジナルデザインの衣装を提供したシャネルのサポートによって完全修復が施された、アラン・レネ監督、アラン・ロブ=グリエ脚本の傑作をぜひ鑑賞ください。

『去年マリエンバートで』4Kデジタル・リマスター版は2019年10月25日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開です。

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