スイスプロイテーション映画の撮影現場をリモートで訪問!
あの国民的アニメの主人公が血塗れ姿で悪を討つ!映画の名は『マッド・ハイジ』!
ナチスが月から攻めてくるトンデモ映画、『アイアン・スカイ』(2012)をヒットさせた製作陣が、スイス・アルプスを舞台に新たな映画を製作。
2022年の全世界同時配信を目指した本作は、今までにない方法で製作資金を調達し、収支はブロックチェーン技術を用いて透明化を図り管理し、利益を出資者に配当する新たなビジネスモデルの採用でも注目を集めています。
また、PR活動においてもオンラインを利用した新たな試みを展開させ、「バーチャルセットツアー」によるリモートでの撮影現場を見学を実施。
ツアー案内人は日本語が堪能な、本作のクララ役であるアルマル・G・佐藤さんが行いました。
CONTENTS
映画『マッド・ハイジ』のバーチャルセットツアーを紹介!
ロケ地のローマ劇場と、ツアーを案内してくれたアルマル・G・佐藤さん
2021年10月22日18:30(日本時間)に『マッド・ハイジ』の撮影現場、それもクライマックスとなるラストシーンを撮影中の現場を、リモートで訪問させて頂きました。
今回のバーチャルセットビジットのツアー案内人は、本作のクララを演じモデルとしても活躍されている、日本とスペインのハーフであるアルマル・G・佐藤さん。日本語に堪能な彼女が撮影現場を案内し、現地スタッフとの通訳を務めてくれます。
アルマル・G・佐藤のプロフィール
1991年6月4日生まれ。スペイン人と日本人のハーフでスペインのマドリッド出身ですが、9~16歳までは日本で暮らしていました。
ネイティブ言語の日本語に加え、スペイン語・英語を駆使してモデル・女優として、またスポーツ番組のMCを務めるなど、国境を越え幅広い分野で活躍しています。
出演された映画『Letters to Paul Morrissey』(2018)は、D’A映画祭バルセロナやトリノ・アンダーグラウンド映画祭など、数多くの映画祭で受賞・ノミネートされた作品です。
女優としても国際的に注目を集めているアルマル・G・佐藤さん。『マッド・ハイジ』ではアクションシーンに挑戦していますので、ご注目下さい。
撮影現場には血のりがいっぱい!
日本とスイスの時差は7時間、日本の方が進んでいます。モニターに映し出された風景には、明るく晴れ渡った空が広がっていました。場所はスイス・マルティニ。ケルト・ローマ時代からの遺構を持つ街で、『マッド・ハイジ』の撮影は行われていました。
「こんにちわ!」、と明るく挨拶してくれたアルマル・G・佐藤さん。ロケ地はローマ劇場ことローマ式円形闘技場。かつて『グラディエーター』(2000)に登場する、かつて剣闘士たちが死闘を繰り広げた場所です。
撮影のために装飾が施され、新たな建築物も組まれていました。これは私たちがセットを組むなど、映画ために用意したものと説明するアルマルさん。
『マッド・ハイジ』はコメディとホラーをミックスしたものです、と説明したアルマルさんは、プロデューサーのヴァレンティン・グルタートさんと共に、撮影中のローマ劇場内に向かいます。
野外の劇場内に入ると、目に付いたのが大量の血のりを入れたポリ容器と、それを噴出させるエアコンプレッサーが並んでいる光景です。どんなシーンが撮影されるのかは一目瞭然、そして劇中でハイジが使う物騒な凶器も並んでいました。
今は撮影休憩中なのでぜひ、とローマ劇場の中央部に案内してくれたアルマルさん。極めて重要なラストシーンの準備中で、そこにはヨハネス・ハートマン監督もいます。
血のりまみれの土の上で、独特のコスチューム姿の2人がリハーサル中。彼女たちが行っているのは”シュヴィンゲン”、スイスの国技のような格闘技で、日本では”スイス相撲”とも呼ばれているスポーツです。
目の前で出演者に大量の血のりがメイクされます。この重要シーンがどんな展開なのか想像できるでしょう。出番に備え休憩中のハイジ役、アリス・ルーシーさんにも紹介して頂きました。
アリスさんはクラウドファンディング募集用に作られた、予告編に登場するハイジとは別の女優です。本編には予告編の映像は使われない予定で、全てのシーンが新たに撮影されます。
日本を意識した”ハイジ”作品
映画『マッド・ハイジ』は、ホラーとコメディ要素あふれる楽しい作品です。と笑顔で紹介してくれたアルマルさん。大量に用意された血のりが活躍するシーンが沢山あるそうです。
撮影後にCGで加えますが、撮影時の特殊効果でも流血シーンを描きます、と説明するアルマルさんの背後で、バイオレンスシーンのリハーサルを始めたハイジ役のアリス・ルーシーさん。
プロデューサーもハートマン監督も、「アルプスの少女ハイジ」が日本で非常に人気がある作品だと理解していました。この映画には日本的要素を加えねばならない、そこで私がクララ役に起用されたと話すアルマルさん。
本作の製作を聞いた、スイスの人々の反応は大きなものでした。“凄い、面白い映画になりそう!”との声もあれば、“これ、「アルプスの少女ハイジ」と全然違う…”、などと様々な反響が起きて面白かった、手ごたえを語ってくれました。
映画は日本の観客もターゲットにして作られ、脚本は日本のアニメ版を意識しているとの事。現在日本のテレビコマーシャルで、「アルプスの少女ハイジ」のアニメが使用されているのは本作関係者もご存じでした。
アニメに登場した動物たちも出てくるの、と質問したところ”ある動物”は確実に登場する模様。この映画確かにアニメ版をリスペクトしています。
TVCMで「ハイジ」の知名度が日本で高まっているのは嬉しいが、アニメ版とは全く違う内容の映画でどうしたものか、と笑って答えるアルマルさん。撮影終了後に、本作は日本に向けて大いにアピールされる模様です。
この後自分はクララの運命に関わる極めて重要なシーンを演じます、とアルマルさんは教えてくれました。詳しくは紹介できませんが、その設定を聞いて笑うべきか呆れるべきか迷いましたが…実にブラックです!
アルマルさんはこの映画が、自分にとって初めてのアクション映画で、撮影前に行った1週間のトレーニングが実に面白かった、と舞台裏を話してくれました。
今日はクララが、”散々な目”に遭うシーンを撮影する日だと教えてくれたアルマルさん。このシーンに備えたトレーニングは非常に難しかった、でもやりがいがあったと言葉を続けます。
血塗れのバイオレンスシーンあふれる撮影現場で、本当に楽しく過ごしていると話してくれました。
撮影現場に世界各国のファンが駆け付ける
今日はクライマックスシーンをあと6時間撮影する、残る撮影は4日間とのこと。その後にVFXシーンの追加やカラーグレーディング、音響や編集といった撮影後に行われる、膨大なポストプロダクション作業が控えています。
派手なスプタッッター映画にもなると、その作業時間は実に膨大になります。リリースは2022年の後半になる予定との事。
予告編にはベタな”スイス特産品ネタ”が登場します。本作は楽しいホラー・コメディ映画ですが、作品を通じてスイスの文化を知って頂きたい。これは製作陣一同の思いでもある。
そのために世界で広く知られる、日本のアニメ版「アルプスの少女ハイジ」を意識してもらえる作品にした。とプロデューサーのヴァレンティンさんは語ってくれました。
本作のクラウドファンディングへの日本からの賛同者も存在しており、日本語で作られたのTシャツなどグッズも扱われています。
本作を支援する多くの方々も撮影現場に駆け付けていました。彼らはエキストラとして、スイス国内のみならずフィンランド、ドイツなど世界各国から駆け付けてくれた、と教えてくれたプロデューサーのヴァレンティンさん。
本作が選択した全世界配信公開は、コロナ感染症で映画を見る環境が変化した影響かと質問したところ、決してそうではないと答えます。
『マッド・ハイジ』のような、全世界のファンをターゲットにした映画は、オンラインリリースした方が適切ではないか、その判断こそ大きな理由だと説明してくれました。
ファンの中には映画館に行けない人もいる、ある国で劇場公開されても、必ずしも全国の映画館で上映されるとは限らない。ならば彼らが手軽に楽しめるように、全世界にオンラインでリリースする方法を選んだそうです。
スイスではプレミア上映を計画しており、日本でも可能であれば実施したいが、まだ白紙と現状を話すヴァレンティンさん。日本の反応次第で、更なる動きがあるかもしれません。
世界中のバイオレンスホラー映画ファンに向けた映画であると同時に、人種差別やヘイトクライムなど、世界に渦巻く難題をブラックな笑いで描く『マッド・ハイジ』。
音楽はロックやポップに、トラディショナル(伝統的)なものと様々な音楽が使用される予定。この分野でもノリの良さとベタさが重視されるのでしょう。
そして本作に絶対合わなそうな(だから合っているとも言える)、とある”日本語の歌”も使用予定と教えてくれたアルマルさん。どうやら音楽でも悪ノリする予定です。
真面目じゃないように見えて、実は真面目な一面を持つ映画です、笑って説明してくれたアルマルさん。この映画の最後は、これはハッピーエンドと言って良いと思います、と語ってくれました。
『マッド・ハイジ』は見終わった後、気持ちよく日常に戻れる映画だ。ただしグロテスクなゴアシーンもあるので、50%くらいかも…、と笑いながら言葉を続けてくれました。
この残り50%の部分こそホラー&ブラックコメディ映画ファンを、満足させせてくれる何かトンデモないものだと思われます。期待して映画の完成を待つことにしましょう。
この映画の脚本は日本の様々な映画を見て、日本の映画監督を意識した上で書かれたと説明するプロデューサーのヴァレンティンさん。そういった部分を見て頂ければ嬉しいと話していました。
最後に私が出る撮影は、明日で終わってしまう。時が経つのが実に早いと話すアルマルさん。日本とスペインのハーフの自分が、全く接点の無かったスイスで撮影に参加する喜びと、それを通じスイス文化に触れる機会を得た幸運を語られました。
「撮影頑張ります、ありがとうございました!」と挨拶すると、アルマル・G・佐藤さんは間もなく本番を迎える撮影現場に向かわれます。
映画『マッド・ハイジ』の作品情報
【公開】
2022年配信(スイス映画)
【原題】
MAD HEIDI
【監督】
ヨハネス・ハートマン
【出演】
アリス・ルーシー、マックス・ルドリンガー、アルマル・G・佐藤、キャスパー・ヴァン・ディーン
映画『マッド・ハイジ』のあらすじ
偏狭な排他主義がもたらした結果か、チーズ・ファシズム(?)を掲げる独裁政権に支配されたスイス。デストピアと化した社会ですが、美しいアルプスの自然に囲まれた環境でお馴染みの少女・ハイジ(アリス・ルーシー)は、のびのびと成長しました。
しかしファシスト政権は横暴でした。クノール司令官(マックス・ルドリンガー)と部下たちは、反逆者や危険人物を捕らえるとスイス特産品を駆使した、ベタな拷問を逮捕者に加えて弾圧します。
愛する人を失った悲しみか、それとも地元名産品のブランドイメージを傷付けられた結果でしょうか。怒りに燃えたハイジは武器を手に立ち上がります。この無茶苦茶ななストーリーにピーターとクララ(アルマル・G・佐藤)は、そしてキャスパー・ヴァン・ディーンはどんな姿で登場するでしょうか。
原作の児童文学、そしてアニメのイメージをブチ壊しながら、スイス名物をアピールする血まみれの戦いが幕を開けました……。
まとめ
2022年の全世界同時配信に向け、新たなビジネスモデルの構築して撮影中のスイスプロイテーション映画『マッド・ハイジ』。日本からの取材にバーチャルセットツアーを行うなど、様々な面で新たな試みが行われています。
今までにない数々の挑戦は、これからの映画製作・取材や広報活動、そして映画ビジネスのあり方への示唆に富んでいます。そういった面からも、世界の業界関係者が注目する作品です。
一方で世界のジャンル映画ファン、日本を中心とする「アルプスの少女ハイジ」のファンの興味をかき立て、ゴア描写に風刺と洒落があふれる、ブラックユーモアに富む作品になること間違いありません。
この作品を全世界のファンに届けるには配信公開に勝る方法はない、と準備が進められています。日本での『アイアン・スカイ』のヒットを覚えている方は、どうか期待してお待ち下さい。
今後もCinemarcheでは、本作の製作・公開に関する新たな情報が入れば、今後も随時紹介する予定です。『マッド・ハイジ』をぜひ応援したいとお考えの方は、本作の公式twitterおよびHPをご覧下さい。
映画『マッド・ハイジ』は2022年配信予定です。