太宰治「斜陽」執筆75周年記念作品『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』が劇場公開!
1947年に出版され“斜陽族”と流行語にもなり、大ベストセラーとなった太宰治の名著『斜陽』の執筆75周年を記念する映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』がついに完成。
『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』は、2022年10月28日(金) よりTOHOシネマズ甲府、シアターセントラルBe館にて先行公開、2022年11月4日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国公開されます。
本作は、山日YBSグループ創業150周年記念作品として、脚本と監督を務める近藤明男が手がけ、太宰治が新婚時代を過ごした山梨県内で撮影されました。
CONTENTS
映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』とは
「人間は恋と革命のために生れてきた」。
1947年に出版された『斜陽』には、こんな太宰治の名言が刻まれています。
『斜陽』は、戦後の日本を舞台に没落貴族の娘かず子と彼女が想いを寄せる売れっ子作家との“恋と革命の物語”で、執筆から75年を経過しても、今もなお若い読者を獲得し、読み継がれている名著です。
この小説が、太宰治執筆75周年を記念して、『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』というタイトルで映画化されました。
脚本と監督は近藤明男が務め、ヒロインのかず子を宮本茉由、彼女が想いを寄せる売れ子作家を安藤政信が演じます。
映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』のタイトルの由来
多くの小説を書いた太宰治が自殺直前に書き残した自伝的小説は『人間失格』です。
本当の自分を誰にもさらけ出すことなく生きてきた主人公の、幼少期から青年期までの道化と転落を描いています。
数多い作品の中で、彼の人生をその男の視点で描いた『人間失格』が代表作として知られていますが、実は太宰治の作品には女性が語り手になっている小説に傑作が多いのです。
<女語り>の代表作として挙げられる『女生徒』では、ある女学生の日記を基に綴られ、少女の幼さが残る主人公の心理描写が繊細に描かれています。
また、晩年の短編の中でも傑作と評され映画化もされた『ヴィヨンの妻』では、女遊びに呆ける夫を持った若き妻の苦悩が女心汲み取るように綴られています。
『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』の原作である『斜陽』では、戦後強く生き抜く女性、かず子の視点で物語が語られていきます。
中でも「人間は恋と革命のために生れてきたのだ」と言う決然たる女主人公の言葉は、時を越えて人々の心に響き、世俗に必死に抗議する<詩人・太宰>の姿も投影され、とても印象深いものでした。
このように、太宰治が生み出した美しい言葉が忠実に台詞に取り入れられており、太宰文学を愛する人にはたまらない内容となっています。
映画のタイトルの由来は、かず子が決意を語る「鳩《はと》のごとく素直《すなお》に、蛇《へび》のごとく慧《さと》く、私は、私の恋をしとげたいと思います」というイエスの言葉からです。
『鳩のごとく 蛇のごとく、斜陽』のタイトルの由来を追うと、75年前の太宰が放ったメッセージが浮かびあがってきます。
映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【原作】
太宰治:『斜陽』
【脚本】
白坂依志夫、増村保造
【脚本・監督】
近藤明男
【音楽】
海沼正利
【主題歌】
小椋佳『ラピスラズリの涙』(作詞・作曲・歌)
【出演】
宮本茉由、安藤政信、水野真紀、奥野壮、田中健、細川直美、白須慶子、三上寛、柏原収史、萬田久子、柄本明、尾崎右宗、菅田俊、岡部尚、中谷太郎、緒方美穂、三木秀甫、岡元あつこ、栗原沙也加、今泉朋子、白石恭子、薗田正美、光藤えり、山村友乃、 野崎小三郎、ジョナゴールド、 春風亭昇太
映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』のあらすじ
昭和20年。父を亡くした没落貴族のかず子と母・都貴子は、生活のために本郷西方町の家を売り、西伊豆へ引っ越すことに。
そんな中、戦地で行方不明になっていた弟・直治が帰還するとの知らせが届きます。
歳の離れた資産家との結婚を勧める母に怒りを覚えたかず子は、6年前、まだ学生だった直治が師匠と仰いだ中年作家・上原との出会いを思い起こしていきます……。
まとめ
太宰治執筆75周年記念作品として近藤明男監督が手がけた『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』。
世界を覆っている政治不安や不況、格差社会、そしてなにより生活や人間関係を一変させたコロナ禍に直面した現代で、『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』は、旧来の価値観と抗い、自らの信条を貫くヒロインを通して、明日への希望を謳いあげています。
太宰が描く女心<女語り>を意識して鑑賞するのも面白味があり、太宰治からの熱いメッセージが込められた本作をぜひ劇場でご鑑賞ください。
太宰治『斜陽』執筆75周年記念作品『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』は、2022年10月28日(金)よりTOHOシネマズ甲府、シアターセントラルBe館にて先行公開、2022年11月4日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国公開。