映画『宇宙の彼方より』は2023年6月3日(土)より下北沢トリウッドで封切り後、6月10日(土)より大阪シアターセブン、6月17日(土)より横浜シネマノヴェチェント、7月1日(土)よりシネマ神戸で上映!
宇宙から飛来した奇妙な隕石がもたらした“色”によって、人々の心身が蝕まれてゆく恐怖を描き出したSFホラー映画『宇宙の彼方より』。
「クトゥルー神話の生みの親」ことH・P・ラヴクラフトの小説『宇宙の彼方の色(The Color Out of Space)』(1927)を原作とし、製作から10年以上が経った現在も世界の映画祭で評価され続けている作品です。
このたび、映画『宇宙の彼方より』を手がけたフアン・ヴ監督の公式インタビューが解禁。
さらに主演映画『PLASTIC』の公開を控える俳優小川あんをはじめとした、第二弾応援コメントが到着しました。
CONTENTS
映画『宇宙の彼方より』フアン・ヴ監督インタビュー!
映画化の着想元
──『宇宙の彼方より』がどのようにして製作されたのか教えて下さい。
フアン・ヴ監督(以下、フアン):プロデューサーであるヤン・ロスとの出会いがきっかけです。 ヤンは、日本IBM会長、マーティン・イェッターなどを輩出したシュトゥットガルト大学で出会った親友のひとりで、映画、漫画、ボードゲームなどの趣味が同じで直ぐに意気投合しました。彼は学生時代から書物を熟読するほど、怪奇SF作家、H・P・ラヴクラフトの大ファンでした。
一方、私はメタリカの曲「The Call of Ktulu」やドラマ「Xファイル」やTRPGのような、影響を受けたポップカルチャーを通してラヴクラフトを知っていた程度でした。私たちは当時、同じVFXの会社でインターンとして働いていました。会社に向かう電車の中でヤンがくれたラヴクラフトの小説を読んでいました。
会社に着き、ヤンが私の隣に座ると、車内で読んだばかりの物語について彼と話すのが日課になり、ラヴクラフトの世界に夢中になっていきました。しばらくして卒業制作としてラヴクラフトの映像化の企画がどちらからともなく上がりました。しかし、大学生が映画を作るには規模が大き過ぎる。結局、自分たちでスタジオを立ち上げた後、映画に着手をしました。
私がヤンに「すごいぞ、この物語はこれまで読んだ中で最高のものだ」と話したのは、『宇宙の彼方の色』を読み終えた日のことです。色彩の物語がとても気に入り、それからすぐにどんな映画になるか考え始めました。
「信じられないものを見た」という描写をどのように映像化すべきか。白黒で作って部分的に色を付けようというアイデアが出てきました。その時点では何色なのかは決まっていませんでしたが、このような流れからすべてが始まったのです。
活字で記された「色」の映像化
──原作小説に記された「色」を映像化するにあたり、どのような苦労がありましたか。
フアン:本作に登場する「色」という抽象的な恐怖対象を、視覚効果によってどこまで印象的なもの を作れるかが課題でした。まず頭に浮かんだのは、アニメ映画『ヘヴィメタル』(1981)に登場した泡のような緑色の球体です。
この映画を10代の頃に観て、緑色の球体を何か邪悪なイメージとして思い出しました。ラヴクラフトの著述した「色」にも近い印象を受けました。
しかし、それを再現するのに当時は莫大な時間を要し、諦めざるを得ず、泡の塊が固まりになって動くという描写が精一杯でした。今ならヤンがハリウッド超大作でやっているように、「色」にもっと細 かい動きをつけたり、エフェクトをかけることができます。
私たちが頭で考えていた通りのものが描けなかったので、この15年で我々が身につけたノウハウと最新のテクノロジーを駆使して、新しく作り変えたいと今でも悩むことがあります。
しかしながら、この映画は、2008年に作られた思い出として作り直さないほうがいいのかもしれない。かつてジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』(1977)に最新のCGを加え、特別版として1997年に新しく作り変えましたが、それが映画にとって必ずしも良い結果を迎えないことは、すでにお分かりでしょう。
VFXチームの現在
──本作の視覚効果を演出したヤンさんは現在どのような仕事をされていますか。
フアン:ヤンは現在もVFXの分野で活躍していて、シュトゥットガルトにあるRISE visual effects studiosで働いています。
シュトゥットガルトにはアニメーションやVFXの制作スタジオが多く存在し、才能のある人々が集まっていますが、ヤンが勤めるスタジオは映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)、『エターナルズ』(2021)、ドラマ「ホークアイ」(2021)など、多くの大作映画に携わっています。
視覚効果部門でアカデミー賞を受賞するなど大成功を収め、ヤンは今も超大作のプロダクションに関わっていますが、機密保持によって明かすことができません。
私が彼の仕事場へ打ち合わせをしに行くと、彼は私に見えないよう、自分のモニター画面のスイッチを 切るか、何の仕事をしているのか隠さなければならないのです。あくまで想像ですが、まだ発表されていないマーベル・スタジオの新作でしょうね。
10年以上越しの劇場公開
──世界初の劇場公開を日本で行うにあたり、どのような心境ですか。
フアン:この映画を完成させた当初、私は「日本でも多くの方に観てもらいたい」と考えていました。
しかし言語の壁だけでなく、海外配給のパートナーを探すのにも難航し、完成から多くの月日が経過した中で「古い映画」となってしまったことから、次第に日本での劇場公開は諦めてしまいました。
ですが今回、日本での劇場公開、それも“世界初”の劇場公開がついに実現できた。これ以上の嬉しいニュースはありませんし、10年以上も前に作られたこの映画が今、新たな観客の元に届けられるチャンスを得られたことは、本当に素晴らしいと感じています。
映画『宇宙の彼方より』第二弾応援コメント(敬称略・順不同)
小川あん(俳優)
SF映画として身構えていたら、遥かに超えてきました。クライムサスペンスのようなオープニングに目が離せなくなり、退廃的な空間を彷徨うカメラワークと物語の美しい構造に魅了される。
そして現れる、紫の光。それこそがSFという名を被せた解明できない、フアン・ヴのセンスの塊。観客は確実にその光に取り込まれる。
田中晴菜(映画監督)
まもなく水底に沈む寒村に古井戸、さらにその底に潜む何か。「色」と呼ばれたそれは、1927年に発表されたラヴクラフトの原作から、2010年フアン・ヴ監督によって引き揚げられ、今劇場の暗闇に蠢き、我々の前に迫り上がる。
小川深彩(映画監督)
容赦なく襲いかかる静かで不可思議な恐れと絶望…最後まで惹き込まれてやまないラヴクラフトの世界。
こんなダークで美しいコズミックホラーを私はずっと待っていた。
永野絵梨奈(女優)
白黒の世界の中、襲ってくる静かな恐怖…この作品はただのSF映画では無い。
今までに感じたことの無い新しい映画体験をさせてくれる作品です。
映画『宇宙の彼方より』の作品情報
【日本公開】
2023年公開(ドイツ映画:2010年制作)
【原題】
Die Farbe
【原作】
H・P・ラヴクラフト『宇宙の彼方の色(The Color Out of Space)』
【製作・監督・脚本・編集】
フアン・ヴ
【キャスト】
マルコ・ライプニッツ、ミヒャエル・コルシュ、エリック・ラスタッター、インゴ・ハイセ、ラルフ・リヒテンベルク
映画『宇宙の彼方より』のあらすじ
その色はどこへ去ったのか……。
1975年、アーカム。ジョナサン・デイビスは父親の失踪を知る。父親の足取りは第二次世界大戦中に駐屯していたドイツ、シュヴァーベン=フランケン地方の森へと再び赴いていた。
かつて、この田舎村で父親が目撃した不可思議な現象とは一体なにか。全ては宇宙の彼方より飛来した隕石から始まった……。
まとめ
「クトゥルー神話の生みの親」H・P・ラヴクラフトの傑作小説の世界を“忠実かつ野心的”に描き出し、製作から10年以上が経った現在も世界の映画祭で評価され続けているSFホラー映画『宇宙の彼方より』。
このたび、映画『宇宙の彼方より』を手掛けたフアン・ヴ監督のオフィシャルインタビューとあわせて、主演映画『PLASTIC』の公開を控える小川あんをはじめとした第二弾応援コメントをご紹介しました。
製作から10年以上越しの劇場公開を控え、現在はMarvel Studios作品に携わっているVFXチームの原点とも言えるCG演出、ラヴクラフトの原作小説を映像化するにあたり、どのような試行錯誤があったのかなど、鑑賞前、鑑賞後にインタビューを読み返すことで本作への理解が深まるでしょう。
映画『宇宙の彼方より』は2023年6月3日(土)より下北沢トリウッド他にて全国順次公開!さらに6月10日(土)より大阪シアターセブン、6月17日(土)より横浜シネマノヴェチェント、7月1日(土)よりシネマ神戸にて上映!