ベルリン映画祭パノラマ部門、第92回アカデミー賞豪代表作品。
第69回ベルリン映画祭のパノラマ部門に出品された映画『BUOYANCY』(原題)。
観客投票では3位を記録し、さらにエキュメニカル審査員賞を受賞するなど現地でも話題となり2019年のアカデミー賞においてはオーストラリア代表作品として外国語映画賞に選出されました。
第69回ベルリン映画祭で世界中から賞賛された映画『BUOYANCY』(原題)が邦題『ボヤンシー 眼差しの向こうに』として、2020年8月7日(金)より全国公開されることが決定しました。
また、公開決定にあわせてポスタービジュアルと予告動画が解禁されましたのでご紹介します。
CONTENTS
映画『ボヤンシー 眼差しの向こうに』について
本作は、オーストラリア人監督のロッド・ラスジェンの長編デビュー作。
監督自身が長年にわたり取材した奴隷労働の現実をフィクションに落とし込んだ作品で全編クメール語とタイ語で描かれています。
主人公でカンボジアの貧しい田舎からタイへ働きに出た14歳の少年チャクラを演じたサーム・ヘンは、奴隷として陸から遠く離れた船の上で絶対的な権力を持つ船長のもとで働きながら徐々に人間性を失っていく姿を壮絶に演じきりました。
迫真に迫った映像は、観る者に今なお残る奴隷労働の事実を突きつけながらも、映画という手法を用いて、 “少年は家族と別れどのように生きていくのか”、“生きるためにどんな選択・決断をするのか”などの疑問を現実のものとして、鋭く訴えかけてきます。
映画『ボヤンシー 眼差しの向こうに』の予告編
このたび解禁された予告編では、冒頭にカンボジアの田舎から外に目を向け始めた主人公・チャクラの姿を捉えています。
いつ給料をもらえるのかわからない漁船での仕事をはじめますが、船長から呼び出されて言われたのは「今日からはこの船がお前の家だ」「死ぬまでな」とぞっとするほど冷酷な言葉でした。
不穏な空気が流れるなか、どこまでも続く大海原にぽつりと浮かぶ小さな漁船がただ美しく漂っています。
そして、相反するように船内での非道な生活の一部が切り取られ、果たして14歳の少年が生きるためにとった手段とは…?
ロッド・ラスジェン監督が長年にわたり取材した奴隷労働の現実が主人公・チャクラの目を通してスクリーンに映し出されます。
映画『ボヤンシー 眼差しの向こうに』の作品情報
【日本公開】
2020年(オーストラリア映画)
【原題】
BUOYANCY
【監督・脚本】
ロッド・ラスジェン
【キャスト】
サーム・ヘン、タナウット・カスロ、モニー・ロス
映画『ボヤンシー 眼差しの向こうに』のあらすじ
カンボジアの田舎の決して裕福ではない家族。14歳のチャクラは、将来を期待されている兄とは違い、労働の担い手としか扱われない自分の境遇に納得がいきません。
お金を稼ぎたいチャクラは、友人から“有給の仕事”を斡旋するというブローカーを紹介してもらい、誰にも相談することなく、単身、家を出ます。
チャクラは同じ境遇の数人たちとともに密かに国境を越え、タイに入国します。
しかしそこで待ち受けていたのは、ブローカーによる“身売り”でした。
他のカンボジア人やビルマ人とともに“奴隷”として漁船に放り込まれ、劣悪な環境下で労働を強制される日々が始まりました。
1日22時間魚を漁り、与えられる食料は、冷めた米飯のみ。陸から遠く離れた船の上で絶対的な権力を持つ船長は、歯向かう者や衰弱した者を見せしめのごとく拷問し、殺し、海に放り捨てていきます。
脱出することも、陸に上がって逃げ出すこともできぬまま、非人間的な環境と拷問の恐怖に怯え、チャクラの心は摩耗し、人間性は失われ、破壊的な人格が芽生え始めます。
14歳の少年が、非人間的な状況下で選んだ、生きるための手段とは…。
まとめ
解禁された場面写真では、主人公・チャクラの眼差しが多く切り取られています。
強い決意のようにもとれる眼差しから、焼けつくような視線、心が摩耗しながらも勇ましく挑むような目線などが場面写真でありながも、訴えかけてきます。
また、本記事に載せたポスタービジュアルからは、非道な海上生活に抗いながらもバランスを取ろうとしているかのように、水面に浮かんでいる姿が印象的に映し出されています。
凄惨な状況下で14歳の少年が生きるためにどんな選択・決断をしたのでしょうか。
映画『ボヤンシー 眼差しの向こうに』は、2020年8月7日(金)より全国ロードショーです。