今回ご紹介するのは、ロマンティック・コメディを始めとする多くの作品を手掛ける巨匠、ウディ・アレン監督の『それでも恋するバルセロナ』です。
よくある男女の三角関係を描いた作品と思いきや、その展開は…?
映画『それでも恋するバルセロナ』の作品情報
【公開】
2008年(日本公開 : 2009年)
【原題】
Vicky Cristina Barcelona
【監督】
ウディ・アレン
【キャスト】
スカーレット・ヨハンソン、ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、レベッカ・ホール、パトリシア・クラーク、ケビン・ダンマーク・ナッシュ、クリス・メッシーナダグ、ザック・オース、キャリー・プレストン、パブロ・シュライバー、クリストファー・エバン・ウェルチ、ホアン・ケセダ、エミリオ・デ・ベニート、マネロ・バルセロ、ホセ・マリア・ドメネック
【作品概要】
『それでも恋するバルセロナ』はタイトルにあるように、スペイン、カタルーニャ州バルセロナで撮影されたロマンティック・コメディです。
第61回カンヌ国際映画祭特別招待作品として上映され、第66回ゴールデングローブ賞作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)受賞をしました。
情熱的な恋を望むアメリカ人女性クリスティーナ役には「アベンジャーズ」シリーズのブラック・ウィドウ役おで馴染みスカーレット・ヨハンソン。
彼女は本作で『マッチポイント』(2006)『タロットカード殺人事件』(2006)に続きアレン監督作品への出演は3作目となります。
クリスティーナの友人ヴィッキーには映画、舞台にわたり活躍する『プレステージ』(2006)のレベッカ・ホール。
クリスティーナとヴィッキーが出会う画家フアン・アントニオに扮するのは『ノーカントリー』(2007)で強烈なインパクトを放つ殺し屋シガーを演じ、『007/スカイフォール』(2012)『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)への出演が記憶に新しいハビエル・バルデム。
またアントニオの元妻マリアは、ハビエル・バルデムの実の妻であるペネロピ・クルスが演じています。
映画『それでも恋するバルセロナ』のあらすじとネタバレ
アメリカ人のヴィッキーとクリスティーナは親友同士。
共通点が多いものの恋愛感だけは全く違い、ヴィッキーは堅実で保守的な価値観を持ち真面目な青年ダグと婚約中。
対してクリスティーナは情熱的な恋愛を求めていました。
夏、ヴィッキーはカタルーニャ地方に関する論文を書くため、クリスティーナは短編映画を撮影し終わり気分を変えるため、2人でスペインへバカンスに訪れます。
バルセロナで観光を楽しむ2人は、ある夜訪れた画廊のパーティーで泥沼離婚をした画家、フアン・アントニオと出会いました。
突然2人をオビエドへ誘い、気に入ったら寝てやってもいいというアントニオをヴィッキーは嫌がりますが、クリスティーナは興味津々。
結局2人はアントニオとオビエドへ向かいます。
夜、クリスティーナはアントニオと良い雰囲気になりますが、胃潰瘍になりホテルで安静することに。
翌日アントニオの相手を1人でしたヴィッキーは、観光を楽しむうちに彼に惹かれ始めました。
映画『それでも恋するバルセロナ』の感想と評価
夏に出かけたバカンスで出会った男性に自分も友人も恋に落ち、そこへ男性の元妻が現れ…
あらすじを追うと典型的な男女の3角、4角関係のロマンティック・コメディの印象を受けますが、その枠では止まらないのが曲者ウディ・アレン作品。
舞台劇を見ているかのような台詞の応酬と彼らの強烈なキャラクター、展開する恋模様にいつしか奇妙な世界へ引き込まれていきます。
画家のアントニオと映画製作者のクリスティーナ、そしてクリスティーナにカメラを教えるマリア。
この3人が一緒に暮らし始め、クリスティーナとマリアによるアントニオを巡った争いが起きるかと思いきや、女性2人でキスをし、マリアは自ら被写体となりクリスティーナにカメラを教え、仲良くなるのです。
美しいスペインの街並み、カメラの暗室で戯れるクリスティーナとマリアの姿は絵画から出てきたように美しいもの。
表現方法が違う芸術家たちの愛の交わし方には決まりがない、制限がない…
彼らのおかしく、奇妙な画面いっぱいの躍動は、独特の官能を放ちます。
まとめ
近年も『女と男の観覧車』(2017)や『A Rainy Day in New York(仮題)』(2018)と精力的に創作活動を続けるウディ・アレン監督。
男女4人の滑稽な恋のドタバタ劇を観終わった後は、嵐が過ぎ去ったような感覚と浮遊感ある余韻に包まれるはず。
名優たちの情熱的な演技と、美しいスペインの景色を、『それでも恋するバルセロナ』で堪能して下さい。