その魅惑の踊りを見たら最後、誰もが恋に落ちるプリマ。彼女は、ロシアの伝説のバレリーナ、マチルダ・クシェシンスカヤ。
ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世もまた、マチルダの魅力に翻弄された男性のひとりでした。
許されない身分違いの恋に夢中になり、己を見失っていくニコライ。激しくも儚い2人の愛の行方は。美しきバレリーナ、マチルダは天使なのかそれとも悪魔なのか。
実話に基づくストーリーは、皇帝の名誉を傷つけるとして、ロシアで上映妨害まで起こった話題作です。
ロシア最大のスキャンダルにして最大のタブー映画『マチルダ 禁断の恋』を紹介します。
映画『マチルダ 禁断の恋』の作品情報
【公開】
2018年(ロシア映画)
【脚本・監督】
アレクセイ・ウチーチェリ
【キャスト】
ラース・アイディンガー、ミハリナ・オルシャンスカ、ダニーラ・コズロフスキー、ルイーゼ・ボルフラム、トーマス・オスターマイアー、インゲボルガ・ダプクナイテ
【作品概要】
ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世と、伝説のバレリーナ・マチルダとの許されない恋を描いた恋愛映画『マチルダ 禁断の恋』
実話に基づくストーリーは、ロシア最大のスキャンダルにして最大のタブーと上映妨害まで起こりました。
監督はプーチン大統領も彼の才能を認めるアレクセイ・ウチーチェリ監督。ニコライ2世を演じるのは、ドイツを代表する実力派男優ラース・アイディンガー。
伝説のバレリーナ、マチルダは『ゆれる人魚』など、ポーランドの新進気鋭の若手女優として期待大のミハリナ・オルシャンスカが演じています。彼女の美しくも魅惑的なバレエ姿は、必見です。
映画『マチルダ 禁断の恋』のあらすじとネタバレ
1800年代後半のロシア・サンクトペテルブルク。今まさに、ロシア帝国に新たな皇帝が誕生しようとしています。
王位継承の戴冠式が行われています。
ロマノフ朝ロシア皇帝アレクサンドル3世の息子で、後継者のニコライ2世は、父の後を継ぎ皇帝になることを決意していました。
王冠をかぶろうとするニコライの元に聞こえた声は、恋焦がれた女性の声でした。
その声に倒れ込む皇帝。その声の女性の正体は、マチルダです。
マチルダは、世界的にも有名なマリインスキー・バレエ団のトップを争うスターダンサー。
彼女の華麗で魅惑的なバレエは、見るものを惹きつける力がありました。
皇帝も出席するバレエの公演の日。マチルダはライバルから嫌がらせを受けます。
衣装を身に着け舞台に向かうマチルダに、ライバルは抱き着くふりをして、肩紐に切り込みを入れました。
何も知らないマチルダは、華やかに踊り出します。見事なダンスに注目が集まります。
その時、衣装の肩紐が外れ、片方の乳房が見えてしまいました。
会場がはっと息を飲む中、一瞬驚くマチルダでしたが、何事もなかったかのように踊り出します。微笑みさえも浮かべ踊るその姿は、美しくも官能的でした。
男性の誰もがマチルダに惹かれます。ニコライもまた彼女の魅力の虜になりました。
そして、帝国旅団のための競技会の日。ニコライの視線の熱さに気付きながらも彼を翻弄するマチルダ。
2人の距離が近づいた瞬間、マチルダに一方的に付きまとう男、ヴァロンツォフ大尉が現れニコライに襲い掛かります。嫉妬に狂った男は身も心もボロボロの状態で取り押さえられます。
一方、ロシア帝国にも危機が訪れます。
王室一家が乗った汽車が横転、大事故へとつながります。家族を助け出そうと、父アレクサンドル3世が重傷を負ってしまいました。
まだ若いニコライに、王位継承の重圧が押し迫ります。
大変な時でありながら、ニコライのマチルダへの愛はさらに燃え上がります。
血筋を何よりも大事にする王室では、バレリーナと付き合うなどもっての外。
身分の違う禁断の恋に溺れていく2人。周りの者たちが二人の仲を引き裂こうと動き出します。
ニコライの王位継承に向けて、政略結婚の相手、イギリスのヴィクトリア女王の孫娘アリックスがザルツブルクに到着します。
王室のスキャンダルをもみ消すべく裏の組織も乗り出します。マチルダがいかに危険人物であるか聞き出したいフィッシェル医師は、嫉妬で狂ったヴァロンツォフ大尉を拷問していました。
しかしヴァロンツォフ大尉は、皇帝を襲った理由を聞かれるも、マチルダへの愛を貫き口を割りません。
いよいよ王位継承、戴冠式の日が迫ってきました。
映画『マチルダ 禁断の恋』の感想と評価
ロシア皇帝と伝説のバレリーナの禁断の恋が、実話をもとの描かれた問題作ということに驚きです。
聖なる宮殿で繰り広げられる官能的な世界、身分違いの禁断の恋のスキャンダルとなれば国中大騒ぎになるのも納得です。
皇帝もただの男だったのか、それともマチルダが皇帝をも惹きつける魅惑の女性だったのか。
マチルダは当時の女性としてはめずらしく、願望を貫く女性です。欲しいものは欲しい、やりたいことはやりたい。一見わがままで大胆な姿も、彼女の魅力のひとつだったのではないでしょうか。
その後のロシア帝国は、ロシア革命がおこり皇帝ニコライ2世は家族ともども虐殺されてしまいます。
一方マチルダはというと、ニコライの従弟アンドロレイ・ウラジーミロヴィチ大公と結婚。子供も授かり、幸せと身分も手に入れ、なんと100歳まで生きたというからこれまた驚きです。
ロシアの伝説のバレリーナ・マチルダは、革命の時代を生き抜き、ロシアで初めてプリマ・バレリーナ・アッソルータとなり、パリにバレエの学校まで設立しました。本当に強い女性です。
そんなマチルダを演じたポーランドの新進気鋭の女優ミハリナ・オルシャンスカの演技力にも注目です。
彼女はバレエの経験がなく、撮影をしながらバレエを習得しロシア語も学んだという、マチルダに負けないくらい強い女性です。
バレエのしなやかな踊りと何と言っても妖艶な表情から目が離せません。激しく感情のまま突き進むマチルダを体当たりで演じています。
まとめ
ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世と、伝説のバレリーナ・マチルダとの許されない恋を描いた恋愛映画『マチルダ 禁断の恋』を紹介しました。
禁断の恋の現場エスカリーナ宮殿や、マリインスキー劇場、ボリジョイ劇場で踊られるバレエ団の壮大な舞台、そして戴冠式はウスペンスキー聖堂と映し出される映像美にも注目です。
まるで絵画を見ているかのような豪華絢爛なシーンに圧巻です。
ロシア国内では「聖人」として神格化されているニコライ2世の知られざる恋。彼を狂わせた伝説のバレリーナ、マチルダは天使なのか悪魔なのか。禁断の恋が、いま明かされます。