2022年2月18日(金)降臨。
「恐怖の村」シリーズ第三弾『牛首村』ついに劇場公開!
九州に実在する心霊スポットを題材にした『犬鳴村』(2020)、自殺の名所として有名な富士の樹海を舞台にした『樹海村』(2021)に続く村シリーズ第三弾『牛首村』。本作は北陸最恐の心霊スポット坪野鉱泉が舞台となっています。
ホラー界の巨匠にしてこれまでの村シリーズ全作を手がけた清水崇監督が、この世で最も怖い怪談と噂される“ウシノクビ”をモチーフに織り込み、恐怖描写を徹底的に突き詰めました。
photo by 田中舘裕介
今回、村シリーズの唯一のレギュラーともいえる女子高生YouTuber・アキナの生配信にアシスタントとして本作より参加したアキナの友人・ミツキを演じた莉子さんに、清水監督の演出や現場での様子をうかがいました。
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大谷凛香演じるアキナとの関係性を大事に
(C)2022「牛首村」製作委員会
──本作はホラー界の巨匠・清水崇監督の「恐怖の村」シリーズ第三弾です。出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか。
莉子:私自身はホラーがすごく苦手。そもそもホラー映画を観たことがありませんでした。
「恐怖の村」シリーズは、そんな私でも知っている有名なシリーズです。そのシリーズに出演させていただけることをうれしく思いながら、これまで一切、ホラーを見たことがなかった私が出ていいものなのかという不安もありました。
──出演前からかなり緊張されたようですね。ミツキの役作りはどのようにされましたか。
莉子:ミツキはSNSを使っているイマドキっぽい高校生だなというのを衣装合わせの時点でつかんだんです。言葉遣いなども含めて自分に近かったので、セリフを言うのに苦戦することはなく、自分のままでいこうと思いました。
むしろ大事なのは、一緒に生配信するアキナとの関係性。アキナを演じた大谷凜香ちゃんとは事前に顔を合わせる機会がなく、富山に着いて初めて会いましたが、坪野鉱泉でリハーサルを何時間もやって、それで夜に本番を撮るという風に進んだので、そこで凜香ちゃんとしっかりコミュニケーションをとりました。
生配信ならではの臨場感・緊張感・テンポ感
photo by 田中舘裕介
──作中で映し出された、アキナとのインスタグラムの写真はとても楽しそうでしたね。
莉子:清水監督から「どこかに遊びに行った時の写真だから、そんな感じで」と言われました。監督はいつもそんな感じなんです(笑)。本編を先に撮っていたので、アキナとミツキの関係性はすでにできあがっていましたから、自然と笑顔になれました。少ない撮影期間でしたが、先に本編が撮れて本当によかったです。
──清水監督は本作での演技について、どのような演出をされたのでしょうか。
莉子:特にここをこうしてほしいということはなかったのですが、生配信ならではの臨場感と緊張感、テンポ感を大事にされていました。急に「ここを見て」と言って撮影しているカメラを切り替えたりしたのは、監督がそれを意識されていたからだと思います。
──撮影では、どんな点に苦労されましたか。
莉子:坪野鉱泉での生配信の映像は、アキナを演じた凜香ちゃんがスマホを使ってワンカットで撮っています。怖さだけでなくプレッシャーもあり、うまくできるかすごく不安でした。撮り終わって清水監督に見せると、「もう一回」と言われたりして何度も撮ったので、この場面は苦労しました。
坪野鉱泉で感じた「清水崇スタイル」
photo by 田中舘裕介
──物語の舞台となった富山県に実在する「坪野鉱泉」は、北陸随一とされる有名な心霊スポットです。撮影で訪れてみていかがでしたか。
莉子:私は怖がりなので、事前にいろいろと調べてしまい、行く前からかなり怖くなっていました。現場はふらっと行っても、中に入ることができないところですからとても貴重な体験だと思いつつ、山の中にポツンと1つだけ建っていて、いかにもって感じですごく不気味。
日が落ちるのが早くて、すぐに真っ暗になってしまう。しかも天気が荒れていて、急に雨が降ってきたり、そうかと思うとやんだり。廃墟にいるからか、そういった急な変化に何か感じてしまって、怖くてたまらなかったです。建物がかなり古いので、床が抜けていたりするところもあって、そういった意味で危ない場所でもありました。
そんな中で清水監督は「ここ、そういえばこの間、何か出たよ」とか淡々と話すんです。凜香ちゃんは慣れているから「また〜、監督、嘘でしょ」みたく応えていましたが、私はわからないので「本当ですか……」と不安になってしまう。監督は空き時間にずっとそんな感じで現場を盛り上げてくださったので、それも含めて清水監督のスタイルなんだなと感じました。
──作中では、ワイヤーに吊られながら体を張って取り組む場面もありました。その場面の撮影も、別の意味で怖くのではないでしょうか。
莉子:背中に穴が開いた制服の下にワイヤーが背中部分についたベストを着て、穴からワイヤーを出して、そのままがっつり吊り上げられるようになっていました。引き上げられる瞬間は宙を浮いている感覚でした。
本番の1時間ほど前から練習し、監督の演出指導を受けながら全部自分でやりました。大変そうな場面でしたが、やってみると意外に楽しかったです。試写でその場面を観たらCGといい具合に融合されていて怖かったので、こんな風になるんだと感動しちゃいました。本当にいい経験をさせていただいたと思っています。
『牛首村』試写が自身の「初ホラー」に
photo by 田中舘裕介
──もしかして、本作の試写での鑑賞が「初ホラー」となったのでしょうか。
莉子:はい、試写が初ホラーでした。覚悟して観に行きましたが、やっぱり怖かったです。脚本は読んでいましたが、映像化されるからこそホラーになる部分は文章では怖さが伝わりにくい。今回のメインとなっている部分は現場にいなかったので、「映像ではどういう風になるんだろう」と想像力を膨らませていました。
前日に凜香ちゃんが試写に行っていたので「どうだった?」と連絡をしたら、「何か握れるものを持っていったほうがいいよ」と言われました。でも、凜香ちゃんは村シリーズが3回目。私を怖がらせるために言っていると思ったんです。そうしたら、「本当だ」というので、念のため大きめのバックを持っていきました。すると、撮影で使われた牛のマスクは現場で見た時もすごく気持ち悪かったのですが、映像になったらより怖さが増していました。
他にもドキドキする場面がたくさんあって、ものすごく怖くて、ずっとバックをぎゅーっと抱え込んでいました。大きめのバックを持っていって本当によかったと思いました。
主人公だけでなく、登場人物全員に目を向けてほしい
photo by 田中舘裕介
──莉子さんにとっての『牛首村』の見どころの場面はございますか。
莉子:生配信しながら坪野鉱泉の階段を上る場面ですね。
坪野鉱泉の一番の見どころだと思います。ここで『牛首村』はこういう風に始まるんだなということをつかんでいただけるかなと思います。
また、これは清水監督の遊び心かもしれませんが、しっかり怖い部分以外にもドキッとさせるところを作ってあります。これは清水監督ならではだと思います。
最初から最後まで怖い作品ですが、ホラーが苦手な私でも見終わった時「怖かったけれど、面白かった」と思えました。今回は家族愛をテーマにしているので、主人公だけでなく、登場人物全員に目を向けながら作品をご覧ください。清水組特有の怖さの中に愛も感じられると思います。
──莉子さんは2021年7月号で『Popteen』の専属モデルを卒業されました。今後は女優のお仕事を精力的にされてゆくのでしょうか。
莉子:何本か映画やドラマに出演してすごく楽しかったので、モデルだけでなく女優もやりたい。今はできることは何でもやりたいです。
最近はワークショップにも参加するようになりました。そこで毎週違う脚本を演じていますが、それだけでなくいろんな役者さんの演技を見ることができる。これが私にとって大きな学びになっています。
インタビュー/ほりきみき
莉子プロフィール
2002年12月4日生まれ。神奈川県出身。
雑誌「Popteen」の専属モデルを2021年まで務め、“SNS総フォロワー数250万人超え”“女子高生が選ぶ好きなインフルエンサーランキング2年連続1位”(2020&2021年/マイナビティーンズラボ調べ)などティーンに絶大な人気を誇る。
『小説の神様 君としか描けない物語」で長編映画初出演。主演作ドラマでは『ブラックシンデレラ』(2021/ABEMA)『スイートリベンジ』(2021/FOD)への出演がある。今後、『君が落とした青空』の公開を控える。
映画『牛首村』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【監督】
清水崇
【脚本】
保坂大輔、清水崇
【出演】
Kōki,、萩原利久、高橋文哉、芋生悠、大谷凜香、莉子、松尾諭、堀内敬子、田中直樹、麿赤兒
【作品概要】
清水崇監督が手がけてきた村シリーズ第三弾。富山県に実在する心霊スポット「坪野鉱泉」を舞台に、この世で最も怖い怪談と噂される“ウシノクビ”をモチーフに織り込んでいる。
主演は本作で映画初出演・初主演を果たしたKōki,。不可解な出来事に巻き込まれる女子高生姉妹の一人二役を演じた。
映画『牛首村』のあらすじ
(C)2022「牛首村」製作委員会
奏音はある心霊動画に映った自分そっくりな女子高生を見て驚愕する。彼女が牛首マスクを無理やり被せられ、廃墟に閉じ込められたところで映像は途切れた。
「彼女は誰なのか?」妙な胸騒ぎと忍び寄る恐怖。
何者かに導かれるように、動画の撮影地・坪野鉱泉へと向かう。
妹の存在、双子、牛の首……「牛首村」と呼ばれるおぞましい場所の秘密と風習が狂気と恐怖となり、彼女にまとわりついていく……。