映画『TRAVERSE 2 Next Level』は2026年2月27日(金)池袋シネマ・ロサで封切り後、3月20日(金)宇都宮ヒカリ座、3月27日(金)アップリンク京都、3月28日(土)大阪シアターセブン、4月11日(土)名古屋シネマスコーレで全国順次公開!
空手道豊空会の創始者であり、アクション俳優としての経験も持つ武道空手家・田部井淳が主演を務めたアクション映画『TRAVERSE トラバース』(2019)。
そして同作から6年の歳月を経て、多くの“進化”と共に誕生したシリーズ続編こそが『TRAVERSE 2 Next Level』です。

(C)田中舘裕介/(C)Cinemarche
このたび映画『TRAVERSE 2 Next Level』の劇場公開を記念し、前作に引き続き主演を務めた田部井淳さんにインタビューを行いました。
“乗り越える時”を経験した前作と、シリーズの納得できる着地点作りと始まった続編企画。田部井さん自身が歩んできた空手という“道”を描く上で、“義兄弟”こと白善哲監督と交わした言葉など、貴重なお話を伺うことができました。
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「TRAVERSE」シリーズを納得できる着地点へ

(C)田中舘裕介/(C)Cinemarche
──前作『TRAVERSE トラバース』(2019)から6年越しに誕生したシリーズ続編である『TRAVERSE 2 Next Level』(以下、『TRAVERSE 2』)ですが、どのような経緯で続編の企画は始まったのでしょうか。
田部井淳(以下、田部井):『TRAVERSE トラバース』(以下、『TRAVERSE』)が劇場公開を迎えてすぐにコロナ禍が起こり、同作を監督した岡田有甲さんが命名してくださった「TRAVERSE(越える、横断する)」の言葉通り、様々な意味で“乗り越える時”を迎えました。
同作はタイトなスケジュールの中で、皆が命懸けと言っていいほどに撮影に臨んでくれましたし、劇場公開での宣伝活動においてもチームが一丸となって動き続けましたが、それでも舞台挨拶の実施回数や上映時の入場制限など、チームにとっても劇場さんにとってもつらい状況に直面しました。
そうしたやむを得ない事情が続いたからこそ、『TRAVERSE』という作品を納得できる着地点に辿り着けるようにしたいと、同作ではアクション監督を務めてくださり、撮影を通じて義兄弟と言っていいほどの絆を得られた白善哲さんとは度々話していました。

(C)2025 映画「TRAVERSE2-Next Level-」 JT.Planning
田部井:やがて「短編でもいいから、師範(田部井)が再び主演を務める形で『TRAVERSE』の新たな物語を紡ぎたい」と白善さんが提案してくださったんです。田部井淳という人間をそこまで買ってくださる方は中々出会えませんし、そんな白善さんの“兄弟愛”というべき熱意に後押しされたのが『TRAVERSE 2』の始まりですね。
当初はご提案の通り短編での制作を想定していたんですが、私も白善さんも6年の月日の中で少なからず進化していますから、前作の制作や配給・宣伝活動を経て得られた学びや人脈も生かしながら企画を進めていくうちに、2024年の春頃には「『TRAVERSE 2』として恥ずかしくない形にグレードアップしよう」と長編作品として制作することにしました。
また、もう一人の“進化した人間”として、元々は自分のマネージャーで前作『TRAVERSE』の制作時点では映画作りの知識は何も知らない状態だったにも関わらず、前作を経て多くの成長を得た上で今回もプロデューサーを立派に務め上げてくれた近藤和加子さんの存在も、『TRAVERSE 2』の長編化を決断する上での重要な決定打となりました。
自らの命を預けられる“義兄弟のセコンド”
映画メイキングショットより(写真左:白善哲監督)

(C)2025 映画「TRAVERSE2-Next Level-」 JT.Planning
──「義兄弟の絆」と表現されるほどにプライベートでも親交の深い白善監督ですが、その人間としての魅力をぜひお聞かせください。
田部井:前作『TRAVERSE』で白善さんはアクション監督として作品に携わってくださったんですが、アクションシーンを演じる当人は全力で向き合っていると、アドレナリンが出てきて良くも悪くも“頑張り過ぎてしまう”んです。そうした状況下で、俳優の安全と全力を守っていくのかがアクション監督のお仕事であり、俳優は真に命を預けることになるわけです。
白善さんとは『TRAVERSE』を通じて初めてお会いしたんですが、しばらくお話をさせていただいただけで「ああ、この人になら命を預けられるな」と思えた。月日など関係なくなってしまう、“縁”というべき相性の良さは実際にあるんだと当時の白善さんからは感じられましたね。
その期待は撮影現場でも裏切られることなく、田部井淳という人間やその経歴……自分が歩んできた空手という道までも考慮した上で、アクションシーンを練ってくださったのは本当にありがたかったです。「武道空手家・田部井淳を主演とした時、どんなアクションを演出できるのか」を徹底的に考えてくださり、二人三脚で撮影を進めることができました。
前作での白善さんとのお仕事で、アクション監督は俳優という選手にとってのセコンドなんだと改めて理解できました。そして、アクションに加えて監督・脚本として作品に携わられた『TRAVERSE 2』でも、より年を重ねた私と共に闘ってくださいました。
空手道の“道”としての奥深さを描く

(C)2025 映画「TRAVERSE2-Next Level-」 JT.Planning
──シリーズ第2弾を企画されるにあたって、白善監督とはどのような映画にしたいとご相談されたのでしょうか。
田部井:空手道と聞くと、オリンピックにも採用された「形」と「組手」の二つの形式に大別され、ポイント制で勝敗を決するスポーツ格闘技としての姿を連想されると思います。しかしながら、琉球王国時代の沖縄で原型が形作られた空手道は元々護身の術であり、言ってしまうと人を殺めうる技なんです。
相手の攻撃から自らを護るということは、いかに最短・最効率で相手の身動きを絶つのか……最も危険な技を最も危険な箇所に当て、相手の命そのものを絶つのかにも通じます。ですが、“極み”の技を理解しているからこそ、命に達することがないように加減ができるし、攻撃してくる他者も護ることができる。また船越義珍先生の「空手に先手なし」という言葉の通り、武術としての合理性と武道としての精神性が織り重なったことで、空手道の全ての型は“受け技”から始まるように作られていったんです。
そして茶道や華道、書道など、日本の伝統芸能には“道”という言葉が付くものがありますが、武道はそれら伝統芸能の“道”たちとはどこか違うものだと線引きし「武道=格闘技」という認識が強い方も多いです。しかし、伝統芸能における道たちも、精神性だけではなく所作という身体性もあってこそ成り立ったものであり、その道が目指すものも武道と同じはずなんです。
『TRAVERSE 2』の企画が始まる前から、白善さんとはそうした「武道とは何か」にまつわる話をよくしていたので「格闘技という枠を超えた先にある、空手道の“道”としての奥深さを抽出して表現できたら、『TRAVERSE 2』は前作という高いハードルを超え、きっと“Next Level”のアクション映画を生み出せる」という企画の目標に行き着きました。それを映像化することは、非常に至難の業だとも思いましたが(笑)。
武道の所作と、アクションの“映え”のバランス

(C)2025 映画「TRAVERSE2-Next Level-」 JT.Planning
──空手道の奥深さを実際に映画化していくにあたって、白善監督とはどのようにアクション演出を形作っていったのでしょうか。
田部井:自分は子どもの頃、航空自衛隊のパイロットになるのが夢だったんですが、かつて航空自衛隊でブルーインパルスにも搭乗した経験のある友人から「ブルーインパルスでの飛行はあくまでアクロバットであり、実戦での操縦は最小限の動きで、最大限の成果を求められる」「それに、あんなに派手に飛んでいたら、燃料もすぐに切れてしまう」と聞かされたことがあります。その違いは、武道とアクションの違いとも似ています。
武道は最効率・最小限の所作を徹底しており、中でも相手の“気の起こり”を感じとって攻撃を予測する「先の先」は、あまりに動きが最小限かつ早過ぎるがゆえに、側から見れば相手が攻撃を外しただけにしか見えない場合もあります。その光景だけを映しても、映像としては映えないんですよ。そうした武道としての所作と、アクションとしての映えのバランスの取り方を白善さんとは話し合いました。
また空手道における武器術の多くは、琉球王国時代の歴史的背景から、何の変哲もない日用品や農機具を工夫して武器に用いたのが起源と言われています。ヌンチャクは馬具や脱穀用具から生まれた説が有名ですし、ティンベー術の盾には亀の甲羅が用いられていたぐらいです。そうした空手道に対して皆さんが持っているイメージとは異なる空手道の様々な一面を、アクション映画に欠かせないエンタメ性を保ちながら描き出すことにチャレンジしたのが『TRAVERSE 2』ですね。
白善さんの「こういう場面では、師範はどう闘いますか」という問いに、自分が空手家として答える。その答えを基に、アクション演出のプロフェッショナルである白善さんが“アクション化”していく。『TRAVERSE 2』の敵役として登場するラームは、作中で「高梨純を殺したいわけじゃない」「私は空手というものを見てみたかったんだ」と語っていますが、その言葉に答えられる内容を目指しました。
護るための拳は、何を選ぶのか

(C)田中舘裕介/(C)Cinemarche
──『TRAVERSE 2』では、前作以上に空手道の奥深さを追求したアクション演出に加え、主人公・高梨淳とその義理の娘・里菜の絆の行方も見逃せません。
田部井:「空手道は、好戦的でも残忍でも在ってはならない」という前提がある中で、それでも残忍な選択を選ばざるを得ない状況とは何だろうか……その答えは、道を歩む人それぞれに存在すると思います。
企画を進めていた時にも、白善さんから「家族のためなら、たとえ“道”を歩む人間であっても、その者は鬼になりうるのか」と問われたことがあります。その時の私は、自分自身の娘と、血の繋がりがなくとも絆は確かにある教え子たちのことが頭に浮かび、自然と「たとえ自らの命を投げ打ってでも、子の命は必ず護る」「そのためになら、残忍にもなります」と答えました。
ですが、シリーズの主人公である高梨淳が、前作『TRAVERSE』で復讐のためではなく、護るための拳を取り戻したきっかけも、娘である里菜の存在でした。父娘のその後の物語を描いた『TRAVERSE 2』で再び危機に直面した主人公は、娘・里菜を護るために何を選択するのか。ぜひ映画をご覧いただいて、その答えを見届けてほしいです。
インタビュー/河合のび
撮影/田中舘裕介
田部井淳(ためがい・じゅん)プロフィール
1963年生まれ、愛知県出身。
10歳で空手を始め、和道会、極真会館を経て、理想の武道を求めて様々な先達につき修練を積む。19歳で上京し、俳優・千葉真一氏主宰のジャパンアクションクラブに所属。アクション俳優の経験を積むも、空手の道に再び戻り、武道空手の修業を重ねる。
1995年、31歳の時に空手道豊空会を発足。以降スポーツでも格闘技でもない“道”としての武道空手の探究と確立、普及に日々努めている。
武道空手を表現する方法として「カラテSUPEERライヴ」という独自のスタイルのイベントも創作。2000年から毎年、地元・愛知県にて開催している。2008年4月にはフィンランド日本文化友の会主催の日本フェスティバルに招聘されてデモンストレーションを行い、同年6月に開催した「カラテSUPEERライヴ IN FINLAND」は大好評を博した。
また、やしの実エフエム「田部井淳の道やりませんか!?」パーソナリティ、ネット配信TV・豊橋Vlog「田部井淳と蜂須賀茉衣の道を探しに」メインキャストも務めている。
映画『TRAVERSE 2 Next Level』の作品情報
【公開】
2026年(日本映画)
【監督・脚本】
白善哲
【プロデューサー】
近藤和加子
【キャスト】
田部井淳、中野咲希、アラン・ロワ、岸本尚子、チャック・ジョンソン、三元雅芸、芽衣子、佐藤優、儘下笑美、柳川典久、岡村洋一、津野翠愛、立沢里枝、バレット・ジェッシー・里奈、ケンヂブリッチ
【作品概要】
空手道豊空会の創始者であり、アクション俳優としての経験も持つ武道空手家・田部井淳が主演を務めたアクション映画『TRAVERSE トラバース』のシリーズ続編。
田部井が前作に引き続き主演を務め、義理の娘・里菜役には新鋭・中野咲希が抜擢された。また前作でアクション監督を務めた白善哲が、本作では監督・脚本を手がけた。
映画『TRAVERSE 2 Next Level』のあらすじ

(C)2025 映画「TRAVERSE2-Next Level-」 JT.Planning
巨大犯罪グループ「蠍(さそり)」日本支部のウォン(津田寛治)、マサト(笠原紳司)らとの戦いから6年……。
高梨淳(田部井淳)と義理の娘・里菜(中野咲希)は、「蠍」の魔の手から逃れるため、名前と素性を隠し、人里離れた山奥で静かに暮らしていた。
しかし「蠍」が放ったラーム(アラン・ロワ)の率いる最強部隊「クリーナー」は、ついに父娘の居場所を突き止め、刻一刻と二人に近づきつつあった。
元軍人で構成されたクリーナーたちは攻撃を開始し、父娘は追い詰められていく。
父と娘、それぞれの想いと過去。何のために闘うのか、強さとは何か。
闘いの行き着く先にあるものとは!?
編集長:河合のびプロフィール
1995年生まれ、静岡県出身。2019年に日本映画大学を卒業。映画評を寄稿する一方、映画配給レーベル「Cinemago」宣伝担当として、『ザ・エクソシズム』『Kfc』のキャッチコピー作成なども行う他、『獄舎Z』『トレジャー・アイランド』の字幕監修を手がける。2025年公開のタン・チュイムイ監督・主演作『野蛮人入侵(原題)』では、日本公開版タイトル『私は何度も私になる』を命名した(@youzo_kawai)。

(C)Cinemarche

































