“初期衝動”がテーマのちば映画祭2019
2019年で10回目の開催となったちば映画祭が無事閉幕。
プロモーション映像に出演し、映画祭のイメージキャラクターとして鮮やかな印象を残した福永朱梨が、“初期衝動”を掲げる今年の映画祭の顔となりました。
PV以外に、2本のエントリー作品にも主演した福永。
2019年は、劇場公開作品も待機しており、今後ブレイク必至の若手女優です。
今回のインタビューでは、女優としての想いを存分に語ってもらいました。
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「ちば映画祭2019」に参加して
参考映像:『ちば映画祭のテーマ~初期衝動~2019ver.』MV
──今回のちば映画祭2019では、プロモーション映像と長編・短編3作品に出演されていますが、映画祭参加までの経緯を教えてください。
福永朱梨(以下、福永):わたしの出演作を、映画祭主催の鶴岡さんが他の映画祭などでご覧になったようで、それがきっかけでお声がけいただき、今回出演することになりました。
──撮影現場はいかがでしたか?
福永:スタッフの方たちがみなさん映画が大好きな人たちで、すごい熱量の高い現場でひとつのものを作り上げられたのは、とても嬉しかったです。
『彼女はひとり』という作品では、中川奈月監督とたくさん話をしながら撮りました。インディペンデントで作っているので、みんな協力してというのが強い印象として残っています。みんなが協力し合わないと前に進んでいかないというのがあって。
──プロモーション映像の撮影も同じような雰囲気でしたか?
福永:そうですね、みんなでゲリラで駆けずり回ったような感じでした。頑張って何とか2日間で撮り終えました。(笑)
出逢いが広がる映画祭
──映画祭の印象はどうですか?
福永:他の映画祭だと、監督自身が応募してそれで賞を決めるというものが多いと思うんですが、この映画祭は実行委員の方が、自ら色々な映画祭や上映会を渡り歩いて、より多くの方々に観ていただきたい映画を集めています。ですから、ほんとうに映画が好きな人たちが集まる映画祭です。
わたし自身、映画がすごく好きなので、昨日も1日中ずっと映画祭で映画を観ていました。個性豊かな映画がたくさん観られるので、どの作品も面白かったです。
年齢層も広く、カフェでおばあちゃんと感想をお話する機会もあったり、いろんな方たちが楽しめる映画祭だなと実感しました。
──中でも印象に残っている作品はありますか?
福永:印象に残ったのは、田崎恵美監督の『海にしずめる』という作品です。昨日は打ち上げにも参加させていただいて、出演者の方ともお話出来て、交流が広がりました。
女優を目指すきっかけ
──福永さんはとにかく映画がお好きというこですが、好きな作品やご自身の演技に影響を与えた作品を教えてください。
福永:1番好きな映画が『ジョゼと虎と魚たち』(2003)で、この作品がきっかけでお芝居を始めようと思ったんです。この映画を通して人生観がすごく広がったので。
映画って、触れたらより人生が豊かになるなと思って大切にしているものですね。
参考映像:『ジョゼと虎と魚たち』(2003)
──演技はいつ頃から始められたんですか?
福永:18歳の時に上京して、お芝居の専門学校に入りました。
広島にいる時にモデルの仕事を少しやっていて、東京の事務所のマネージャーさんと知り合う機会があったんです。モデルと女優どっちがやりたいんだと聞かれ、やったことがないから分からなくて。その時に参考として映画のリストが100近く送られて来て、それを全部観たんですね。
それまでは映画に触れるということがあんまりなかったんです。ハリーポッターは観たことある、くらいの生活だったので、こんなに面白いものがあるんだって知らなくて。じゃあこれをやってみたいと思って東京に出てきました。(笑)
──そのリストの中に『ジョゼと虎と魚たち』が入っていたんですね?
福永:そうです、入ってました。(笑)
自分とキャラクターの擦り合わせ
──役作りはどのようにやられていくんですか?
福永:自分とは全く別の人物を演じるので、まず自分自身を知っていないと誰かになり得ることが出来なくて。自分自身が経験してきたことだとか、自分の年表をまず作ってみて、そこから役とどう違うか、自分はこう思うけど、この役だったらどう思うかっていう対比をしながら役を抽出していく感じです。
役自身が何を欲求しているかだとか、何が障害になっているかだとかを意識して演じるようにしていますね。
これからの活動
──今後、演じていきたい役柄と出演予定を教えてください。
福永:今まで女子高生の役とか、自分の年齢より下の役が多かったので、年齢が上の役とか、いろんな振り幅を出していけたらなと思っています。
『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(2019)という作品と『君は月夜に光り輝く』(2019)という作品に出演しているので、そちらも是非劇場で見ていただけたら嬉しいです。
「ちば映画祭2019」福永朱梨主演映画の作品情報
映画『恋はストーク』
【製作】
2014年(日本映画)
【脚本・監督】
亀山睦実
【キャスト】
福永朱梨
【作品概要】
「好き」に執着してゆく少女の末路を描いた短編映画。
監督は、初監督作『好きなんかじゃない!』で第一回池袋映画祭準グランプリを、『ゆきおんなの夏』でTOKYO月イチ映画祭グランプリ、第十回田辺・弁慶映画祭入選を獲得した亀山睦実。
同映画祭で上映された中川奈月監督の映画『彼女はひとり』でも主演を務めた、女優の福永朱梨が主人公の少女を演じました。
第2回岩槻映画祭の短編コンペティション部門審査員特別賞受賞作品。
映画『彼女はひとり』
【製作】
2018年(日本映画)
【脚本・監督】
中川奈月
【キャスト】
福永朱梨、金井浩人、美知枝、山中アラタ、中村優里、三坂知絵子、櫻井保幸、榮林桃伽、堀春菜、田中一平
【作品概要】
立教大学大学院映像身体学研究科の修了作品として制作が始まった本作。
中川奈月監督がその後、東京藝術大学大学院で学びながら、2018年に現在の形を完成させた初の長編作品です。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018国際コンペティションに唯一選ばれた日本映画であり、同映画祭にてSKIPシティアワードを受賞されるなど高い評価を得ました。
撮影は、黒沢清監督、深田晃司監督、沖田修一監督といった名監督の数多くの作品を手掛けてきた芦澤明子。
同映画祭にて上映された亀山睦実監督の映画『恋はストーク』でも主演を務めた福永朱梨が主人公・澄子役を演じます。
まとめ
インタビュー時、常に天真爛漫な表情をみせ、どのような質問にも応じて下さった福永朱梨さん。
実際の出演映像をみると印象がガラリと変わるのも魅力です。
スクリーンの先にいる観客をはるか臨もうとする視線には、人を惹き付けてやまない求心力があります。
その真摯な眼差しは何を見据えているのか。今後の活躍から目が離せません。
インタビュー/ 加賀谷健
写真/ 出町光識
福永朱梨プロフィール
1994年、広島県生まれ。
広島でモデル活動を開始し、写真集『広島美少女図鑑』や『彼女写真in広島 cakes』などに掲載されます。
18歳で上京を機に芝居の勉強を本格的に始め、短編映画『hanaガール』(2014)、NHKEテレドラマ『ただいま会議中』(2014)、舞台『肥後系新水色獅子』(2014)に出演。
2017年には、映画『恋とさよならとハワイ』、『君の膵臓をたべたい』に起用されます。
今年2019年も、『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』や『君は月夜に光り輝く』など出演作が続々公開され、今後の活躍が期待される若手女優の1人です。